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 陶磁器の花の絵付けが好きです。
 昔から、ファンタジーなどには興味がありましたが、同時にSFなどにも関心があり、自分のことを、少女趣味とは程遠い人間と思っていました。
でも、年を経るにつれ、古い、素朴な宗教画のマリア像や、華やかに花を描いた陶磁器に惹かれるようになりました。どうも、どちらかというとデコラティブなものが好きな人間のようです。

私の好みはさておくとして、陶磁器の花絵は、とても美しいものがあります。

プリントものには到底見ることが出来ない、筆の走り、細かな筆遣いの見事さ、全体の花の華やかさ。花の絵の構図や、色合い、スタイル、皿全体のスタイルなどにも、その時代の美意識が感じられます。
そんな中で、自分の好みにぴったり来る”お気に入り”を見つけられれば、それは大変な幸運だと思います。

 私自身は、あるとき、Webの骨董屋さん(リンク頁でもご紹介した、Kosmosさん)で、100年程前のマイセンの小花柄のお皿に出会って、幸か不幸か、その美しさに目覚めてしまいました。
陶磁器全体の造型を楽しむのは、カップやフィギュアなどの方が勝っていますが、お皿の場合、ずばり花やその他の絵付けを楽しめます。しかも、陶板画などのように、純粋な飾り物というわけではなく、一応、実用的な形を取っているところも、気に入りです。(まあ、実際に使うことは、余りないと思いますが。)
 花の絵にしろ、その他の文様にしろ、パターンは同じでも、古い時代の物のほうが、絵が優れているような気がします。同じマイセンの小花柄の文様でも、私の持っている100年前のお皿のの方が、今のものより、一筆一筆に力がこもって、美しいような気がするのです。


 

 

Teller mit Streublumen, Meissen,
B 21cm, um 1866

私の花絵好きの原点、1866年作のマイセンの小花柄のお皿です。
このパターンは、もちろん今でも作られていますが、このお皿の方が、念入りに描かれ、見事なような気がします。
(飾り皿として作られていますから、絵に力を入れたのかもしれませんが。)

 Teller KPM um 1880. 23cm

 飾り皿 KPMベルリン王立磁器製作所、1880年。
 パステルカラーのとりどりの花が、とても丁寧に描かれています。色合いが、素敵です。縁の金彩も、細かく精巧で素晴らしいです。深めの大ぶりの飾り皿。
 

真ん中の花のupです。
丁寧な絵付け、穏やかな中にも華やかな色彩、いくら見ていても見飽きません。

Teller mit Blumendecor, Meissen, B.18.5cm, um 1940
飾り皿、幅18.5cm、マイセン、1940年

小ぶりの、クラシックなスタイルの飾り皿です。真ん中の花の絵付けがとても素晴らしいです。色彩、筆遣い、さすがマイセン、という感じです。

 

中央の花絵のアップ。
チューリップやその他の花が、とても見事に、繊細に、華麗に描かれています。一筆一筆が、完璧、という感じです。
Teller Zwiebelmuster Blattform Meisen
um 1870 B.24cm

いわゆるブルーオニオンの、マイセンの葉形のやや大型のお皿です。130年前の品。
取っ手の部分の木の表現なども丁寧に出来ていて、絵付けなども、濃く念入り、筆遣いも、現代のものと比べて丁寧な気がします。
お客様が来たときに、ケーキやお菓子を盛って出すお皿として、活躍してくれています。
骨董を実用で使う醍醐味を、いちばん味あわせてくれている一品です。

ブルーオニオンは、元をたどると、中国の染め付け(青の絵付け)の、ざくろの文様を真似たものに由来するようです。ざくろは、中華圏では(種の数が多いので)子孫繁栄の吉祥文だそうです。

 

古伊万里、江戸中期(?)、直径11.5cm

何故かロンドンの骨董モールで買った、古伊万里の赤絵の小さなお皿です。
ヨーロッパでは、染付け(青の絵模様)よりも、こういった華やかな色彩のものが好まれたようです。朱と青の彩り、花の部分には金彩も入っています。
古伊万里は、マイセンなどに見られる完成度、洗練はないことが多い気がしますが、少し拙い筆遣いも、大胆で、”ヘタウマ”とも言えるようで、好感が持てて好きです。私は、こういう赤絵系の古伊万里が大好きです。

縁の手書きの文様(朱色の格子など)に、白磁の白の空間を、どうやって華やかに飾ろうかと工夫した、江戸時代の職人の試行錯誤や工夫が想像されるような気がします。

 

英国エインズレイ社の、1920年頃プレートです。直径21cm位。ロムドシンの半端物セールで入手しました。
実際はもう一寸色が薄めです。優しいバラの絵と、オレンジの色。実際に使われていたらしく、お皿の表面にナイフ傷のようなのがあり、また、バラの絵も、あえかな感じで、枝などがかすれている感じがあります。でも、とても優しげで、良いです。
エインズレイのお皿の裏のマークです。
少し変わった(古いタイプの)マークだと言う話です。
マイセン ローズ プレート マルコリーニ期
(1774-1817)
これもe-bayで入手。マルコリーニ期と呼ばれる、1774-1814年頃に作られたものです。この時期は、マイセンマークの下にアスタリスク(*)のようなマークが入るので、すぐ判ります。
この時期、マイセンは窯の存続の危機にあり、いろいろな可能性が試されました。また、資金不足で、縁の金彩を茶色の顔料で代用したものも多いのですが、このプレートは、金で彩色されています。(すこし剥げていますが。)
バラの図柄は、”マルコリーニのバラ”と呼ばれるもので、とてもきれいです。

 
マイセン 網状装飾花柄皿 19世紀初頭
マルコリーニ期の少し後で作られたと思われる、マイセンの花柄皿(ペア)です。
花の柄は、少しづつ違っています。大きさは、10数センチと小さ目。
これらは、裏のマイセンマークが少し変わっていて、マークの上下にアラビア数字の”3”が描かれています。
向って左、黄色のチューリップの皿の縁には、リペアが入っています。
裏面の写真。
何故か、マークが左上側にあります。
この、マークの下などに、数字が書いてあるのは、マルコリーニ期の後、ローマ数字のTやUが描かれていたことがあるんだそうです。(Uは磁体に使われている素地(ペースト)が2級であるということだそうです。)また、3(アラビア数字)も描かれたことがあるそうですが、更に質の落ちる素地に付けられ、この時は”もはやマイセンの双剣マークは一緒に描かれなかった”とあります。(”The Book of Meissen”より)
でも、私はこのお皿、きれいな花柄で、好きです。
1枚目のお皿。
赤と黄のチューリップと、水色のヤグルマギクなどの花束の絵です。
素地の色は、やはりちょっと灰色がかっていて、白さが足りない感じ。でも、縁の網状部や、その周りの細かい花絵や金彩が、とても”努力してますよ”という感じで、きれいで好きです。
2枚目お皿。
黄色のチューリップと、紫のヤグルマギクなどの花束の絵です。
1枚目のお皿のマーク。皿裏面の左上にあります。
マイセンの双剣の上下に、アラビア数字の3が描かれています。
2枚目のお皿のマーク。1枚目と同様です。
マークの外側に、リペアが入っています。(縁が大きく割れて、鎹(かすがい)を使って、補修されています。結構上手い補修。宋の青磁の馬蝗絆というのに使われたのと同じと思います。)結構、上手な補修です。
2枚目のお皿のリペア部のアップ。
網状部にあるのもあって、余り目立たないように補修されています。(相当大きい欠けですが。)
マイセン 花絵プレート 1763-1774
とても古い、マイセンの花皿です。色合いが、この時代のものなので、少し濃い目の独特の色合いです。裏のマイセンマークの下に、この時代特有の点があります。e-bayで入手。私の手持ちのマイセンの中で、多分一番古いです。残念ですが、縁(写真で言うと下)に欠けがあります。
裏のマイセンマーク。(てかってて見えにくいですが・・・)
器の形が、ちょっと深めです。

 
 
マークのアップ。(上と左)。
マークの下に、この時代を表す点がはっきり見えます。


3 Weihnachtsteller, "Berlin" 1971 : Rotenburg, 1974 : Bremen, 1976 : Augsburg

ベルリンという窯のクリスマスプレートです。1971年(上)はローテンブルグのマルクス塔とクリスマスツリー売り、74年(下左)はブレーメンのクリスマス市、76年はアウグスブルグの大聖堂とクリスマスのミサの様子が、青と白の濃淡で描かれています。カメラの写りが悪いので、良く見えないかも知れませんが、特にアウグスブルグの大聖堂の様子の表現、扉や外の雪化粧した木々の、レースのような描写がとても素晴らしいです。他の2つも、いかにもドイツのクリスマス、冬という感じで、お気に入りです。

5Teller mit Fruchtmotiv, Schuman, D:20.5cm um 1920

シューマンという窯の、果物柄の5枚組のお皿です。手書きではなく、精巧な転写だそうです。描かれているのは、洋梨、林檎、葡萄、苺、胡桃、木苺、無花果、すぐり、こけもも、ヘーゼルナッツなどで、どれもドイツで親しまれているものばかりだそうです。立派な果物がみずみずしく描かれています。縁の、幅広くて立派な金彩が、良いアクセントになっていて見事です。

 

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