3.

 さて、 初日は簡易舗装の山道をバスで揺られること三時間半。何しろ橋はあってもトンネルのない国である。くねくねした山道を行くので時間がかかる。 スタート地点に着くと早速ラフトに空気を注入。フリップ (筏が転覆すること) しても大丈夫なように、天幕、寝袋、炊飯用具、食料品を詰めた防水樽をロープで頑丈に筏に括りつけると、さあ出発ということになる。
 ガイドの指示に従って、右に、左に岩を避けながら川を下るのであるが雨期が去ったばかりで水量も多く、どろどろと濁った本流が垂直に行く手を遮る絶壁に激突し飛沫をあげている様は見るからに不気味。やがて落差四〜五もある滝のような落ち込みに突入。
 水のパワーに負けまいと全員が勇ましいかけ声とともに猛然とダッシュする。両足をしっかり確保しているつもりでも、ラフトの急降下で身体が浮き上がり、次の瞬間には身体がラフトの外に飛び出してしまう。後部でガイドをサポートし舵取りをしていた私は、おかげで何度もラフトから落ちたものだ。
私Paddler7
スン・コシ(黄金の川)を下って
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( 9) エッセイ