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「品質管理的な考え方」では、「問題」は「あるべき姿と現実とのギャップ」と定義されます。よって「問題」を明確にするには、「あるべき姿」と「現実」が明確になっていることが大切です。
「あるべき姿」とは、元々「理想とするもの」という意味で使うことが多いですが、この部分を「目標」とか「目指すもの」のような事柄に置き換えても、問題を把握するという点では差し支えありません。
「現実」は現状把握を意味しますが、現状の把握の仕方により問題の捉え方が変わるということがありますので注意が必要です。「現状把握」の洗い出しについては、後ほど説明します。
次に問題解決の作業を進めるための合理的な手順がありますので、それについて説明します。
「問題解決型QCストーリー」と呼ばれるものですが、この手順の名前はあまりなじみが無いと思いますが、普段私たちがあまり意識することなく使っている方法で、簡単に言えば、「問題が発生したら、現状を把握して解決策を考え実施し、その効果を評価・考察して次の工程に備える」というシンプルな手順です。
対策の効果が良くない場合は、「要因の解析」に戻り、対策の効果が改善するまでサイクルが続いていきます。このサイクルのことを「PDCAサイクル」と言い、聞いたことがある方もいるかと思います。
手順と実施内容をフローチャート風にまとめたものが下記のものです。
QC活動を行うのであれば、実施内容を細かく説明したほうがよいと思いますが、今回は「品質管理的な考え方」の紹介ということで、ポイントを絞り詳細は割愛します。
簡単に「問題解決型QCストーリー」について説明します。
発生した現象が何らかの問題があると判断した場合、その現象が改善・解決されることが「テーマ」になります。
ここでは「現状把握」の洗い出しの仕方について説明します。
業務を遂行していくには、各部署・部門で方針が決められ、そしてその方針に基づいた具体的な目標が設定されます。目標を達成するためには、業務について進捗・遂行状況を管理することが大切ですし、成果を上げるためには、「4M」と呼ばれる生産要素の管理が必要です。
「現状把握」するためには、この業務遂行管理項目と生産要素「4M」に着目すると、効率よく現状について洗い出すことができます。その際、5ゲン(現場・現物・現実・原理・原則)に留意すると、より精度を上げることができます。
できるだけ具体的に且つ数字を挙げて目標を設定したほうがよいことはよく言われることですが、場合によっては数値目標が設定困難の場合もあります。
「努力目標」や「精神運動的なもの」はよくないですが、数値的な裏付けのある目標ならよいと考えます。
「現状把握」では現在起きている事柄が挙げられていますが、その中から目標に関係する問題点を選び出します。それから問題点の内容について解析を行います。
解析方法は目的に応じた方法を採用するのが望ましいですが、「品質管理」ではQC7つ道具を使うのが一般的なので、ここでは使い方に応じた道具の種類をいくつか紹介します 。
解析結果から問題を発生させている原因を突き止め、原因を取り除き且つ問題が再発しないような策を立案します。
立案した対策を実施しますが、下記の点に留意すると円滑に作業が進みます。
実施した結果や効果を評価・確認します。評価方法は「現状把握」と同じような方法を用いると、比較評価がしやすくなります。結果が満足いくものでない場合、「要因の解析」に戻って作業を続けます。
評価結果が良好の場合、対策案をそのまま管理項目に反映するか、既存の管理項目内容を修正します。
評価結果に応じて反省を行い、今後の課題を設定します。
結果が良かった対策の場合は、他の工程等に水平展開できるかを検討するのもいいですし、あまり良くない対策の場合は、新たに副作用のような問題が発生していることもあるので、それについて反省するのもよいと思います。
「品質管理的な考え方」について問題解決型QCストーリーを軸にして簡単に説明しましたが、ポイントはただ1つと考えています。それは「後工程はお客様」ということです。
作業を行う際、自分がしてもらって嬉しい事を、自分より後の工程にしてあげる、つまり「自分より後で作業する人が効率よく作業できるように、今の自分の作業を行う」ということを直感的に理解してもらえれば幸いです。