第34号 2017年6月 発行 聖ベネディクト女子修道院 

オブレートだより

聖ベネディクト女子修道院のオブレート会について

Sr.アリサ 緒方美知子

 オブレート会が、日本の修道院で正式に設立されたのは、今から39年前の1979年の準総会においてです。
当時、日本の修道院はまだアメリカの母院から完全に独立していなかったので、半独立修道院でした。
そのため、シスターたち全員が集まってする会議のことを準総会と呼んでおりました。
 アメリカのミネソタ州の母院では「オブレート」の会員は男女で人数も多く、入会式が盛大に行われ、会員の祈りの義務も聖務日課(教会の祈り)を毎日のいずれかの時課を唱えたり、 また、月に1回集会があり聖堂でシスターたちと共に聖務を唱え、ベネディクト会の霊性を学んだり、とても活発な存在でした。
 アメリカに行く度に、その存在と活動を目にして、日本でも修道院に入会しなくても毎日の生活を続けながらベネディクトの霊性を共にすることができたらと、 発足する2年前からたびたび話し合いを重ね、発案者であるアメリカのシスターベネディスの強い勧めもあって、 1979年(S54)9月15日の第8回準総会においてオブレート会員の募集が承認されたのです。
オブレート会員の募集を始めるに際して会の目的や内容について検討を重ねました。

目的

 修道生活はできないけれど、聖ベネディクトの精神を持つキリスト者としての生活を送りたい人たちのために、私たち修道会が霊的支えを提供し、 その会員たちも祈りによって私たちを支えてくださるという、祈りによる 相互援助を目的とする。

オブレートの努め

 (1) 毎日一回定められた「オブレートの祈り」を唱える。
 (2) 希望者は「教会の祈り」を唱える。
 (3) 常に修道会の霊的成長のためお祈りください。
 (4) 聖ベネディクト女子修道院が他の人々にも知られるように努める。

 当初は10名だった会員が今は100名近くになり、会員と修道院が祈り合い、その存在の意義の深さを感じています。
毎日祈っていただいている(1)の「オブレートの祈り」は実に意味深いものです。
「教会の中にわたしたちの父聖ベネディクトが守り続けたあなたの精神をふるい立たせてください。・・・」から始まっています。
その精神とは何でしょうか。
それは「神を求める」(To seek God)と言うことです。
なぜ英語でも表したかというと、英語のseekは神をさがし求めるというニュアンスが含まれていますので、この方が真実の意味があると思います。

 「ベネディクトの戒律」も神を探し求める手段として多方面から述べられています。
エスター・デュ・ワール女史はその著の中で神を探し求めるとは、何かを取得したり、何かに秀でることとは関係なく、 それは神の恵みに全く依存して神に向かって進むことだと述べています。

 日常の平凡な生活の中で何をする時も、喜び、悲しみ、苦しみ、その他、私達の中で起こるすべてのことに神の現存を信じて過ごす時、私たちは神を求めているのです。
そのために、度々「主よ」と呼びかける事も、主の現存を思い起こす良い方法です。
エスター・デュ・ワールのおっしゃっているとおり、「純粋なベネディクト的生活の美しさは神の栄光のために普通のことを静かに完全に行なうことにかかっています」

 オブレート会員の皆様の祈りに感謝しています。
祈りの中で一致して毎日が送れますように。