電柱 と 電信柱、言い方の違いのように思えますが、実は明確な違いがあります。
電柱とは、電力会社が家庭や工場に電気を送るために道路上に設置されているもので、正式名称は「電力柱」といいます。
一方、電信柱は、NTTなどの通信会社が電話回線や光ケーブルを各家庭に届けるためのもので、「電信柱」がそのまま正式名称です。
電柱には電気を送る電線が、電信柱には電気信号を送る通信回線が取り付けられていますが、「電線」「通信回線」どちらも通常は保護用の黒い皮膜に覆われているので、線(架線又は架空線といいます)だけ見ても「電柱」と「電信柱」を見分けることは困難です。
では、「電柱」と「電信柱」をどうやって見分ければよいのでしょうか。
通常、各柱には誰が管理しているかを示す管理プレートが付けられており、これを見れば電力会社・通信会社どちらの管理かが判りますが、プレートが無い場合や、プレート自体が高い場所に設置されていて、よく見えない場合も多々あります。
そんなときの見分け方は、柱に取り付けられている「ポリバケツのようなもの」です。
何本かに1本、灰色のポリバケツのようなものが設置されている柱がありますが、この灰色のポリバケツは、「変圧器(トランス)」と呼ばれるもので、電気を送る「電柱」にのみ取り付けられており、電信柱には付いていません。
一般的に電気は、できるだけ高い電圧で送電した方がロスが少ないため、一般家庭で使用する100V・200Vより高い高圧で送電します。
しかし、このままでは一般家庭で使用できないため、各家庭に配電する直前に電圧を下げることが必要になります。
この、電圧を下げるため設置されている施設が「変圧器(トランス)」です。
家の周りの「電柱」の何本かに1本には付いています。(周りに民家が無い場所では電圧を下げる必要が無いため付いていません)
もっとも、設置スペースが限られている都市部では、「電柱」「電信柱」共用のものもあります。
この場合、1本の柱に電力会社と通信会社の管理プレートが両方取り付けられており、このような柱を「共用柱」と呼びます。
「電柱(電力柱)」について、道路工事の業者や役所の人々の中では、各地方により異なる様々な呼び方があります。
といっても「方言」ではなく、単に電柱を管理する電力会社の名前が地方によって異なるためです。
電力会社の名前を頭に付けて
・北電柱(北海道電力)
・東電柱(東京電力)
・関電柱(関西電力)
・中電柱(中部電力)
などと呼ばれます。
家の前の柱がジャマなので移設してほしいときなどは、その柱が「電柱」「電信柱」「共用柱」どれなのかを事前に調べた上で、役所や工事業者の人に対して、上記の呼び方(「東電柱」など)も交えながら交渉すると、「この人は工事に詳しい人だ」と向こうが勝手に勘違いしてくれるので、ナメられる事も少ないと思います。
また、昔の人の中には、「電信柱」のことを「NTT柱」「電電柱」と言う人もいます。
「NTT柱」はまだ分かりますが、「電電柱」というのは、NTTが国営だった頃、「日本電信電話公社(電電公社)」という名前であったので、その名残です。
民営化からもう30年くらい経つので、さすがに「電電柱」という言い方はもうほとんど使われていません。
|