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書庫の中のノート

工 房 日 誌 2006年9月

2006年 9月27日

アーシュラ・K・ル=グウィンの『天のろくろ』が復刊されていると知り、入手しました。サンリオSF文庫で出ていたときに本屋に注文してすでに入手不可能になっていたのですが、ようやくにして巡り会うことができました。
値段(2千500円+税)から想像して、ハードカバーの重たい本を思い浮かべていたのですが、見かけからすると千円ちょっとという感じのソフトカバーです。中身も行間がぎっしりと詰まっていて、近ごろの本の標準からすると見づらい感じです。その点には少し気落ちしました。復刊投票を受けて、すでに存在しない出版社に替わって刊行されたものなので、割高感があるのはしかたがないことでしょう。
ただ、問題は中身なので。まずは読んでみたいと思います。

2006年 9月24日

この春、MOドライブが壊れるまで、FDの容量の小ささを補う外部記憶媒体としてMOを愛用していたのですが、ドライブが壊れたことによって中身が読めなくなると言う制約が身にしみて、MOから気持ちが離れていきました。やむを得ず新しいMOドライブを購入して、ディスクの中のデータをまた読めるようにしましたが、もう次のパソコンにこれを引き継ぐのはこりごりだと思いました。かつてのFDドライブや今のCDドライブのようにパソコン本体に付いていて、CDやMOのように大容量を扱ってくれて、しかも、FDやMOのように自由に書いたり消したり、データを移動したりできる媒体はないものか……。

というわけで、USBフラッシュメモリを買ってきて使い始めました。大変快適です。読み込みも速いし、本体が軽くて持ち運びも便利。あんまり軽すぎて、紛失しないかと不安になるくらいです。
MOドライブからはだんだん離れていくことでしょう。ハードに保存しておきたくないデータ(たとえば友人の住所録とか)をどんどん移していこうと思います。つぎに壊れたときには、そのままMOと別れられるように。
あとは便利さに気がゆるんで、USBフラッシュメモリを挿しっぱなしにしておいた、なんてことのないように注意するだけです。

2006年 9月18日

台風は家を壊すことなく通り過ぎてくれました。停電も、ついたり消えたりが繰り返されただけ。一夜明けたあとは、全く無事です。
昨夜は停電の谷間をくぐって、データを外部記憶媒体に保存したり、ノートパソコンを専用のバッグにしまいこんだり、あたふたして過ごしました。
風がどうやら治まった明け方、新聞配達の人がいつものように配って回る物音を聞きながら、ほんとうにご苦労様だと思いました。きっと、まだ風がひどいうちから出勤していたことでしょう。
これからまだ吹き荒れる地方もあるようですが、どうかこれ以上の被害のでないことを願います。

2006年 9月17日

8月の半ばころ、ローレンス・イェップの『虎の弟子』を図書館に予約していたのですが、私の前に借りていた人が期限を過ぎてもなかなか返してくれず、いまだに読めないでいます。
その代わりに、というわけでもありませんが、草野たき著『ハーフ』を読んで満足しました。できの悪いファンタジー(「選ばれし者が異世界で冒険すりゃいいのか!」)の洪水には飽き飽きし、似たり寄ったりのリアリズム(「同じようなことでうじうじ悩んでる子ばっかり!」)の洪水にも辟易することの多い近ごろの読書事情ですが、『ハーフ』はそのどちらでもなくて、ユニークで良質のリアリズムです。読後はほのぼのとすっきりしました。

台風が迫りつつあるので、いつ停電するか分かりません。とりあえず、本日の日誌をアップしておきます。

2006年 9月14日

もう10日も前のことになりましたが、今月4日に歴史学者の阿部謹也氏が亡くなったと知り、ショックを受けています。デビュー作の『アルジェンタ年代記外伝』を書いていたころ、参考資料としてずいぶんとご著書のお世話になりました。ドイツ史のご専攻なので、具体的な事象については作品の舞台であるイタリアと異なりますが、ものの考え方や発想については大いに刺激を受けました。

中公新書で『中世の風景』上下(阿部謹也・網野善彦・石井進・樺山紘一 共著)というのが出ていますが、これが面白くてそのころ何度も読み返しました。ここでは日本史の中世史研究者2人(網野・石井)と西洋史の中世史研究者2人(阿部・樺山)が座談会形式でテーマごとに語り合っているのですが、日本史のお二人も今世紀に入ってから亡くなっており、興味を持って拝見していた歴史学者を次々と失ってしまいました。

2006年 9月10日

だいぶ前に読んだのに、きちんと感想を書いていませんでしたが、『盗神伝』の4、5巻は読んでいる間はおもしろくて夢中。読み終えたら、3巻までが一区切りだったかなあ、と寂しく感じる作品でした。
買うとしたら1〜3巻で、それ以降は所有するほど好きではないと思います。
ちょっと主人公がスーパーマンになりすぎてしまったみたい。作者が主人公に肩入れしすぎてしまったのでしょう。
3巻までは盗人の話でしたが、4巻からは王の話になるようです。『盗神伝』というタイトルは原題に関係なく1〜3巻が出た時点でつけられたものなので、これからは内容とあわなくなるかも知れません。
でも、続きが出たらまず間違いなく読みます。それはそれで魅力的なのです。

2006年 9月9日

脇目もふらずに推敲をしているうちに、9月も上旬が過ぎ去ろうとしていました(平日はふつうに出勤していますが)。
全体で八百数十枚。やってもやっても訂正するところが出て来ます。削るべき文章が見て取れるというのは快感ではありますが、あんまり果てしなく多いと、そもそもの自分の技量を疑いたくもなります。

この作業を年内いっぱいくらい繰り返すのだろうと思います。気がついたら、用紙のストックがなくなっていました。来週あたりは買いに行かないと……。
逆にインクは買いすぎました。これを使い切る前にプリンタが壊れたらどうしよう。この型番のインクを使うプリンタは、もう売られていないみたいです。

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