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アバウト・ア・ボーイ

ヒュー・グラント主演 ポール・ウェルツ&クリス・ウェルツ監督作品。
38歳のウィルは定職もなく特定の恋人もなく、だが定期収入があるためそれなりに人生を謳歌している。
たまに妹夫婦と会う事で社会的責任を自分なりに果たすのだが、生まれた子供の名付け親を任され、断ってしまう。
一方、学校の生徒達にからかわれる中学生の少年マーカスはシングルマザーの奇抜な母親フィオナとペットのハムスターとのうだつの上がらない暮らしをしている。
ウィルは妹の同僚であるアンジーと交際を始め、ある時、シングルマザーである事を告白される。最初は不満を持つウィルだったが、付き合いを続け、だがやっぱりネックとなって別れを切り出そうかと考えていると、アンジーが涙ながらに別れを切り出してきたため、ウィルは一応慰めるものの、謝罪されることに快感を覚え、シングルマザーはみんなそうだと、彼女達との交際に興味を持ち始める。
ウィルは出会いを求め、シングルペアレントの会合に偽って出席。男は自分一人だけで、その中からスージーとのデートを取り付ける。
当日、スージーは同じシングルマザー仲間の息子、マーカスを連れて来るのだった。
ウィルは自家用車の車内を子供がいるように偽装。スージー達と歩きながら、自分が無職でも生きていける秘密が、父が作曲した「サンタのステキなソリ」の大ヒットによる印税だと恥ずかしながら告白。案の定、スージーとマーカスは嬉々として唄い出す。
マーカスは母フィオナの手作りパンの固さにウンザリして、池に放り投げ、カモを殺してしまう。管理人に厳しく咎められそうな所を、ウィルの口八丁で上手く助けてもらい、マーカスはウィルに好意を持つ。
そしてマーカスは送られて帰宅すると、フィオナが鬱から自殺を諮って倒れていた。急いで病院へと運ぶ。
その後、ウィルは自分の計画を反省。一方、マーカスは、フィオナが退院し、後の事を考え、母を抑止させるための見張り、もしフィオナが死んだ後の自分の世話役の存在が必要だと、時間に余裕のある人間、ウィルに白羽の矢を立てる。
ウィルを誘って3人で食事をし、ウィルはフィオナの変人っぷりに怖れをなして逃げようと考えるが、マーカスは帰宅するウィルを尾行し、家を突き止め、子供がいないという嘘を見破り、スージーにばらされたくなければと母との交際を迫る。
だが嫌なものは嫌だと断られるも、毎日訪れるマーカスは、ウィルと一緒にテレビを見るという習慣が出来ていた。

結末 ネタバレ注意

ウィルはマーカスにフィオナの事を尋ね、マーカスは不安を告げ、ウィルはそんな少年の悩みに応えられない自分に腹立ち、「クソ!」と叫び、自分に凹むが、マーカスは少し気が楽になる。
ある日、マーカスは上級生たちにキャンディーを投げつけられながらウィルの家に逃げ込む。
ウィルはイケてないマーカスを見かね、60ポンドのスニーカーを買い与える。
大喜びのマーカスだったが、その靴は学校で盗まれてしまい、マーカスは雨の中を濡れた靴下で帰宅し、泣く姿に、さすがにフィオナが事情を迫ると、マーカスはウィルとの関係を告白した。
妹と馴染みのレストランで食事をしていたウィルはフィオナが現れ、怪しい趣味があったのではという疑いで迫るが、とんでもない誤解にウィルは怒りを込めて事情を説明し、ケンカし、ウィルは都合良く、マーカスとの関係に終止符を打とうとするが、なぜかフィオナはウィルの提案に反対し、いじめが本当ならば助けるために関係を続けるべきと続投を許す。
クリスマスにマーカスの家に招待されたウィルは、恋人とその母親を同伴してくるようなマーカスの父と対面し、遅れてきたスージーに、自分の策略がバレて怒られ退散しようとするが、マーカスはウィルを友人として返すなと怒り、ウィルがジョークで納め、仲良く食事し、ウィルはクリスマスを初めて楽しく感じる。
マーカスは学校で不良風の女子の上級生エリーに一目惚れ。その頃、ウィルもパーティーで知り合ったレイチェルに惹かれる。
マーカスはウィルからもらったクリスマスプレゼントのラップ音楽のCD「シェイク・ユア・アス」を口ずさみながら歩いていた事から、エリーに声を掛けられ、共通の趣味だと会話が出来る。
ウィルはシングルマザーのレイチェルに話を合わせるためまた嘘をついてしまったため、マーカスを付き添いにレイチェルの家を訪問。すると、出てきたレイチェルの息子アリスターはマーカスをいじめる同級生だった。
2人きりにさせられた子供達。アリスターは狂気と思えるくらい母レイチェルを依存的に愛しており、マーカスは思わず逃亡。ウィルはマーカスを捕まえ、子供達を和解させる。
マーカスへのいじめは止んだものの、母フィオナの鬱は治らず、マーカスは母を元気づけようと、スクールロック大会への参加を表明するが、ウィルやエリーからは「ダサい」と協力を得られない。
ウィルは今までの自分の人生が虚しい物と感じ、フィオナの悩みを解決しようと会合中のフィオナに突撃。他のメンバー達に睨まれるも、フィオナが自殺しようとしていた事を口にし、2人は場を離れる。
だがウィルはマーカスがスクールロック大会に出場して、母の好きな子供向けの歌を歌おうとしていると知り、止めるためにフィオナを乗せて愛車をぶっ飛ばす。
マーカスは伴奏者として雇った生徒に裏切られ、一人舞台へ。そこにウィルが間に合い、説得して止めるが、マーカスは舞台へと踏み出してしまう。
会に沿わない歌にブーイングが起こる中、ウィルがギターを借りて伴奏しながら登場。一緒に唄い、ウィルが暴走して続きを唄い続け、顰蹙を買い、笑われた。
フィオナはバーガーショップにマーカスを誘うが断られる。
次のクリスマス、ウィルの家ではレイチェルやマーカス、エリー、更にはアルバイトで知り合った人権団体の知り合いまで呼んで、楽しく過ごした。
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管理人の批評

2002年、イギリス・アメリカ・フランス・ドイツの作品です。
4カ国の共同作品というと、壮大な作品という感じがしますが、実際は変な少年とだらけた中年の絆を描いただけなので、不思議です。
この作品では、接点のないウィルとマーカスがどのようにして関わりを持っていくかという起点が緻密に描かれているので私は好きです。大作になったり、監督や俳優が有名になればなるほどその辺が雑になって、観客達も許してしまうので、貴重な作品であると言えます。
ウィルが公園で自分の定期収入の秘密を話して笑われるところからカモを殺してしまうあたり、いかにもイギリスの笑いであると感じます。
日本では真面目さや気遣いなどの点からこういったブラックジョークはあまり好まれませんが、逆に残っているイギリスという国も不思議に感じます。
このまったく無関係な2人の年齢差のある男同士が奇妙な友情で結ばれるというのは、アル・パチーノの「セント・オブ・ウーマン」を思い出しますが、徒然草の「少しの事にも先達はあらま欲しきことなり」のように、やはりいたいけな少年の為に、誰かが教えてあげる事は重要なのではないかと思います。
家族でもなく、自分と境遇が似ている人間でもない人の存在というのは、やはり興味があるのが人間で、また自分の事を知ってもらいたいというのも人間なのでしょう。だからこそ、芸能人というものは人気があるのかもしれません。
ただ悲しいかな、そういう人間にはなかなか出会わないものです。出会いはあっても、そういう関係になれるかというと難しい。「過ぎない」事が大切だと私は思います。悩み過ぎない、考えすぎない、気遣いしすぎない…。映画のように、物語を続けるために、天が2人を分かつまで、怒られても、ケンカしても、絶縁したりせず、会うべきなのだと思いました。
それにしても、もっとおしゃれな邦題を誰か考えつかなかったのでしょうか?