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書庫の中のノート

工 房 日 誌 2008年3〜5月

2008年 5月24日

猛烈に本を読み始めました。県立図書館でも市立図書館でも本を借りまくってます。5月現在で去年1年間の読書量を超えました。去年が少なすぎたんだけど。
でも、まだ作品は書いていません。これも異常事態。高校3年生のときは意識して受験のために1年間の「断筆」というのをやったけれども、そのかわり夏ころから短い詩みたいなものを書いて、創作欲をなだめていました。
今は心が枯れて、書かなくても平気でいられます。たけど、やっぱり書きたいし、書くことが一番大切だと思う私でいつづけたい。いい作品をたくさん読んだら、よ〜し私も……って気分にならないかな。去年、手を入れていた原稿をひさしぶりに取り出して、また推敲してみようかと思います。

2008年 5月15日

ちょっと間が空きすぎましたが、一応、無事に暮らしております。
昨年来、ほとんど本が読めない日々でしたが、今月になって、ひさしぶりに月10冊を突破しました。まだ月の半ばなので、もう少しは読むでしょう。冊数なんか関係ない、とは言いながら、やっぱり元気があればこそ読めるのだし、読めばこそ元気になれる私です。

今読みかけているのは、本多明『幸子の庭』です。数ページ読んだところで、これは絶対に好きになれる作品だと確信しました。今は第一章が終わったところですが、これまでのところ、その期待は裏切られていません。
私が好きな分野は一応、ファンタジーや歴史物なのですが、この本はそのどちらでもありません。とてもリアルな日常の話です。でも、この作品のどこが好きかというと、丹念に描かれた庭師の職人技であり、その技を見つめる幸子の心の有り様であり、それらの描写の積み重ねは、私が好むタイプのファンタジーと通じるところがあると思います。

2008年 4月9日

あっというまに新年度になって1週間が過ぎましたが、まだまだ新しい仕事に慣れないでいます。でも、もともとやりたかった内容の仕事だから、去年の今頃にくらべて、ずっとずっと幸せです。

『ヴォイス』は昨日の夜、読み終えました。ル=グウィンやE.L.カニグズバーグ のように、年齢を重ねてもいつまでもみずみずしい作品を書き続ける人がいるのを思うと、大いに慰められます。無為に40代の下り坂まで来てしまっても、まだまだ自分の人生は捨てたものではなく、新しい何かを生み出せるかも知れないと、淡いながらに期待を抱いていられますから。

2008年 3月30日

先週の日曜日、図書館で借りてきてからそのままにしていたル=グウィンの『ヴォイス』をようやく今日になって読み始めました。物語の入り口は、昨今の軽いファンタジー作品にくらべて入りやすいとは言えないけれど、最初の数行を読み進めていくと、もう読み進めずにはいられない世界が待っています。3分の1は読みました。

4月から勤務先の配属部署が変わるので、これからのスケジュールはまだ分かりません。でも、今は前向きな気分です。

2008年 3月15日

先週の土曜日に、図書館に寄ったとき、次から次への興味をそそられる本が見つかって、まるで以前の私のように、一度にどっさり借りてきました。ほんとうはあと2冊、『アリーの物語』の第3巻と第4巻を借りて帰ろうと思ったけれども、期限までに読み切れそうにないので6冊にとどめました。
さて、1週間経って、その間に読み上げた本は2冊です。でも、あとの4冊は読む気をなくしてしまいました。心から読みたくて読みたくてたまらない本でないと、どうしても読み進められません。だから、結局、家にある蔵書の読み返しをしています。そのうち、図書館に読んだ本も読まなかった本もまとめて返すことになるでしょう。
図書館で借りて読んだ本の1冊は、『凜九郎』シリーズの第2巻です。第1巻の方が凜九郎の個性をくっきりと感じたのだけれども、主人公がちょっと普通になってしまったみたいな気がします。だけど、第3巻が出たら間違いなく読みます。

2008年 3月9日

今朝、新聞を開いてみると声優の広川太一郎さんが亡くなったという記事が出ていました。声だけ知っていて、お年は知らなかったのですが、まだ60代ということなので、平均年齢から考えても早すぎます。
新聞記事では映画の吹き替えの仕事のことが取り上げられていて、ネットで見ても、アニメの吹き替えの仕事として出てくるのは宇宙戦艦ヤマトの古代守などでしたが、私にとっては何よりも先ず、「ラ・セーヌの星」のロベールでした。フランス革命の頃のパリを舞台にしたアニメで、私が中学生のころ放送されていたものです。そのころから歴史物が大好きだったので、毎回夢中で見ていました。

「アルジェンタ年代記外伝」の主人公がロベルトになったのは、「ラ・セーヌの星」のロベールがいたからかもしれません(フランス人の場合ロベールにあたる名前が、イタリア人ならロベルト、英米人ならロバートになります)。
「アルジェンタ年代記外伝」を書き始めたのは19歳のときで、「ラ・セーヌの星」を見ていたのは14、5歳ころ(再放送が高校生のときありました)です。中学生と大学生では中身はずいぶん違いますが、年数にすればほんの数年のことです。好きだったアニメの好きだったキャラクターの名前を使いたくなった、ということだったと思います。ふんわりと浮かんできた名前なので、とくに根拠がある訳ではないのですが。

一つ年上の新井素子さんが、『星へ行く船』のあとがきで、登場人物の太一郎さんの名前は古川太一郎さんからつけたもので、声優をあてるなら古川太一郎さんだと書いていらっしゃったように記憶しています。新井さんがそこで挙げていたのは、私が知らない別の作品での古川さんの仕事のことだったのですが、私たちの世代はいろいろなところで、この方の声を聴いて育ってきたということなのでしょう。

2008年 3月1日

月曜日から木曜日まで、夜11時に始まるドラマ「一瞬に風になれ」を録画しておいたのですが、今日やっと見ることができました。一気に4話続けて見てしまいました。
原作を知っているものだから、第1話は「あれ? 原作と違う」「あれ? ずいぶん簡単に夏休みがすんだ」「あれ? あのエピソードはどうなったの」と、いちいち不満が募っていたのですが、それでもそれなりに面白く、続けて第2話も見ました。この回の終わりのあたりからぐんと面白くなり、最後の方では、この場面を映像で表すとこんな感じになるんだなあ、と感激しました。(第2話の終わりの方というのは、本で言えば第2巻の終わりの方で、新二が仲間の応援にかけつけ、夢中で声援を送るところです)。そのあたりから止まらなくなり、ついでに第3話、第4話も続けて見ました。

第2話までは、原作を大幅に端折りながら辿っていて、中身がすかすかの『一瞬の風になれ』だという感じがしていたのですが、第3話からはテレビドラマとして脚色し直された作品になったと感じました。原作が表現したものを、全然別のメディアとして作り直しています。いかにもテレビドラマ風の運びだな、と思いはしたものの、第1話よりはきっちりと中身が詰まっていて、面白く見られました。

もうちょっと前半をきっちり表現して、せめて1クール、10回以上の連続ドラマにして欲しかった。それだったら、試合のたびに緊張しすぎてしまう新二のメンタルも、天才のくせに心身ともに虚弱すぎる連のことも、仲間としてじっくりつきあうことで(一目惚れなんかではなく)だんだん良さが分かっていく谷口若菜のことも、他校のライバル選手たちのことも、きちんと描けたのに。

今回の『一瞬の風になれ』からも、だいぶ前に聴いたラジオドラマ『しゃべれどもしゃべれども』からも、佐藤多佳子の作品はドラマ化に向かないな、と良い意味で感じました。映像や台詞では表現しきれないものを、文章で表現できる人だから。
映像がそのままストーリーを追いかけたのでは、原作を超えられないし、原作に追いつけない。映像が原作を追いかけることをやめて、テレビドラマとして表現し直せば、映像の面白さが出てくる。それは原作とは違うけれども、違ってもいいと思います。

原作の愛読者としては、いろいろ突っ込みたくなるところがあったけれども、そうはいっても、見て、とてもいい気持ちになれました。今、『一瞬の風になれ』をもう一度読みたくなっています。読み通したら、間違いなく元気になれると思います。

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