◇ 荒割の木取り


木取り(きどり)と言いますが、
原木から目的の形をどのように切り出すか、
どの部位を使うかを決めて線を引きます。
相手が黒檀という真っ黒材なので、
色鉛筆の単色系(白、水色、黄緑、桃、黄は必需品です)を使って、
どの順番に切っていくかを書いていきます。
木取りの様子は次ページ「縞黒檀の荒割」でご覧頂けます。

木材全般的に言える事だと思いますが、
白太寸前の心材が一番の良材である場合が多いです。
(詳しくはトップページからお隣「トンコリ」内の「木材の欠点」ページ・白太について で説明しています。)
ですので、材の端っこにちらっと白太を残しておく事があります。
またそうする事で、その材がオイシイ場所で取られた事が解ります。
これが仕上がった状態でも白太が残っている場合、
これを嫌う人もいます。
また、ちょっとしたオシャレと感じる人もいます。
これはまあ、好き好きですが。。
十三夜の言葉の説明「十三夜とは」にもある通り、
月は満月、十五夜が好きという人は、黒檀は真っ黒でなくちゃダメという意見が多いかもしれませんね。
残された白太は寸足らずだったという評価で欠点とされる場合もあります。
まあ、そんなのは注文時に色鉛筆で線を引いておけば何とでもなりますので。

真っ黒材に、白太やヌケがあると、木材の顔が伺えるような気がして
なんだか僕は好きですねぇ。


ちらっと白太

写真は真黒黒檀、本透漆塗り。


◇ 荒割材です。

こんな感じになります。

黒檀系荒割

左から、
縞黒檀(新材)、縞黒檀(床柱材)、本黒檀、青黒檀、
です。
縞黒は繊維方向が真っ直ぐに伸びていてキレイに木取り出来ています。
また、新材よりも床柱材の方が長期乾燥されていて、
色味が濃くなっています。
実際に同じ材での比較は出来ませんが、
全般的に酸化によってオレンジが濃くなるようです。
新材は空気に触れている表面数ミリだけが濃く、中身は白っぽいのに対し、
床柱材だと中まで同じ色で濃くなっているのです。
厚み10cm以上もあるこの硬い黒檀の中まで酸素が行き渡るのに、
果たしてどれくらいの時間が掛かったのでしょうかねぇ。


◇ さらに荒割材です。

まだ原木が新しい材とか、まだまだ水分が多いとかで、
早く乾燥させたい場合には薄く細くしてしまえばよいのですが、
それで思いっきり反られてしまって
目的の形が取れなくなってしまってはダメな話ですが、
ある程度乾燥させて、初期の反りが出終わった後で、
もう少し削り進めておく事があります。


もう少し進めてある荒割

左:アフリカ黒檀     右:本紫檀


特に糸蔵ですね。
ここは場所を特定しても大丈夫といいますか、
ここを基準に棹の芯までの通りを決めればよいので、
小さめですが早めに空けてしまいます。
ここがいつまでも塊になっていて乾燥が遅れるのはよくないです。
天もある程度は取り除いておきます。

沖縄の先駆者達は、天が四角い角材の塊で何年も寝かせて、
そこから作る時は一気に仕上げるというのですが、
僕はその理由を聞いた事が無いのでよく解りません。
棹の形になる一歩手前までは少しずつ追い込んでいって、
少しずつ反りを開放していって、
それで最終形状になるのが望ましいのではないかと思うのですが。

まあ、そう思っているのでそう実行しています。


よじ登る。。

とりあえず戻ってみる。