魚菜王国いわて

滝沢村新駅について

これは「石油エネルギー投入量を考えよう」第3弾です。

石油エネルギー節約事業
まず最初に岩手日報の記事を読んでください。

http://www.iwate-np.co.jp/news/y2005/m01/d13/NippoNews_12.html(←リンク切れ)

私は、経緯や地元の状況を全く知らないので、新聞記事からの類推だけで、いろいろ書いてみたいと思います。
新駅建設には、いろいろな目的が列挙されていますが、私が注目するのは、交通渋滞緩和。
滝沢村は、盛岡市のベッドタウンですから、通勤している人がたくさんいるわけです。
しかし、盛岡市内の道路は整備し尽していて、もっとやるとなると、東京みたいに立体的に道路網を構築するしかないと思います。
私が盛岡にいた頃(もう20年前の話ですが)は、交通渋滞は夕顔瀬橋のところで目立つ程度であり、のどかな街でした。
今や、慢性的な渋滞はあちこちにあり、それだけ交通量が増えたのでしょう。
これらは憂慮すべき問題です。
渋滞は、石油エネルギーの無駄です。
そして、それを解消するために立体的な道路を建設するとなると、普通の平地の道路に比べ、エネルギーの投入量が大きいのは明らかであり、かなりの石油エネルギーを使用してしまいます。
道路は常に修繕しながら維持されますから、そのエネルギーも道路の長さに比例して大きくなります。
交通の便が良くなれば、ますます都市周辺に人口が集積し、また渋滞が起きます。
このように、道路整備と渋滞は、いたちごっこを繰り返します。
これじゃあ、いくら石油があっても足りなくなりますよね。

先ほどのいたちごっこの最終的な結果は、東京都などの大都市を見れば明らかです。
結局、通勤手段は、電車などの公共交通機関となります。
滝沢村では、これを先読みし、村民に通勤手段を鉄道に転換しようと促しているのだ、と私は考えています。
そうすれば、渋滞緩和分と鉄道通勤に転換した各自動車分の両方で、エネルギー使用量は節約でき、排気ガスの排出量も削減できます。

さて、住民側の理解は?
この記事の中に、次の記述があります。

村側は「住民参加を取り入れて駅設置場所を検討してきた」と理解を求めたが、住民は「多くの住民が利用するとは思えない駅になぜ多額の投資が必要なのか」と詰め寄った。

このように、住民側は全く状況を理解していないわけです。

道路財源など地方にはない
今や地方は自立の時代を迎え、中央からのカネをあまり目当てにできなくなります。
さらに、手遅れ、とさえ言われている財政問題もかかえ、カネのかかる立体的道路網なんて、夢の話です。
だから、少なくとも通勤手段は、既存の鉄道IGR(いわて銀河鉄道)を利用しよう、ということなのでしょう。
そうすれば、財政負担は新駅建設だけで済み、新たな道路建設などしなくてもよく、これによって渋滞緩和もできれば、一石二鳥となります(一石多鳥です)。
通常なら廃止路線であったIGRを、第三セクターで救ったのに、利用しないとはなんともったいない話。
これは三鉄にも言えるわけですが。

民主政の終わり?
駅の設置場所が最良の場所なのかどうかは私にはわかりませんが、もし巣子新駅が最良の選択であるならば、記事中の「村が行った住民アンケートでは、駅を普段使う住民は数%」ということを理由に、新駅建設反対とは、なんとも情けない話です。
住民意思とはこんなものなのでしょうか。
きっとこれは、住民エゴが民意となる好例です。
これで住民側が勝つとなると、これは民主政の限界を示すものです。

記事中に熊坂伸子さんの名前がありますが、ご存知のとおり、熊坂宮古市長の奥さんです。
夫婦でありながら、タラソラピーと新駅建設のエネルギー投入量にみる政策比較で、これほど対称的です(「石油エネルギー浪費のタラソテラピー」参照)。
こんな比較をする人は、なかなかいないでしょう(ごめんなさいね。熊坂市長様、熊坂助役様)。
(2005年1月21日)



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