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2005.03.20 |
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札幌の記録的な大雪も峠を越えて、彼岸を迎えました。それにしても、道路はともかく(中小路は依然として大変な状態ですが)、家の横も裏も雪に埋もれています。屋根からの落雪で二階の窓を覆った雪。ここへ越して20数年間で、初めての体験でした。
やっと春の陽射しが見えてきたというのに、この国(だけではないのだろうが)に覆いかぶさってくる暗雲が不気味です。各党が憲法改悪の具体的な作業にかかり、教育基本法を捻じ曲げ、人権保護法案とやらで言論や思想に枷をかけようという……この国はどこへ行くのでしょう?
今年は中学校教科書の一斉採択の年。4年前大敗を帰した「新しい歴史教科書を作る会」の歴史・公民教科書が、新版で大量の採択をねらっているようです。曰く「近代の戦争を曇りのない目で語り、公平な視点を貫いて記述しています」「日本を糾弾するために捏造された“南京大虐殺”、“朝鮮人強制連行”、“従軍慰安婦強制連行”などの嘘も、一切書かれていません」また「我が国の歴史の始まりとともに存在した天皇・皇室の意義を子供たちにわかりやすく説いています」(作る会・会報より)……いやはや〜ですが、東京都以外にもこれを採択する自治体が増えそうな気配です。
そして3月16日、最高裁は「狭山事件」被告石川一雄さんの再審請求・特別抗告を棄却しました。
1963年埼玉県狭山市で高1の女子生徒が行方不明になり、20万円を要求する脅迫状が届いた後遺体で発見された事件で、当時24才の石川さんが逮捕されました。自白にもとづく第1審判決は、死刑。強要による自白は事実ではなかったとして、無実を主張した第2審では無期懲役。77年に最高裁でそのまま刑が確定して服役、94年に仮釈放されました。
「被差別部落民を対象にした、冤罪による差別事件・差別裁判」として、再審を求める運動が続いてきたのですが、幾つもの新証拠・証言が提出されたにも関わらず、最高裁はまったく無視しました。判決理由で島田裁判長は「(新証拠は)いずれも証拠価値に乏しく、他の全証拠を含めて総合的に評価しても有罪認定を左右しない。犯行に合理的な疑いが生じていないのは明らか」と結論付けたそうです。事件発生から42年、「冤罪が晴れるまで闘う」と言っている石川さんも66才、第3次再審請求の見通しは……? “暗黒裁判”に「怒!」
明るい話題もひとつ位なくては……。
小林茂さんの監督最新作「わたしの季節」(第59回毎日映画コンクール・記録文化映画賞受賞)を試写会で見ることができました。間違いなく日本のドキュメンタリー映画の最高傑作のひとつです。
滋賀県にある重症心身障害児(者)施設びわこ学園に暮らす人びとを1年半かけて撮影した作品で、9月には東京での公開が決まり、その後全国で上映されていくことになるので、内容に触れることはしませんが、見終わって何ともいえない暖かさに包まれました。小林さんのコメントだけを……。
『この映画は、人としての「存在感」と「こころの声」を拠り所に、深いところでいのちの根源を見つめた映画です。けっして障がいを持つ人々が社会の中でどう処遇されるべきか、ということを問うた映画ではありません。ただ。ひたすらに、映画に登場する人々と直(じか)に対面する。それはもう一人の自分を発見する旅のようでした』(小林 茂監督)
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