魚菜王国いわて

太陽光発電、風力発電に対する幻想

エネルギーの最低条件
地球上で、現在最も優れたエネルギーは、何といっても、石油。
石油は燃やして良し、電気にして良し、さらに、あらゆる原料にもなる、というものすごく優れたエネルギーです。
燃焼・加工して有害物質さえ生じなければ、何の問題もない。
エネルギーといえば電気エネルギーなんですが、これは何といっても電気に変換するときのロスが非常に大きいわけでして、石油を暖房に利用する場合、電気変換して使うより、燃料として直接燃焼したほうが、遥かに効率的です(ということは、オール電化住宅なんて無駄のオンパレード)。
これは実際の価格にも反映してまして、同じ熱量を得る場合の電気料金と灯油料金を比較すればわかります。
このように電気エネルギーというのは、本当は、効率が悪いエネルギーだったのです(しかし便利!)。

私たちが生きている工業生産システム社会では、再生産できないエネルギーというのは、まったくもって使い物にならない、ということは自明だと思います。
例えば、石油でいえば、「石油火力発電所で発電したエネルギーで、火力発電所を生産維持管理でき、さらに各産業、家庭へとエネルギーを使うことができる」ので、優れたエネルギーであるといえるわけです。
これは、「環境問題を考える」の「石油代替エネルギー供給技術の有効性の検討」から学んだのですが、エネルギー産出比の話なんです。
ちょっと引用します。

エネルギー産出比とは、あるエネルギー供給システムに対して、投入されるエネルギー(資源)量に対する出力として産出されるエネルギー(資源)量の比率によって表される。
http://www.env01.net/ss02/ss022/ss0225/ss02251.htm#n01

エネルギー産出比>1がそのエネルギー自身を再生産できる最低条件で、これが1以下だとそのエネルギーシステム自身を再生産すらできませんから、全く役に立たない、というわけです。
石油火力発電のエネルギー産出比は、それ自身は0.35ですが、石油そのもののエネルギー産出比が非常に高いので、石油採掘から電気エネルギーと取り出すまでを考えれば、その産出比は3.5になるようです。

太陽光発電に未来はない?
クリーンエネルギーとして名高い太陽光発電ですが、確かに設備してしまえば、太陽光から電気を取り出し、出るのは熱だけでしょう。
ところが、生産段階から廃棄段階まで考えれば、太陽光発電システムには、多量の石油を含むさまざまな原料が使われて消費されているようです。
環境問題を考える」によると、エネルギー産出比は、確実に1以下ですから(つまり太陽光発電で生み出すエネルギーで、自身を再生産できない)、石油やその他の原料資源の無駄遣いなだけなのです。
ちょっと簡単に書いてしまいましたが、ここで全部のエネルギーを太陽光発電だけで発電するとします。
太陽光発電システムの耐用年数を20年とします。
まあ、30年でもいいんですが、日本じゅうの平地に発電パネルを敷きつめて、順調に発電したとしても、やがて壊れてしまう発電システム自身を更新できるほどのエネルギーすら産出できない、というのです。
ということは、われわれの社会を支えるエネルギー源としては無理。
しかも、日照時間というのは一定ではありませんから、電力をバックアップする設備(揚水力発電、燃料電池などの低効率蓄電設備)にも、かなりの資源を費やさなければなりません。
これじゃ、とてもじゃない、使えない発電なのです。
そして、あの太陽光発電の促進補助金(自然電源促進税参照)もまた、無駄遣いだったのです。

風力発電は日本では適さない?
環境問題を考える」によると、風力発電のエネルギー産出比は大体0.35ぐらいで、石油火力発電と同程度だそうです。
風力資源さえあれば、使える発電かもしれないのです(石油資源延命の意味で。しかし産出比<1では石油なしでは風力発電施設すら再生産できないことになる)。
が、わが日本ではそんな安定した風力はないのです。
安定しない風力発電の電力も、バックアップ設備が必要になるのは当然のこと。
やはり日本では風力発電も使えない発電です。

エネルギー問題に関する共通項
エネルギー生産の大前提は、再生産できること、すなわち、エネルギー産出比>1であること。
そうでないエネルギーは、ただの石油エネルギーの浪費だということです。
今までは、表面上のクリーンさだけを、私は見ていました。
実は実はそんなものじゃない。
まるで綺麗なバラにはトゲがあった話だったのです。
先の温室効果の話(「漁師のつぶやき」危うし!←ファイル消失)と、このエネルギー産出比の話は、ものすごい収穫です。
このような基本的な、そして大きな枠の知識というのは、非常に大切です。
一部の小さい知識だけの正誤を語っていても、大枠の理解がないと、その小さい知識の議論は意味がなくなります。
環境問題を考える」には本当に感謝しなくちゃいけませんね。

ちなみに国がクリーンエネルギーと宣伝する原子力発電も、石油なしではやっていけない発電です。
核燃料だけでは稼動できません。
しかもあのものすごい猛毒を地球上にジャンジャン生み出すわけですから、史上最悪の発電システムです。

それにしても、書き変えなければならないことが山ほど出てきました。
どうしましょう?
(2004年11月15日)

加筆
史上最高の石油エネルギーがなくなったら、次の考えられる有効なエネルギーは何か?
それは液化石炭かガス化石炭。
これは何と140年も前に、経済学者のジェボンズという人が考案したんだそうです。
しかしその前に私たちは、この便利な石油エネルギーをどう使っていくのかを考えるべきなのです。
そう、節約。
省エネルギー。
それも部分的なことから考えるのではなく、総合的な視点で考え、例えば、代替エネルギーとしての太陽光発電とか風力発電は石油エネルギーの無駄でしかないからもう生産しない、というように(生産してしまったものは使うべきですが)政策立案すべきです。
もし地球温暖化が化石エネルギー燃焼に伴うものだとしたら(←仮定の意味ですよ)、石油エネルギーを無駄に使うということは、地球温暖化を促進することなのです。
とにかく、石油を使う行動すべてにおいて、石油使用の効率性を重視していかなければなりません。
当然のことですが、今まで書いてきた自動車利用のあり方、公共交通機関の利用促進、それに伴うインフラの必要性などは、石油投入量の観点からみても、正しいといえるのではないでしょうか。

それから再度書きますが、原発など論外であり、かなりの石油エネルギーと投入しながら発電し、さらに厄介な核のゴミを生産し、それを石油エネルギーを使って半永久的に管理しなければなりません。
石油がなくなったら、この原発のゴミをどう管理するんでしょう?
原発推進者は大バカを通り越して、全員原発施設へ隔離しましょう!

石油エネルギーの代替がないのなら日本は石油生産国に支配されるかもしれない、と危惧する人もいると思いますが、安心してください。
日本には水があります(決して多いわけではありませんが)。
水のない国には文明は栄えません。
だって不思議だと思いませんか?
なぜ中東の石油産油国が日本みたいに栄えないのかが。
「日本人は優秀なんだ!」という人はおバカさんです。
工業を興したくても、冷却する水がないからです。
飲み水だけでも大変。
食糧を生産するのも大変。
これじゃ、工業どころじゃないですよね。
その点、日本には水があります。
みなさん、水を大切にしましょう!
そして、それを保水する森林、そして土壌を大切にしましょう!

水が文明生成の重要な要素だということは、
http://www.env01.net/ss04/ss041/ss0411.htm
を読めばわかります。
(2004年12月20日)

加筆U
石油代替エネルギー供給技術の有効性の検討」には、実は欠点があり、それは後述の「エネルギー産出比」に示してあります。
(2005年1月11日)



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