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今年こそ ここち良く咲け 福寿草HEADLINE

















 皆様 明けましておめでとうございます。
法界寺より、お正月のお慶びの言葉を申し上げます。

今年こそ ここち良く咲け 福寿草
福寿草という花は、“お互いに幸せをもたらしてくれる花”だと、皆が喜ぶお花であるわけですが、昨年は色々な事があり、なかなか心の底から喜べる毎日ではなかったように思います。けれども今年こそ、喜びの花である福寿草が爛漫と咲いてくれますように、そういう気持ちでお互いがこの一年を過ごしたいという思いで、この言葉を年頭に、お祝いの言葉として申し上げたしだいであります。

 法界寺では門前に、畳半畳ほどの黒板にポスターカラーで文字を書き、道行く人たちに少しでも仏教をお伝えしたいという思いで、三十数年の間、掲示伝道をさせて頂いております。そこに書いた言葉に、もう少し何か法味(ほうみ)のあるお釈迦様の御教えをお伝えできることがなかろうかと、今回、このホームページ立ち上げに伴い、それを通して皆様に直接語りかけさせて頂きたいと思いました。

 仏教というものは、もうご存知の通り、インドのお釈迦様によって始められました。
そのお釈迦様の御教えは、全体を含めて、八万四千の法門と申されるがごとく、多くの事を我々に教えて下さっています。その御教えを一言で申すことは、なかなか難しいのでありますが、あえて申すなら、その御教えのエキスは“おかげさま”の五文字に詰まっているのである、と私はそう思うのであります。

世の中は 俺がおれがの がを捨てて  おかげおかげの げで暮らせ”

と、我々の先輩方は、この短い古歌で私たちに教えて下さっています。
人間誰しも、その人生を生きるには、それぞれの立場でそれぞれの苦労を味わいながら努力していかなければなりません。
その努力の結晶が今日の我々であろうと思います。
しかし、その努力をするものの背景に、“目には見えない多くのおかげの力がある”といただき、そのおかげの力を喜んでいきなさい。そうすればあの福寿草の花のように麗しい人生が展開していくだろうと、お釈迦様は教えて下さっているのです。

 私は、今年85歳になりましたが、80歳の時に浄土宗から記念品を頂戴いたしました。お袈裟、お数珠、そして杖でございます。お袈裟やお数珠は見慣れておりますが、その杖を見た時、“私もいよいよ杖を突かなけりゃならん80歳になったか”と愕然と致しました。そして、その時不思議なことに「しまった!!!」と思ったのです。
私はその時、大変なことを80年も忘れていたことに気付いたのです。

 私が80歳の傘寿を迎えて初めて気が付いた事は何かと申しますと、私は生まれながらにして、お母さんのおっぱいを頂いて大きくなったのでありますが、そのおっぱい代を未払いであったという事、そして一度も催促を受けることもなく、払わなければならないなどと考えることもなく80年を過ごしてきた、ということです。

 人は、物を頂いたり、かわいがって頂いたらお返しをするのが当たり前の行いでありますが、大事な私の体を支えてくれたおっぱい代を80年間、代金を払わずきてしまい、今払おうと思ってもすでに母親は極楽に帰ってしまっており、払いようがありません。しまった…まことにその通りでありました。私は末っ子に生まれ、他の姉妹よりたくさんのおっぱいを頂いておったようです。それなのにその代金を一銭も払わず、母親に未払いの罪をおかしてしまった80年を思い、その杖を見ました時、その杖はその不届きな身である私に対する警鐘の棒あるというように考えられたのでございました。

 考えてみると、人間は、この世の中で多くのおかげを頂いております。
例えば、太陽が燦々と照ってくれるから我々はいきておられる、土や大地や水が物を育ててくれるから我々は肉体を保つことができる。その他にも、兄弟の力、ご先祖の力、先生の力、おかげ。先生のおかげがあればこそ、字が読め、計算ができ、人間として歩む道を教えて頂けた。お商売人さんであれば、自分も一生懸命お商売されるけれども、お得意様がおられなければお商売は成り立って行かない。
こう考えた時、私どもは おかげならざるはない(おかげでないはずはない)といただくのです。

 “振り向けば おかげを受けし 人ばかり

 私の生きてきた80年の人生は、まさにおかげを頂いたその結晶であったということを、80歳の傘寿の時に改めて感じたのであります。そして、このことが、お釈迦様の御教えの中の一番大事なエキスなのであります。

 平成25年の冒頭にあたり、皆様方がお釈迦様の御教えを喜び、福寿草が咲き誇った時のような喜びの一年をお過ごしくださいますように、との願いを込めまして、このお歌を送らせて頂きます。

 法界寺は大阪の北区にあり、多くの人が門前を行き来なさいます。
その方々に少しでも、お釈迦様の御教えをお知り頂きたい、お考え頂きたいという思いから、三十数年前から、門前の掲示伝道にて、人々に語りかけて参りました。難しい言葉ではいけませんので、ごくわかりやすい言葉で語りかけておるつもりでごさいます。
例えば、
 “たんぽぽや 幾日踏まれて 今日の花” 
 “生き場所が そこにもあるか 屋根の草”
解説は必要ないような、お読み下さったら“はっ”と気づかされるような寸言でもって語りかけておるのでありますが、
これをもう少し深めて、お釈迦様の御教えをお取次ぎしたいという思いから、このホームページ内での解説につながったのであります。
 
 これからもしばらくの間、この解説を続けていこうと存じますので、どうぞご活用をお願いして、
本日のお話を終わりたいと思います。             
                                        
合 掌

    福寿草










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