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  江戸で川柳で生活エッセイ。
  活字のぎっしり詰まった本が好き。でもこの本のように枠線有りの33字×12行なんてのも悪くない。軽やかで無駄のない文章も悪くない。江戸時代へ気持ちよく飛んで行けておすすめ。
  たとえば川柳子には、「江戸川柳は洒落心のカタマリだ。出来の良い川柳は必ず、ちょいとひねりが効かせてある。それだから、読むそばからするする解けるのより、しまいまで読んで、一拍おいて、『ああ、そういやそうだ』と膝を打つ妙味がよろこばれる」。
  または正月三箇日の雑煮。江戸のお侍さんちでは上から下までみんな平等にごくごくシンプルな雑煮を三日も食べ続けた。家康による質実剛健案なのでやめるわけにもゆかず、連綿と受け継がれていつしか庶民も「おれっちの殿さん」にならい雑煮を食べるようになった。そして「三日喰う雑煮で知れる飯の恩」なんて川柳が生まれるのである。
  文庫の
解説が山本益博。曰く「お江戸の人々が、安穏の日々をいかに知恵をしぼって安閑と暮らしていたことか。」うまいこと言う。



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