※フォルテシモはちは版権作品を舞台にしたオリジナルストーリーをお送りしています。
 原作のイメージを壊したくない方はお戻り下さい。





[目が覚めて]



「――っ、―――!!」
「――――、――――。」
「――、――――っ!!!」


意識がうっすらと戻る中、話をする声が聞こえた。

変な夢を見た気がする。
サイファーと訓練に出て
そしたら変や二人組みがおちてきた夢。
・・・、そう言えば、どこから夢だったんだ?

けどたかだか夢のために悩むのも疲れる。
俺は覚めつつあった目を開けた。
ぼやけた視界から見えたのは


「お!師匠が目を覚ました!」
「よかった・・・!先生起きました!」

変な髪の色をした男と
黒髪の女子だった。

そう言えば、夢の中でも、出てきた気がする。
そのときは上から落ちてきて俺にぶつかって―――

てことはつまり

「夢じゃなかったのか・・・(げんなり)」
「大丈夫かい?」

聞きなれた声がしたと思い顔をあげると
白衣の天使(通称)・・・もとい、保健室のカドワキ先生だった。

「・・・はい。」

半身起こしつつ一応は返事をしたけれど
本当は体が痛い。あと額も。

俺の言葉にカドワキ先生はとりあえず頷く。

「今回はサイファーの仕業じゃぁないみたいだね。」

カドワキ先生がそういうと、黒髪の女子が縮こまる。

「ごめんなさい、私・・・、」
「落ちてきたのはあんたか・・・」

そういうと、またさらに縮こまる黒髪の女子。
まるで小動物みたいだ。

「そんなに気にすんなよ師匠、」
「誰が師匠だ、」

変な髪の色の男が呆れたように言うが、
断じて俺はお前の師匠じゃない。
というか、もし仮にそうだとしても、
お前みたいなヤツは絶対に弟子にしない。

「むーん・・・その否定の仕方、ますます師匠だ。」

「あの、カズヒサさん、その呼び方は混乱してしまうかも、」

黒髪の女子は控えめにそう言い出す。
見た感じこの二人の年齢は離れているようにみえる。

「いいんじゃね?師匠は師匠だ。」

「・・・そうですか(汗)」

いやいや、そうですか、であきらめるなよ。
もう少し頑張ってくれよ、

「・・・先生、サイファーは?」
「ああ、あの子ならとっくにどっか行ったよ。」

もういっそこいつらは見ないことにして、
俺はカドワキ先生に質問した。
2人分の衝撃を受けてなお立ち上がれたあいつ・・・相当タフだな。

「訓練のときは手加減したら?
 そのうちトンデモナイことになるよ?」

先生は俺の額を挿して言う。
ちょうどそこはかすかに痛みを訴えていたところで、
触ってみればどうやらそれは傷になっていたらしく、
そう言えばあいつが不意打ちで俺に切りかかってきたな、と思い出した。
でもそんなの・・・

「サイファーに言って下さい。」

「あの子はねえ、何言っても無駄だからね、」

ため息をつくカドワキ先生。

「なん?あのキンパツオールバック、
 師匠に稽古つけてもらってんの?いいなぁ。」

横から口を挟むのは変な髪の色の男。
なんでお前がうらやましがるんだよ。

「な、師匠。
 俺にも稽古つけてくれよ。」
「お断りだ。」

こいつと話していると頭が痛くなる。
ただでさえ額が痛いのに、

「ちぇー、」

変な髪の色の男(いい加減この呼び方、面倒だな)は
いじけてそっぽを向いたが俺の知ったことじゃない。
けどその男の様子に黒髪の女子はおどおどしていた。

「ところであんたたちはどこから来たんだい?」

カドワキ先生は腰に手を当てて呆れたように言った。
問題児(俺も含まれているらしい)に慣れている先生は
このへんてこな奴らを怪しむことなくここに招き入れたらしい。

「ど、どこからっていったらいいのかな・・・」

黒髪の女子は答えに詰まったようで変な髪の色の男はいじけっぱなしだ。
右往左往と目が泳ぎ、手は落ち着きなくもじもじとして、
あーだのえーだの言葉にならない声を漏らす。
そして誰かを探すように、出入り口のドアを気にしていた。

「・・・空、から。」

やっとの思いで出てきた言葉は至極単純だった。
確かに、空から落ちてきた。

「空?飛空挺からかい?」

そう聞いておきながらあまり追求するつもりは無いのか、
カドワキ先生はもう自分の仕事机で書類を片付けていた。

しかし仮にそうだとして、
その高さから落ちてきたこいつらにぶつかった俺たちが
(しかもサイファーは2人分も受けておいて)
大した怪我もないのは変だ。
いや無事に越したことはないが。

「実は」

「アタシたち、違う世界からきたのよ。」

話を切り出した黒髪の女子につづけるように、
入り口から入ってきたタチバナと呼ばれた茶髪の女子がそう言った。

「は?」
「へえ、」

「タチバナさん!」

思わず聞き返した俺と、
興味ありげに顔を上げたカドワキ先生と、
安心したような顔を見せる黒髪の女子は
いっせいにタチバナを見た。
変な髪の色の男子(そういえばカズヒサと呼ばれていたか)はいじけたままだが。

空から落ちてきたときも思ったが、この女子は変だ。
意味不明なことを言い出す。
違う世界?どこのことだ?

「信じるか信じないかは任せるけど、事実は事実だから。」

俺のいるベッドのまえに立つと、胸の前で腕を組み、
あの時と同じようににやりと笑った。

「しばらく世話になるから。」

耳の端でカドワキ先生が愉快そうに笑っているのが聞こえた。
たまには刺激的なことがおきてほしかったらしい。

夢なら覚めてくれ。





next...

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プレイしてもう5年以上経ってるから記憶がうろ覚えだぜ。2008.4.26
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用語メモ
・カドワキ先生 バラムガーデンの保健医。生徒からの信望の厚い白衣の天使。
・飛空挺(ひくうてい) FFシリーズではお馴染みの空飛ぶ船。超カッコイイ。