No.41/2007.1
他館レポート
金沢 21 世紀美術館を訪ねて

  暮色ただよう 11 月下旬、街路灯の光が小雨に濡れるなか金沢 21 世紀美術館に向った。

  金沢市役所に隣接して香林坊と兼六園を結ぶ道の広坂 1 丁目 2 番に美術館がありました。ここは新しい文化と賑わいを創造し、街に活気を呼び、出会いや体験を通じて市民をはじめ多くの人々が参画、交流する公園のような美術館を目指して設計されたと聞きました。美術館は東西南北 4 ヶ所に出入口があり有料ゾーンに 14 の展示室がありました。自由に出入り出来る無料ゾーンには、市民・デザインの両ギャラリー、多目的・レクチャーの両ホール、図書室、キッズスタジオ、託児室、情報ラウンジ、メディアラボ、ショップ、カフェ、レストランなど数多くの施設が配置されておりました。又、地形の関係で一部地下フロアーが有り、ギャラリー、会議室、スタッフルーム、駐車場からの出入口が有りました。

  敷地内には別棟で茶室や滞在制作可能な工房などもあり、その多彩な機能、設備に驚きました。

 私が入館した日曜日の夕方という時間帯と小雨模様の天候のせいか、 4 ヶ所ある出入口に続くフリーゾーンには人波が行き交い、通り抜けの人々なども含め、街中アーケードのような雰囲気も有りました。展示室には中年女性の団体客や子供達の姿も見られ、モダンアートの作品を前に美術館スタッフに質問している姿も見られました。私は奈良美智氏の作品展示室から話題の作品レアンドロのプールに向かいました。光庭に設置されたプールの水面を地上からと地下からの双方向で見る事が出来る恒久設置作品で、ここにも多くの鑑賞者がおりました。ショップもカフェも大勢の人でした。

  21 世紀の先駆的な美術館として大勢の人々が集い、アートに出会い、アートに親しみ、街に文化と賑わいと活気を創造するという考え方は、木田美術館創設時の理念とも重なります。この目標がここ金沢の地では確かに現実のものとして達成されつつあるとの思いを胸に、金沢 21 世紀美術館を後にしました。

M.T
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