(ユーロ・ディズニーランドに行ったわけではありません、念のため。(笑))
”ケレド=ザラムの水は暗く、キビル=ナーラの泉は冷たい。そして山の下の強大な王たちの没落する日まで、上古の世のカザド=デュムの柱立ち並ぶ数々の広間のなんとみごとであったことでしょう。”
(指輪物語、旅の仲間(下巻) P269、J.R.R.トールキン著
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旅行中に出会った、予想外のもの、意外なもの、美しいものです。
上の写真は、ベネチアの高級ホテル、”ダニエリ”のホールです。(かなりピンぼけですが。)
ホテルは、快適でした。古いホテルなので、少々水周りに不安があったけれど、調度は豪華だし、ホテルの人の応対も良く、立地(サンマルコ広場の近く、デュカーレ宮(牢獄)の隣にあり、大運河(カナル・グランテ)に面している)も最高。
レセプション/キャッシャーの脇から、その広間を見て、私はため息をつきました。なんて豪華なのだろうと。(写真では、伝わらないかもしれませんが。)
有名な(そして私の好きな)ファンタジー、指輪物語には、そのしっかりしたリアリティある設定や物語の面白さを楽しむ以外に、その世界にある、美しいものについて想像する楽しさがあります。
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そしてまた、考えました。ヴェネツィアの共和国時代の男達って、なんとなくイメージがドワーフに似ているのではないかと。
商人で、現実主義で、貿易で成功し利を得ることに力を注ぎ、そのために貴族(大商人)による他に類を見ない合理的な共和制を実現した。共和制を守ることは自分達の利を守ることだったから、共和制を維持するために時には自分にとって不利なことも敢えて行った。それによって、ヴェネツィアは独立を保ち、栄え、こういう豪華なものや、サンマルコ寺院、ドゥカーレ宮、数々の教会や美術を生み、市民は安定して比較的豊かな生活を営み、中世には稀だった出版の自由もヴェネツィアにはありました。そういえば、彼らは黒の長衣と長いあごひげという姿だったから、姿もちょっと似ているかもしれません。(彼らは長身だったから、その点は違いますが。) ドワーフも、比較的利に貪欲で、見た目はあまり良くなく、自分のことしか考えていないようですが、鉱石を美しく加工し、美しいものを作ることなどには非常な情熱を持つ、とされています(トールキンの設定(世界)では)。 (まあ、我欲の強いドワーフより、ヴェネツィアの男達のほうが、かなり上等かもしれませんが。) 私は、その広間に、結局足を踏み入れませんでした。
次に行く機会があったら、絶対、あのホールのバーで、なんか一杯飲むぞ〜。
あ、でも、もしこのページを当の塩野七生さんが見たら、私、目玉の飛び出るほど怒られるかもしれませんね。”空想の産物で、しかも矮人のドワーフと、ベネチアの優れた男達を、一緒にするんじゃない!”とかって。 |
※ホテル・ダニエリをもう少し見たい方は、こちらをどうぞ。