六章 二人の王

6-2

「王様!」
 キゲイはディクレスの隣をすり抜けて、駆け寄った。
「なんだ。君だったのか……」
 ブレイヤールは長い息を吐いて、うなだれる。彼は両足を地面に投げ出して、壁にもたれかかっていた。明かりに照らされた顔は疲れきった様子で、眩しそうに閉じたまぶたを震わせている。随分長い間、この真っ暗闇にいたようだった。キゲイが声をかけようとすると、ブレイヤールは額に手をかざして上を向いた。キゲイの後ろに、ディクレスが歩み寄ったのだ。
「あの、その、ごめんなさい。ディクレス様に、話しちゃいました……」
 キゲイはそっと告白する。ブレイヤールはキゲイに視線を戻す。表情は薄く、ブレイヤールがどう思ったのか、キゲイには分からなかった。
「いいんだ。自然の流れに任せよう」
 ブレイヤールはそう言った。ディクレスがキゲイの隣に膝をつく。
「アークラント先王ディクレスと申します。あなた様は?」
「白城の王族ブレイヤール。ディクレス殿。銀の鏡をご覧に?」
「はい。ところで、いかがされました。見たところ、ほとんど動けぬようですが」
 ディクレスの言葉に、ブレイヤールは再び深く息を吐く。
「レイゼルトに……。いえ、まずは城内から出ましょう。人間達の匂いを嗅ぎつけて、先程から闇の中で色々なものが騒いでいるのです。失礼ですが、手を貸してくださいませんか」
 ディクレスはブレイヤールの体を支えて、立ち上がらせる。キゲイは先に立って塔から外へと出た。
 ブレイヤールは二人を近くの中庭へと案内した。ディクレスは庭に倒れている古い柱の上に、ブレイヤールを座らせる。ブレイヤールは左手で右腿をちょっとさすり、それからディクレスとキゲイの顔を見比べた。ディクレスは柱から少し下がって、立ったままブレイヤールを見下ろしていた。
「キゲイをテントの方へ走らせた後、私はレイゼルトに捕まったのです」
 彼はつと視線を二人からはずし、思い起こしながらゆっくりと話し始めた。
「彼はある取引を持ちかけてきました。お互いに知りたいことを、ひとつだけ交換しようと。少なくとも害意は無いようなので、私は承知しました。私はあの鏡が何であるのかという答えを望み、レイゼルトは、石人達がアークラントにどう対処するつもりなのかを聞いてきた。彼は、あの鏡が禁呪であると答えました。裏を取りたいなら、直接鏡を調べるか、美術書から由来を探せと」
「禁呪? やはりあれは、大きな力を持つものなのですか」
「禁呪は大きな力を持ちますが、鏡は呪文を記しているだけです。しかし魔法の品というものは、簡単にその危険性を判断できるものではありません。呪文自体が力を持つものでもありますから」
 ブレイヤールはディクレスを見返す。
「それから私が彼の問いに返した言葉は、あなたにも興味深いものでしょう。申し訳ありませんが、詳しくはお話できません。ただ今のところ、あなた方に危害を加える話はありません。できうる限り早々に、この地を立ち去ったほうが良いでしょう。石人達は人間の存在を恐れて嫌っているのです。それに、これは私個人の意見ですが、これ以上石人の地に長居することは、石人全てに災いをもたらす行為となるのかもしれません」
「それは、どういうことでしょうか」
 ディクレスの声が、少しこわばっていた。キゲイはなんとなく二人の側に居づらくなり、数歩下がった。
「あなたが大空白平原に作った連絡路のことです。馬が一日で駆けられる間隔で、拠点を築いておられますね。少なくともあの連絡路は、オロ山脈の抜け道からここまで延びているのではありませんか?」
「……仰るとおりです。本国の様子をいち早く知るためには、連絡の手紙を一瞬たりとも止めるわけにはまいりませぬから。アークラントと大空白平原を分かつ抜け道を知っているのは、我々だけです。しかし万一、ハイディーンかエカが我が国を滅ぼしたとき、私の築かせた拠点を辿って、彼らが平原に到達できる可能性は、あるかもしれません」
「七百年前に、人間と石人との戦争がありました。我々はその発端を、人間が石人の領界を犯したことにあったと考えています。ハイディーンやエカが平原に出れば、大きな兵力を持っているだけに、石人にとっては脅威です。そうなった場合、我々は人間達に対し、過剰な反応に出るかもしれません。七百年前以上の大きな戦が、石人と人間との間に生まれる気がします。これは、大げさな空想でしょうか。我々石人は暗にそれを恐れ、速やかに、アークラントをオロ山脈の向こうへ押し返したがっているのです」
「そうでしたか。このような弱小国が、そこまで石人の世界を震撼させていたとは」
 ブレイヤールが見つめる前で、ディクレスはうな垂れるようにして、わずかに頭を下げる。この先のことを懸念したのか、石人に対して申し訳なさを感じたのかは分からなかった。彼はすぐに顔を上げた。
「それにしても、なぜそれほどに人間界についてお詳しいのですか? オロ山脈とは、アークラント独自の呼び方で、大空白平原では別の呼び方をされているようです」
「平原に人間が現れるようになると、石人も我が身を守るため、誓いを侵して境界を越える必要が出てきました。今では選ばれた者達が平原で常に人間の様子を探っています。大空白平原には大陸の富とうわさが西に東にと流れ、手に入らぬものはないとまで言われています。そして私の城から平原は、目と鼻の先にありますから。あの連絡路は、手紙を運ぶためだけに築かれたものなのですか」
 白王の瞳が、人間の先王を鋭く見据えた。ディクレスはその視線を引き締まった表情で受け止める。先王は何も答えず、視線を先に逸らしたのはブレイヤールの方だった。ブレイヤールは沈痛な面持ちでそっと目を閉じ、うなだれる。
 離れた所で二人を見るキゲイには、ブレイヤールが落ちつかなそうにしているのがよく分かった。ディクレス様が彫像よろしく微動だにせず立っているのに対して、ブレイヤールは腿をさすったり、左手をぎゅっと握りこんだりしている。話し方も少しのろのろしていて、言葉が出てこなかったりすると唇を噛んでいた。今もそうだ。キゲイはそれを見て、なぜかハラハラした。二人がそれぞれに、相手の考えを探り合っているのはなんとなく分かる。ブレイヤールの方が、ディクレス様ほどそれをうまくやれていないらしいことも。本来ならディクレス様の方を応援すべきなのに、キゲイは奇妙だと思いながらも、ブレイヤールの方も心配でならなかった。
 しばらくしてブレイヤールは再び面を上げ、声の調子を変えて話題を移した。
「私は、この廃墟の主です。石人の世界には、星の神殿という最古にして第一の存在があります。そしてその下に、十二の古い国があります。十二の国の王は、同時に星の神殿の神官でもあります。そのためたとえ戦争をして相手の国を打ち負かしても、王族の血筋を絶つことは決してありません。国が滅んでも、王族だけは神殿の手によって守られます。ですから七百年前に滅んだこの国にも、私のような王族の末裔が居られるわけです。もっとも、立場は非常に弱いものです。私は他国の王達の指示に従って、この城に宝を用意し、あなた方の行動を観察するのみです。しかしこんな私でも、この城を守るくらいの力は持っているのです」
「では我々は、あなたに許されてこの城に居ると」
「そうなります。石人達はまだあなた方に危害を加える気は、ありません。しかし分からないのは、あなた方の目的です」
「アークラントは光の中にいる人物を探しに参りました。我が国の予言者が見た夢を、聞いてはくださりませんか。かの予言者も石人の世界には詳しくなく、どうも夢見を正しく解釈しきれていないようなのです」
 ディクレスは、トゥリーバから聞いた夢の話を繰り返す。キゲイもブレイヤールの返事が気になって、全身を耳にした。ブレイヤールなら、予言者の言っていた英雄が誰なのか分かるかもしれない。そう思ったのだ。
 ブレイヤールは予言の夢を思い浮かべるように目を閉じて話を聞いたが、すぐに瞼を開いた。
「石人の世界にそこまで広い平原があるとは、聞いたことはありません」
 それから考え考え、ゆっくりと言葉を続ける。
「ただ、光の霧には心当たりがあります。『光(こう)』というものがあるのです。光の霧を発生させるものです。香を練りこんだものもあり、専用の光炉(こうろ)で焚きますが、非常に幻想的です。我々の世界をかつて満たしていた原初の大気を想起させるものとして、特に神聖な儀式では欠かせません。他は、ある程度の高貴な身分の人が用います。私は儀式以外の用途では使ったことはありません。とても高価なものなので」
「ではあの人影は、石人である可能性が高いのですか? そして高貴な身分の方であると」
「神職にある可能性が高いですが、十二国の王も、神官ではありますし……。平原のどちらの方向にその人影が立っていたのか、分かりませんか」
「それは聞いておりません。平原の様子から言っても、方位を知らせるものが何もないようです。その平原は、アークラントから南にあり、ただただ石人の地であると」
「石人世界のもっと奥かもしれません。でも、なぜその人影が英雄だということになるのですか?」
「そう見なす以外にないのです。我々は」
 ディクレスの顔に苦笑混じりの、穏やかな笑みが広がる。それでもすぐに、彼は真顔に戻ってこう言った。
「しかし私自身、この地に何らかの光明は感じていたのです。そこへ丁度、予言者があのような夢見を伝えてきたことが、私をこの地に駆り立てました。予言者の見たものが、私がそれと感じながらも、はっきりと捉えることができなかったもののような気がいたしたのです」
「そうでしたか……」
 ブレイヤールはディクレスから視線をはずし、どこともなく遠い目をした。
「私が今気になっているのは、『レイゼルト』を名乗る少年のことです。実は彼と情報を交わした後、彼はそのまま私の前から立ち去ろうと背を向けたので、その隙をついて魔法で捕らえようと試みたのです」
 それを聞いて、キゲイは思った。アークラントではたぶん、卑怯と言われる行為だ。キゲイはディクレスの様子をうかがったが、先王の表情は真面目なままだった。
「私の魔術は失敗し、返り討ちにされました。目が覚めたときには辺りは夕暮れで、右半身に感覚がなく、まったく動かせませんでした」
「彼は……、腕の良い魔法使いなのでしょうか?」
「石人の水準から言って、年齢を問わず、相当なものです。あなた方の前では、実力を隠していましたか? もっとも他種族の前でありのままの実力を見せるというのは、あまり賢いやり方ではありません」
「彼は深夜のうちに、我々の陣営から姿を消しました」
「えっ?」
「そもそも彼は、自分も石人の宝を探していると言って、我々の元へとやって来ました。そして彼は、この城は遠い昔にうち捨てられたものだと我々に教えました。タバッサの遺跡荒らし達も廃墟だといい、はぐれ者の石人が数人住んでいるとも言っていました。その石人がまさか城主であると分かっていたならば、この城に忍び込む失礼は冒さなかったでしょう。つまり我々は、レイゼルトによって城におびき出され、あなたに許されてここに留まっているということになる。私は、彼にまんまと騙されたわけです」
「怒っていらっしゃるようには、お見受けできません。なぜあの少年を陣営に組み入れられたのです?」
「私は騙されましたが、裏切られたとは思っておりません。私が彼を雇ったのは、彼の目を見たからです。アークラントの者達と、非常に似通った真剣さがあった。彼はいったい何者なのでしょうか」
「私も同じ質問をあなたにしようと思ってました」
 ブレイヤールは心からの溜息をつく。
「私は、あなた方人間よりも、あの少年の存在の方に差し迫った危険を感じます。そしてそれ以上の危険を、あの銀の鏡は秘めている……」
 ブレイヤールはキゲイの方を向く。キゲイは崩れたアーチの根元にもたれ掛かって、船を漕いでいた。ブレイヤールはキゲイに視線を残したまま、ディクレスに向き直る。
「レイゼルトがあの鏡をキゲイに託した理由も不明です。ただ逆から考えれば、適切な人選ではあります。現に彼はあの鏡を、不用意には扱っていない。そうでしょう?」
「いえ、私には分かりませんな。ただ彼が我々から去る際、キゲイに最後に言い残した言葉から察するに……、彼は目的はあれど、自身の意のままにそれをなそうとは考えていないようです。ああいった手合いは、非常に柔軟な動きをするものです」
 それを聞いたブレイヤールはうな垂れ、両手で顔を覆った。
「私にはまだ、物事の流れというものが見えません……」
「それについては、局面は違えど私も同様です。しかし幸い、彼の立ち位置のひとつだけは、はっきりしている。それは彼がアークラントに対して、我々と同じ思いを持っているということです。ならば彼とて、ひとつの布石も打たずにいることは不可能でしょう。……彼はあなた方の敵なのですか? 恐れるに値する者だと」
 ブレイヤールは両手をぱたりと下ろし、地面を見つめたまま固い口調で答えた。
「敵というより、味方ではないと言ったほうが適切かもしれません。彼の動向を見守ることが果たして、我々石人の益になるのかは、不明です。それに彼とアークラントとの関係は、伏せておくべきかどうか……。もし我々がレイゼルトを炙り出さねばならなくなった際、アークラントを攻撃すればよいことになる」
「そこまでなさいますか」
 ディクレスは暗い笑みを浮かべる。ブレイヤールは慌てて首を振った。
「お許しください。考えすぎでした。今はまだ、そこまで考える時期ではありません。……私は銀の鏡に触れたことで、石人達に秘密ができてしまった。ここであなたと会った事実も、明らかになっては困るのです。文字通りであれ形式的であれ、私の首が飛べば、あなた方にもいい影響はないはずです」
 東の空に夜明けの気配が来ていた。夜の闇が薄まり、庭園に淡く長い影が落ち始めている。
「ディクレス殿、もう一度、キゲイを私に預けてはくださりませんか」
 ブレイヤールは早口に言った。時間はもうなかった。
「鏡のことが、気になって仕方がないのです。レイゼルトが鏡を彼に預けたなら、鏡と彼はもう少し一緒にしておかなければ。それに私は、鏡に触れることは出来ません。彼の身の安全は、私が守ります。彼の運命が、私の手の内にある間は」
 ディクレスは短く鼻を鳴らした。溜息と不満、両方らしかった。
「魔法使いというものは、良くも悪くも言葉がうまいようですな。分かりました。私から、彼に話してみましょう」
 ディクレスはキゲイに歩み寄り、肩に触れてそっと起こす。キゲイは寝ぼけ眼で、相手の顔を見上げた。
「折り入って、頼みがある。白王の下に、しばらく残ってはくれないか?」
「え。……え?」
 キゲイは耳を疑い、両目をごしごしこすった。寝ぼけていると思ったのだ。それから柱の上に座ったままのブレイヤールへ、目を向ける。ブレイヤールは何とか立ち上がろうと苦戦していた。まだ体がおかしいらしい。
「白王がおっしゃるには、君は大変特殊な立場にいるようなのだ。あの鏡のために」
「かがみ……っ!」
 キゲイは胸を押さえる。それはまだ確かに、そこにある。ブレイヤールが大きくよろめいて、倒れこむように傍へ膝をついた。
「キゲイ、その鏡は僕の手元にあった方がいいと思うんだ。でも、僕はその鏡に触れることは出来ないから……」
「えーっ!」
 キゲイはようやく状況を理解する。ディクレスが同情したようにこちらを見ていた。
「アークラントは、あの鏡を受け入れることはできないのだ。それは国を助けるどころか、新たな災いと混沌を人間の世界にもたらすものだろう」
 キゲイはブレイヤールを見返す。ブレイヤールは真っ直ぐその視線を受け止めて、色々言うべき言葉を探しているようだった。ところが、良い言葉は思い浮かばなかったと見える。彼独特のしごく穏やかな表情でにっこり微笑み、こう言った。
「悪いね。恨むなら、レイゼルトを恨んでくれ」
 はっきり言い切られて、キゲイは顔を引きつらせた。やっとの思いで仲間の元に帰ってから、まだようやく一日になるかならないかくらいだ。何をどう間違ったというのか。また状況は逆戻り。いや、本当にそうなのだろうか。
「僕、今度はいつ皆の所に帰れるんですか?」
「多分、誰かがレイゼルトをとっ捕まえて、彼の秘密を全部吐き出させるまで……かな」
 先が見えないぶん、状況は前より悪くなっているようだ。
「非常につらいと思うのだが、他に代われる者もいない」
「決着がついたら、君は僕が責任を持って、皆の所に帰すよ。それまで……頼む」
 キゲイの前には恐れ多くもアークラント先王と白王の二人がいて、こちらの返事を待っている。「嫌だ」と言えば、「うん」と言うまで二人から延々と諭されるに違いない。キゲイはがっくりとうな垂れ、自分の運命について観念することにした。
 ブレイヤールはキゲイの決心を見届けると、ディクレスにうなずく。ディクレスを元の場所まで送るため、ブレイヤールとキゲイは昨日の道を辿り始めた。ブレイヤールは右足を引きずり、壁に手をつかないと歩けない状態だったので、途中までしか案内できなかった。
 最後の一本道の廊下の所で、去り際にディクレスはキゲイの肩へ手を置いた。
「ブレイヤール殿と会えて良かった。キゲイ、よく決心してくれたな」
 それだけで、彼は何か特別な言葉をかけるわけでもなく、地読みのテントの方へと立ち去っていく。
 その背中を見送るキゲイの耳に、レイゼルトの一言がよみがえる。
――アークラント先住民ごときが、「国を助ける気」だって?
 もし今度彼に会うことがあれば、もう「アークラントのために」という言葉は使うまい。でも、「ディクレス様のために」なら、きっとレイゼルトも、そしていつか彼を怖がらせたアークラントの少年達も、まだ納得してくれるんじゃないか。キゲイはそう思った。それにキゲイ自身、今ではそちらの方がしっくり来るのも、確かだった。レイゼルトがこの鏡をエツ族である自分に預けた理由は、もしかしたらここにあるのかもしれない。アークラント人では駄目だったのだ。きっと。
 キゲイが物憂げに立ち戻ると、ブレイヤールは庭園の池の側で、地面に転がっていた。彼は足音でキゲイに気がつき、不自然なくらい不動の体勢のまま、こう言った。
「ちょ、ちょっと待ってて……。やっと感覚が戻ってきたと思ったら、強烈な痺れと激痛が」
「……王様。それもレイゼルトの魔法のせい?」
 ブレイヤールは返事の代わりに歯を食いしばり、苦しそうに体を丸めている。これは、相当きているらしい。キゲイは溜息をついた。この様子では、もうしばらくここを動けそうにない。眠気と空腹で、ふらふらだったのだが。
 冷たい朝日が、純白の城を新しい光と影で染めていく。照らし出された回廊の柱は、その輪郭を朝霧に淡く滲ませ、石畳を珊瑚色の光彩でいろどった。この城は、光によって様々にその様相を変えるのだ。まばらな下草の上に横たわる白王の髪もまた、赤みがかった黄金色に輝いていた。