Column

   最初で最後の千羽鶴
 もう随分昔(約22年前)の話になるが、たった一度だけ自分ひとりで千羽鶴を折りあげたことがある。動機は、お世話になりっぱなしの友人のお母さんが癌を発症したからである。私には何もしてあげることが出来ませんでした。だから、せめてもの思いからチャレンジしたのです。
 
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 文房具屋さんで千羽鶴専用の折り紙を買ってきた。割と小さな折り紙で、金色,銀色から始まり数えてみると1,006枚あった。なのできっちり1,000枚だけを残して折り始めた。年の瀬だったと思う。一日で10羽、一ヶ月で約300羽、三ヶ月で900羽。遅く見積もっても半年ぐらいでは終わるだろうと、楽な気持ちで始めたのは事実である。しかし自分ひとりだったので毎日折り続けることが難しく、「明日、倍折ろう。その明日、また倍折ればいい。」という具合で延び延びになった。それで、結果一年がかりだった。もう次の年の瀬を迎えていました。
 
 折るのは苦労しました。恥ずかしいから家でも職場でもこっそり折っていた。鶴のくちばし、羽根先のずれは少しも許さない折方。正直、思いを込めた。千羽鶴は羽を広げないで、重ねて25羽ずつ透明な釣り糸に通し、落ちないように糸止めにはビーズを使った。25羽ずつ束にしたのは完成後の貧弱さを紛らわすためだった。(25羽×40束=千羽鶴)また釣り糸とビーズを使ったのは、何よりも丈夫で鶴だけを見ることができるからだった。(我ながら、いいアイデアだったと思える。)
 
 それから、お母さんの病気回復を祈って千羽鶴を友人に渡した訳だが感激してくれました。その後友人のお母さんは、無事に手術も済んで再発もなく今もって元気なようです。私の折った千羽鶴が効いたわけでもあるまいが、病気が回復して本当に良かったと思っています。
 
 私の折った千羽鶴は、透明なケースに入れられて今もって飾ってあります。ありがたい限りです。しかしながら、その千羽鶴を男性が折ったとは誰も信じないようですね。
 
PS.
金紙,銀紙 … あと2〜3枚に「病気回復メッセージ」を書いて折り込んでいます。内容は忘れましたが、千羽鶴を分解しないと分からない事実です。
 
何事もやり抜くことは大変です。
でも地球がひっくり返っても、もう千羽鶴は折りません。(大変過ぎました。)
更新日時:
2014/07/12

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