子どものころ近くの山にあった防空壕によく出入りしていた。レンガでしっかり補強された物や地肌向きだしの物などいくつかあった。危ないから遊んではいけないと何度親に言われたことだろう。結局、最後は竹格子を入れられて入れなくなった。
ネットで知り合った人の鉱山跡には大きな穴が開いている。それを見ているとまた入りたくなってきた。メールで尋ねたが危ないからダメと言われた。別のブログでは坑道内の探検記みたいな記事があった。かなり危険な場所まで入っているらしい。こっちはメールの返事もなかった。
場所にバイクで何度も通ってやっと見つけた。そして入れそうだと思ったら装備を整えてもぐり込んでみた。リュックに飲料・食料・タオル・ビニール・カメラ・ランプの予備などを入れ、長袖長ズボンに長靴と軍手・ヘルメット・マスク・ヘッドランプを身につけて入った。
坑道は涼しくて湿気が多い。穴蔵生活は快適と誰かが言ってたが本当だ。こんな近場に避暑地があるなんて驚きだった。でも湿気は想像以上で湿っぽい。岩肌に水滴が付いている。鉱脈の跡か褐色に錆びた筋がずっと続いていた。
注意すべきは落盤と落とし穴。急に天井や壁から石が落ちてくる。足元に暗いところが見えたらそれは竪坑だった。古い坑内図を参考にしているが、それを100%信じると危険だ。間違っていることは多いし、自分も間違ったルートに入っていることもある。ときどき後ろを振り返りながら、向こうに白く見える開口部を確認する。
マンガンの壁は黒くてとても固い。ハンマーでたたいてもビクともしなかった。銅山は雑多で硬いとも硬くないとも言えない。頁岩や石灰岩など堆積岩はもろいのでとても危険だった。ずっと何十年も補強されてないからどこも危なっかしい場所だった。入るときは危険だから躊躇するが、入ってしまうと度胸が付いてそのまま入ってしまう。
中は虫が多い。カマドウマやゲジゲジとかそれを食べるコウモリも多い。キクガシラコウモリのようで天井は黒い塊になっているし、足元はフンだらけである。気持ち悪い人は絶対に入って来られないだろう。地下水がたまって地底池ができていたり、鍾乳洞になっている場所もあった。
さて、今後はもう入らない。自己責任といっても、自分だけで責任取れるものではないことに気付いたからだ。気付かせてくれた人、ありがとう。
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