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書庫の中のノート

工 房 日 誌 2004年6月

2004年 6月26日

昔の演劇仲間(社会人の演劇サークル)が「おこんじょうるり」(さねとうあきら原作)の公演をするというので、友達といっしょに観てきました。
友達の方は、高校時代の演劇部の仲間で、このサークルではいっしょに活動していませんが、サークル員と交流があった人です。

警報が出ていたほどの大雨でしたが、午前の部はほぼ満席でした。旧メンバーらが、受付などのお手伝いで活躍していました。(このあと、午後の部と、7月にまた朝・昼2回公演があります。)
稽古場を改造したと聞いていましたが、まるで別世界のように変わっていたのでびっくりしました。

今のメンバーの半分は知らない人たちになっていますが、芝居のカラーというのは変わっていません。
ここ数年、山口市内でも演劇をする若い人が増えて、劇団の数もたくさんになってきましたが、たいていは前衛的な芝居です。
子どもたちもいっしょに楽しめる、オーソドックスな演劇を演じ続けているのは、うちのサークルの(あえて、今でも「うちの」と言いますが)良いところだと思っています。

2004年 6月20日

台風が近づいています。それでも月曜日の朝には出勤しなくてはなりません。

書きかけの原稿があるとき、身の安全にとりわけ慎重になります。これは、小学生の時からそうでした。完成するまで、ことのほか交通安全を心がけ、青春期の形而上学的な悩みを抱えるときも、漠然とした自殺願望の歯止めになっていました。

親はなくても子は育つと言うけれど、作者がなくては作品は育ちません。
風速何メートルになろうと、突風に飛ばされることなく、無事に家に帰ってこよう。そして、明日も原稿の続きを書こう……。

2004年 6月12日

昔は、気に入った本を何度も何度も繰り返して読んでいました。それが近ごろは一度きりというのがほとんどです。

岩波書店から出ているサトクリフの歴史小説は、ほとんど5〜6回は読んでいます。(比較的新しい時期に出た『銀の枝』は2回、『辺境のオオカミ』は1回だけですが。)
『ゲド戦記』も第3巻までは繰り返して読みました。
『プリディン物語』も『指輪物語』も『クラバート』もそうです。
これら古典的名作の中ではさほど気に入っていると言えない『ナルニア国ものがたり』でさえ、最低2回は読んでいます。
『ウォーターシップダウンのうさぎたち』も『フランバーズ屋敷の人びと』も『大地の子エイラ』も再読三読しました。
好きになった本は、全文を書き写しさえしました。
当時の私にとっては、読むに値する本を繰り返して読むのは、当たり前のことでした。

それなのに、その時期を過ぎてから出会った『ゲド戦記』4、5巻は、1度しか読んでいません。『ローワン』も1〜3巻を再読しただけ。『エルフギフト』も上巻の途中まで再読したところで止まっています。
何かに追い立てられるように新刊を次々と読みあさり、いい本を再読することなく、「読んで損した」と嘆くような本に時間を割いてしまいます。

インターネットのおかげで、新刊の情報を手にするのはとても早くなりました。
図書館が新しい本を収蔵するタイミングも、格段に早くなったように思います。
話題の新刊について、本好きの仲間と早く語り合いたくて、つい読み急いでしまいます。

でも、時には『ゲド戦記』の第1巻からじっくり読み返してみたい、と思います。
そうすると「本が好きだもん」のネタ探しには差し支えるだろうなあと思いつつ、でも、ときには発行が遅れてもいいか……と開き直って。

2004年 6月9日

フンケの『どろぼうの神さま』(6月3日参照)を読了しました。とてもとても面白かったけれども、結末だけはちょっと……。スキピオはあれでよかったんでしょうか?

2004年 6月7日

史実に基づいたまともな歴史小説を書いたことはありませんが、歴史ファンタジーであろうと時代活劇であろうと、時代背景には結構こだわって書きます。
ところが、私という書き手はなかなか前作と同じ舞台で書こうとしないので、(なぜか、そうなってしまうので)、資料集めも一からやり直すことになります。
せっかくイタリア史の知識を頭に蓄えておきながら、次には弥生時代の考古学について勉強し直すと言った具合です。

今また未知の領域に取り組んでいます。まだ年表が頭にたたき込まれていません。

2004年 6月5日

市立図書館と県立図書館を梯子して、合わせて6冊も借りてしまいました。もう充分(ほかに7冊)借りているので、返すだけにしておこうと思っていたのに……背表紙を見ると、つい手を出してしまいます。毎日本ばかり読んでいられるわけでもないのですが。

週末には買ったばかりの『ゲド戦記外伝』を読むと決めていたので、たとえ期限のある本が何冊あろうとも、アースシーで休日を過ごすことにします。

2004年 6月3日

お昼休みに、コルネーリア・フンケの『どろぼうの神さま』(WAVE出版、下記の2作も同じ)を少しずつ読んでいます。

同じ作者の本は、最初に『竜の騎士』を読みました。まずまず面白かったので、期待しながら次に『魔法の声』を手に取りました。ところが、これが期待はずれでした。今に面白くなるだろう、今に面白くなるだろう……と思いながら最後まで読んで、とうとう面白くないままに終わってしまいました。
それでも、失望のしかたの種類が根本的に力のない作家の作品とは違うので(私にとってはつまらなかったけれども、好きな人は好きかもしれない)、試しに『どろぼうの神さま』を読んでみることにしました。

これを読まないで済ませていたら、とても残念なことだったろうと思います。結末を知らないので、今から賞賛するのは早いかもしれないけれども、初めの数章を読んだだけで、手応えを感じています。

本との出会いというのは、かなり運任せの部分があると思いました。もしも『竜の騎士』を読んでいなかったら、『魔法の声』のあとでは『どろぼうの神さま』に手を出さなかったかもしれません。

(『ゲド戦記外伝』を読むのは、週末まで無理なようです。)

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