そば処きくちのそば用語 そばについて知りたい情報はそば用語で (た~わ)
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そば用語 た~わ
台(だい) 台はものを載せるものだから蕎麦屋では麺の種類(そば・うどん)のことを言う。
だし 水を煮立たせ鰹節を入れる。作業は使用する当日でいいが、鰹節の削り方や煮詰める時間は店によってさまざまである。真鰹(まがつお)の節の他に宗田鰹(そうだがつお)、鮪(まぐろ)、鯖(さば)、鰯(いわし)、鯵(あじ)、あご(とびうお)などの雑節を併せて使う店もある。
韃靼そば(ダッタンソバ) 蕎麦粉は普通の蕎麦粉より小粒で、粉は淡黄色水に溶くと黄色くなり、普通のソバの約100倍のルチンを含んでいます。苦味があるので「苦ソバ」とも言われています。
駄そば(だそば) いいそば粉を使っていない粗悪なそば。味の悪いそば。自信に満ちたそば職人が、他の店を軽蔑する時に使うことがある。駄は、つまらないもの、粗悪なものという意味。これをそばにつけて駄そば。
たぬき かけ蕎麦に揚げ玉(天かす)を散らしたもの。揚げ玉とネギ以外に種らしいものが入っていない。そこで「種ヌキ」から「た抜き」になったと言う説がある。
建前そば(たてまえそば)「棟上げそば」ともいいます。大建築なら「上棟式」と称して、そば代を含めた祝物を工事関係者に出すが、小建築の場合はそばと祝儀、さらに簡略化したものでは、もりそば一杯、つまみ、又は煮しめを添え、瓶詰めの酒を見計らいで出した。場合によっては親方の音頭取りで「木やり歌」を歌うこともあったそうです。いずれにしても、棟上げにはそばは欠かせない食べ物。荒打ち(土蔵を新築する際の壁の下塗り)の際にも、これを祝うそばが振舞われ、泥まみれの工事人達を、川柳では「荒打ちの
蕎麦を田植えの ように食い」と詠んだそうです。
種ものそば(たねものそば) かけそばのように、具を加えた蕎麦。おかめそば、天ぷらそば、鴨南蛮など。
溜めざる(ためざる) 揚げざるからそばを移し、余分な水分を切るのに使う、竹製、ステンレス製などのざる。
タレ(そばつゆ) 山陰や東北の一部には垂れ味噌時代の名残で蕎麦つゆのことをいまだにタレという地域がある。ここ村山でもいまだタレと言う。
端午蕎麦(たんごそば) 五月五日の節句に蕎麦を食べる習慣。雛蕎麦ほど盛んではなかった。
たんぽ辛汁を入れて湯煎するときに用いる素焼きの細長い容器。土たんぽとも言う。
茶そば(ちゃそば) 抹茶を混ぜた変わりそば。あまりそば粉を入れ過ぎるとつながらない。
ツキ 通し物の時一つのことを言う。
面出し(つらだし) 水回しで練っている内に表面にツヤが出てくる。これを「面出し」と言う。
面水(つらみず) 茹で上がり、揚げざるですくい上げたそばに、間髪いれずに手早くかける冷水のこと。
面水を打つ(つらみずをうつ) 釜から揚げた麺に冷たい水をかけて粗熱を取る。これを面水を打つという。
手ごね(てごね) そばを作る工程で、一番重要な捏(こ)ねの部分を機械でなくきちんと手で行っているという意味で使われる。
手ごま(てごま) 小間板・駒板を使わずに切る方法を「手ごま」と言う。
出前(でまえ) 蕎麦屋の出前持ちの姿は、昔はとても薄着なもので、身軽なきびきびしていたことは魚屋と匹敵すべきであろう。身なりはいかな寒中といえども腹掛け一つに合わせの素半纏で決して股引をはかずに素草鞋というのだから見るからに寒そうな風をしていたものである。
出前店(でまえみせ)出前を主力としている店。立地条件の余りよくない店のことを指す。
寺方蕎麦(てらかたそば) 寺で僧たちが打って食べていた蕎麦のことで、まず門前蕎麦へ受け継がれ、民間へと普及していった。
天せいろ(てんせいろ) 「天ざる、天もり」とも言う。もり蕎麦に天ぷらを別につけたもの。
同割り(どうわり) 蕎麦粉とつなぎの小麦粉が同じ場合のことを言う。
通り抜け(とおりぬけ) 出入りの商人が表口から入って裏口から出ること。又はその逆。店を通り抜けていくことは、イコールお金が通り抜けていくこととして嫌われていた。昔は店内の掃除をする時さえ、埃(ほこり)を外に掃(は)かず、店の中へと掃いて、ちりとりで取った人もいたそうだ。
外一(といち)蕎麦粉に対する割合。10割のそば粉に対して1割の小麦粉を加える。つまり1キロのそば粉に対して100グラムの小麦粉を加える。
冬至冬至を過ぎると一日ごとに日脚が長くなるので、日本だけでなく北欧などでも「冬至祭」が行われてきました。クリスマスも冬至祭とのかかわりが深いといわれています。冬至といえども本格的な寒さはこれからです。かぼちゃや柚子湯で元気な体を作りましょう。
冬至かぼちゃ 冬至かぼちゃは中風(脳卒中)や風邪への予防・金運を祈願する意味があります。実際にかぼちゃには体内でビタミンに変化するカロチンが多く含まれています。ビタミンAは肌をツヤツヤにし動脈硬化の予防になるだけでなく皮膚や粘膜、視力、骨、歯にも効果があるものです。
冬至蕎麦(とうじそば) 12月22日、23日頃の冬至の日に食べる蕎麦。
時そば(ときそば) 昔の屋台そば屋でのお話で、二八そばを食べた男は、勘定をする時に突然、「今何時?」と聞いたことから、勘定が・・・。詳しくはそば処きくちそばブログで
年越しそば(としこしそば) 一年の区切りに食べる蕎麦。大晦日蕎麦、大年蕎麦、年取り蕎麦、年切り蕎麦、縁切り蕎麦、寿命蕎麦、運蕎麦、福蕎麦、思案蕎麦、とも言う。除夜の鐘を聞いてから食べる蕎麦は「ついたち蕎麦」または「元日蕎麦」である。
年越しそばの由来
なぜ、昔から大晦日に年越しそばを食べるのか?宝暦6年1756年の眉斧日録より
1.大晦日に食べるそばのことで、この風習は江戸時代中期頃からといわれている説
宝暦6年1756年の「眉斧日録」に「闇をこねるか大年の蕎麦」とある。また、文政7年1824年刊行とされる「半天手拭流行落御噺」に「出前したそば屋が道具を取りに来て『代をいただきとうございます。』『代は大晦日にやろう』『ハイ、どうぞ現金に只今いただきとうございます。』というと『何さ、その蕎麦はかけだよ』(江戸食べ物の談から)」そばの「かけ」と売掛けをかけたもの。
2.金銀細工から出たという説
金銀の粉を拾い集めるのにそば粉を練った塊が吸い付けてよいことから、金銀細工師がそば粉を使っていた。蕎麦を食べれば金銀が入るのではという縁起をかついだことから大晦日に食べる風習ができたとする説。
3.世直し運そばとする説
鎌倉時代に、承天寺(博多)の坊さんが、年を越せない人達を集め、「世直しそば」と称して「そばもち」を振舞ったところ翌年に運が向いてきた。喜んだ町人達は「運そば」といって毎年大晦日に食べる習慣となった。これが広まったとする説。
4.細長いそばを縁起とする説
そば切りが細長いので「身代を延ばす」「寿命を延ばす」縁起ものとして年の暮れに食べるようになったとする説。
5.大晦日に夜食として食べた習慣説
月末の大晦日が夜遅くまで忙しい商家で、夜食でそばを食べていたその習慣が、そのまま一般家庭でも大晦日に食べるようになったとする説。
6.ソバ殻を焼いた灰で洗うと汚れが落ちることからとする説
ソバ殻を焼いた灰で、使い古した器を洗うと長年の汚れがよく落ちることから、胃腸のかすを流したり、旧年のけがれを落としたりしたい、ということで食べたとする説。
友つなぎ(ともつなぎ) 粉の一部を水で溶き、火にかけて糊化し、それをつなぎに使う。これを「友つなぎ」と言う。
土用蕎麦(どようそば) 夏の土用の入り(7月20日頃)に食べる蕎麦。暑気あたりを防ぐと言う意味をこめて食べる地方があった。
土用丑の日(どよううしのひ)土用の丑の日にうなぎを食べるようになったきっかけは、江戸時代の学者・平賀源内が夏の売上不振に悩むうなぎ屋に相談され、「本日丑の日」と書いた張り紙を揚げて大繁盛してから、という説が有名です。そもそも、土用=季節の変わり目は体調を崩しやすい時期とされ、特に夏の土用は暑さが厳しく、夏バテをしやすい時期。昔から、土用蜆(どようしじみ)、土用餅、土用卵など、精のつくものを食べる習慣があり、栄養価が高く、夏バテ予防にうってつけのうなぎは、土用の丑の日に食べるものとして定着していったようです。
中台(なかだい) 調理場で汁の加減をみたり、天ぷらを揚げたり、種物を調理する職人のことをいう。
夏そば(なつそば) 夏そばは四月下旬に播種して七月下旬に収穫(刈り取った)した、今年初めの新そばです。山形県では、七月下旬から8月上旬にかけて販売されます。夏新そば、夏新
生がえし(なまがえし) 砂糖やみりんを加熱して水あめ状にし、これを醤油に混ぜて作る。
二升五合(にしょうごんごう) 二升は一升の倍で「しょうばい」(商売)。五合は半升だから「はんじょう」(繁盛)。合わせて「商売繁盛」という洒落。
二八そば(にはちそば) そば粉八に対して、つなぎを二の割合で作ったそば。一説によると江戸時代、そば一杯の値段が16文であり粋な呼び方として 2×8が16になるため二八そばと呼んでいたと言う説もある。また、そば粉二割、つなぎ八割の配合で作ったそばは「逆二八」という。
二番粉(にばんこ) 中層とも言う。一番粉の次に得られる粉です。一番粉をとった時にふるいに残ったものを再び挽き、ふるいに掛けてとります。通念の蕎麦の色に近い淡緑黄色で、蕎麦特有の香りや歯ざわりが加わります。並粉・二番粉そば粉。
二番だし(にばんだし) 一度だしを引いた鰹節の出し殻から更にだしを取った物。「ばかだし」とも言う。
抜き(ぬき)ソバの実の殻を取ったものの意味もあるが、一般的には種物のそばやうどんを抜いて、具と汁だけをお客に供するメニューのことを指す。そば屋ならではの、粋な酒肴だ。ちなみに、「天ぬき」とは天ぷらとつゆだけ。天吸いとも言った。
寝覚蕎麦(ねかくそば) 「寝覚蕎麦」は、別名「寿命蕎麦」ともいわれ、竜宮城から帰った浦島太郎が、この付近で玉手箱を開けたという伝説からきている。そばは細く長くの縁起であるが、「寝覚ノ床」近くに「臨川寺」という寺があり、境内に芭蕉や子規などの蕎麦を詠んだ句碑や、古来の歌人たちの歌碑が多くある。
練る(ねる) 生地の中にある空気を抜き、ばらついた水分量を均一にするための作業。
延す(のす) 生地を均等な厚さで広くのばすこと。均等に延すために丸出し、角出し、肉分け、幅出し、本のしなどと段階を追ってのし棒で少しずつのばしていく。
延しべら(のしべら) 包丁での切り方で切りべらの逆。延した厚みより広い幅で切ったもの。
延し目(のしめ)延し目は生地を延した方向に対する直角の線。延し目方向に包丁を入れると麺が切れにくくなるので、たたむ作業をする。
喉越し(のどごし) 喉でざらつきを感じるもの。友蕎麦がいう「一種ざらつくような感じを残しながら滑るような、口中のぬめりや汚れをこそげ落としてくれるような爽快感」が蕎麦の喉越しである。
暖簾(のれん) 店先にこれが出ていれば、営業中で、店内に閉まってあれば営業時間外であることを示す。また、中で食事をする人が外から覗かれないように隠す役割や日除けや商品保護の目的でもある。暖簾は国旗と同じ性格のもので、尊厳にあふれている。通常、出入りの商人は裏口から出入りするが、やむを得ず表から入るときにはこの暖簾を手で掻き分けて入るようなことは間違ってもしてはいけない。暖簾に頭が触らないくらい頭を下げてくぐるのが礼儀だ。なんといっても、暖簾を誇るということは老舗の形容でもあるのだから。
暖簾うち(のれんうち) 同じ屋号の仲間同士の店という意。
ハイカラ たぬきそばのこと。
ばか台(ばかだい) 出前の時、丼を一度に八個載せる事の出来る、一番大きなお膳。八つ台ともいう。
ばかだし 二番だしのこと。ばかとも言う。なぜ「ばか」かというと、ほとんどだしが利かないからという説と、ばかにできないほどよくだしが利くという二説がある。実際は後者だと思われる。
泊(はく、ばく、とまり) 前日の残り物のつゆ。宵越しのもの、残り物、一夜を越すと言う意味。つまり前日の仕込みの材料を翌日利用すること。本来客に気づかれないように処理するアングラ的な存在であったが、その「泊(はく)の蕎麦」がいまや一流の蕎麦屋の関心を集めている。
鉢三年、延し三月、包丁三日(はちさんねん、のしみつき、ほうちょうみっか) 「一鉢、二延し、三包丁」ともいう。それぞれの工程で一人前になるまでにかかる期間の目安。木鉢でこねる作業はそれほど重要で、一朝一夕では習得できなのだ。
花粉(はなこ)=端粉(はなこ) 玄そば(ソバの実)の皮を除く、挽き抜き作業の時に出る粉。量はわずかで手触りが滑らかでなくざらざらした感じがします。道具や蕎麦どうしがくっつかないように振り掛けるうち粉に使います。
花番(はなばん) 一昔まえの麺類店ではフロアで注文を聞いて奥に通したり、オーダー品を運んだりする係りを「花番」と呼んだ。これは「店の端」あるいは「はな」のところの専任なのでこう呼ばれたという。
花巻(はなまき) 浅草海苔を散らしたかけ蕎麦。海苔の香りを大切にし薬味にはワサビを用いネギは使わない。
ばらかけ ミキサーで捏ねたそば粉を玉にせず、そのままローラー式製麺機にかけること。やはり、一度手でこねないと、本当にうまいそばは打ていないようだ。
梁腰(はりこし) そば焼き餅のことで、長野県川上村に古くから伝わる郷土料理の一種。名前の由来は、そば餅を天井の梁を越すほどの高さまで放り投げて作ったことに夜が、一説にはそば餅を何度も放り投げることによって適当に空気を含ませ、醗酵させるという効果もあったらしい。ネギ味噌と柚子などを混ぜ合わせたそばがきを天上めがかけて何度も放り上げ、落ちてくるものをお椀で受けて練り上げる。柏の葉などの包み、囲炉裏の金網の上にのせるか熱くした炉灰の中に埋めて焼き、好みで胡麻醤油や甘味噌をつけて食べる。
バンド ばか台のこと。昔、ベルトには穴が八つあったことからこう呼ばれたが、現在ではほとんど聞かれない。八つ台ともいう。
半生がえし 砂糖を溶かす分だけ醤油を加熱し、これを生の醤油に混ぜたものである。
挽きぐるみ(ひきぐるみ) 殻(外皮)をつけたまま、ソバの実を挽き、後からふるいで殻を取り除いたもの。殻は完全には除去できないので、全体に黒っぽい色となる。現在では、殻をむいてから、甘皮部分まで一緒に挽いたもののこと指す。
引越しそば(ひっこしそば) 新しく移転した者が、向こう三軒両隣と、管理人あるいは家主へそばを配る風習。ご近所へはもり三枚、管理人・家主には五枚くらい奮発したようです。嘉永年間(一八四八-五四)から始まったものらしく主に関東地方で行われたようです。おやつの時刻を見計らって現物で配っていましたが明治末期になると「そば屋の切符」という便方が始まり、随意に用いてもらう方法が考え出されたようです。
ひっぱりうどん ここ山形では、茹でたての麺を納豆入りの汁で食べる「ひっぱりうどん」が郷土料理の一つだ。鍋から麺をそのまま引っ張って食べることに由来する。汁に刻んだネギや卵、鰹節など好みのもの入れて食べる。我が町楯岡では「だらぐうどん」とも言う。
雛蕎麦(ひなそば) 三月三日に食べる桃の節句の蕎麦。別名「節句そば」ともいいます。明けて四日に雛人形とまた一年お別れを告げるためのお供えである。本式は「五色そば」の盛り合わせですが、普通のそばで間に合わせる略式もあります。「あさつきの
鱠(なます)進ぜて 猿ぐつわ」と川柳にあるように、昔は浅葱の鱠とそばを供えてから雛人形をしまったものです。三月三日の雛祭りの蕎麦。三色あるいは五色の蕎麦が供された。江戸では、四日にそばを供えてから雛をしまった。
美男(びなん) 「びなん調理士会」のこと。今風に言うと、蕎麦屋に職人を紹介する人材派遣業の呼称。
日待ち蕎麦(ひまちそば) 日待ちとは陰暦の一月、五月、九月の吉日に、前夜から潔斎し、日の出を待って拝む行事、または、田植え・収穫の終わった時に会食する行事をいいその時食べる蕎麦のこと。
ひもかわ きしめんと同じ幅広のうどん。主に江戸で三河の「芋川うどん」が訛(なま)って紐革(ひもかわ)うどんになったとされる。
冷やしメニュー麺類店でおなじみの「冷やしメニュー」といえば、「もり」「ざる」「冷麦」「そうめん」などであるが、暑い時期にそば切りやうどんに冷たい汁をかけて食べる「冷やかけ」は、江戸時代からあった。
風鈴蕎麦(ふうりんそば) 「風鈴そば」は、屋台を担うそばの振り売りの中で最もポピュラーな形態で、その登場は江戸期の宝暦年間(1751~1763年)のころより以前といわれる。例えば、宝暦三年写本の『反古染』という文献の中に、「元文(1736~1741年)の頃より夜鷹蕎麦切、其後手打蕎麦切、大平盛り、宝暦の頃、風鈴蕎麦切品々出る」とある。この頃のそば売りの担荷にはだいたい三種類あって、風鈴そばの場合は文献にもあるように、荷台に一つか、二つの風鈴を吊るした市松模様の屋根のある屋台を担って、行燈に「二八そば」と表記し、そば一杯を十六文で売り歩いた。
ふね 包丁で切った蕎麦を、茹でるまでに保管しておく容器。「生舟(なまふね)」ともいう。
ふのり 海藻の一種で、つなぎとしてそばに練り込む。これを混入すると、そばが伸びにくくなるので、出前に最適だ。
振りざるそばを温めたり、そばを茹でながら冷麦やうどんなど混ざっては困る違う種類の麺を一緒に茹でるときに使う。
へぎ蕎麦 新潟県小千谷市はフノリ(海苔)をつなぎにする「へぎ蕎麦」で知られる。織物の仕上げに使用されるフノリを応用したもので三割から四割も入れるので蕎麦は青い色をしている。薬味には芥子(からし)を使う。
へそ出し 水回しでしわを中心とする円錐形になるように木鉢の凹みを利用して絞り込んでいくことを「へそ出し」と言う。
包丁延した生地に打ち粉を振り、折りたたんで小間板を当てて包丁で切る。麺の長さは「うどん一尺、蕎麦八寸」と言われてきた。
包丁下(ほうちょうした) 新しいこと。あたかも包丁の下にあるような出来たてのホヤホヤのそば、の意。三立てとは言うが、生地内の空気が抜けないと、うまくゆでられないので最低でも15分以上は時間を置いて茹でろ、と言うときに使う。
包丁三日、延し三月、木鉢(捏ね)三年(ほうちょうみっか、のしみつき、きばち(こね)さんねん) 昔から、手打ちの技術習得に必要な期間については、「包丁三日、延し三月、木鉢(捏ね)三年」と言われてきた。難しさの順番を「一捏ね(いちこね)、二延し(にのし)、三包丁(さんぼうちょう)」とも言い伝えられてきた。
ほうとう 「ほうとう」は山梨県の郷土食として有名であり、「のしいれ」とも呼ばれて、昔から親しまれている麺料理である。味噌か醤油仕立ての汁で、幅広く切った生麺と一緒にかぼちゃ、大根、にんじん、青菜、里芋、油揚げなどの食材を煮込んだほうとうは、季節を問わずいつでも食されるが、秋のかぼちゃが出始めるころから翌年の3月ごろのシーズンにこれを食べると1年中風邪をひかないといわれている。
本がえし 醤油を加熱し砂糖やみりんを加えて作る。醤油を煮立たせないよう注意することが肝要である。
マク 雑種で数の多いものをひとまとめにすることを言う。
まごつき 「まごつき」とは、修業をはじめたばかりの見習いのことをこう呼んだ。これは、入店したての出前持ち(外番)にも使われた。店の仕事に関してなんでもかんでもできなければいけなく、まごまごしていることからこうよばれたようだ。
マジリ 通し物の二つのことを言う。
丸抜き(まるぬき) 玄そばの殻だけをむいだ状態を言う。
水回し(みずまわし) 捏ねとも言う。手打ちの最初の工程でそば粉に水を加えること。
ミキサー 粉と水を混ぜあわせる機械。練機とも言う。そば粉と小麦粉と水を入れて混ぜる。
棟上げ蕎麦(むねあげそば) 建築工事で「建て前」の節目に振舞う蕎麦。
麺類杜氏宿(めんるいとうじやど) 「杜氏」といえば、本来は「酒杜氏」のことであり、酒造り技能集団の職人及び、その長を指す。しかし、この言葉自体、かなり古い時代から使われていたようで、語源については諸説ある。杜氏は時代が下ると、広く職名として一般的になり、江戸期になるとそば職人のことを、とくに「麺類杜氏宿」と称した。その後、杜氏宿と呼ばれる麺類職人請負業が生まれ、幕末の頃には「美男」「尾張屋」「大芝」などの屋号をもつ口入屋が存在した。
メンロボ そば粉と小麦粉を入れると、中でこねて下からそばになって出てくる木鉢作業を代行する機械。高価な機械であるうえ、まだ実用的ではないようだ。
もみじ 出前に使う猪口。店で使う猪口よりも小さめになっている。柄にもみじの絵があしらわれているものが多いので、こう呼ばれる。
もり蕎麦(もりそば) 器に盛るから「もり」であるが、「せいろ」「ざる」と称する店もある。いずれも盛る器から生まれた呼称。現在は、海苔の有無だけになっている。
薬味 葱(ねぎ)、大根(だいこん)、山葵(わさび)七味唐辛子などピリッと辛い薬味は食欲増進の効果もある。
宿(やど) 出前に対し、お客に店へ足を運んでもらって商売すること。
藪系(やぶけい) 「やぶ」と呼ばれる蕎麦屋は江戸時代中期に出現しているが、周辺に竹やぶが多いことからつけられた俗称であった。砂場の名称と同じ伝である。
結納そば(ゆいのうそば) 末永かれと願う心から、結納に添えるそば。婿側へ嫁側から贈られるもので(縁結びそば同様、逆の場合もある)、仲人がこの仕事を取り持つ。また、近所から祝いに贈られる場合もあります。もっともそばは切れやすいからと縁起を担ぎ、うどんで代用する地域もあるようです。
湯捏ね(ゆごね)
お湯でそば粉をこねること。水でこねるのを水捏ねと言う。「湯練り」「湯もみ」「湯とき」ともいう。湯を加えることにより、そば粉の澱粉を糊化して粘性を引き出す。水でこねるよりも楽に打てるといわれ、そば打ちが女性の仕事であった農山村では、湯ごねの方法がさかんであった。代表的なのは東北や信州に伝わる生粉打ち。また、純度の高い更科粉は湯ごねが欠かせない。この湯ごねの方法は、江戸時代中期に登場した変わりそばにつながった。現在も多彩なメニューが残っているが、代表的なのは三色そば、五色そばである。
柚子(ゆず) 薬味の一つで、強い酸味と香りが特徴。皮の部分のみ薄く削って使う。鴨南蛮や天ぷらそばに合う。
湯だめ(ゆだめ) 釜揚げうどんのこと。
湯桶(ゆとう) 蕎麦湯をいれるための容器。檜材に漆を塗った箱型の容器で、横に口がついている。話の途中で横から口出しする人のことを「蕎麦屋の湯桶」というのは、ここからきている。
夜鷹蕎麦(よたかそば) 「夜鷹そば」とは、夜そば売りのことだが、いつから呼ばれるようになったか明らかではない。由来については諸説あるが、本所吉田町や四谷鮫ヶ橋あたりからゴザを抱えて出向き、両国・柳原・呉服橋・護持院ヶ原にたむろして、夜の路傍で客の袖をひいて売春した私娼を江戸語で夜鷹といい、この夜鷹が夜売りのそばを食べたからという説がある。また、夜鷹の花代とそばの値段が同じだったからという説もある。
四谷(よつや) そば屋における通し言葉の一つ。4を意味する。また、出前の時の膳、「四つ台」を指す場合もある。
四立て(よんたて) 蕎麦の三たてとは、挽きたて、打ちたて、茹でたてがある。これに獲れたてを加えたものが四立てと言う。鮮度の高いそばは、風味・香りともに高く、文句なしに旨い。
四番粉(よんばんこ)=さな粉 三番粉を挽いた後に残る粉です。黒い色をしていて、繊維質が多くあくの強い匂いがします。
卵切り(らんきり) 「らんきり」は、代表的な変わりそばの一種。変わりそばはそば粉に様々な混ぜ物をしてそばに仕立てたものだが、その中でも特に色が鮮やかに出て、見た目も楽しめる物を色物というがその代表的なのが「らんきり」である。徳川時代には、「切り」と「めん」が混用されていたので、区別しにくいが、そば粉のときは卵切り、小麦粉ならば卵めんと呼ぶ。「卵切り」の美称として、また「玉子蕎麦切り」の略称として「蘭切り」とも表記される。
ルチン そばが高血圧によいといわれるのは、そば粉に「ルチン」が多く含まれているからだ。「ルチン」は、今注目されている栄養成分の一つで、かつてはビタミンPとよばれていたビタミン類である。毛細血管の働きを安定、強化させ、脳出血や出血性の病気の予防効果があるといわれている。「ルチン」には、弾力性のなくなった、破れやすくなった血管を新しい弾力性のある血管に取り替える働きがあり、血液をスムーズに流す作用がある。
ロール製粉(ろーるせいふん) 高速で回るロールの間を丸抜きにした蕎麦が通ることで粉にする、製粉効率が良いが高速で回転するロールの間を何回も通るため「粉焼け」を起こし香りがとんでしまいがちなのが欠点。しかし一番粉から四番粉(末粉)まで段階的にとることが可能である。
若(わか) そば屋の子息、すなわち若旦那のこと。
山葵(わさび) 蕎麦屋さんで出す山葵には粉わさびと本わさびの二つがある。値段が相当違うが、辛味では粉わさびのほうが辛い。ただ上品な辛味といえばやはり、本わさびだろう。ちなみに粉わさびに大根おろしをまぜて水で割るという方法もある。大根おろしのつぶつぶ感が出るのもいい。
割粉(わりこ) 蕎麦のつなぎとして使う小麦粉のことをいう。