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〜名古屋発成田、ソウル経由パリ行〜
***以下文中1フランは約17円です***

7月3日4日5日・ 6日・ 7日8日

0706 Thu.
晴れ
この日はめずらしく朝から非常に良い天気。パリと言えばやっぱりセーヌ川というわけで、セーヌ川の水上バスに乗りに行く。
オルセー美術館の乗り場で1日乗車券(65フラン)を買って、船上の人となる。途中ノートルダム寺院など有名な建物を眺めつつ、船はゆったりと進む。船に乗ると格別ゆったりと時間が進む気がする。
うーん、こういうのんびりとした感じが旅の醍醐味というものでありましょう。
水上バスの乗船券
シャンゼリゼの停留所で降りて、有名なその通りを歩くことにする。シャンゼリゼ通りは名古屋の久屋大通りと確か姉妹通り(でいいのか)になっていたような気がするな、とふと思う。しかしなんとなく原宿のようでもある。あまり感動もせず一流ブランドのブティックが並んでいるので有名な、フォーブル・サントノレ通りを歩いて、ホテル近くのマドレーヌ寺院あたりに戻ることにする。
ブランド品は実際ほとんど縁がないけれども、そこに惜しげもなく注がれている職人技や、完成された芸術のように美しい作品を見るのは大好きである。中でもやっぱりエルメスのウィンドウディスプレイは格別で覗き込むだけで、堪能できるようになっている。さすがだ〜。お店から出てくる人もなんとなくその辺にいる人とは違うんだなこれが。
さて、マドレーヌ寺院界隈に到着。とっくにお昼を回っていたので、どうしようと悩んだ末に日本でもお馴染みなフォションのサロン・ド・テ(高級な喫茶店といったところ)に入ることにする。しかーしやっぱりフォションはお高かったのだ。基本的には二人ともサンドイッチとサラダと紅茶をとったのだけれど二人でなんと370フラン!(サービス料込)そりゃあ、ギャルソンの人もそれなりにかっこよかったしお店もきれいで雰囲気もよかったけどさ、にしてもな〜。そりゃあ、私の食べたパンにグリーンアスパラをのせてチーズをのせて焼いたサンドイッチは、日本じゃなかなか味わえないだろうけどさ。しかしおいしくても量が多くてなんかあきちゃうしなあ。あすわさんのところにあった赤くて何かのフルーツのシャーベットのようでおいしそうに見えたものが、実は甘くなくてなんか辛くてよくわからないものだったってのもなあ…。(ほんとにあれは何だったのだろうか?)
まあ、しかしお店にいるいかにも金持ちなマダム達を観察できたのは楽しかったです。
遅い昼食でおなかをいっぱいにしたあとは、いつものようにホテルの部屋にもどって、一休みタイム。
仕度をしてオペラ駅からバスチーユ駅まで地下鉄に乗る。乗りながらあすわさんに「日本みたいにオペラ・バスチーユはこっちっていう矢印がないんですよ〜」なんて話す私。しかし、駅に着いてちょっと出口方面に歩いたらしっかり、オペラ・バスチーユの文字と矢印が壁に書いてあったという…。ああ〜、私ったら何も見えてなかったのね〜。というわけで矢印に沿って地下道を歩いて出口を出ると、すぐ目の前にオペラ・バスチーユの建物が…。
しかし、ガルニエ付近もあまりきれいとは言い難いが、このパスチーユ付近はさらにきたない。ゴミがいっぱい歩道に落ちてるしなあ。若者がオペラ・バスチーユの外の階段に座りこんでるしなあ(うーん、どこの国も同じか…)。
時間が余っていたのでオペラ・バスチーユを遠まきにして写真を撮る私達。道の角々のカフェにはほんとにたくさんの人が入っている。みんなそんなにカフェが好きなのか〜って感じ。好きなんだろうなあ。相変わらずお土産屋さんでガルニエにはない絵葉書を目ざとく見つけて買う私達。開演時間も迫り、席につくことにする。今日は迷うこともなくすんなりと席に着く。この日もバルコニー席最前列で見晴らしはばっちりである。
オペラ・バスチーユ
『ライモンダ』
アレクサンダー・グラズノフ音楽
ルドルフ・ヌレエフ改定振付(マリウス・プティパ原振付)
衣装・装置ニコラス・ジョージアディス
パリ・オペラ座管弦楽団

配役
ライモンダ…エリザベット・プラテル
ジャン・ド・ブリエンヌ…ジョゼ・マルティネス
アブデラム…ヤン・ブリダール
アンリエット…ローレンス・ラフォン、クレメンス…ファニー・フィア
べランジェ…ヤン・サイズ、ベルナール…ステファン・ファヴォラン

ライモンダのチケット
この日当初の予定では、アブデラムはロモリになっていてもしかしたら私、ロモリ3連チャン? と思っていたらさすがに違ってました。ヤン・ブリダールは初めて見るダンサーなので楽しみ〜。
さて、前奏曲が始まる。美しい音楽である。この日も実はガルニエでアルボ、ルグリの『ジゼル』をやっているわけで、オーケストラ、ダンサーともに二手に分かれているのですね。でも音楽も素晴らしいしもちろん群舞もすごいわけでして、本当にパリ・オペラ座ってすごいんだなあ、と実感する。
この日の一番の目的は一度全幕を生で見てみたいと思っていたプラテルです。彼女は去年40歳定年制のエトワールの制度にのっとって引退したわけですが、こうやってやっぱりたびたびオペラ座で踊ったりするわけなのね、うん、そりゃそうでしょうともまだまだ踊れるよ〜という感じである。
舞台の流れは4日分のものを参照していただくとして、この日の感想を主にいきたいと思います。
楽しみにしていたプラテル、登場シーンでは拍手があがる。うーむ、そうか、オレリーちゃんとはやっぱ違うんだなと思う。多分、プラテルファンの人がいっぱい来てるんだろうな。そして踊りが始まる。ワクワク。しかし最初の花を拾ってアチチュードをするところで、ありゃりゃ?、どうしちゃったの、脚がふらついてるよ〜、え〜、大丈夫かしら?とちょっと不安になる。やっぱり、もう現役じゃないから? それにしても引退してまだそれほどたってないはずだよな〜、うーん…。それから、その後も簡単なピルエットでかかとをついたりして、さらに不安はつのる。こんな状態でこの長丁場を最後まで踊れるのかしらんと見てる方がドキドキする。こういう細かい失敗が続くと、舞台に集中できないから困ってしまう。それから少し(かなり)がっくりな気持になる。プラテルはもともとそれ程超絶技巧の人で はないけれど、花のある容姿と、安定したテクニックでやはり花のある踊りが魅力のバレリーナである。その持ち味が『ライモンダ』にきっと合うと思っていただけに、テクニックの歴然とした衰えがどうにも寂しいのである。もちろん、現役時代ほど踊れないのはしかたがないにしても、まだふらつく歳じゃないはずだよ〜、えーん。というわけで、しかしあまりプラテルにこだわっていてもいけないので気をとりなおして舞台を見る。
ジョゼ・マルティネス、まったくいつ見ても姿が格別美しいダンサーである。頭ちっさーい。でもってやはり白タイツ衣装が本当によくお似合いである。ヤン・ブリダールもがんばっている感じである。べランジェとベルナールの二人は、例の見せ場のシーンで今日もまたよく踊っている。この役は私の見た2日ともスジェだったけれど、初役のイレール、ルグリの時からもしかしたらそういう慣習なのかもしれない。でもって昇進の足がかりになるのかもしれない、とチラッと思う。
ところでイレール、ルグリがべランジェとベルナールをやった時の他のキャストが知りたいと思うあなたにそっと(どこがだ)教えてさしあげますが、ライモンダはポントワでジャンがヌレエフ(当然)そして、アンリエットとクレメンスがギエムとピエトラガラだったっつーから驚きですね! むう、こんな舞台が見てみたいものです。見てみたいといえば、ルグリ、イレールでジャンとアブデラムをやった舞台も見てみたいものです。これはまだ実現の可能性がないわけでもないですが、でも、もうルグリがジャンのようなあんまし深みのない役をやってくれないような気がします。
1幕が終わり、問題(何がだ、笑)の2幕の始まり。このあたりからプラテルの調子が上がり始める。ああ、よかったホッとした〜、これなら大丈夫というわけで例の木馬シーンである。隣りの席のあすわさん、大受けで笑う。実は4日の日これについては報告しなかった私。内緒にしていたかいがあるというものです。
元来の花を取り戻したプラテルとこちらはもう、文句のつけようのないマルティネスでもってめでたしめでたしです。

3幕のライモンダのソロ、プラテルは十分に美しかったです。できれば最初からこうであって欲しかったなあとちょっと残念。そうしたらきっとステキな舞台だっただろうになあ。

さて舞台が終わって、この日はもう遅いので素直にホテルに帰る。遅い昼ご飯で、おなかいっぱい食べたとはいえさすがに少しおなかが減ったので、またしても朝食べきれずに持ち帰ったパンに、ジャムを付けて食べる。なんかハイジみたいにみすぼらしいよ〜、と笑う私達。そして、就寝。明日はバレエ最後の日だ〜。寂しい〜。

もうちょっとで終わり…   上に戻る

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