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書庫の中のノート

工 房 日 誌 2008年6〜8月

2008年 8月5日

工房日誌の過去の記事が、「書庫」にだいぶ溜まってきたので、そろそろブログというのも視野に入れた方がいいかな、と考え始めました。こういう形で日記をつづっていくのも悪くはないけれど、毛色の違う記事をカテゴリーごとに整理できた方がいいし、ページの下の方に、過去の日誌へのリンクが幅をとりすぎているのも見苦しいし。

さっそく加入しているプロバイダ(ぷらら)のブログについて規約を調べてみましたら、著作権は本人にあるけれども、プロバイダが好きなように編集したり、掲載したり、出版したりすることができるものとし、ユーザーはプロバイダに対して著作権を主張してはならない、という意味のことが書いてありました。ひどいショックでした。
まさか日記のようなとりとめのない文章が著作物として出版される可能性があるとは思いませんが、そういう取り決めを認めて契約するということが、自分自身の信条として納得できません。とくに、自分の文章を勝手に「編集」されるというのがたまりません。それだけは絶対に許せません。
このサイトを開設する前にも、このプロバイダではアップロードしたコンテンツの著作権はプロバイダに属する、という規約を掲げていて、私はそのころ本気で引っ越し先を探しました。幸い、開設の準備を進めていた間に規約は改められたので、プロバイダを換えることなく現在に至っているのですが。
(ほかのサービス内容については気に入っているので、できるならプロバイダを変わらないで済ませたいと思っています)
もしも、ブログについての規約が変わらないのなら、ぷららで開設という訳にはいきません。多少なりとも著作権と関わる立場にある人間として、考えられません。

この際、手当たり次第に各社の規約を比べてみたら、意外にもこの手の規約を掲げているところが多く、無料で開設できるというのは、こういう譲歩をさせられることなのだなあと改めて認識させられました。もっとも、ぷららの場合は、実質無料になるとはいえ、一応、有料サービスの形態を取っているのですけどね。

もしも、ほんとうにブログを開設するとしたらココログだろうな、というのが比較検討の結果の結論です。本家のサイト「物語工房」とはリンクで繋ぐだけですから、引っ越しはしませんが。
それとも規約が改正されるのをぎりぎりまで待つことにしましょうか。

2008年 7月30日

USBで繋いでいたマウスが壊れてしまいました。たぶん、コードのどこかで接触が悪くなったのだろうと思います。カーソルが動いたり、動かなかったり、ほとんど秒単位で変わっていきました。肝心なときにはちっとも動いてくれないのでストレスが溜まるばかり。
こんな状態では役に立たないので、マウスをパソコンから取り外し、ペンタブレットとショートカットキーでしのいでいます。絵や文字を書くときには断然ペンタブレットの方が使い易いけれど、クリックするだけならマウスの方が楽です。ちょっとパソコンの利用が面倒になりました。

2008年 7月29日

7月に入ってから、1日1冊を目安に絵本を読み始めました。初めのうちはおもしろさを実感できず、やっぱり私には苦手分野だなあという感じだったのですが、そのうち繰り返して読むくらい気に入った絵本も見つかり、案外楽しんでいます。勉強のためだったのが、娯楽になってきました。

2008年 7月22日

先月の終わりに、『バッテリー』と『一瞬の風になれ』にからんで、「原作と映像化について語ってみたい」と書いたきり、全然語っていませんでした。あふれる思いを語るための気力と体力が足りないまま、だんだん熱が冷めてきてしまったのですが、せっかくなので簡単にまとめてみます。
ストーリーの核心に触れるようなことは書かないつもりですが、これから本を読む予定で、ちょっとした暗示もイヤだという方は、ここから下は読み飛ばしてください。
なお、以下の文中でタイトルを「」で括った場合はドラマのこと、『』で括った場合は原作のことです。

(その1)
「映像は女の子が出てこないと絵にならないらしい。」
『一瞬の風になれ』の谷口若菜は確かに重要人物でしたが、ドラマの扱いは原作よりもはるかに重くヒロイン扱いで、そのぶん副主役のはずの連が霞んでいました。根岸の方がよほど存在感がありました。
『バッテリー』の矢島繭は第2巻にしか出てこないのに、ドラマでは重要な役割を与えられ、終わりの方でちょっとだけ出てくる伊藤春菜も、原作と全く違う性格になって、華々しく登場していました。原作の彼女たちは似た傾向の性格(静かだけど芯は強い)だったので、同じタイプを二人出すわけにはいかなかったのでしょうね、テレビ的に。

(その2)
「映像は扱いきれない登場人物は切り捨ててしまうしかないらしい。」
『バッテリー』の吉貞くんがいつ登場するかと思ったら、とうとう出てきませんでした。(命名の根拠不明の犬「ノブサマ」が第1回から登場していただけ。)あの騒々しい人間を画面に出したら、確かにかなり混乱して、全10回ではまとまらないかもしれませんが。(瑞垣との掛け合いは見てみたかった。)
映画「バッテリー」は見ていませんが、こちらでも吉貞は登場しなかったらしいので、この人物はそういう素材なのでしょう。
「一瞬の風になれ」では、他校のライバル選手がほとんど登場せず、ほとんど切り捨てられていました。これは時間の制約でしょうか。描ききれないのは当然わかるけれども、すべての選手が輝いていたのが原作の魅力だったのに、残念。

(その3)
「映像は人が他人とのふれあいの中で変わっていくということを、かなり手軽に描いてしまうものらしい。」
「バッテリー」の巧の「成長」は、いささかふつうに優良すぎて、原作の巧にくらべ、凡人になってしまったような感じがしました。
「一瞬の風になれ」の鍵山がチームに馴染む過程は、原作にない陳腐なエピソードを一つ提供することであっというまにかたづけていましたが、これはドラマというもののやむを得ない側面なのでしょうか。これは原作のほうが圧倒的に良かったと思います。でも、全4回のドラマとして見るなら、まあ、あんなものかもしれません。

(その4)
「映像は見栄えのする絵を撮ろうとする。文学は文章でしか表現できないものを描こうとする」
ドラマ「一瞬の風になれ」全体の中で一番好きだった場面は、新二が駅伝の応援に駆けつけたところで、鳥沢圭子が声援を送る新二に気づいてぱっと顔を輝かせ、そのまま新二の前を通り過ぎたあと、片手の拳を天に突き上げて応え、走り抜けていくところ(第2回)です。原作ではどうだったっけ、と思って確認したら、そういうポーズは書いてありませんでした。確かに文章で書いたらそんなにおもしろいこともないでしょうが、絵としてはかなり惹かれました。
他の場面では、4人の先輩が荷物を空高く放り投げて後輩の手助けに行く(第3回)とか、いかにも「ああ、かっこよく創ろうとしてるんだな」という意図だけが見え透いた感じで、原作と張り合える映像にはなっていないと思ったのですが。
『一瞬の風になれ』の魅力は、一人称の文章で全ての登場人物をぞんぶんに描写していることで、少年のつぶやきのような文体で、それを描ききってしまう作者の腕前の賜物です。

原作には映像に換えられない良さがあって、それでも映像になればつい見てしまう、というのが愛読者かも……。
ひとまず、こんなところで終了します。

2008年 7月16日

昨日は人間ドックでした。めでたく異常なしの結果で、それを素直に喜べることが嬉しいです。去年のこの時期は、どこか一つくらい異常が見つかったら休めるのに……、なんて罰当たりなことを考えていましたから。でも、検査というのは何にしろ疲れます。終日ぐったりでした。

病院での待合いの時間もあって、読みかけていた数冊を、この2日できれいに読み上げました。
有川浩『図書館戦争』は、「図書館」と「戦争」という単語が結びついているのに意表を突かれて手にしたのもですが、設定は荒唐無稽ながら、要所要所が的を射て、思わず熱中して読んでしまいました。続刊を図書館で予約しています。

2008年 7月13日

先週の話ですが、菅野雪虫『天山の巫女ソニン』の第3巻を読みました。1巻ごとにおもしろさが増していくようです。これはシリーズ化されて正解だったと思います。世の中には「やめてくれ、せっかく初めの巻が良かったのに、味が薄まる」と言いたくなるようなシリーズもありますが、『ソニン』の場合は続きを大いに期待しています。
数か国が登場する架空の世界で、際だった魔法のようなものは存在せず(呪術、夢見などはあるけれど、人間が習得していく技術の一つという感じ)、人間同士の絡み合いが物語を紡いでいくという点で、上橋菜穂子『守り人』シリーズを連想しました。
『守り人』が重厚に世界を描いているのに対して、『ソニン』は軽妙に世間を描いているのだと感じます。

2008年 7月4日

6月はまずまず本を読むことが出来ました。
これまでに感想を挙げている本の他にも、ビヴァリー・ナイドゥーの『ヨハネスブルクへの旅』(さ・え・ら書房)をおもしろく読みました。南アフリカで行われていたアパルトヘイトの実態を児童向けの読み物にしたものです。
手に取ったときには、きっと良書ではあるのだろう、でも、子どもにとっておもしろい本だろうか……という、ありがちな疑問を抱いていました。でも、少なくとも私は、軽々と楽しんで読むことが出来ました。制度への疑問や憤りが、子どもたちの冒険の要素を交えて、自然に語られているからでしょう。

2008年 7月2日

短編集『流れ行く者』を読みました。言うなれば、「守り人」シリーズの‘前日談’です。
後日談の場合は、作者の思いと読者(私)の思いがすれ違ってがっかりすることもあるのですが、前日談なら、本編が好きであればあるほど、心地よく読めます。
あとはヒュウゴの若いころを描いたという『炎路の旅人』が出るのを待ち望んでいるのですが……。

2008年 6月29日

今月は、『一瞬の風になれ』全3巻を再読したのが、読書の上での最大のイベントだったように思います。
2月に放送されたドラマを見たものだから、読みながらどうしても俳優たちの顔が思い浮かんでしまって、困りました。登場したキャラクターはその俳優の声でしゃべり、動き、ドラマで省略されていたキャラクターは初めに読んだときのように、イメージだけの存在で。
ふだん本を読んでいるとき、私は視覚的ではないイメージで登場人物を思い浮かべているようです。ルックスが悪くても印象の良い人物は好ましい雰囲気を漂わせています。それだから、本文中に何度も「顔がまずい」と書いてあったのに、決してまずい顔ではない根岸くんをずっと思い浮かべていました。

NHKのドラマになった「バッテリー」も、なんだかんだ思いながら、結局全部見ました。録画までして。
こちらのほうは、読み返しても俳優の顔が浮かぶと言うことはなさそうです。映像は映像、本は本、という感覚です。原作を何度も読んでいたためか。ドラマの創り方のせいか?

これを機に、原作と映像化ということについて、山ほど語ってみたくなりましたが、それには非常にエネルギーが必要なので、そのうち細切れに書いていくことにします。

2008年 6月26日

図書館で予約していた上橋菜穂子作『流れ行く者』の順番がめぐってきました。
5月の上旬に予約して1か月半以上待ちましたが、予約待ちの人数の割には早かったと思います。先に借りた皆さんが、さっさと読み終えて滞りなく返却してくださったようです。私のあとにもかなりの人数が待っているので、速やかに読んで、次に回さなくてはなりません。

2008年 6月22日

近ごろは、土日が出勤日であったりするので、曜日の感覚が失われています。(その代わりに平日が休みになりますが。)
今日も一日職場で過ごしました。

先日、知人に頼まれて、小学生向けのお薦めの本のリストをつくってみたのですが、私は低学年対象の本の知識がまるっきり身についてないのに気づきました。思いつくのは高学年向けの本ばかり。絵本となると、てんで分かりません。
もうちょっと広く読んで勉強したいと思い始めています。

2008年 6月15日

当日は日誌に書きませんでしたが、「本棚に住む友人たち(読書ノート)」の「近ごろ気になる本」のコーナーを更新しています。
『一瞬の風になれ』3巻は「親しい仲間たち」のクラスに格上げ、「近ごろ気になる本」に「短期・気になる本」から本多明『幸子の庭』を上げ、新たに「短期・気になる本」として、ジャネット・テーラー・ライルの『花になった子どもたち』(福音館書店)と久保田香里『氷石』(くもん出版)を挙げました。

『花になった子どもたち』は、このタイトルを見ただけだったら、まず私は手に取らなかった(面白くなさそうだと思った)のですが、書評を見てついでに読んでみたら、思いの外ユニークな作品でした。子どもも大人も、それぞれに人間としての個性を感じます。それは、文学としては当然そうあるべきなのだけれども、そうではない作品もたくさんあるし、あまり個性を感じられない題名だったので、中身も平凡で平板かと思ってしまいました。
今年の感想文の課題図書に指定されているようなので、夏の間は子どもたちに明け渡すため、しばらく図書館では借りないことにします。

『氷石』は同じ作者の前作に興味を持ったので、初めから期待して読みました。
前作の『青き竜の伝説』は、それこそ私にとっては「面白くなさそう」なタイトルで、うっかり手に取らずに済ませてしまうところでした。書評を見かけたおかげで、見逃さずにすみました。
今回の感想は、前作の「意外に面白かった」から「とても良かった。こんな作品、自分が書いてみたかった。次作も是非読みたい」に大躍進しました。

2008年 6月14日

岩手・宮城の地震、気になっています。被災地ではないけれども、東北方面にも身内がいるもので。
直接の被害はなく(揺れるのはかなり揺れたらしい)、無事なのも確認していますが、心情的に「遠くのできごと」って気分ではいられません。

2008年 6月7日

掲載途中で放り出していた「ど素人のアドエス導入記」をようやく終了させました。
更新を滞らせていたにもかかわらず、今このサイトで一番読まれているのは、どうやら「アドエス導入記」みたいで、少々複雑な気分です。児童文学に比べて、それだけ興味を持つ人の絶対数が多いと言うことなのでしょう。

これまでとは全く毛色の違ったサイトにリンクがはられたこともあって、まんざら嬉しくない訳ではありません。でも、そのサイト自体は健全なのですが、そこから孫引きしたような別人のサイトにいかがわしいところがあって、少々傷つきました。そんなところに自分の名前や文章を晒されたくないです。でも、インターネットとという世界で何かを発信するというのは、そういうこともあるということで、いちいち目くじらを立ててもいられません。
児童文学の世界というのが、ある意味マイナーであり、狭くて穏健で安全な世界だったから、これまであまり危険性を意識せずに済んだのだと思います。

〔追記〕 直接リンクされた方のサイトについては何ら不愉快なことはなく、紹介いただいたことを有り難く思っています。

2008年 6月5日

5月に読んだ本の中で、一番のお薦めは『幸子の庭』でした。これはずっと手元に置いておきたくなるような作品です。図書館で借りて読んだけれども、買ってもいいかな、と思い始めています。
ちょっと楽しかったのは、たかどのほうこ作『お皿のボタン』。

ところで、『天山の巫女ソニン』の第3作が出たようで、これも楽しみにしています。現在、図書館で予約の順番待ち。

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