中つ国は闇に閉ざされ、オロメとヤヴァンナが気にかけ、時々訪れる以外は、放置された状態であり、メルコオルの手下の跋扈するところとなっていた。
ヴァラアルは、中つ国にエルフが目覚める時に備え、光を灯すこととした。
ヴァルダはテルぺリオンの雫を貯めた大桶から、光の雫を取り、空に蒔いた。テルぺリオンの雫は星となって、夜空を照らした。
ヴァルダが星を創造し終えた時、中つ国の東、クウィヴィエーネンでエルフが目覚めた。エルフたちが初めて見た光は星の光であり、この為に、エルフ達は、ヴァラアルのうちで、星の作り手であるヴァルダを最も敬愛するようになる。
中つ国、クゥイグゥエーネンに狩をしていたオロメは、森の中でエルフ達の歌声を聞き、エルフ達と出会った。オロメは、しばらく彼らと共に過ごしたが、その後速やかにヴァリノオルに戻り、ヴァラアル達に、エルフ達の到来を告げた。
ヴァラアル達は、エルフ達をメルコオルの手から守る為、これを攻めて虜囚とし、アウレの作った手枷足枷を嵌めて、三紀の間、マンドスの檻に留め置く。
その後、ヴァラアル達は会議を開き、エルフをどのようにするか話し合った。その結果、大多数のヴァラ達の意見により、エルフをヴァリノオルに招聘することになった。
エルフ達は当初、召し出しに喜んで応じようとはしなかった。そこで、同族の為に弁じる使節を選び、ヴァリノオルに連れていった。イングウェ、フィンウェ、エルウェである。彼らはヴァラアルの栄光と威厳に打たれ、戻って、同族に西方に移り住むべきであると勧めた。
この際、イングウェとフィンウェの一族全てと、エルウェの一族の大多数は召し出しに応じたが、その他は召し出しに応じなかった。
まず、イングヴェの率いるヴァンヤアル族がアマンへと渡り、続いて、フィンウェの率いるノルドオル族が、ウルモの引く島に乗って渡った。彼らはアマンの外側をとりまくペローリ山脈の内側で暮らしたが、光にあふれたアマンにあってもなお、星の光を懐かしみ、ヴァラアルに頼んで、ペローリ山脈に峡谷を穿ち、星の輝く外辺へと出られるようにしてもらった。峡谷から漏れ出た光の許で植物は育ち、アマンの内部以外で初めて、花が咲いた。
テレリはゆっくりと旅を進め、3つの種族のうちで最後となった。
テレリの王、エルウェは、中つ国の西端の森を一人逍遥していた。すると、小夜鳴鳥のさえずる声が聞こえ、森の開けた空き地にマイアのメリアンがたたずんでいた。
エルウェは霊感に打たれ、メリアンに近づき、その手を取った。かれらは幾星霜もの間、そうしてただ佇んでいた。
その後、彼らは目覚め、共にその地に住まい、夫婦となり、居所を作った。
エルウェの弟、オルウェとテレリ達は、行方知れずとなったエルウェを探したが、発見できず、それ以後の旅はオルウェが率いていくことになった。
テレリは歩みも遅く、一番遅く西へと渡った。これも、ウルモが中つ国の一部を引き、この島に乗って渡った。
テレリと親しかったオスセは、テレリがアマンへと渡るのを悲しんだ(オスセの職能は、中つ国の海の司であるので)。そこで、テレリの中には、オスセの説得に応じて中つ国に留まった者達もいた。バラアル湾のキアダンを長とする者達である。
また、島に乗って西方へと向かったテレリ達も、オスセの嘆きを聞き、ウルモに頼んで、アマンの岸を望む西の海中(オスセの領分の範囲内)で、島を止めて貰った。
この為、彼らはアマンへは渡らず、言葉も風習もヴァンヤアルやノルドオルと分離していった。
ノルドオルの王族には次のような者たちがいた。
フィンウェの子供達
ミーリエル(ノルドオル)の息子:
フェアノオル(本名:クルフィンウェ) 言葉と手の技に優れ、弟達より博識。
フェアノオルの息子:マエズロス(丈高き)、マグロオル(伶人)、カランシア(黒髪の)、
ケレゴルム(金髪の、狩人)、クルフィン(巧みの)
アムロド、アムラス(そっくりの双子、狩人)
インディス(ヴァンヤアル)の息子達:
フィンゴルフィン 強く、不動の心を持ち、剛勇
その子供達:フィンゴン
トゥアゴン(妻:エレンウェ(ヴァンヤアル))
アレゼル(女性、アル・フェイニェル(白い姫))
フィナルフィン 最も美しく、最も賢明。
妻;アルクウァロンデ(白鳥港)のエアルウェン(オルウェの娘)
その子供達;フィンロド(フェラグンド(ドウォーフ語で洞窟宮の王)、信望篤き)
オロドレス
アングロド、アイグノオル
ガラドリエル(フィンウェの一族の中で最も美しい)
ウルモの引く島(エルダマアル湾に止められた島はトル・エレスセアと呼ばれた)に乗って西へと渡ったテレリ達は、やがて、ペローリ山脈に穿たれた峡谷から漏れ出てくるアマンの光に魅せられ、オスセへの愛着と葛藤したが、やがてアマンへの執着が勝ち、オスセに頼んで、ヴァリノオルへと渡る手段を与えてもらった。彼らは船を作り、オスセは、嘆きつつも、彼らに白鳥を遣わし、白鳥に引かれた船は、アマンへと渡っていった。
テレリ達は、アマンの外辺、西の海のほとりで暮らし、ここにアルクウァロンデ(白鳥港)を建造した。ノルドオルはあまたの宝石をテレリ達に与え、彼らはそれを岸辺や池に撒き散らした。また、テレリ達はあまたの真珠を海から得て、それも岸や池に撒いた。
アルクウァロンデの館は、真珠で作られた。 |