魚菜王国いわて

ファイル共有ソフト「Winny」は幇助罪にあたるか?

5月10日に、東京大学大学院助手がファイル共有ソフト「Winny」を開発したために逮捕されました。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/10/news008.html

Winnyについて全くわからない人は、こちらのリンクも参照してください。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/10/news028.html

ファイル共有ソフトの存在は知っていましたし、そのソフトのCDもありますが、興味がなかったので、私は使ってみませんでした。
パソコンをやり始めた頃は、いろいろなソフトを試したりして、マシンを酷使したものですが、ハードやソフトの性能に、興味を失い始めた頃に、このWinnyが出回り始めました。
いろんなファイルを共有できるらしく、音楽ファイルからエロ動画まで、勝手にファイルが増えていくんだそうです。
興味ある方は、今からでもお試しあれ。

最初に、ラジオライフに掲載された「Winny作者逮捕劇に異議アリ」(←ファイル消失)をご覧ください。
「幇助」がWinny開発者に適用されるならば、記事のように、「クルマ」がスピード違反の幇助をしていることになります。
いや、クルマの開発者が、スピード違反の幇助をしていることになります。
しかし、自動車会社の開発者が、この罪に問われたことはありません。
いくらコピーするなと制限しても、コピーは物理的に自由です」と私はヤリ玉にあげたことがありますが、「Word」ソフトのコピーの幇助をしているのは、マイクロソフトなどのソフト開発者であるとも言えます。
こんなことを挙げたら、世の中キリがありません。
問題はユーザー側にあるわけで、音楽コピーだって、ちゃんとコピーに関する但し書きが書いてあって、ユーザーに注意を促しています。
え〜と。
「このCDは一定期間貸与非許諾商品ですが、この期間経過後も権利者の許諾なく賃貸業に使用すること、個人的な範囲を超える使用目的で複製すること、ネットワーク等を通じてCDに収録されて音を送信できる状態にすることを禁じています。」(CDケースの裏に書いてある)

あ、そうだ、タバコ、タバコ!
コピーとは違いますが、あれだって、タバコ会社は幇助なんて問われません。
タバコを吸って病気になって死んだって、全部、本人の責任でしょ(アメリカでは他人のせいになっていますが、ありゃおかしい!自由の国アメリカとはすでに名ばかり)。
あんなもので、いちいち幇助が問われたら、タバコ農家も幇助罪で逮捕ですよ。

ラジオライフの記事の通り、京都府警の遺恨の逮捕であると言えるでしょう。
これらの似た権力は、恨みの持ち方も同じようで、過去に「噂の真相」の刑事告訴がありますね。

金曜日(2日)の岩手日報夕刊3面で、このWinny開発者のことが書いてあり、ソニーのことを取り上げたところはいいのですが、キンタマウィルスに関する京都府警の顛末に触れずに、著作権保護の名の下の規制ばかり書いているので、これをアップロードしてしまいました。
「Winny作者逮捕劇に異議アリ」(←ファイル消失)という記事が掲載されたラジオライフは、発売されてからまだ10日しか経ってませんから、転載するにはいくら何でもちょっと早いんですが。
せめて1ヶ月経ってからじゃないと。
どうしようもありませんね。
ごめんなさい。

このように、コピーといつも対決する著作権や著作者の保護が問題になりますが、今日は、著作権よりもコピーの方を応援します(いつもしてますが)。

コピーできてしまうものをコピーするな、って言うほうがどうかしていますよ。
そもそも、音楽や映画などは、もともとはアナログで作られたものです。
音楽で例えますが、最初はレコードでした。
それをコピーするにはカセットテープでしたから、音質の劣化がものすごく激しかったわけです。
ところが、CDというメディアの出現で、事態は変わります。
CDのコピーは完璧ですから、その時点でCDに載せる著作者は、コピーされるのを自覚していた、と私は思います。
自覚していたのなら、著作権がどうのこうのと言う資格はありません。
自覚していなかったなら、バカです。
それにコピーできなかったら、たくさんのCDを販売できないじゃないですか。
しかも、CDは、レコードに比べると、非常にコピーも簡単で、今や安価。
こんな便利なものは、誰もが利用しますよ。
便利なコピー機能を利用して、CDメーカーやアーティスト(著作者)も儲けているわけです。

ここで提言します。

その儲けたカネでコピーできない技術を開発してください!

ちょっと電子ブックについて。
将来は、電子ペーパーにダウンロードして、“本”を読むという時代が来るかもしれませんが、今のところ、電子ブックはCD-ROMです。
これもコピーできますから、むしろ、著作者は、こんなものは使わないほうがいい。
実際に、電子ブックのCD-ROMは、マニュアルとか、そんな用途でしか、使われていないと思います。
今の作家は、手書きという人はほとんどいないでしょうから、出版社に送る原稿は、デジタル化されています。
それなのに、簡単なCDを使わないで、わざわざ本にしてアナログ出版しているわけです。
これは、著作者自らが著作権を自衛している、と言える例です。

このことを、私は音楽関係者や映画関係者にも言いたい。
音楽もレコードに戻ったほうがいいんじゃないですか?
レコードからCDにコピーしても音質は劣化しますから。
映画もDVDはやめて、再びビデオテープだけにするとか。
でも、少しぐらいの劣化なら許せるって(私みたいな大雑把な)人もたくさんいるでしょうから、それじゃ、音楽はコンサートだけで演奏し、映画は映画館だけで上映することにすれば、完璧にコピーは難しくなります。
それじゃ、「儲けが少ないだろう」と言われるかもしれませんが、ここに一つの教訓ができました。

「便利なものを利用して商売するということは、著作権を失うリスクが伴う」ということです。
(2004年7月5日)



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