発行所:聞光寺発行人:釋温成寺報

第82号 2013/7/1発行

第81号

今度は孫に軍服を着せるのですか?

無駄を楽しむ

近代の生活は、私とそれに関わる者達だけが、生活を充実させる為に一生懸命に頑張り突っ走ってきた時代の様な気がします。

そこから今現在何を得て私達は生きているのでしょうか。

バブル時代もバブルがはじけてからも一生懸命頑張らないと、以前の生活を守る事さえ出来ないと思い、身を粉にして仕事をしていたように思います。

そんな事をしながら大切なものを失ってきたように思います。

そして、その生き方が、私達を駄目にしてきた歩みとして現在があるのではないですか。

一人ひとりが頑張れば頑張るほど個人を大事にする世界を作り出し、他を寄せつけない家族、地域、社会にしてしまい、そこにいる人達が、一緒にいてもバラバラな集まりになっているのではないだろうか。

だから、暗く悲しく辛く感じるような生き様になっているように感じられてなりません。

蓮如上人の「五百回御遠忌」の時のテーマが「バラバラでいっしょ」であり、サブテーマが「違いを認める世界の発見」という願いを思い出してしまいました。皆様はいかがでしょうか?

家族生活、会社や地域で無駄な時間を過ごすことは殆どなかったのではありませんか?効率性を重視して多くのものを得ようとする生活ばかりで、無駄と思われるけれど、面白い事、気になっている事に手を出したりしてこなかったのではないでしょうか。

しかし、「東日本大震災」以後、やっと私達の生活の有り様が、本当に願っている事とは違うという事に気付いてきたのではないでしょうか。

今までの生活や習慣などが邪魔をして、なかなか今を変える事が出来ず悩んでいるのではないでしょうか。

違った人間が、より多くの人と一緒に生きようとするならば、キッチリとした決め事ばかりでなく、沢山の無駄も必要なのではないでしょうか。

無駄をなくし、少しでも効率をよくして、より多くの得(利益)をえようとしてきたのが現代社会だったように思います。

少し前の時代では、無駄があることによって、周りを見、考える事をしてきた。

その事が素晴らしい習慣や文化、そして、素晴らしい日本人という人間を生み出してきたのではないでしょうか。

それらを外国人は「ワンダフル」「素晴らしい」という言葉で、日本の心を表現しえくれているのでしょう。

その「日本の心」を取り戻さないと、日本という素晴らしい国が無くなってしまうのではないでしょうか。

「方言」は恥ずかしいという人がおられますが、学校で習う国語は「日本の共通語」であって、それぞれの地域で使われている言葉が「国語」(お国ことば)ではないですか。

共通語は覚える必要はあるでしょうが、方言は、私が生きている「国」の言葉ですので、堂々と使うべきでしょう。

方言を堂々と使えるようなたのしい人間関係が、無駄を生きる社会なのではないでしょうか。

同朋の会親睦旅行

新橋釋定心

東西本願寺参拝と書院見学、そして琵琶湖・竹生島の旅に、新緑が美しい6月10日午前6時55分、定刻通りに一行15名は出発した。

朝が早いせいか車内は静かで座席はゆったりした中型観光バスだ。

ベテランバスガイドの案内説明もうわの空、しばしこくり、こくりとなる。

車はやがて国宝十一面観世音菩薩を安置する渡岸寺に着く。

観音像は泰澄作で像高約195センチの一木彫成で、眉から鼻にかけての線、かたく結ばれている唇など、冴えた彫りの美しさをあらわしている。

腰をわずかにひねる化身ながら官能的な量感さえ感じる。誠に尊い十一面観音菩薩でした。

長浜別院の大通寺は、真宗大谷派の別格別院としての広大な境内で、名実共に信仰とその伝道の要として重きをなしている。

門前町の散策が楽しい。珍しい黒いソフトクリームを食べたが特別の味はなかった。

初日の夜は、西本願寺の聞法会館に宿泊で、初めて西本願寺の境内に入る。

会館は、高級ホテルと同じで、部屋のカギを渡され説明を聞く、初めて経験するドアキーの使い方、ベッドが3台セットされて、テレビ・冷蔵庫があって、バス・トイレ付の落ち着いた部屋で、世間の騒音もなく、今夜はどんな夢を見るのかな!!

6月11日、お西さんの晨朝は午前6時からだ。ご近所の人達がお参りに来る。

御影堂に「ナモアミダブツ、ナモアミダブツ「とお参りする熱心な念仏者で、毎日お参りに来るそうな。

書院の拝観は、案内の僧侶の説明に頷きながら国法・重要文化財を拝見する全てが絢爛豪華で驚き感激した。

お東へ移り阿弥陀堂・御影堂の屋根見学を済ませて書院へ。

お東の書院は、お西に比べると質実剛健で、俺はお東が落ち着くようだ。昼食は同朋会館で「合掌御膳」を食べたがおいしかった。

食後、平成23年4月22日に納骨をした愛妻の待つ大谷祖廟に行く。

あの日以来だ。お蔭様で家族は元気で暮らしているよ。親戚、縁者の近況を話す。色々な事がありましたと。

思い出は風化することなく、しっかりとこびり付いている。

きっとお浄土で喜んでいる事だるお。

今日の宿は琵琶湖グランドホテルで、早いお着きで一番風呂とは嬉しいね。

気分は最高、疲れがとれて身が軽くなったようだ。今宵の夢は!!亡き妻のにこやかな顔が浮んでくる。

6月12日 ホテルの朝食はバイキングだった。

最後の観光は、琵琶湖に浮ぶ小さな竹生島。西国三十三所観音霊場として多くの参詣客で賑っている。

宝厳寺本堂のお参りは急斜面の165段の石段の上で、足はガクガク、息はハアハア大変だったが、参詣コースを巡って桟橋前の休息所について、ソフトクリーム食べたがうまかった。

旅行の全工程が終わって帰路に着く。

この度の旅行で、大谷祖廟のお参りが出来た事が何より嬉しく、亡き妻も喜んでいる事だろう。

俺も嬉しかった。

琵琶湖・竹生島にて