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書庫の中のノート

工 房 日 誌 2007年2月

2007年 2月25日

朽木祥『たそかれ』を読み始めました。
少し前にインターネット上で誰かがこのタイトルを書いているのを見かけて、「ああ、『かはたれ』のことを間違えているんだな」と思ったのですが、第2作として『たそかれ』が出ているのを、実物を見て初めて知りました。間違えていたのは私の方でした。

2007年 2月20日

目下、ダイエット中です。……いや、私ではなくて、原稿が。
この一か月で30枚、やせました。短編だったらなくなってしまうくらい。それでもまだまだです。ダイエットと同時に美容整形もやっています。見直すたびに、見苦しいところが見つかってしまうのです。いつになったら納得できるようになるのでしょう。

2007年 2月13日

連休中に澤見彰の『氷原の守り人』(理論社)を読みました。上橋菜穂子の「守り人」シリーズではありません。こちらは「まもりびと」と読むようです。作者名は「あきら」ではなく「あき」で、インターネットでインタビューの写真を見たところでは女性のようです。

ゴールドラッシュの時代のアラスカを舞台にして、純朴な青年に先住民の老人や強欲な金鉱王や金髪美人などを配し、冒険小説として面白く読めました。ただ、書きぶりが非常に古めかしく、人間像も人物配置も同様で、作者が1978年生まれというのを見なければ、60年代(或いは50年代)の作品の復刊かと思うところでした。古い時代の雰囲気を出すためにわざとやっているのでしょうか。
テンポよく楽しめるし、当時の作品ならばありがちな無意識の差別意識はうかがえないので、やはり、現代の人の作品だと思うのですが。
才能のある若い人が、現代の児童文学を全然読まないままに、自分が子ども時代に読んだ親の蔵書をもとに児童文学のイメージを描いて書いた佳作、といった感じがします。
この人の他の作品を読んでみたくなりました。そうすれば、この古めかしさがこの人の個性なのか、それともわざと仕組んだことなのか分かるでしょう。

2007年 2月11日

メアリ・ホフマンの『ストラヴァガンザ』最終巻を読み終えました。第2巻で腑に落ちなかったところが都合よくまとめられるのかと思ったら、そういう安易な結末ではありませんでした。詳しいことを言うと、これから読む人の妨げになるので、控えておきますが……。
見るからに分厚い本ですが、読むのが苦になりません。私の場合、ルネッサンス時代のイタリア史を調べたことがあったから、その面でも楽しめました。

2007年 2月10日

先週の金曜日に録画しておいた『千と千尋の神隠し』をようやく見ることができました。今は頭と心がお腹いっぱいの状態です。ネタとしては『もののけ姫』の方に興味があったのですが、作品としてはこっちのほうが面白いかも知れない、と思いました。起伏に富んだストーリーはないのだけれども、面白くて目が離せないのはなぜでしょう。読み物で言えば文章の力にあたるもの。絵の構成やアングルの力ではないかな、と思ってます。脇役のさりげない動きとか、画面の隅の描き込み方とか。それから、あからさまでなくこめられたメッセージにもあるでしょう。いかにも「大作だぞ」「意欲作だぞ」といった顔をした話は、作者の意気込み以外は何も評価できないような作品になってしまいかねません。
私は文章を書く力に乏しいので(註=人類の標準と比べてではなく、書き手として…)、結果的に、大上段に振りかざした大きな話に取り組むことが多いです。それでもことばの力を豊かにしたいと、優れた作品に出会うたびに思います。

2007年 2月4日

東京から帰ってきてからさっそく「本が好きだもん」を作ったり、図書館で期限の迫った本を読んだりしていたら、すっかり執筆モードが吹っ飛んでしまいました。これではいけないと気を引き締め直して、原稿に手を入れているところです。
学生の頃だったら、たぶんこれで完成としていたのだろうと思います。自分に対する要求が低いから。でも、今は未完成の作品だと認識しています。

『天と地の守り人』第2部を入手したのですが、今はまだお預けにしています。『ストラヴァガンザ』の第3巻『花の都』を図書館で借りていて読む途中だし、限られた時間の中で、読書以外にもやりたいことがあるので。

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