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MH-60S Knighthawk

SH-60 Sea Hawk
SH-60シー・ホーク対潜ヘリコプター

SPECIFICATION
 ◆回転翼直径:16.36m
 ◆全長:19.76m
 ◆胴体全長:15.26m
 ◆全高:5.18m
 ◆自重:6,190kg
 ◆全備重量:10,660kg
 ◆最高速度:330km/h

 UTTASの競争に勝利した シコルスキー は、米海軍 のLAMPS(軽量空中多用途システム)III計画に対応してUH-60Aの海軍型SH-60Bを提案、1977年に選定された。LAMPS IIIで要求されていたのは、SH-2の後継機となり、水平線外にまで亘る敵艦隊の捜索・攻撃能力を持つヘリコプターであった。
 1979年に試験機YSH-60Bが初飛行、83年から生産型のSH-60Bの配備が始まった。SH-60BはMAD(磁気探知装置)や電子戦機器、ソノブイ・センサーなどを搭載し、探知した敵水上艦艇や潜水艦に対して対艦ミサイルや魚雷で攻撃する能力を有している。本機は数多くの国に輸出されており、オーストラリア海軍 ではS-70B-2の名称で、わが国の 海上自衛隊 では対潜哨戒ヘリSH-60Jとして運用されている。
 また、1991年からはSH-3Hの後継として、派生型のSH-60Fが米海軍への就役を開始している。オーシャン・ホークと呼ばれていたF型はB型とは違い、フリゲート艦などの狭いデッキからの運用は狙っておらず、空母搭載ヘリとして敵潜水艦の脅威から空母戦闘群を守ることを主任務としている。SH-60BおよびSH-60Fは現在MH-60R(SH-60Rより改称)への機種変更が進められており、グラス・コックピットを採用するなど種々様々な能力の向上が図られている。
 さらに、海軍型H-60にはHH-60Hという派生型が存在する。HH-60Hの主任務は戦闘捜索救難および特殊作戦で、具体的には SEAL 隊員の潜入、回収を行なう機体である。本機は対潜装備の代わりにAN/ALE-47チャフ/フレア・ディスペンサーなどを搭載し、兵装も7.62mm機関銃およびAGM-114空対地ミサイルに換装されている。なお、現在HH-60Hは、UH-60Lの積載能力とSH-60Bの艦載能力を併せ持ったMH-60Sナイト・ホークへの移行が進められている。
 余談だが、米海兵隊 が装備するVH-60NはVIP専用の輸送ヘリで、大統領搭乗の際は「マリーン・ワン」のコールサインが使用される。


HH-60G Pave Hawk

HH-60 Pave Hawk
HH-60ペイヴ・ホーク救難ヘリコプター

SPECIFICATION
 ◆回転翼直径:16.36m
 ◆全長:19.76m
 ◆胴体全長:17.83m
 ◆全高:5.13m
 ◆自重:4,820kg
 ◆全備重量:10,210kg
 ◆最高速度:295km/h

 シコルスキー H-60系ヘリコプターは、米空軍 では特殊作戦機として採用された。
 当初は徹底した夜間作戦能力を与えられたHH-60DおよびHH-60Eを装備する予定であったが、予算制約の点でこの計画は断念された。結果、米空軍は1987年に陸軍向けのUH-60Aに空中受油プローブと補助燃料タンクを装備、航続距離が延長されたUH-60Aクレディブル・ホークを配備、その後、同機および新造のUH-60AのMH-60Gへの改修を開始した。
 MH-60Gには航続距離延長の処置のほかに、GPS、INS(慣性航法装置)、ドップラー・レーダーおよび保全衛星通信機器などが備えられているほか、前方監視赤外線装置や暗視システム、カラー・レーダーなどを搭載し、エンジンおよびローター・ブレードには不凍処理が施されているなど、後述するMH-53Jほどではないものの、全天候下における任務遂行能力を保持している。
 1991年以降、98機中80機以上のMH-60Gには新たにHH-60Gという型式名が与えられている。つまり、現在もMH-60Gと呼ばれている機体は特殊作戦機であり、新たにHH-60Gと呼ばれるようになった機体は戦闘捜索救難機であると、明確に区別されるようになったのである。両機の装備に大きな違いはないが、HH-60GにはMH-60Gが搭載している12.7mm機関銃が備えられていないことが多い。また、MH-60Gは徹底した赤外線防御対策が施されており、ほぼリアルタイムで地平線外の戦術情報を受信することができる新式装備を備えている。


MH-53E Sea Dragon

MH-53E Sea Dragon
MH-53Eシー・ドラゴン掃海ヘリコプター

SPECIFICATION
 ◆回転翼直径:21.70m
 ◆全長:30.18m
 ◆胴体全長:22.34m
 ◆全高:8.63m
 ◆自重:16,480kg
 ◆全備重量:33,340kg
 ◆最高速度:275km/h

 シコルスキー H-53系ヘリコプターは、もともと米海兵隊の要求に対応して開発された強襲作戦用大型ヘリである。同機を 米海軍 では輸送ヘリおよび機雷掃海ヘリとして採用した。
 1960年代、ヘリコプターによって海面に浮かべた掃海具を曳航させて、機雷を安全に爆発させる実験に成功したことに伴い、70年代に入って米海軍は海兵隊から取得した15機のCH-53Aシースタリオン輸送ヘリを改造、RH-53Aと改称して配備を開始した。その後、シコルスキーが掃海専用型RH-53Dを開発・生産したため、米海軍は同機を30機購入、RH-53Aは海兵隊に返還された。
 1980年、CH-53Dのエンジンを3発化したCH-53Eと、RH-53Dの掃海用装置を生かした、MH-53Eの開発が始まり、同機は翌年に初飛行した。MH-53EはCH-53E譲りの強大な推力と膨大な燃料搭載量を誇り、長時間に渡る機雷捜索を行なうことができる。また、RH-53Dと同様、機械式、音響式、磁気式の各種機雷に対応、すべてのタイプの機雷を処理することが可能である。このように、本機の主要任務は機雷の除去・中和・捜索、浮遊機雷の駆除、可航水路の確保、墜落した航空機や航行不能の艦船の曳航などといった空中対機雷任務(AMCM)に集約されるが、先にも述べたように、副次的な任務として貨物や人物の輸送任務にも使用されている。
 MH-53Eは1988年に米海軍に採用され、湾岸戦争ではイラク軍の敷設した機雷の除去に活躍した。89年にはわが国の 海上自衛隊 にも導入され、翌年に部隊配備が開始されており、現在10機のMH-53Eが掃海および輸送任務に当たっている。


MH-53M Pave Low IV

MH-53J/M Pave Low
MH-53J/Mペイヴ・ロウ特殊戦ヘリコプター

SPECIFICATION
 ◆回転翼直径:22.02m
 ◆全長:26.90m
 ◆胴体全長:20.47m
 ◆全高:7.60m
 ◆自重:13,700kg
 ◆全備重量:22,680kg
 ◆最高速度:265km/h

 シコルスキー H-53系ヘリコプターは 米空軍 では戦闘捜索救難ヘリとして採用されている。
 1966年、シコルスキーは米空軍の要求に応え、CH-53Aに空中受油プローブなどを取り付けて救難ヘリに派生させたHH-53Bの開発に着手、翌年にはそれまで運用していた米海兵隊のCH-53Aに代わり、7機のHH-53Bが米空軍に就役した。その後、改良型であるHH-53C 40機が配備され、20機の輸送型CH-53Cと合わせてベトナム戦線で活躍した。
 HH-53は“スーパー・ジョリー”という愛称で呼ばれていたが、全天候下での作戦遂行能力を実現する電子機器装置「ペイヴ・ロウ」を搭載したHH-53B/CおよびCH-53Cの改造型HH-53H(後にMH-53Hと改称)には“ペイヴ・ロウIII”という愛称が与えられている。
 1986年にはHH-53Hおよび旧型の残存機にさらなる改良が施され、型式名をMH-53Jとしたエンハンスド(強化型)ペイヴ・ロウIIIが就役を開始している。MH-53Jは赤外線前方監視装置、GPS、INS(慣性航法装置)、チャフ/フレア射出装置などを搭載、装甲板がより強固になっているほか、エンジンが強化され最大離陸重量が増加している。
 さらに近年、ペイヴ・ロウIVを搭載したMH-53Mが配備を開始している。MH-53MにはIDAS/MATT(相互防御アビオニクス・システム/多重任務先進戦術端末)が搭載されており、従来に比べて格段に防衛能力が向上している。


CH-53E Super Stallion

CH-53E Super Stallion
CH-53Eスーパー・スタリオン輸送ヘリコプター

SPECIFICATION
 ◆回転翼直径:24.07m
 ◆全長:26.40m
 ◆胴体全長:20.47m
 ◆全高:8.10m
 ◆自重:15,070kg
 ◆全備重量:33,369kg
 ◆最高速度:275km/h

 1962年、米海兵隊 の重輸送・襲撃ヘリコプターとして シコルスキー S-65が採用された。S-65はCH-53Aシー・スタリオンという軍用型名が与えられ、西側最大のヘリコプターとして65年に配備を開始、141機が生産された。
 続いて1969年には、エンジンを換装するなどの改良が加えられた126機のCH-53Dの生産が開始されている。CH-53DはCH-53Gとして、ドイツ陸軍 にも装備されているほか、イスラエル空軍 でもCH-53Dと同等のS-65C-3が活躍している。
 1970年代に入り、米海兵隊はさらなる搭載能力を持つヘリコプターを求め、シコルスキーはCH-53のエンジンを3発化し、メインローターを6枚から7枚に増やしたCH-53Eスーパー・スタリオンを開発した。CH-53Eにはこのほかにも胴体の延長や垂直尾翼の拡大、受油プローブの装着などの改良が見られ、最大搭載量はD型に比べほぼ倍増、海兵隊の装備するほとんどのアイテムを空輸することが可能である。
 原型のYCH-53Eは1974年に初飛行、入念な試験飛行が繰り返された後、80年に米海兵隊への納入を開始、翌年に実戦配備された。現在海兵隊は160機のCH-53Eを保有しており、ティルト・ローター輸送機のV-22の配備が開始された後も、海外展開作戦において欠かすことのできない重輸送ヘリとして、その地位を確保し続けるであろう。

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