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2004.11.09 |
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スペースも時間も無くなってしまったが、これだけは書いておかねばならない。
今回の旅でネスコンリスのホームスティ先が、ウォルヴァリン(Wolverine=Jones William Ignace)宅だったことは、事件報告に記した。山下さんと吾郎君の3人で、松井さんの心配りだった。
ウォルヴァリンといえば、『森』ニュース21号(1997,10)と22号(1998,1)で若干触れている「グスタフセン湖事件」の首謀者として逮捕され、3年間獄中生活を送った長老である。(サンダンスに集ったファーストネーションの人びとが武装した白人たちに襲われ、その抗争を口実に州兵と警察が介入。同地域で数回、銃による怪我人が出た。ファーストネーションのメンバーが犯人として逮捕され、有罪判決を受けた。)72歳の長老ウォルヴァリンと3夜を過ごすことが出来たのは、幸せだった。
2夜は事件や裁判のこと、彼らが現在闘いの方法として使っている"国際的な法廷闘争"について、深夜まで聞く事が出来た(吾郎君に感謝!)。
そして最後の夜、渡してあった「アイヌの歴史と文化」の英語版リーフレット(アイヌ文化振興・研究推進機構製作)を前にして、ウォルヴァリンは言った。「我々は法や条約を盾に闘うことが出来るけど、アイヌは大変だなぁ。政治闘争しか手段がないじゃあないか……」。そして、「がんばってくれよ」……と。
簡略な歴史に目を通しただけで、アイヌの抱える最大の課題が読み取れる洞察力は、自らの長い闘いの中で磨かれてきたのであろう。真の長老である。
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