[今回のわからん]

「防水」と「防滴」

●「防水」と「防滴」の定義は?

感覚的には

・防水: 水の中に入れても大丈夫なもの
・防滴: 少しくらい水がかかっても大丈夫なもの

ぐらいの感じでしょうか。

実は防水機能については、JIS規格で定義されています。(JIS C0920:2003(JIS防水保護等級))
以下の表で、保護等級が0から8になるにしたがって防水機能が高くなります。


 等級0 (保護なし)
 等級1 防滴I形
 等級2 防滴II形
 等級3 防雨形
 等級4 防沫(防まつ)形
 等級5 防噴流形
 等級6 耐水形
 等級7 防浸形
 等級8 水中形

では、「防水」「防滴」は、上記の定義のうち、どれにあたるのでしょうか。
「防滴形」は等級1〜2であり、防水機能的には比較的低い部類に入ることがわかりますが、「防水形」はどこにも定義されていません。
定義がないので、ある意味言ったもの勝ちの世界です。

感覚的には防滴より防水機能は上だと思われますが、実際にも等級4以上のものを「防水型」と呼ぶ場合が多いようです。
ただし、この分類も製品の種類によっても異なり、例えばノートパソコンの場合、防水機能を謳うものであっても実際には防滴程度の場合が多いです。
ですので、コーヒーをノートパソコンのキーボードにぶっかけた場合は、すぐに電源を切ってメーカー点検に出しましょう。
間違っても防水だからといって水洗いとかしてはいけません。


●「生活防水」「日常生活防水」って何?

「防水」と「防滴」以外にも、生活する上で、雨がかかって濡れても、汚れた場合サッと洗っても大丈夫、といった場合を「生活防水対応」「日常生活防水対応」と呼ぶ場合がありますが、そもそもこれらの言葉も何かの規格に基づく用語ではなく、その定義(JIS防水保護等級で何級相当か)がメーカーによって異なるため、参考程度に考えておくのが無難です。
一般的に、腕時計や携帯電話・スマートフォンで「生活防水」といえば「等級7(防浸形)」、デジカメで「生活防水」といえば「等級4(防沫形)」に相当する場合が多いようです。
ただし防水の腕時計やデジカメでも、濡れた状態でボタン操作をすると、内部に水が入ってしまう構造のものもあるので、水に濡れた後は水分を十分拭き取ってから操作するようにしましょう。

また、「生活防水」と書いてあっても、パッキンとかが劣化していると、内部に水分が侵入して壊れることがありますので、濡らさないに越したことはないです。
「生活防水対応」といえど、内部構造が水に強いわけではありません。


●iPhone 7は「防浸形」

Appleのサイトには、「iPhone 7とiPhone 7 Plusは防沫性能、耐水性能、防塵性能を備えており、実験室の管理された条件下でのテストにより、IEC規格60529にもとづくIP67等級に適合しています。」と書かれています。
「IEC規格60529」は防塵性能、防水性能を表す規格で、iPhone7の「IP67等級」は、防塵の保護等級が等級6、防水の保護等級が等級7であることを示しています。
IEC規格における等級は、JIS規格における等級と全く同一ですので、iPhone7は「防浸形」ということになりますが、「防浸形」だと防水性能がどのくらい高いのか直感的にわからん!ので、あえて「防沫性能、耐水性能を備えている」という表現にしているようです。
ちなみにiPhone7の英語サイトだとこの部分は「splash, water, and dust resistant」と表記されています。


●ニセモノに気をつけよう

「防水」「防滴」「生活防水」「日常生活防水」それぞれ言葉の定義が曖昧な感じですが、それ以前の問題もあります。
中国製の安い腕時計で、どう見ても水がかかったら即アウトな構造(ボタン部分のパッキンが無い)なのに、裏蓋に「10 BAR」と書いてあるものを見たことがあります。
「10 BAR」は通常「10気圧防水」の意味であり、意味分かって書いてんのかって感じです。
というか絶対ウソでしょ、コレ。

というわけで、本当に水中で使うような場合は、表示を信じると痛い目に遭いますので、十分気を付けてください。
(信頼できるメーカーのものを、きちんとしたお店で買って下さい)



[今回のまとめ]
  • 言葉の定義がメーカーによってバラバラのため、参考程度に
  • 内部構造が水に強い機械は無く、機械内部に水が入れば基本的にアウト
  • 安い腕時計に防水機能を期待するのが間違い

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