アーノルド・シュワルツェネッガー主演 ロジャー・スポティスウッド監督作品。
人間のクローン製造を禁止する「シックス・デイ」法が成立された近未来。
家族に囲まれ、誕生日の朝を迎えたパイロットの中年男アダム。血液検査を受け、同僚のハンクにドラッカー会長を運ぶ仕事を代わってもらい、ショッピングモールへと出かけた。
そこでアダムは、流行りの、死んだペットをクローン化して甦らせるサービスに対して、気持ちの踏ん切りがつかず、代わりに人形を買って帰る。
だが、帰宅したアダムの前に現れたのは、元気な犬。憤るアダムが窓の外の庭に見たのは、家族とパーティーをする別の自分だった。そして驚くアダムの元に、ビンセントとタリアが現れ、命を狙われたアダムは逃げ、カーチェイスの末、滝壺へと落ちるのだった。
警察へと駆け込んだアダムは、家にいたクローンの事を話すが、信じてもらえない。
一方、ウィアー博士によりタリアとワイリーのクローンが作られ、また命を狙われたアダムはハンクの家へと逃げ延びる。ハンクもまた、いつの間にか気を失い、アダムの誕生パーティーに行けず、気が付くと店にいたという。
2人はアダムの家に行き、アダムは自分のクローンを始末しようとする。だが殺す事にためらっていると、マーシャルとタリアが現れ、アダムはクローンのふりをしてやり過ごす。
ハンクの家へと戻ると、トリップが現れ、ハンクを撃ち殺し、反撃を受けたトリップから、あのハンクはクローンで、アダムとハンクのクローンはドラッカー達によって作られたと聞かされ、本物のハンクは、トリップがドラッカーを暗殺する際に死んだという。
そしてまたマーシャルとタリアが現れ、アダムは2人にケガを負わせ、車を奪って会社へと向かい、ヘリでドラッカーとウィアー博士の会社へ向かった。
20分後に復活したマーシャル達は、アダムの侵入に気付く。その頃、アダムは人質を取って奥へ。そこでウィアー博士から、トリップに殺されたドラッカーの死を隠すため、アダムとハンクのクローンが作られ、また、ドラッカーは3年前からクローンで、法律によってクローンには権利が無いため、アダムが2人存在すると、ドラッカーの事が気付かれてしまうと考え、狙われたという。アダムはウィアー博士から家族に危険が迫っていることを知り、小学校へと急ぐ。
妻ナタリーと娘クララがビンセントに捕まり、クローンのアダムは警察に通報。だが2人のアダムは協力体制をとる。
本物のアダムはドラッカーとの取引で対峙し、だがドラッカーは、自分は本物と思っているアダムに、お前はクローンだと告げ、証拠を見せられたアダムは愕然とする。
放心状態のアダムはドラッカーに記憶を探られ、もう一人の本物のアダムは、ここに居ると知る。クローンアダムはドラッカーを盾に脱出。一方、本物のアダムは家族を救出。ドラッカーは新しい自分のクローンを作ろうとするが、クローンアダムによってクローン製造タンクが破壊。ドラッカーは急ぎ、クローンドラッカーは未完のまま、取って代わり、しかしクローンアダムが装置をも破壊。クローンドラッカーに不完全なその容姿を見せ、2人のドラッカーを倒した。
クローンアダムは本物のアダムと合流。クローンドラッカーも死んで、工場は爆発。2人のアダムはヘリで脱出した。
本物のアダムは家族と会い、クローンに対する考えが変わる。そしてクローンアダムはヘリで旅立った。
2000年、アメリカの作品です。
共演:トニー・ゴールドウィン
2000年代、クローン羊のドリーを代表に、クローン技術の開発における実験が行われるようになり、命の尊厳についての議論などが行われ、禁忌の研究だと言われるようになりました。ですがこういった実験がなぜ行われるようになったかという背景は、爆発的に増殖する人類の食糧難を解決しようとして、起こった研究であることは忘れてはなりませんし、納豆のパッケージなどに「遺伝子組み換えでない」といった表示がされるのは、クローン技術に対する安全面とその他の抵抗感が払しょくできないでいることの証左に過ぎません。
タイトルのシックス・デイというのは、天地創造における「神は6日目に人間を作った」という有名な文言を当てはめています。
この作品の面白さは、それまでに無かったクローン技術をシリアスに描いていることにあります。一人二役というのはありましたが、ほとんどが双子や、そっくりさんというオチありきの、ギャグに使われる設定でしかなかったものが、この映画で一瞬にして、シリアスな展開に持ち込めるという事を観客に認識させてしまいました。いわば、一つの時代の転換点的作品です。
この作品に苦言を呈するならば、クローンを利用したトリックを盛り込んだ脚本とアーノルド・シュワルツェネッガーの映画とが、今一つ噛み合わなかったかなという残念な点が挙げられます。もちろん当時のハリウッドの時代背景(起用できるスター、客層が求める作品)もありますが、たとえばウィル・スミスの『アイ,ロボット』はAIに関して巻き起こる問題のあれこれをとてもシリアスに描き、胸に迫る作品であったのに対し、『シックス・デイ』はやや大味であることが否めない…。いずれにしても、早すぎた作品であったことは間違いありません。
この作品は1人で2,3回見たくなる映画です。それは請け負います。