魚菜王国いわて

石油エネルギー浪費のタラソテラピー

石油エネルギー投入量を考えよう」第2弾です。

タラソテラピーの現在
「なあどは、なあどもなんねえ」
今、この言葉が市内で流行のようで。
「なあどもなんねえ」は「どうにもならない」の意。
つまり、経営状態が非常に悪い、らしいのです。

「なあど」の中でも、タラソテレピー施設以外の事業は、まだ脈はあるかなあ、という感じらしいですが、目玉のタラソは、維持費用がものすごくかかるらしく、それに対し、思ったよりも利用者が増えない状況が続いて、毎月赤字を重ねているようです。
「なあど」の支配人は月40万円の給料でも、次から次へと責任をとって辞めているとか。
誰がやってもダメだ、ということなのでしょうか。

観光施設としてのタラソテラピー?
タラソテラピーの位置づけとして、市民の健康増進施設である、というのがありますが、規模に問題があります。
それゆえ、投資のわりに市の医療費負担削減には、寄与分が少なすぎる、という問題点をすでに「タラソテラピー施設の課題」で指摘しました。
ということは、残るは観光施設としての位置づけ。
しかし、これにも非常に疑問符が付いてしまいます。
「歩くプール」が観光施設として成り立つか?
どうでしょう?
もし私が盛岡、いや川井(内陸と沿岸の中間点と仮定しての話)でいいかな?、そこに住んでいたとして、たくさんの温泉のある内陸と比較して、どっち行こうかなあ、と考えたら、迷わず内陸の温泉に行きます。
これは、宮古に住んでいるその辺のおじさんに聞いても、「温泉はいいよなあ」と言います。
決して「タラソテレピーがいいなあ」とは言いません。
比較論で申し訳ないんですが、真水か塩水かの違いだけで、どちらも温水には変わりはありませんから、観光施設としての評価は、似たもの同士を比較して考えていいと思います。

プール利用者とのバッティング
私のおばさん(かなり太っていた)のように、体脂肪燃焼のため(ダイエット?)のため、市の施設である姉ヶ崎サン・スポーツランドの温水プールを利用している人が少なからずいます。
今回そのおばが、腰痛のため水泳をするには少し無理があるとして、タラソテラピーを利用しました。
利用してみると、意外にも?効果大で、血圧まで下がる、といううれしい副作用までついてきたといいます。
しかし、腰痛が治ったら、やはり堂々と泳げるプールの方へ行くとの話でした。
タラソテラピーは、他の“歩く”利用者の迷惑になるために、堂々と泳げないようです。

これを考えると、普通のプール利用でも充分な健康増進ができているようです。
同じ健康増進の目的で、「歩く塩水プール」と普通の温水プールとで、利用者が重複していて、これはどう考えたらよいのでしょうか?
温水プールの利用者をタラソテラピーへと移行するのであれば、今度は温水プールの利用者は減少し、相対的に施設利用効率は落ちます。
このように、温水プールと塩水プールが並列して存在することは、なんとも贅沢な事業といわざると得ません。
「こうなったら、ヘリコプターで温水プールを吊るしてタラソテラピーの中に埋め込めばいい」と言ったら、私はみんなに笑われました。
でも、本当に笑うべきことは、別の次元にあるんじゃないでしょうか。

タラソテラピーの利用者の想定を、計画段階で、かなりいい加減にはじき出したのではないかと、私は思っています。
というのも「タラソテラピー」で紹介したbunbukuさんのメールの中に、そのフシが見受けられるからです。
「宮古市のタラソテラピーについて」(←ファイル消失)で書いてあるとおり、市長は言っていました。
「絶対、今後市民の負担になるようなことはない。そういう利用者調査データがある」と。
調査を受け持ったのは、どのような人なのか、団体なのか、わかりませんが、彼らの責任は非常に大きい。
調査データに基き、市長、その他が判断して、事業を実行したのですから。

健康増進は自分ですべきもの
健康増進は、政府が金を出して(税金で)するものではありません。
自分でするものです。
タラソテラピー事業の一番最初の目的からして、もともとおかしかった(何度も書いてすみません)。
そのうえ、今後も運営上の赤字が予想され、これじゃあ、単なる石油エネルギーの無駄遣いだったとしか言いようがない。
運営している団体も第三セクター方式ですから、宮古市の発展のために善意を尽くした出資者は、ただ石油を買って浪費したと同じことなのです(第三セクターの出資者のことについては、「第三セクターと責任」。参照してください)。
宿漁港から海水を汲んで、タラソテラピーまで専用車輌で何度も運ぶわけですから、設備維持のほかに余計にエネルギーを費やしています。
事業を継続する限り、無駄な石油エネルギーを浪費していく、という構造は、石油頼みの原子力発電所と同じです。
私のサイトからの視点ならば、市の事業としては致命的、というほかありません。

今後やってみるべきこと
タラソテラピー利用者の年齢別のデータはすでに出ているでしょう。
確かに、足腰の弱った年配の人たちには効果が上がっているようです。
それならば、その年齢層にターゲットを絞って、要らない施設を廃止し、経費節減を努力すべきです。
と同時に、ターゲットの年齢層のツアーを組んで、PRし利用してもらう。
最初は近隣地区の中高年、それから徐々に遠くへと対象範囲を広げながら。
これで利用者が増えないのならば、廃止すべきでしょう。

市長その他の推進者にとっては、この文章は嫌でしょう。
しかし、「なんどもなんねえ」のです。

あっ!
冒頭の「なあどは、?」ですが、訂正しましょう。
「タラソは、なあどもなんねえ」でした。
(2005年1月20日)



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