テープレコダーの電気回路をやさしく解説しています。 質問・要望は koukouisao@yahoo.co.jp へ |
トランジスタにはNPN型とPNP型の2種類がある。 この相違点から説明します。 |
左図のようなトランジスタ回路を考えてみる。 エミッタ電圧は 400Ω x 1mA=0.4V (ベース→エミッターに流れるベース電流5μAは無視している) ベース電圧は 0.4V+(ベース−エミッタ間電圧)= 0.4V+0.6V=1.0V (ベース-エミッタ方向電圧=0.6V) hfe=200と仮定すると、ベース−エミッタダイオードに流 れている電流は 1mA / 200=0.005mA=5μA 右図の※印のところが切れているとき、R1・R2を流れる電流は 8V /(140kΩ+20kΩ)=0.05mA=50μA X点の電圧は 8V x 20kΩ/ (140kΩ+20kΩ)=1V |
※点を切断している状態では、X点とベース電圧は同じ 1V になっている。
※点を接続すると、ベースには電流が5μA流れるが、この電流は140kΩを通じて流されるが、
50μAの1/10しかないので無視して考える)
これはコレクタ−エミッタへ1mA流れるよう設計されたものなのでエミッタ電流1mAで計算すると
多くの概算の為の無視を使用することでつじつまが合う。
(R1+R2に流れる電流をベース電流の10倍にして、ベース電流によってX点の電圧大きく変化しない様にして
おいて計算はベース電流の影響を省略する等の様に、ある配慮のもとで計算省略して、設計と 実回路の動作
に大差がない計算方法にしている。これはまたx点の電圧がトランジスターのバラツキで変化しにくくして、回路を
安定化させる対策でもある。)
実際の回路の動作は8VがR1とR2で分割された電圧でベース電圧が決まり、ベース−エミッタ
間ダイオードに電流が流れ電圧0.6Vとなる。そしてB−E間に電流が流れたため、そのhfe倍の電流が
C−E間にエミッタ電圧が0.4Vになるまで流れる。(B−E間電圧+R4 x 電流=ベース電圧)
コレクタ電圧は 8V−(3.6kΩ x 1mA)=4.4V
右図のように交流信号0.1Vを電解コンデンサーを通して ベースに加える。 (電解コンデンサーは容量が十分大きく、入力信号に 対してのインピーダンスは無視できるものとする) ベース電圧は |
まとめてみると左図のようになる。 ベースの交流信号レベルは0.1Vであったが、コレクタでの 交流信号レベルは0.9Vになっている。 0.1V →0.9Vと9倍になっていることがわかる。 |
トランジスタに加えた交流信号を0.1Vから0.5Vまで大きくした 場合を考えてみると
ベース電圧は左図のようになり @ ベース電圧が1.0Vのときコレクタ電圧は4.4V A ベース電圧が1.5Vのとき エミッタ電圧は1.5V−0.6V=0.9V エミッタ電流は0.9V / 400Ω=2.25mA よってコレクタ電圧は 8V−(3.6kΩ x 2.25mA)=−0.1V コレクタ電圧>エミッタ電圧となるためコレクタ電圧が0.9Vに なる電流を求めて (8V−0.9V)/ 3.6kΩ=1.97mA エミッタ電流は1.97mA以下となる。 |
B ベース電圧が0.5Vのときのコレクター電圧を求めてみると エミッタ電圧は0.5V−0.6V=−0.1V エミッタ電流:0mA(ベース−エミッタ間ダイオードが方向の電流が流れなくなるとエミッター電流が0になるのでベース電圧が0.6V以下になるとエミッター電流が0になる) エミッター電流が0ということはコレクター電圧が8Vになる。 よってコレクタ電圧は 8V−(3.6kΩx 0mA)=8V まとめると左図のようになる。 入力が大きくなると波形の上下が削り取られて歪んでしま う。これをクリップされたという。 入力が大きくなって出力が歪んでしまったのである。 今計算した回路はクリップが上下ほぼ同じように現れており、 大きな入力に上手く設計されていることになる。 設計した通りの抵抗値を使用しない場合には、小さな入力 でもクリップが上か下に発生し不良となることがある。 |
交流信号が入っていないときのエミッタ電流(交流信号を考えずに直流的に計算した値;今回の場合1mA)をトランジスタのバイアス電流と呼ぶ