DrumsLudwig L201 Speed King

Ludwig Speed King(ラディック・スピードキング)

サイトのリニュアルについて!
・趣味サイトのサーバー容量が限界に達したため(文字数はこのページだけで16万4千字)、2018年夏より編集作業が中断しています。現在、スマホでも閲覧しやすいよう、ページを分割し、RWD(レスポンシブ・ウェブ・デザイン)で改編中ですが、各コンテンツの記事が膨大で、作業時間もほとんどとれていません。2022年(令和4年)夏までにはリニュアルを完了させる予定です。大変ご迷惑をお掛けいたします。


■重要! 必ずお読みください!
 ~
ビーターロッドを必ず加工してください!

・本サイトでは『Ludwig Speed King(ラディック・スピードキング)』と『Premier(プレミア) 250S』を中心に紹介していますが、いずれのフットペダルも『蝶ボルト』を指で締め込んでビーターを固定する方式が採られており、数十年来、演奏中にビーターが脱落するアクシデントがつきものでした。そこで、蝶ボルトの固定を強めるため、ビーターロッドの側面で、蝶ボルトが押圧されるポイントを金属ヤスリで加工する必要があります。

ビーターロッドの研削①
・本来は蝶ボルト末端がロッドの「曲面上の一点」でしか支持されなかったものが、研削により「平面上の二点」で支持されるようになります。
・作業時間は3か所の加工で計10分程度です。
・蝶ボルトの固定力向上策として、ビーターロッドの側面を「平坦に加工する方法」や「複数の細い切り込みを入れる方法」等を試しましたが、ビーターの打撃による衝撃や振動が継続すると、やはりビーターロッドが脱落することがあり、十分な効果を得られませんでした。しかし、上記の研削法(平面二点固定式)により、ビーターロッドの固定力が格段に向上する結果を得られ、比較的簡単な作業で相当な効果を期待していただけます。

①片方の手でビーターを固定し、金属ヤスリをロッドの真横から押すようにして切り込みをいれます。
②ロッドの真横から見て「お椀形」になるように切り込みます。幅は3mm程度になるようにしてください。
※一度ビーターを固定したら、その角度のまま動かさないでください。
※はじめは力を入れず、スジを付けるつもりでゆっくりと切り込みを入れてください。
あまり深く研削しないでください。『プレミア250S』の蝶ボルトの場合、深くねじ込まれると蝶ボルトのウイングが駆動部に接触し、それ以上蝶ボルトをねじ込めなくなります。
※金属ヤスリは押すときに研削ができるようにヤスリの目が形成されています。
※金属ヤスリはダイソーの『ホビー工作ヤスリ・二本組(丸・三角)』の「丸型」を使用しました。
※ビーターのセッティング時には、蝶ボルト末端が「座りの良いポイント」に当ててから強く締め込んでください。

ビーターロッドの研削②

・ダイソーの『ホビー工作やすり(丸・三角)』以外の類似品を使用して加工することも可能です。
・「お椀型」でなく「逆三角形」にえぐっても蝶ボルト末端は「平面上の二点」で支持されます。

『スピードキング』、『プレミア250S』のロッド抜けの原因
(1)蝶ボルトの末端もロッド側面も曲面であるため、両者が「ほぼ点での接触」となり、固定力が低い。
(2)蝶ボルトを指で締め付けるだけなので、締め込みが甘くなりがち。
(3)ドラムヘッドへの打撃時に、ビーターロッドを通して衝撃が伝わり、蝶ボルトが緩みやすい。特にロッカー(駆動部)側のロッド穴の径に比べてロッド径の細いビーターを使用すると、打撃の際にロッドがぶれ、そのブレによって蝶ボルトの緩みが進みやすい。
※『スピードキング』、『プレミア250S』のいずれも蝶ボルトは45度の角度でロッドに押圧されます。


重要! 必ずお読みください!
 ~TAMAの角頭ボルト(MS612SH)を使用しないで!

・ネット上でスピードキングの蝶ボルトの緩み対策として『TAMA 角頭ボルト(MS612SH)』の代替使用を推奨する案件が流布していますが、両者はそもそもインチサイズとミリサイズで規格が完全に異なります。スピードキングの純正蝶ボルトは「1/4インチ径(約6.35mm径)」で、『TAMA 角頭ボルト(MS612SH)』は「M6(6.0mm径)」です。また、ピッチ(pitch=ネジ山の間隔)については、純正蝶ボルトが「0.9mm」に対し、『TAMA 角頭ボルト』が「1.0mm」、ネジ山の数は、純正蝶ボルトが「10mm当たり11」に対し、『角頭ボルト』は「10mm当たり10」です。
・『角頭ボルト(スティール製)』のほうが径が小さい分わずかに遊びがあるので、ネジ山3つほど奥までは指でもねじ込めますが、行き止まったその先をさらにチューニングキーを使用して強引にねじ込むと、ロッカー(駆動部=アルミ製)側のネジ山を崩してしまいます。角頭ボルトのほうがわずかに径が小さいため、多少ネジ山が崩れた状態のままでも当面はペダルを使用できるようですが、いずれネジ山の完全破壊が起きてボルトがズル抜け状態となり、ねじ溝の切り直し加工、もしくはロッカー(駆動部)の交換修理が必要となります。
・特にビンテージ品としての価値の高い70年代以前に製造されたスピードキングの個体数減少を防ぐため、『TAMA 角頭ボルト(MS612SH)』の代替使用を絶対に避けてください。また、現在ネット上に上記代替措置を記事として掲載されている方は、記事内容の訂正、および注意喚起を行っていただくようお願いいたします。
・『TAMAの角頭ボルト(MS612SH)』を使用したスピードキングを中古市場に出品する際には、少しでも高く売りたいという出品者としての心理は理解できますが、事実をありのままに申告し、購買する側の立場に立って出品対応していただくようお願いします。
※『スピードキングの純正蝶ボルト』の規格は『1/4‐28(4分の1インチ径=6.35mm径・1インチ当たり山数28=ピッチ0.9mm=10mmm当たり山数11)』、『TAMA角頭ボルト(MS612SH)』は、『M6‐1.0(6.0mm径・ピッチ1.0mm=10mm当たり山数10』です。
※尚、2020年に6年ぶりに再発された『リニュアル版 L203 スピードキング』のロッカー(駆動部)に使用されている「角頭ボルト」のサイズは「M6(6.0mm径)」であり、ロッカー側のねじ溝も「6mm」サイズに切られているため、このモデルには「TAMAの角頭ボルト(MS612SH)」を代替使用することができます。逆に2014年以前に製造された「旧型スピードキング」に使用されている「蝶ボルト(1//4インチ=6.35mm径)」をリニュアル版スピードキングに代替使用することができなくなりました。
(記:2022年1月9日)


重要! 必ずお読みください!
 ~スピードキングは太腿(ふともも)の裏で踏む!?

・2012年よりスピードキングと格闘してきて、漸く9年半経った2021年後半になって、スピードキングを制御するコツらしきポイントの一つに気づきました。
・16分拍などで速く踏む必要がある際、無理にでも正確に打撃しようとするため次第に力みが強くなり、脚の筋肉も硬直してきます。同時に膝も上がってきて、尚更制御が乱れます。この悪循環を断つため、膝が上がらないよう太腿の裏でストゥール(ドラム椅子)の縁(へり)を打ち付ける要領で打撃してみると、かなり制御性が向上することに気づきました。無駄な力みも減ります。是非お試しください!
・スピードキングはその独特のアクションやクセのある操作性から、現代においては自由にこのペダルを使いこなせるドラマーが世界的にも極めて少数となりました。今後もスピードキングという歴史的名機の使い手、文化の継承者が増え広がればと願っています。
※『スピードキングがものにできない・・・!!』の記事も是非ご参照ください。スイベル系フットワークの導入によっても制御性が高まります。


重要! 必ずお読みください!
 ~
推定年代の変更!

・以下年表は「2017年5月2日現在」のものです。スピードキングの年代による仕様の違いを調査している段階で、1970年前後の仕様が当初の推定より1年程度繰り上がる可能性が出て来ています。サイトのリニュアル後に訂正を含め、詳細を反映させます。(追記:2019年10月23日)

仕様年表(2017年5月現在)

※中古品の中にはフレーム本体とフットボードとが年代の異なるもの同士「組み替え」られていたり、あるいは「組み違い」が起きていたりする場合があり、明らかにそのように判断できるものは参考から除外しています。
※コネクティング・リンクやロッカーシャフト等において「部品交換」が行われたと推測される個体も参考から除外しています。
※’drummechanix’等のカスタムショップにより改造されたと思われる個体についても参考から除外しています。
※ラディック社の発行したカタログ、当方の所有する実機、中古市場に出品されている個体の画像等をもとに、当方の個人的な推測を交えて年表を作成しているため、事実と必ずしも一致しない場合があります。その点、予めご了承ください。



CONTENTS

Drummers who usud Speed King Pedal(スピードキングを使用したドラマー)
※検証:81名
(2021年11月5日現在)
John Bonham:Led Zeppelinジョン・ボーナム:レッド・ツェッペリン
Bill Bruford:Yes/King Crimson
ビル・ブルーフォード:イエス/キング・クリムゾン
Roger Taylor:Queen
ロジャー・テイラー:クイーン
Ringo Starr:The Beatles
リンゴ・スター:ビートルズ
Don Brewer:Grand Funk Railroadドン・ブリューワー:グランド・ファンク・レイルロード
Carmine Appiceカーマイン・アピス:ベック・ボガート&アピス
Mick Tucker :Sweet ミック・タッカー:スウィート
Levon Helm :The Band リィヴォン・ヘルム:ザ・バンド
Richard Manuel:The Bandリチャード・マヌウェル:ザ・バンド
Bill Ward :Black Sabbathビル・ウォード:ブラック・サバス

Derek Longmuir:Bay City Rollesデレク・ロングミュア:ベイ・シティ・ローラーズ
Charlie Watts:The Rolling Stones
チャーリー・ワッツ:ローリング・ストーンズ
Art Tripp:Frank Zappa & The Mothersアート・トリップ:フランク・ザッパ & ザ・マザーズ
Robert Wyatt:Softmachineロバート・ワイアット:ソフト・マシーン
Neil Peart:Rush
ニール・ピアート:ラッシュ
Nick Mason:Pink Floydニック・メイスン:ピンク・フロイド
Guy Evans:Van der Graaf Generatorガイ・エヴァンス:ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイター
Bill Kreutzmann:Grateful Dead ビル・クロイツマン:グレイトフル・デッド
Mel Taylor:The Venturesメル・テイラー:ザ・ベンチャーズ
John Hartman:The Doobie Brothers ジョン・ハートマン:ザ・ドゥービー・ブラザーズ

Michael Hossack:The Doobie Brothersマイケル・ホサック:ザ・ドゥービー・ブラザーズ
Dennis Thompson:MC5デニス・トンプスン:MC5
Simon Kirke:Free/Bad Copmanyサイモン・カーク:フリー/バッド・カンパニー
John Densmore:The Doorsジョン・デンスモア:ザ・ドアーズ
Michael Shrieve:Santanaマイケル・シュリーヴ:サンタナ
Butch Trucks:The Allman Brothers Bandブッチ・トラックス:オールマン・ブラザーズ・バンド
Mick Avory:The Kinks ミック・エイヴォリィ:ザ・キンクス
Jerry Edmonton:Steppenwolfジェリー・エドモントン:ステッペンウルフ
Peter Criss:KISSピーター・クリス:キッス
Eric Carr:KISSエリック・カー:キッス

Rick Parnell:Atomic Rooster リック・パーネル:アトミック・ルースター
Clive Bunker:Jethro Tullクライヴ・バンカー:ジェスロ・タル
Des Dyer:Jigsawデス・ダイヤー:ジグソー
John Martin:Dr. Feelgoodジョン・マーティン:ドクター・フィールグッド
Florian Pilkington-Miksa:Curved Airフローリアン・ピルキントン・ミクサ:カーヴド・エア
Nicko McBrain:Iron Maiden ニコゥ・マクブレイン:アイアン・メイデン
Clive Burr:Iron Madenクライヴ・バー:アイアン・メイデン
Don Powell:Slade
ドン・パウエル:スレイド
Dave Holland:Judas Priestデイヴ・ホランド:ジューダス・プリースト
Rudy Lenners:Scorpionsルディー・レナーズ:スコーピオンズ

Floyd Sneed:Three Dog Nightフロイド・スニード:スリー・ドッグ・ナイト
Scott Asheton:Iggy & The Stooges スコット・アシュトン:イギー & ザ・ストゥージス
Jerry Nolan:New York Dollsジェリー・ノゥラン:ニュー・ヨーク・ドールズ
Phil Rudd:AC/DC フィル・ラッド:AC/DC
Tommy Ramone:Ramonesトミー・ラモーン:ラモーンズ
Joey Covington:Jefferson Airplane ジョーイ・コヴィントン:ジェファーソン・エアプレイン
Joe Vitale:Joe Walsh/Barnstormジョー・ヴィターレ:ジョー・ウォルシュ/バーンストーム
Don Henley:The Eaglesドン・ヘンリー:イーグルス
Bun E. Carlos:Cheap Trickバン・E・カルロス:チープ・トリック
Ric Lee:Ten Years After リック・リー:テン・イヤーズ・アフター

Steve Smith:Journeyスティーヴ・スミス:ジャーニー
Phil Collins:Genesisフィル・コリンズ:ジェネシス
Michael Giles:King Crimson マイケル・ジャイルズ:キング・クリムゾン
Jaki Liebezeit:Canヤキ・リーベツァイト:カン
John Richardson:Rubettes ジョン・リチャードソン:ルベッツ
David Getz:Janis Joplinデイヴィッド・ゲッツ:ジャニス・ジョプリン(B.B.&H.C)
Jamie Oldaker:Eric Clapton's bandジェイミー・オールデイカー:エリック・クラプトン・バンド
Micky Dolenz:The Monkeesミッキー・ドレンツ:ザ・モンキーズ
Mick Fleetwood:Fleetwood Mackミック・フリートウッド:フリートウッドマック
PIETER VOOGT:Ekseptionピーター・フォークト:エクセプション

Joey Kramer:Aerosmithジョーイ・クレイマー:エアロスミス
Bobby Torello:Johnny Winterボビー・トレロ:ジョニー・ウィンター
Denny Seiwell:Paul McCartney & Wingsデニー・サイウェルポール・マッカートニー&ウイングス
Pierre Van Der Linden:Traceピエール・ファン・デル・リンデン:トレース
Charlie Hall:The War on Drugsチャーリー・ホール:ザ・ウォ-・オン・ドラッグス
Phil Taylor:Motörheadフィル・テイラー:モーターヘッド
Twink:The Pikn Fairiesトゥインク:ザ・ピンク・フェアリーズ
Pete Phipps:The Glitter Bandピート・フィップス:ザ・グリッター・バンド
Warren Can:Ultravoxウォーレン・カン:ウルトラヴォックス
Alan White:YESアラン・ホワイト:イエス

Graeme Edge:The Moody Bluesグレアム・エッジ:ザ・ムーディー・ブルーズ
Loukas Sideras:Aphrodite's Childルカス・シデラス:アフロダイティーズ・チャイルド
Buddy Rich:Jazz drummerバディー・リッチ:ジャズ・ドラマー
Andrew Cyrill:Jazz drummerアンドリュー・シリル:ジャズ・ドラマー
Dannie Richmond:Jazz drummerダニー・リッチモンド:ジャズ・ドラマー
Eddie Gladden:Dexter Gordon Quartetエディー・グラッデン:デクスター・ゴードン・カルテット
Mickey Roker:Jazz drummerミッキー・ロゥカー:ジャズ・ドラマー
”Papa” Jo Jones:Jazz drummer”パパ” ジョー・ジョーンズ:ジャズ・ドラマー
Rufus ”Speedy” Jones:Jazz drummerルーファス ”スピーディー” ジョーンズ:ジャズ・ドラマー
Joe Morello:Jazz drummerジョー・モレロ:デイヴ・ブルーベック・カルテット

Roy Haynes:Jazz drummerロイ・ヘインズ:ジャズドラマー


Artists / Premier 250S Pedal(プレミア250Sを使用したアーティスト)
Ian Paice: Deep Purple
イアン・ペイス:ディープ・パープル
Cozy Powell: Rainbow
コージー・パウエル:レインボー
Keith Moon:The Whoキース・ムーン:ザ・フー
Rickey Medlockeリッキー・メドロック:レーナード・スキナード
Bob Burns:Lynyrd Skynyrd
ボブ・バーンズ:レーナード・スキナード
Herman Rarebell:Scorpionsハーマン・アーベル:スコーピオンズ
Jack DeJohnette:Miles Davis Group ジャック・ディジョネット:マイルス・デイヴィス・グループ
Elvin Jones:Jazz drummerエルヴィン・ジョーンズ:ジャズ・ドラマー


Artists / Premier 250 Pedal(プレミア250を使用したアーティスト)
Mitch Mitchell:The Jimi Hendrix Experienceミッチ・ミッチェル:ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス
Mel Taylor:The Venturesメル・テイラー:ザ・ベンチャーズ
Ringo Starr:The Beatlesリンゴ・スター:ザ・ビートルズ
・Ben Rieley:Jazz Drummerベン・ライリー:ジャズ・ドラマー


Premier 250Sプレミア 250S


Ludwig/W.F.L. SPEED KING PEDAL


CONTENTS
Beater Rodビーターロッドの研削
Chronological table ~仕様年表
Ludwig Historyラディック略年
スピードキングがものにできない!
Squeak King(キコキコキング)
BONZOの「キコキコ」「キコキコ」を楽しもう
Name of each part各部名称
Action and Feeling操作感

Usability(使い勝手)
Hoop spacers フープスペーサーの作成
Sealing caps
~シーリングキャップの脱落防止措置

Specification(仕様関連)
Logo on footboard
~「WFL ロゴ」から「Ludwig ロゴ」への変更は1968年
2 ribs or 4 ribs
~「2本リブ」から「4本リブ」への増設は1969年
Long or Short type Fin
~「ロングフィン」から「ショートフィン」への仕様変更は1974年
Non-skid pad
~「滑り止めパッド」の装着は1960年頃~1979年頃までか
Connecting link
~ 「薄・長リンク」から「厚・短リンク」への仕様変更は1980年頃
Irregular type ~イレギュラーな文字タイプは1970年代初期以降、不定期的に製造か
Black Chicago ~ ブラック仕様:最初期モデル
Specification
年代別 各部仕様比較
Chronological table
仕様年表
Disassembly分解測定

その他 ~Pearl #810・Pearl P-3000D Demon Drive



LUDWIG HISTORY

ラディック略年表(暫定作成)

※「Ludwig」の米国での発音は「ラドゥウィグ」に近い。

Ludwig Drums 100th Anniversary(100周年記念簡略版/3分15秒)

■1900-1940年代
・1909年:『Ludwig & Ludwig Drum Company』、ウィリアム・F・ラディック(兄)とテオボルド・ラディック(弟)の二人により設立(明治42年)。同年、同社初のベィスドラム用ペダルを製造。
・1918年:弟のテオボルド、スペイン風邪(当時全世界的に流行し、死者4000万人以上と言われるインフルエンザ)に罹患し28歳で逝去。
・1930年:ウィリアム、自社『Ludwig & Ludwig』を『CG Conn(CGコーン)』社に売却。
1937年:ウィリアム、新会社、『WFL Drum Company』をイリノイ州シカゴに設立。シカゴのデイメンアヴェニュー(Damen Avenue)にて製造開始。『WFL』社の製品が『CGコーン』製の『Ludwig』ブランド製品と競合する状況に。
1938年:息子のウィリアム・F・ラディック・Jrが『WFL社』に入社。同年、スピードキングペダルが誕生(昭和13年)。
・1947年:大戦後初のカタログ表紙にバディー・リッチをフィーチャー。

■1950年代
・1951年:『CGコーン』傘下において、『Ludwig & Ludwig』と『Leedy』が『Leedy & Ludwig』として合併。
1955年:ウイリアム(初代)、『CGコーン』社より『Ludwig』の名称を買い戻し、『The Ludwig Drum Company』を設立(昭和30年)。

■1960年代
・1964年:ビートルズのリンゴ・スターがエド・サリバン・ショーにてラディック製ドラムを使用し、ラディック社にとって大きな飛躍のための転機となる。同年、スープラフォニックLM400を発表。
・1966年:ラディック社、『Musser Mallet Percussion(マッサー・マレット・パーカッション)』を買収。
・1968年:社名を『Ludwig Industries』に変更。

■1970年代
・1972年:ビスタライトを発表。
・1973年:ウィリアム(初代)、逝去。息子のウィリアム・F・ラディック・Jrが新社長に就任。

■1980年代
・1981年:ウィリアム・F・ラディック・Jr、社長を退任。同年、『Ludwig』社を『Selmer(セルマー)』社に売却。
1984年:『Ludwig』、設立75周年を迎え、拠点をシカゴからノースカロライナ州のモンローへ移転

■1990年代
・1999年:設立90周年。同年、『セルマー』社の一員として、『Steinway Pianos(スタインウェイピアノ)』と合併し、ニューヨーク証券取引所に上場

■2000年代
・2002年:ラディック、『CGコーン』社、および『セルマー』社と合併し再編。
・2008年:ウィリアム・F・ラディック・Jr、逝去。
・2009年:ラディック、設立100周年。
・2014年:スピードキングの生産が終了。
・2019年:ラディック、設立110周年。
2020年:スピードキングが新型式(L-203)として6年ぶりに復活。


■スピードキングのアルミ部品供給メーカーについて
 ~「K.D.C.」ロゴと「C.W.M.」ロゴ
・WFL時代から2000年代まで長らくスピードキングの本体フレーム、フットボード、ロッカー等のアルミ製パーツに刻印されてきた「K.D.C.」のロゴマークについて、新たに判明した情報として、これはかつてイリノイ州シカゴにあった1919年に創業した「Krone Die Casting(クロゥン・ダイ・キャスティング)」社のものであるようだ。
・また、1970年頃より十数年間、補充的に製造されていたスピードキングの同アルミパーツに見られる「C.W.M.」のロゴマークについては、1937年に創業後、現在もシカゴ近郊で操業を続けている「Chicago White Metal Casting」(シカゴ・ホワイト・メタル・キャスティング)」社のものであるようだ。現在の企業ロゴを見てわかるとおり、かつての刻印とアルファベットの構成デザインが完全に一致している。
・いずれの社もラディックの下請け企業として、ドラムのラグやスタンド類の各種アルミパーツ、また、各種楽器に使用されるアルミパーツ類の鋳造等を請け負っていたと考えられる。しかしながら、「K.D.C.」社は2000年代半ばについに廃業したようだ。また、「C.W.M.」社については、1984年にノースカロライナ州モンローに拠点を移したラディックとの現在の契約状況は不明である。
(記:2019年10月23日)


ラディック・スピードキング
・スピードキングは1938年(昭和13年)に産声を上げ、その後、1950年頃に大幅なデザインの変更と改良を受け、基本設計を同じままに2014年までの70余年にわたり製造が継続されてきました。レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムやビートルズのリンゴ・スター、ローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツ(2019年現在も使用中)、ザ・バンドのリィヴォン・ヘルム(亡くなる2012年まで使用)、キング・クリムゾンのビル・ブルーフォード、ピンク・フロイドのニック・メイスン、クイーンのロジャー・テイラー、ブラック・サバスのビル・ウォード、イーグルスのドン・ヘンリー、ジェネシスのフィル・コリンズ、ベック・ボガート&アピスのカーマイン・アピス、ジェフ・ベック・グループのコージー・パウエル、スコーピオンズのルディー・レナーズ、AC/DCのフィル・ラッド、アイアン・メイデンのクライヴ・バーとニコ・マクブレイン、さらに、ジャズ界ではドラムの神様、バディー・リッチ、名曲『Take Five』で知られるジョー・モレロをはじめ、ロイ・ヘインズ(2019年現在も使用中)、パパ・ジョー・ジョーンズ、ミッキー・ローカー、エディー・グラッデン等、検証により判明している分では2021年11月5日現在で総勢81名と、特に60年代から70年代にかけて、スピードキングを愛用したロック界やジャズ界における伝説的ドラマー達により歴史的作品や名演が多数生み出されてきました。
■伝説的ドラマーのファンやマニアでいらっしゃる方々、60年代ロックや、深化と多様化を極め、ロック黄金期と呼ばれる70年代ロックに深い思い入れのある方々だけでなく、名機と謳われるスピードキングについて興味を抱かれた方には、本サイトをご覧になって、時代を担ったスピードキングという歴史的なペダルの魅力や味わいの一端に触れていただけたら幸いです。
■スピードキングはダイレクトドライブであるだけでなく、クセのある独特なアクションを特徴とするため、現代では世界的に見てもこのキックペダルを使いこなせるドラマーは極めて少数となりました。入手されてもその制御のしづらさに困惑し、即戦力にもならず、そのため、よほどの覚悟と忍耐、研究と練習の積み重ねとが必要となります。スピードキングを使用した伝説的ドラマー達や70年代ロックに強い思い入れがあって、彼らの担った時代や演奏フィーリングを共有、あるいは追体験したいといった、このペダルに対する深い思い入れを抱ける方、スピードキングの歴史的価値とロマンに共鳴できる方、ヴィンテージ楽器に深い関心を抱いている方でなければ、このペダルと付き合い続けること、使いこなしていくことは大変困難です。中古品の入手を検討されている方は、「名機」という謳い文句に幻惑されることなく、一時の興味や衝動でスピードキングを入手されるのはお控えいただくのが賢明かもしれません。
■尚、使いこなせないという理由でスピードキングを手放そうと現在検討中の方は、一度当サイトの『スピードキングがものにできない!』の記事をご参照ください。スイヴェル(系)奏法の導入により問題が解決する可能性があります。是非お試しください。


プレミア250S
・また、本サイトにはディープ・パープルのイアン・ペイスやレインボーのコージー・パウエル、ザ・フーのキース・ムーン、レーナード・スキナードのリッキー・メドロック(のちギター)、同じくレーナード・スキナードのボブ・バーンズ、ジャズ界ではジャック・ディジョネットやエルヴィン・ジョーンズらが60~70年代に使用していた「プレミア250S」についても検証記事がございますので、スピードキングや「ロジャース・スウィヴ・オゥ・マティック(Swiv-O-Matic)」とともに「キックペダル御三家」を為したこの歴史的ペダルについても是非ご参照ください。
■補足:画像、動画等により「ロジャース・スウィヴ・オゥ・マティック」を使用したアーティストが何名か判明しています(※現時点で記事化できる時期の見込みは立っていません)。バディー・リッチ、カレン・カーペンター(カーペンターズ)・ミッキー・ドレンツ(モンキーズ)等が「スウィヴ・オゥ・マティック」を使用している時期の画像、もしくは動画が見つかりました。


■2020年1月20日(月)追記
速報2020年、ラディックのスピードキングが6年ぶりに復活!
・2014年に生産終了となったラディックのスピードキング(201・L-201)が、その誕生から82年の今年、2020年、従来機の外観と仕様をそのまま踏襲したうえで全面的に改良が加えられ、新型式(L-203)として、ついに復活します! 現地アメリカでの流通は初夏以降となるようで、順次、海外での販売も再開される見込みです。
・60年代、70年代にスピードキングを愛用した多くの伝説的ドラマー達に続き、新たな伝説とロマンを作り上げていくのは、今、この時代と未来を担う新たな世代のドラマー達となることでしょう!




重要! 必ずお読みください!(2022年2月11日追記)
 ~スピードキングは太腿(ふともも)の裏で踏む!?

スピードキングと格闘してきて、漸く9年半経った2021年後半になって、スピードキングを制御するコツらしきポイントの一つに気づきました。
・16分拍などで速く踏む必要がある際、無理にでも正確に打撃しようとするため次第に力みが強くなり、脚の筋肉も硬直してきます。同時に膝も上がってきて、尚更制御が乱れます。この悪循環を断つため、膝が上がらないよう太腿の裏でストゥール(ドラム椅子)の縁(へり)を打ち付ける要領で打撃してみると、かなり制御性が向上することに気づきました。無駄な力みも減ります。是非お試しください!


2016年5月15日追記:スピードキングがものにできない…… !!
・スピードキングが好きで、スピードキングにこだわり続け、何とかこれをものにしようと4年以上使用し続けてきましたが、ダブルストロークの際にどうしてもヒットするタイミングがずれ、これだけ努力してもものにできないのだから、と言っても、もともとレンタルスタジオで週に1回程度しか練習する機会を持てず(仕事の繁忙期には約2か月間練習を休止するので、スタジオでの練習は年間40回程度)、初級ドラマーに毛が生えた程度で中途半端な水準をいつまでも抜け出せないでいる無理もあるわけですが、
さすがにもうダメかもしれない、諦めてしまおうか、スピードキングを使用するのはもうやめようかと思うようになりはじめていました。そして、別の機種のペダルを探し始めました。

・ところが、そう思い始めた最近(2016年春)、新たな発見がありました。一つは、純正ビーターの’L-1286’の場合ですが、
ビーターのセッティングを最大長にすることで却ってビーターが振りやすくなると感じることです。その後改めてBONZOのビーターのセッティングを調べてみると、別項に検証したとおり、彼もまたビーターを最大長にセッティングしていたことが確認できました。さらに、ビル・ブルーフォードやクイーンのロジャー・テイラーもまたスピードキングのビーター(L1286)を最大長にセッティングしていたことが確認できました。BONZOやロジャー・テイラーの場合、ビッグサイズのバスドラムなのでなるべくヘッドの中央付近にビーターのヒットポイントを近づけるためにそうしているという見方もできますが、それとはまた別に、これまで長くスピードキングと格闘してきて感じられるのは、スピードキング独特の機構や動作と深く関連したビーターのセッティングポイントがこの長さ付近にあるのではないかということです。
※Bruford本人が「ブラフォード」と呼ぶのをやめてほしいと要望しているため、近年は原音に近い表記、「ブルーフォード」が定着しつつある。

スピードキングの制御練習に「スイヴェル奏法?」を導入
・新たな発見のもう一つは、
スピードキングの機構や動作上、スライド奏法が向かないのではないかということです。スライド奏法と言っても、当方の場合、二打目を大げさに前へスライドさせるような高度なことはできません。ほんのわずか力点(踏み込むポイント)を前方に移動させて連打する程度のものですが、練習不足のせいもあるにせよ、この程度の力点の移動だとテンポが速くなると、どうしても二打目のタイミングが遅れてしまいます。エキスパートドラマーの人たちには奏法の違いはあまり関係無いことだとは思うのですが、ある時、ダブルストロークの際に、二打目の足の力点を前方ではなく、何気なくほんのわずか横にずらす踏み方を試してみたところ、ヒットする際のタイミングのズレがかなり減少するとわかりました。 毎回練習時には、その終盤、PCMレコーダーで録音し、音楽編集ソフト(Soundengine Free)を利用して復習をするのですが、明らかに連打時のズレが減少しています。

・例えば、一打目は通常のヒールアップで踏み込み、二打目は
つま先をその位置のまま力点だけを心持ち外側、あるいは内側、つまり左右どちらかにわずかにずらすような踏み方をすると、それだけで踵が横方向に5cm程度回転します。二打目のパワーも減衰しません。キックペダルを使わずとも、今その場で足の動きを確認することができますので、是非試してみてくださいこの足の動きを現象的に見ると、どうやらこの奏法は「Swivel(スウィヴェル)奏法」のようですが、厳密には何と呼ぶ奏法なのかはわかりません。プロのドラマーに直接尋ねてみる機会も無いことから、当項目では便宜上「スイヴェル奏法」と呼んでおくことにします。

■Swivel technique ~ スィヴェル奏法のわかりやすい基本練習用の動画

’Ludwig Speed King Pedal’の制御練習に「Swivel 奏法」を試してみることをお勧めします!


・それはさておき、この奏法では「つま先の位置をほとんど変えずに済み」、「踵をレディーポジションに戻す時間も短縮し」、「足裏の力点が踵の回転軸となるため連打がしやすく」、「打撃時の力点の移動が前後ではなく左右であるためペダルのスプリングの強さがほぼ一定となり、高速での連打もしやすく」なります。また、「膝の角度を変えずに足裏の力点と膝とを結ぶ縦軸を固定しやすいため、ペダルの操作が安定」します。さらに、「脚や腰への負担も軽減」され、「演奏時の姿勢も安定する」ため、「逆側の脚でハイハットペダルやバスドラムのペダルを操作しやすい」ようです。連打での安定した操作や打撃タイミングの制御性というのはドラム演奏にとって大きなポイントであり、そうした意味で「Swivel奏法」は
非常に合理的な奏法なのではないかと自分には思えます。特にスピードキングには相性の良い奏法なのではないでしょうか

・まだ練習の途上で奏法が確立していませんが、二打目を「swivel」させながらヒールダウンしたり、二打目を「swivel」させながらわずかに「斜め前方」に力点を移動させたり、あるいは、
レディーポジションをフットボーの中心線上に置いたり、左右のどちらかに置いたりする等、奏法のバリエーションも種々あるようです。バスドラムで練習する際には、打面上方にミラーシート等を貼り付けると自分の足の動きを観察しながら練習できるので、一度試してみてください。

自己流
・「スイヴェル奏法」は上の動画で提示されているとおり、基本練習に関してはある一定の型があるようですが、まだ体系的に確立していない奏法であるためか、2016年現在、ネット記事にも動画サイトにもまともな教則情報が一切存在せず、基本以上の技術については自分で試行錯誤しながら体得していかねばならない難点があります。当方の場合は課題曲『Expresso(GONG 1976年・テンポ125)』に対応するために数種の「基本型」を想定し、それに重点を置いて練習しています。

・例えば、フットペダルの中心線より左側に力点を置く場合を「1」、センターを「2」、右を「3」というように便宜上数字で力点の位置を表すとして、ドドドッ・ドドドッ」とキックする場合は「1-2-3・1-2-3」、「1-2-3・3-2-1」、「
ドッドコ・ドッドコ」というパターンをキックする場合も1-2-3・1-2-3、「1-2-3・3-2-1」等、「ドコドッ・ドッドッ」なら、「1-2-3・1-3」、「1-2-3・2-1」、「ドドッド・ドドッド」の場合は「2-3-2・2-3-2」等というように「力点の移し方のパターン」を自分で考えて決め、それに沿って練習しなければなりません。つまり、基本の先はどうしても自己流になってしまうのです。スイヴェル奏法で自在にキックすることを目標としている方は、さまざまな踏み方のパターンを自身で「考案」し、対応力の向上を図るとよいでしょう。

急がば回れ
現在、例の「Swivel奏法(?)」で応用力をつける練習に取り組んでいますが、基本練習に限ってもまだまだいろいろと研究する余地がありそうです。スピードキングのスプリングの強さについてもこれまでいろいろ試してきましたが、「Swivel奏法(?)」ではスプリングテンションを「
最弱付近」にすると最も踏みやすく感じており(ビーターはもちろん最大長に)、このセッティングで連打の練習に取り組んでいます。この奏法をスピードキングで練習し、応用できるようになれば、いずれビーター長やスプリングテンションもそれにふさわしいセッティングが新たに見えてくるのではないかと考えています。スピードキングを所有してはいるが、ものにできないからそろそろ手放そうかと考えている方は、その前に、以上の観点からもう一度スピードキングの操作、制御について研究に取り組んでみてはいかがでしょう。

・ちなみにBONZOやビル・ブルーフォードが動画の中でスピードキングを踏んでいるシーンを観察すると、通常のスライド奏法で難無くスピードキングを操作していることが確認できます。もしスピードキングのオーナーの方々がスライド奏法で上手く踏めない場合は、
一度遠回りをしてスイヴェル奏法に慣れてから再度スライド奏法に立ち戻ることで、スピードキングを操作するうえで今まで気づかなかったポイントについて新たな発見があるはずです。

・私自身の夢は、
スピードキングを使用して、いつか課題曲であるGONGの「Expresso(エクスプレッソ)」(♪=125)を叩きこなすことです(練習開始:2010年)。このサイトを通してスピードキングが名機たるに値するキックペダルとして多くの人に再評価してもらえるよう願いつつ、自分自身ももう少しスピードキングと向き合っていきたいと思います。

(この項、記2016年5月15日)


■課題曲:’Expresso’ by GONG(1976)~ロートタムサウンドの魅力が炸裂する名曲
Gongのアルバム、’Gazeuse!’(1976年)に収録されているジャズロックナンバー、’Expresso(エクスプレッソ)’。この曲を作曲したドラマーのピエール・モーレンは12台のロートタムをそれぞれ音程の低いほうから「Lower C、Lower F、Lower G、C、G、A♭、B♭、Uppwe C、Upper E♭、Upper F、Upper G、Upper A♭」で音階チューニングを行い、意図されたフレーズ構成によって鮮烈かつダイナミックなロートタムサウンドを炸裂させている。6インチから10インチサイズのロートタムはオープンリムショットによるため、金属的かつ破壊的なサウンドとなっている。ギターは当時GONGのメンバーだったアラン・ホールズワースによる演奏である。


ドラム&ロートタム:ピエール・モーレン(2005年5月3日逝去)
ギター:アラン・ホールズワース(2017年4月16日逝去)


■練習セット

・’EXPRESSO’ 仕様。
 2018年2月6日(火)撮影。

REMO ROTOTOM のページ
LUDWIG LM400 のページ



OTHER CONTENTS



SQUEAK KING

BONZOの「キコキコ」
・「(ジョン・ボーナムは)スピード・キング・フットペダルは何か特別に改良していましたか?」「いや、特に何もなかったと思うよ。あのセットは今でも買うことができる。彼はカスタム・メイドでも何でもない、普通の在庫品を叩いていた。」「『イン・スルー・ジ・アウト・ドアー(1979年)』のレコーディングのとき、ペダルがキコキコ音を出すんでスタジオのテクニシャンが油をさそうとしたんだ。するとジョンは、”ダメダメ、そのままにしといてくれ”って言って、キコキコのままレコーディングしたんだよ(笑)。」

※「ウィリアム・F・ラディックⅢ氏へのインタビュー」より~『リズム&ドラム・マガジン』No.28 1989年 秋号 リットーミュージック
※「In Through the Out Door」… 1979年発表。
※Ludwigのスピードキングは2014年春に生産終了となった。

BONZOのキコキコ~ Squeaking from the pedal
”Led Zeppelin-Since I've Been Loving You" (1970)


・ヘッドフォンの使用を推奨。「Led Zeppelin Ⅲ」(1970年)より。

・スピードキングの「キコキコ」が楽曲に枯れた味わいや渋みを加味し、黒板の表面を爪で引っかいた時に覚える、ぞっわ~と来るあの戦慄に似た快感が静かに心の奥深くにまで染みわたってくるではないか。往年よりスピードキングは別名をして「Squeak King(スクイーク・キング)=キコキコキング」と呼ばれ、多くのドラマー達に親しまれ、愛されてきた。。。。。。(嫌がられてきた?)

・さて、このケースでは実際には「キコキコ」というよりは、むしろ「チューチュー」に近い音に聞こえているが、これはスピードキングから発生している高周波のノイズである。フットボード先端に打ち込まれたスプリングピン(ロールピン)と、それを受けるコネクティングリンクが摩擦し、このノイズを発生する。

・BONZOのこの「キコキコ」はストゥールから発生しているという説もあるが、ストゥールの場合は奏者の体重による金属への強度の圧迫により、むしろ「ギシギシ」に近い、低く重めの硬い音になるのが一般である。また、BONZOのスピードキングの発生しているノイズの音質は、スピードキング実機が発生するノイズと同質の高周波音である。さらに、ドラマーの方であれば実感できると思うが、よく注意して聴くと、リズムを刻むペダルの動作に沿ったパターン的なノイズの発生の仕方をしているのがわかるだろう。


・フットボード先端に打ち込まれたスプリングピン(ロールピン)とコネクティング・リンク(連結バー)が接触する部分の摩擦により高周波のノイズが発生し、それが「チューチュー(キコキコ)」と聞こえる。

・BONZOのスピードキングと同じ「キコキコ」をスピードキングで再現して楽しみたい場合は、まずシルバー塗装されたタイプのスピードキングを入手する。シルバー塗装のスピードキングといっても、50年代製以降のWFLモデルから90年代終盤頃まで続いたLudwigモデルまで幅があるので、当ページの検証記事を参考に目星を付けて入手するとよいだろう。BONZOの場合は一説によればツェッペリン時代にリンゴ・スターが使用したタイプと同じ「W.F.L. ロゴ」のスピードキングも使用していたらしく、熱烈なBONZOファンを自認する諸氏はこの「W.F.L スピードキング」と併せて「Ludwig ロゴ」に変更となった60年代終盤製や70年代初期製等の仕様の異なる複数のスピードキングを買いそろえていく楽しみもある。

・スピードキングを入手したら、コネクティングリンクとフットボードのスプリングピンとが接触する部分の油分をしっかりと除去する。処置はただそれだけだ。踏み始めは「キコキコ」と鳴かなくても暫く踏んでいるうちに自然に鳴くようになるはずだ。その原因については明確ではないが、摩擦による金属部位での高温の発生と膨張、また、スティールの極微細な粉塵が生じること等が関係しているようだ。BONZOがペダルへの注油を拒否した理由、あるいはツェッペリン時代を通して一貫してスピードキングの「キコキコ」を消そうとしなかった理由をあれこれと想像しながら、40年の歳月を超えて蘇る、スピードキングが発生するあの特徴的な「キコキコ」を、BONZOの思いや感性に馳せつつ心豊かに楽しみたい

※前掲『ウィリアム・F・ラディックⅢ氏へのインタビュー』では、BONZOはラディックと契約する以前からラディック製を使用していたとのことなので、「WFL スピードキング」も当然所有していたと思われる。
※シルバーに塗装された年代のスピードキングは、当方の所有するものに限っては全て「キコキコ」を発生しますが、コネクティング・リンクの歪み等の理由により個体によっては発生しない場合があるかもしれないので、その点、予めご了承ください。
※「最終型(ブラック塗装)」のスピードキングの場合はフットボード先端のスプリングピンにプラスチック製のブッシュ(bush)が装着されているため、コネクティング・リンク下端から「キコキコ」そのものが発生しません。
※コネクティング・リンクの下端ではなく上端については、「WFLモデル」と60年代終盤に製造されたと推定される「Ludwig ロゴ」のスピードキングついては金属製のブッシュが内部に装着され、さらに製造時よりそこにオイルが注入されているようで、この部位からノイズは発生しないようだ。また、80年代以降の製品に関しては、コネクティングリンク上端内部にプラスチック製のブッシュが装着されているため、やはりこの部分からは「キコキコ」は発生しない。70年代製のスピードキングについては入手後に確認して当記事に反映させる予定。

       


BONZOのウサギちゃん
・『リズム&ドラム・マガジン』No.28(リットー・ミュージック)には、BONZOについてのロバート・プラントのインタビュー記事も掲載されており、彼の次のような発言がある。

「俺(プラント)はツーバスもツインペダルも好きじゃない。ジミ・ヘン(JIimi Hendrix)は、ボンゾの右足はウサギみたいに敏捷だって言ったよ。もし片足でできるのなら、ペダルは2つ要らない。片足でやれることで十分だよ。」「彼がほんとうにノッてプレイしているとき、彼のヘッドフォンには、ドラムの音がとてもよい音でかえってきていて、彼は『キャノン(大砲)!』と叫んでいたものだったよ。あまりに音がよくて素晴らしいキットだったんで、彼にはそれがわかってたのさ。彼はどうキットを扱い、どうチューニングするか、椅子の位置はどうしたらいいか、どの種のバスドラ・ペダルを使うかなど、彼独特の素晴らしい感覚でわかっていたんだ。それらはすべて、彼のなかでバランスがとれていなければならなくて、彼自身がドラム・キットの一部だった

「ボンゾの右足はウサギみたいに敏捷だ」… ジミ・ヘンドリックスがジョン・ボーナムに言った、
"Boy, you've got a right foot like a rabbit.(どっひゃ! おめえの右足、ウサギちゃんみたいにぴょんぴょんと軽やかじゃねぇかぁ!)"を指すと思われる。BONZOの敏捷な足さばきと、BONZOに自在にコントロールされるスピードキングの嬉々とした躍動がありありと目に浮かぶ。

BONZOのウサギちゃん(白ウサギ)

※画像:’Dazed and Confused’ live at MSG,1973’より切り出した。
・動画(28分35秒後)では「BONZOのウサギちゃん(白ウサギ)」とともに、スピードキングのフットボードの一部がほんの一瞬だけ見られる。

画像の重ね合わせ

・当方の所有するスピードキングをほぼ同じ角度から撮影し、二枚の画像を重ね合わせた。

■スピードキングにしか出せない音色とニュアンスがある。BONZOを慕い、その幻影を追う者は、スピードキングを通して轟いて来るBONZOの叫びに激しく魂を打ち震わす。STARRを慕う者は、花々を自由に、気ままに飛び巡る蝶の、その華麗な羽模様が放つ魔法の輝きに陶然とする。RICHを慕う者は、崇高な次元に存在する何者かのささやきを耳にし、静かに涙する。時代の使命を担ったスピードキングこそが現出でき、スピードキングを操る者にしか感受できない、超人たちそれぞれの特別な世界と魂のバイブレーションである。

※記:2015年12月10日



NAME OF EACH PART


主要各部の名称
・1:ロッカーシャフト(Rocker shaft)=弓形回転軸
・2:フットボード(Footboard)
・3:ヒールクランプ(Heel Clamp)
・4:フロアープレート(Floor Plate)
・5:シーリングキャップ(Sealing Cap):P-1227
・6:トウクランプ(Toe Clamp)=フープ固定用クランプ
・7:トウクランプ用蝶ネジ(Toe Clamp Wing Screw):P-1287-A
・8:コネクティングリンク(Connecting Link)=連結バー
・9:ビーター固定用蝶ネジ(Wing Screw):P-2791 ※旧式:P-278

その他の構成部品
・アジャストメント・スクリュー(adjustment screw):P-1260 ※スプリング調整用ネジ
・コンプレッション・スプリング(Compression Spring):P-1305 ※押しバネ
・プランジャー(Plunger):P-1352-A1 ※棒ピストン。
・ロッカー・カム(Rocker Cam):P-1351-L/P-1351-R ※カム。左右用が別々に有り。
・ボール・ベアリング(Ball Bearing):P-1207
・ヒールクランプ固定用ネジ & ワッシャー(Heel Clamp Assembly):P-1241-A

・ロッカー構成部品一式(Rocker Assembly Complete:P-1203-B ※ロッカー、蝶ネジ、カム、ベアリング、連結バー、スプリングピン等の構成部品一式
・連結バー構成部品一式(Connecting Link & Pin & Bushing):P-1210-A ※連結バー・スプリングピン・プラスチック製円筒管のセット
・トウクランプ構成部品一式(Toe Clamp Assembly Complete with Tension Screw & Pin):P-1206-B ※トウクランプ・蝶ネジ・スプリングピンのセット
・フットボード構成部品一式(Footboard Assembly Complete):P-1204-A ※フットボード・ヒールクランプ・フロアープレートのセット
・ボールベアリング・カム・スプリングピン・シーリングキャップのセット(Bearing Cam Set with Pin and Sealing Cap for Left and Right Side):PS-1228

※仕様変更によりパーツの型番が異なっている場合があります。

(記:2013年6月18日)


       


■ビーターの重量



・Ludwig L1286(フェルト)が約80g、L1287(ウッド)が約90g、Pearl B300F(フェルト)が、ロッド(シャフト)を5mmカットして約79g、B300W(ウッド)が、やはりロッドを5mmカットして約88g。

※同じ重量でもビーターヘッドの形状や質量、重心等が異なれば、ビーターの加速度や返り速度、踏み込み具合もそれぞれ変わってくる。上記重量は実測にもとづくものであり、また、製品ごとの個体差があります。
(この項:記2014年6月13日)

※追記:2015年9月18日
・その後入手した中古スピードキング数台に付属していた’L1286’の重量を計測したところ、ビンテージ品(シカゴ製)2本がそれぞれ83.5g、80.0g、現行品(モンロー製=販売中)3本がそれぞれ83.5g、81.3g、80.0gだった。また、年代による仕様の違いか、ビーターヘッド(フェルト部分)の直径はそれぞれほぼ同じだが、ビンテージ品に現行品との高さが最大で5mmほど高いものがあった。

       


スプリング調整

■スプリング調整

・スピードキングのスプリングの強さの表し方については、当方の場合、スプリングの強さを調整する「止めネジ」が支柱にどれだけねじ込まれているかを、ネジ山が約何本見えるかによって「ヤマ1」「ヤマ2」「ヤマ5」等と呼んでいる。ただし、螺旋なので、厳密な表現は難しい。画像はおよそ「ヤマ4」の位置。

       


フットボードの切削


・フットボードの自重が若干重いためか、レスポンスの鈍さを感じていたため、2014年1月頃、フットボードを若干でも軽量化したら操作性がどうなるかを試してみた。しかしながら、フットボード本体の重量は操作性には関係無いらしく、その違いをはっきりと感じ取ることはできなかった。「ヒールクランプ」をリリースすると、多少フットボードの踏み込みが軽くなるので、初めからこの方法をとるほうが簡便だ。ただ、リリースしたヒールクランプが遊んでと新たなノイズを発生するため、ノイズを消す必要のある場合にはガムテープなどでクランプを固定するなどの措置が別途必要になる。

※ビーターシャフトの切削にも使用した電動ドリル(マキタ MDB-10)に「ディスク砥石」を装着し、中央部を浅くえぐるようにして削り落とした。
※追記:2015年にビンテージ品を入手し、各部を「最終型」と比較したところ、両者の操作性の違いはフットボードの重量そのものによるのではなく、「コンプレッション・スプリング」の特性の違いや「コネクティング・リンク」の長さの違い、フットボード先端の仕様の違い(プラスチックブッシュの有無)等による機構的な特性の違いからくるらしいことがわかった。

(記:2014年4月18日)



スピードキングの操作性

Vintage Ludwig Speed King pedal (Dan Zalac)

★なめらかな操作で無駄な動きがなく、軽快で安定したとてもいい音を出しています。スピードキングの特性を利用して自在に使いこなしています。画像を拡大して観察したところでは、スピードキングは「ショート・フィン仕様(長さは半インチ=12.7mm)」、コネクティングリンクが薄く長めのタイプで、フロアープレート裏面に「Non-skid pad」が装着されているようにも見えるので、1970年代中・後期(1974~79年製)の仕様である可能性があります。ビーターは純正の’L1286’ではありません。


       


Speed King ~koucrispさんのレビュー動画

・ヘッドフォンを使用して視聴すると、スピードキングの名物、「キコキコ・カチャカチャ」がよく確認できます。また、’Dan Zalac’氏による操作や打音、ヒットするタイミング等とを比較しながら見ると、スピードキングの操作性や操作感がある程度つかめるかもしれません。フィンは「ロング・フィン仕様(長さ約1インチ=25.4mm)」となっており、1960年代末から1970年代初期に製造されていた仕様のモデルです。ペダルのロッカー末端とヘッド面との距離がかなり離れたセッティングとなり、ビーターの振り角度、つまりペダルの踏み込みは深めになります。動画の中でも「踏みしろが深い」とテロップが流れます。一般のペダルと比べて踏みしろが深いと、その分ペダルを踏み込むための「力み」も強くなり、打音にもバラツキが出やすくなります。

       


操作性
スピードキングの駆動方式はダイレクトドライブであり、その構造上、遊びが一切無く、操作性にしなやかさがほとんど無い。他の駆動方式が一般の自動車のステアリング感覚とすれば、スピードキングの場合はさしずめレーシングカートのステアリング感覚であり、アシストの不十分なその原初的機構により、ポテンシャルの発揮は奏者の技量に全て委ねられる。一般のペダルを使い慣れている人には、スピードキングの操作感の違い、もっと言うならその使いづらさに困惑し、まるで別次元の道具のように思えてしまうに違いない。ペダルの制御力や奏法、また、スプリングの調整やビーターの長さの調整、打面へのビーターのヒット距離、ストゥールの高さや位置等のセッティング条件を含め、総合的な観点でバランスを計りつつ、自由に制御できるようになるまでに種々の工夫と努力が必要で、そのため、熟練するまでに少なからぬ時間を要してしまうようだ。

踏み心地については、どなたかがネット記事で書かれているように、「ぬるっ…!」とした独特の感触であり、この表現はかなり的確である。「ギッコンバッタン」ならぬ、「ぬるっ(キコ)、どんっ(カチャ)、ぬるっ(キコ)、どんっ(カチャ)」のオールド・ファッションド・アメリカン・レジェンダリー・ベイスドラム・ペダル、なのである(そんなんかい)。線径の太く硬い「押しバネ(コンプレッション・スプリング:P-1305)」や内蔵カム(P-1351-L/R)等による構造的特性にもよるのだろう、軽い、と言えば確かに軽くなめらかな踏み心地ではある。そして、ビーターの返りについては、「どぴゅん(カチャ)、びよよよ~ん」と、やけに速く力強い。ペダルの構造に起因するこのような独特の動作が、他のペダルとは異質な操作性、特徴的な打音などといった点にも現れてくるのだろう。別の見方をすれば、この返り速度を利用した踏み込み方を意識して操作することで、スピードキングのポテンシャルが引き出され、より大きく発揮させることができるようになるのではないか。(ほんまかいな、そうかいな

ペダル本体を床に固定するための措置を講じないと、奏者によっては操作の安定性が問題になるだろう。「キコキコ、カチャカチャ」といった使用中のノイズも甚だしく、海外では’Squeak King’(スクゥィーク・キング)、即ち別名を「きこきこキング」とも呼ばれ、大いに愛着を持たれている(ちゃうやろ)。さらに、演奏中にビーターを固定するための蝶ネジが緩んでビーターがずり落ちたり、すっぽ抜けて吹っ飛んだりすることもままある。踏み方が激しい場合に限らず、ビーターのこの「ずり落ち」や「ビータージャンプ」はスピードキングの名物であるがゆえ(要らんわ)、何らかの対策は必要だろう。メモリーロックを利用したり、ビーターシャフトにテープなどを巻いて噛ませたり、あるいはビーターを強力な接着剤で半永久的に固定してしまうという荒技もあるように聞くが(笑かしよるな)、いずれも適切かつ十分な対処とは言えない。さらにまた、ペダルの使用中に円形のシーリングキャップがしばしば脱落し、ついでに紛失してしまう恐れもある。(どんなんやねん

こっっの、クソペダル!」という怒声と、「 ガッキャイ~ン(キコ)!」という絶望的な破壊音(投げつけられたスピードキングの悲鳴)が聞こえてきそうだが、かのジミ・ヘンドリックスはボンゾにこう言った。「"Boy, you've got a right foot like a rabbit."(どっひゃ、おめぇの右足、ウサギちゃんみたいにピョンピョンと軽やかじゃねえかぁ)」。BONZOの敏捷で鮮やかな足さばき、そして、スピードキングが軽やかに歌い、あるいは踊り狂う様がありありと目に浮かぶではないか。BONZOの足もとから伝わったこのスピードキングのフィーリングを別のペダルで味わうことは絶対に不可能なのだ。STARRにしても、TAYLOR、BRUFORDの演奏フィーリングにしても然り。スピードキングが思いのままにならぬのなら、別のペダルを使って譜面どおりのそれっぽい真似事で満足していればよいことだ。スピードキングに真摯な気持ちで向き合おうとしない限り、スピードキングがその歌を聞かせてくれることはないのだから。

昨今普及する高機能を備えたペダル群とは対照的な、キコキコ、カチャカチャとした華奢でシンプルな作り、そして、レトロな趣を醸し出すデザインの素朴な美しさと、独特の打撃音。ビーターの角度は固定され、調整らしいことと言えばスプリングの強さとビーターの長さを変えることくらいしかできないが、それだけに奏者の制御力、技量をシビアに反映してしまう。素朴かつ原初的であるがゆえの美しさと、それに秘められた不変の価値というものがある。古き良き時代において数々の名演と伝説を生み、その幻影を抱きつつ、今もなお美しい輝きを放ち続ける、名機にして不器用なこの不滅のペダルは、これからも多くのドラマー達を魅了し、その心を豊かに彩り続けてゆくに違いない。(ということにしておこう

ビーターの脱落防止措置はこちら
シーリングキャップの脱落防止措置はこちら

※テンションスプリングの強弱調整、ビーターの長さ調整といった一般調整以外に、「ショート・フィン仕様(※後述)」のスピードキングの場合には「フープスペーサー」によるヘッド面との距離調整が推奨される。また、バスドラムのヘッドのテンションを変えることでビーターのリバウンド速度をある程度調整することができる。

       


・上画像:先に掲載した’Dan Zalac’’氏が使用しているスピードキングの映像を拡大しました。「ショート・フィン仕様(長さは半インチ=12.7mm)」であり、ラディック製のドラムに装着されているため、ペダルのロッカー末端とヘッド面との距離が「スレスレ」の状態でスピードキングをセッティングすることが可能なようです(’koucrisp’さんの動画と比較してみてください)。ペダルとヘッド面との距離が近く、ビーターの振り角度も狭まり、「ロング・フィン仕様(長さ1インチ=25.4mm)」に比べてペダルの踏み込みがやや浅めになります。

■以上からわかるように、「ロング・フィン仕様」のスピードキングは、フープの幅によっては他社の一般的なペダルより「踏みしろ」がかなり深くなってしまう分、自由で安定した操作が困難になる可能性も考えられる。当然のことながらクローズ奏法もまた困難になる。バスドラムのフロントを高めに持ち上げることである程度ビーターとヘッド面との距離を縮めることが可能だが、ヘッド面とペダルとの適正な距離を考慮せずに、「わざわざフープスペーサーなんか作らなくていいし、こっち買っとけばいいじゃん!」という発想だけで「ロングフィン」タイプのモデルを選択するのは早計かもしれない。ペダルとヘッド面との距離によって当然ビーターの振り角度(踏みこみの深さ)や踏み込み時の力の入れ具合も変わり、つまり操作性や操作感、打音までも変わってくるため、スピードキングの入手を予定している方は、まず二者のフィンの長さの違いをよく踏まえたうえで検討する必要がある。

       


フープスペーサー
「ショート・フィン(実測で約12.5mm)」を仕様としたスピードキングの場合、当方が平常利用しているスタジオのバスドラム(PEARL MCX:22インチ・ウッドフープ:幅40mm)では、フープスペーサーを装着しないとロッカー末端がヘッド表面に接触し、そのまま使用していると幅約1cmの縦スジが数センチにわたって付く。ヘッドを傷めるだけでなく、そのまま使用していればいずれ破れてしまうだろう。また、ヘッドとの摩擦抵抗によって踏み込み操作も不安定になる。操作性や演奏技術の向上のためのみならず、心豊かな音楽生活の中で、愛用する楽器のためのスペーサーの自作という楽しみが一つ増えることになる。大変喜ばしいことだ。(※スペーサーの作成が面倒な場合は、割り箸一本をスペーサー代わりに挟んで調子を見てみてください

フープスペーサーの作成方法はこちら

フープの幅はメーカーやモデルによって若干異なり、フープスペーサーの作り出すスペースによってペダルの踏みしろが変わり、踏み心地や打音も変わってくるうえ、スペーサーのタイプによってもペダルの安定性や操作性に大きな違いが出てくる。そのため、スペーサーのサイズを適当に決めるとか、辺りに転がっているものを適当に挟んでスペーサーに代用してしまうとか、そのようなぞんざいな処置で済ませるわけにはいかない。別な見方をすると、スピードキングのオーナーの中には、打面とペダルとの適正な距離を考慮せず、「非実用的な使いづらいセッティング」のまま使用しながらそれに気づかず、それが「スピードキングって、使いづらくってダメじゃ~ん」と敬遠してしまう大きな理由の一つになってしまっているケースが相当あるようだ。

■実用のためにはこうしたいくつかの障害を、自身の努力と工夫によって一つひとつクリアしてゆかねばならない。「買ってすぐに使えま~す!」。。。。。。というわけにはいかないため、スピードキングのこうした「非実用性」には如何とも耐え難いというプレイヤーは少なくないだろう。それでもいつしかスピードキングを踏んで、偉大なプレイヤー達の名演の記憶を呼び覚まし感受したい、あるいは追体験したいと考えるドラマーは少なくないので、スピードキングを新たに入手するうえにおいては、以上の注意点をしっかりと踏まえて検討し、いよいよ入手した暁には、まずバスドラムのヘッド面とペダル本体との距離が適正となるよう調整し、そのうえでスプリングやビーター、ストゥールの高さや位置等の各種セッティング条件やバランスを総合的に見直し、詰めてゆくとよいだろう。スピードキングの実用に向けての工夫、技術的に熟達する努力、そして、スピードキングに真摯に向き合い、忍耐を持って付き合っていく心の余裕と心の豊かさを持ち続けたいものだ。

(記:2014年5月2日)

スピードキングで超絶片足連打 by 洲合洋一氏


摩耗の効用
スピードキングは新品時当初はアクションが多少硬く感じられるが、使い込んでいくうちにカムの軸とそこに接触するプランジャー(棒ピストン)の上端部がともに摩耗し、奏者のクセや奏法に徐々にスピードキングの側が馴染んで、そのアクションも徐々に滑らかになってくる。そうしたスピードキングの特性を踏まえ、時間をかけ、気長に付き合っていく心構えが必要だろう。2015年夏に初めて入手したビンテージ・スピードキングは、かなり使い込まれてヒンジ穴がキーホールのように2mmばかり広がってしまっていて、ジャンクに近い外見ではあるのだが、後に入手した程度の良いビンテージ品数台、および最終型とを踏み比べてみて、実はこのボロボロ・スピードキングが最も素直に動作し、操作感が軽快かつ滑らかで、自然とメインで使用するようになってしまっている

■高機能を備え、高級感と重厚感を漂わせたペダルは各種市販されているが、もう手を広げるのはよそうと思う。デーモンドライブ(P-3000D)ですっかり懲りた。そのせいもあって、その後購入したこのスピードキングには、いっそう思い入れを深くしている。スーパードラマー達への憧憬とその名演の記憶を背負い込んで、常に夢に輝いている、名機スピードキング。練習不足もあって、まだペダルを踏みこなせてはいないが、 「俺の歌を聞かせてやるから、もっともっと俺を踏み込んでくれよ」と言っているように思えて、とにかく踏んでいて楽しい。時間はかかりそうだが、自分の体の一部になり、自分にとっての名機となってくれるまで、このスピードキングを使い続けていきたい。

■「名機」という言葉だけが一人歩きをし、実際に使用してみると、そのクセ、そして制御の難しさのために、実用に耐えない感を抱いたままスピードキングをお役ご免としてしまうケースが、内外を問わず、そして年代を問わず数多あるようだ。スピードキングの名機たる所以となる操作性の優秀さ、制御上のコツ等について具体的に記載した記事がネット上でほとんど見当たらないのもその証左かもしれない。つまり、言い方を変えると、スピードキングを使いこなせるドラマーが、実は現実としてそう多くはいないのではないか、ということだ。使いこなせてこそ「名機」たりうるわけで、そうでなければただのジャンク(がらくた)に過ぎない。

※記:2012年2月




John Bonham's Speed King Pedal:Led Zeppelin

ジョン・ボーナムのスピードキング:レッド・ツェッペリン

・元画像は1975年1月、インディアナポリスでの撮影と思われる。画像を一部拡大したものなので鮮明でないのが残念だが、これがBONZO自身の「#201 Speed King Pedal」である。元写真はワイドレンズを使用して撮影されたため映像の歪みが大きく、画像の重ね合わせを試みてみたが上手くいかなかった。「WFL #201 Speed King Pedal」か「Ludwig #201 Speed King Pedal」かまでは判別できない。

※「Zeppelin」は本国イギリスでは「ゼ」にアクセントを置き、「ゼパリン」と「ゼペリン」の中間くらいの発音となる。「Led Zeppelin」であれば日本人には「レッ・ゼプリン」と発音しているように聞こえる。

■それはさておき、BONZOのスピードキングは「ロング・フィン仕様」なのだろうか、それとも「ショート・フィン仕様」なのだろうか。調べてみることにした。

・上の画像に写っているBONZOのスピードキングとほぼ同じ角度から当方のスピードキング(ショート・フィン仕様)を撮影した。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・BONZOのスピードキングと当方のスピードキングの画像を重ね合わせると、「フィン」の位置が確認できた。さらに、BONZOが少なくとも1975年頃まで使用していたスピードキングは「ロング・フィン仕様のスピードキング」だったことが確実となった。
・元画像がどの種のレンズを使用して撮影されたか不明だが、広角レンズで至近距離から撮影されたような写り方で、BONZOの顔を中心に距離が離れるほど被写体の形状の歪みが強くなり、スピードキングのヒンジ部や「フィン」の形状が実機に比べてやや斜め縦に伸びて写っているようだ。
・元画像に写っているスピードキングの画像を参考に、当方のスピードキングの画像も若干伸縮し、また、回転もさせて位置合わせを行い、両者を重ね合わせた。ヒンジの軸と右側シーリングキャップの位置をBONZOのスピードキングとほぼ完全に一致させたので、「フィン」の位置もまたBONZOのスピードキングとほぼ一致するはずである。
・「フィン」の位置が若干ずれているとしても、画像をご覧になってお分かりのとおり、BONZOのスピードキングのフィンの幅自体は、当方のスピードキングの仕様である「ショート・フィン:半インチ=12.7mm」の倍あり、このフィンが「ロング・フィン:1インチ=25.4mm」であることは疑いようがない
70年代後半にステンレス・キットに替えてからBONZOが使用していたスピードキングの仕様については、目下調査中である(動画や画像を調べているが、全く見つからない)。もしステンレススティールキットのフープ幅がそれ以前にBONZOが使用していたキットのフープ幅と変わらないとすれば、わざわざ「ショート・フィン仕様」のスピードキングに替える理由はないだろう。かと言って、それが即、BONZOが「ショート・フィン仕様」のスピードキングを使用していなかった理由となるわけではない。「フィン」の仕様が「ロングサイズ」から「ショートサイズ」に変更された年代が1974年頃であり、それはラディック製バスドラムのフープ幅の仕様変更と大きく関連するため、BONZOが70年代後期のわずかな期間にでも「ショート・フィン仕様」のスピードキングを使用した可能性は否定できないことになる。バスドラムのヘッド面とペダルとの距離が数ミリ違っただけで操作性、制御性も大きく変わってしまうのだ。


・当時のラディックのフープ幅がどのくらいのサイズなのか不明であるため、手持ちのバスドラムのフープ幅を考慮せずに「ロング・フィン仕様」のスピードキングを装着すると、ビーターとヘッド面との距離が極端に離れてしまう場合があり、そうなるとスピードキングの操作、制御がいっそう難しくなる恐れがあるので、BONZOを追って、BONZOと同じ「ロング・フィン仕様」のビンテージ・スピードキングを入手する際には、その点を予め熟慮したうえで検討されることをお勧めする。

Heel Clamp reversed ~ リバースされたヒールクランプ

・こちらは1969年3月14日に収録(放映?)されたスタジオでの(’Communication Breakdown’)の動画から切り出した。切り出した位置は開始約1分後。ツインバスドラムのレフト側のスピードキングだが、この動画が収録された時点ではヒールクランプがリバースされていたことがわかる。
・フットボード裏面のリブが4本タイプと2本タイプとでは2本タイプのほうがアクションが軽く、ヒールクランプをリバース(リリース)するとフットボードの自重が軽くなる分アクションがわずかに軽くなり、操作感も変わる

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・当方の所有する推定1968年製スピードキングをほぼ同じ角度から撮影し、二枚の画像を重ね合わせた。それでもBONZOのスピードキングがどの年代(仕様)のものなのかまでは判別できない。

バスドラムのヘッド面とペダルとの距離

・スピードキングの「ロング・フィン」は、そのサイズが「1インチ=25.4mm)」、「ショート・フィン」の場合は「半インチ=12.7mm」である。また、フープ幅が40mmである場合、通常フープのエッジからヘッド面までの距離は約30mmである。上の画像では、フープのエッジからペダルのポストまでの距離はフィン(ロング仕様)の幅と同じく約1インチ(25.4mm)、そして、その距離にフープのエッジからヘッド面までの距離である30mmが加わるとすると、ペダルのポスト末端からヘッド面までの距離は「55.4mm」となる。ただ、BONZOは打面ヘッドを強めに張っていたので、その分フープも奥に沈み込むため、あくまでグリーンスパークル・キットのフープ幅が40mmだと仮定した場合であるが、ペダルのポスト末端からヘッド面までの距離がその分2~3mm程度縮まり「約52~53mm」となる。ただ、当時のグリーンスパークル・キットの正確なフープ幅が現在のところ判明していないので、このスペースの正確な数値も割り出せていない。

・フープ幅は各社によってもそれぞれ異なるため、数ミリの違いであっても、スピードキングの操作感、制御性がそれぞれでかなり変わってくる。個々で奏法の違いや好みもあるため参考になるかどうかは分からないが、当方が平常レンタルスタジオで使用している「PEARL MCX:22インチ・ウッドフープ(幅40mm)」に「ショートフィン仕様」のスピードキングを装着する場合、ペダルの制御性から5mmのスペーサーを装着しての使用で一杯いっぱいと感じており、ただでさえ制御が難しいスピードキングをこれ以上ヘッドから離して操作するというのは、個人的にはほとんど考えられないセッティング条件だ。

因みに、幅が40mmのフープに5mmのスペーサーを装着した「ショートフィン仕様」のスピードキングを装着すると、「ヘッド面からフープのエッジまでの距離が約32mm(テンションにより若干変化する)」であり、それに「フープスペーサー:約5mm」と「フィン幅:約12.5mm」が加わり、合計すると「ヘッド面からペダルのポストまでの距離はおよそ49.5mm」となる。

・ヘッドのテンションが変わるとビーターのリバウンド速度も制御性も変化する。BONZOはそこまで計算してスピードキングを完全制御していた。26インチのバスドラムでは、今時主流の「ドベっ」とした締まりのないゆるゆるのチューニングではBONZOのあの張りと抜けのある「大砲」のようなサウンドは出ない。そういった点を念頭にスピードキングを使いこなすためのベストなセッティングを詰めていくとよいだろう。

■その他

・上の画像:左は1969年6月28日に撮影された画像の一部を拡大した(メイプルキット使用時代)。ヘッドのシェイプからビーターは’Ludwig L1286 Hard felt beater’で間違いないだろう。右は1970年6月28日に撮影された際のもので(グリーン・スパークルキット使用時代)、ビーターヘッドの左端がバスドラムのフープに隠れてしまい、また、ややぶれて写っているため判別は困難だが、やはり’L1286’のシェイプに近似しているように思える。

About Setting length of beater rod
・右の画像はBONZOのスピードキングとほぼ同じ角度から撮影した当方が所有するスピードキング(推定1968年製)で、ビーターのロッドは最大長でセッティングした。

Double exposure ~ Beater setting ~ 画像の重ね合わせ

右の画像:スピードキングのビーターである「L1286(ハードフェルトビーター)」をほぼ最大長でセッティングした図。一般的なケースとしては、スピードキングの操作性を改善するためにビーター(L1286)のロッドがロッカー下端から1~2cm出る程度にセッティングされることが多いのではと思われるが、ビーターを短かめにセッティングするとビーターの振り具合とスプリングテンションのバランスが悪くなり、個人的には余計にスピードキングが操作しづらくなると感じる。
左の画像:1969年6月28日に撮影されたLed Zeppelinのライブ時の写真からBONZOのスピードキングを切り出したものに当方のスピードキング(推定1968年製)をほぼ同角度から撮影し、二つの画像を重ね合わせた。スピードキングを使い始めて4年以上経った2016年4月頃になって漸く、「不思議なことにスピードキングはビーターを長めにセッティングしたほうが操作しやすくなるのか?」と思うことがよくあり、そこで1969年当時の元写真をよく観察してみると、確かにBONZOのスピードキングのビーターは長めにセッティングされているようであり、当方のビーターをほぼ最大長にセッティングして撮影し、画像を重ね合わせればビーターロッドの長さが合致するのではと思い、これを試みたところ、右の画像にあるとおり、ぴたりと合致した。やはり推測したとおり、BONZOはビーターをほぼ最大長でセッティングしていたと考えてよさそうだ。26インチのバスドラムの場合はヘッドの中心付近にビーターのヒットポイントを近づける必要があるためそうしているという見方もできるが、それ以外にも、スピードキングと長く格闘してきた経験上、スピードキングの独特の動作や機構に深く関連するビーターのセッティングポイントがビーターロッドの最大長付近にあるように思えてならない。その後クイーンのロジャー・テイラーやビル・ブルーフォードのスピードキングについても調べたところ、彼らもまたビーターロッドをほぼ最大長にしてセッティングしていたことが判明した。

■スプリングテンション
スピードキングのスプリングテンションについては、BONZOはこれを「強め」にセッティングしていたと言われているが、何をもって「強め」とするか、実はその基準が明らかになっていない。アジャストメント・スクリュー(スプリングテンション調整ネジ)が最弱となるポイントであるスピードキングの本体フレーム底部を基準にしているのか、それとも本体フレーム底部から何mmを基準にしているのか、全く不明である。明らかなのは、BONZOは「最弱テンション」にはしていなかったということだけだ。基準が明らかになっていないため、世界中のBONZOマニアのドラマー達はそれぞれの主観に基づいてスプリングテンションを「強め」に調整しているようだ。

ただ、アジャストメント・スクリューは最大で「約20mm」の調整幅があるが、「10mm程度(ネジ山で6つ半ほど)」奥に締め込むとビーターの返り速度は上がるが、同時に踏み込みも重くなり、演奏テンポが速くなるにつれてその制御性も落ちて来、脚の疲労度もかなり増す。しかもBONZOのストゥールは彼の膝が直角になるほど低めにセッティングされているので、アジャストメントスクリューをもし「10㎜以上」締め込むと、彼と同じ姿勢での制御は不可能ではないにしろ、一般的にはかなり無理な調整範囲になると言っていい。

また、BONZOはバスドラムを今時の標準的な、締まりのない「ドベッ」と鳴る、あのゆるゆるのチューニングにはしていなかったので、打面ヘッドのテンションの違いによるビーターの返り速度の違いも考慮すべきだろう。無理をして始めからBONZOになりきろうとせず、まずスピードキングのビーターを最大長にセッティングし、慣れるにしたがってスプリングテンションも徐々に「強め」に調整していくようにすれば、いずれベストなセッティングポイントも見えてくるに違いない。
(この項、記:2016年4月21日)

Where's the sealing cap?

左の画像:スピードキングの左側のシーリングキャップが外れてしまっているようで、カムの「フランジ」らしきものが見えている。この後シーリングキャップが再装着されたかどうかは不明である。
右の画像:スピードキングのフロアープレートに「Non-skid pad(#2476:滑り止めパッド)」が装着されている場合は、通常このようにフロアープレートと床との間にわずかな隙間ができる。BONZOのスピードキングが写っている写真の中にはこのような隙間ができているものが他にも複数存在するが、確証があるわけではないので念のため。このラバーが標準仕様としてスピードキングに装着されていた年代は1960年頃から1980年頃までの約20年間だったようだ。

■BONZO's Speed King Pedal:Madison Square Garden, July 24,1973

・1973年7月29日、MSG(マディソン・スクエア・ガーデン)での撮影。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・当方の所有する「推定1968年型」のスピードキングの画像を重ね合わせた。

ジョン・ボーナムの選択したスピードキングのタイプ
・当ページ冒頭にも一部掲載した「ウィリアム・F・ラディックⅢ氏へのインタビュー」(『リズム&ドラム・マガジン』No.28 1989年 秋号 リットーミュージック)には、他にラディック氏の発言として、「(ジョン・ボーナムと)正式に契約したのは1969年だけど、それ以前から(ラディック製品を)使用していたみたいだね」とあり、また、海外においても、根拠は明示されていないがジョン・ボーナムがツェッペリン時代に「WFL スピードキングとLudwig スピードキングの両方を使用していた」という説が採られているサイトもあり、また、一般論としても、プロとしての演奏活動に注力するジョン・ボーナムが「キックペダル(スピードキング)は一機のみしか所有しなかった」というのは考えにくく、時期的にもラディック社との契約があった1969年に新機材の提供を受けているとすれば、ジョン・ボーナムが年代の異なる数種のスピードキング、つまり「WFLスピードキング」と「Ludwig スピードキング」双方を複数所有していたとしても不思議はない。

さらに、フットボード裏面に設けられた「リブ(筋状補強)」についてだが、「W.F.L.モデル」と「推定1968年型=Ludwig ロゴ最初期型」の二機種の場合は「リブが二本」であり、以後四本に増強されたスピードキングと比べると明らかにアクションが軽い。軽いアクションはそのままスピードキングの操作性にも直結しており、「ジョン・ボーナムが四本リブ、二本リブいずれのタイプの操作性を好んだか」という観点もまた、彼が使用したスピードキングを推定するうえで重要なポイントとなるだろう。

■ロッカーヘッドの形状の違い


・当項目内に掲載した各画像においてはジョン・ボーナムが使用していたスピードキングが「WFLモデル」か「Ludwigモデル」かの判別は解像度の問題から確定的な情報は得られなかったが、ロッカーヘッドの形状から「これはWFLモデルか、あるいは『Ludwigロゴ・最初期型』ではないか」と推測されうる画像が存在する。

ロッカーヘッドの「くびれ」が深い?

・画像が不鮮明なため断言はできないが、BONZOは「W.F.L.モデル=2本リブ」、「1968年型(Ludwig ロゴ最初期型=2本リブ)」、「1969年型(4本リブ最初期型)」のいずれか、あるいはこのうちの複数種に加え、さらに「70年代初期型=4本リブ」や「70年代 中・後期型=4本リブ」も所有していたのかもしれないが、操作感としては「4本リブ」モデルより「2本リブ」モデルのほうがアクションが軽いため、「2本リブ」モデルになれていたBONZOが「4本リブ」モデルを好んだかどうかといった点が気になるところである。

※追記:2018年3月
※追記:2016年1月・4月・8月
※記:2015年11月


       


BONZOが少なくとも1970年代中期までは「ロングフィン仕様のスピードキング」を使用していたことは事実であるが、その細かな仕様となると、「フットボード裏面のリブが2本タイプ」なのか「4本タイプ」なのかまでは判明していない。60年代末にツインバスドラムにセットアップしていた時期があり、予備機も所有していたであろうから、年代、仕様の異なるスピードキングを複数所有していた可能性は高い。

スピードキングの年代別区分
※1949年頃以前の『旧型スピードキング』については本サイトでの考証から除外している。

『新型 W.F.L.モデル』(1950年頃~1967年頃)
リンゴ・スターが使用したことで知られるモデル。ロングフィンフットボード裏面にリブが2本、フレーム本体底面に「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ無し、1960年頃よりフロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径が約5.3mmと小さい。

『1968年型=Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型=2本リブ』(1968年頃)
ロングフィンフットボード裏面にリブが2本、フレーム本体底面に「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面のリブ無し、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「ほぼ直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径が約5.5mmで小さめ。

※以上の2種は「フットボード裏面のリブが2本」で、かつ「ロングフィン」を仕様的特徴とする。

『1969年型=4本リブ最初期型』(1969年頃)
ラディックのカタログで、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)から82年版(Copyright 1982 Ludwig Industries, Inc.)にかけて掲載され続けたスピードキングの商品写真に使用されているモデルロングフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面のリブ無し、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「ほぼ直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は6.2mm、その形状は「ナベ型」ではなく「フラット」で、「Cリング(C型ワッシャー)」を噛ませてある

『1970年型」(1970年頃)
・ロングフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」は無い。プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブは無い。フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」な形状に変更、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は6.2mm。その形状は「ナベ型」ではなく「フラット」で、「Cリング(C型ワッシャー)」を噛ませてある

⑤『70年代初期型』(1971年頃~1974年頃)
・ロングフィン
フットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」は無いものがほとんど。プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブの無い個体がほとんどか。フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mm。その形状は80~90年代製と同様の「丸みを帯びたナベ型」ロッド末端の「Cリング(C型ワッシャー)」は無くなる

※以上の3種は「フットボード裏面のリブが4本」で、かつ「ロングフィン」を仕様的特徴とする。
※「70年代初期型」は現物を未入手のため、主に画像情報に基づく。入手後に情報を反映します。

『70年代中・後期製』(1974年頃~1979年頃)
・ショートフィン
フットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面に「中空孔」が設けられたものがほとんど、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mmか。その形状は80~90年代製と同様の『丸みを帯びたナベ形』

※さらに年代により細部に仕様の違いがありうる。
※以上の6種は「コネクティングリンク」が「薄く・長い」仕様を特徴とし、以下の2種は「コネクティングリンク」が「厚く・短い」仕様を特徴とする。
※「70年代中・後期型」は現物を未入手のため、主に画像情報に基づく。入手後に情報を反映します。

『80~90年代型』(1980年頃?~1990年代終盤?)
ショートフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」有り、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」無し、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「厚く短い」タイプで、先端は「直線形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mmか。その形状は「丸みを帯びたナベ型」

※さらに年代により細部にも仕様の違い有り。
※以上の7種は本体が「シルバー」に塗装されている点で共通している。

『最終型』(90年代終盤?~2014年)
本体の塗装がこれまでのシルバーからブラックに変更され、「最終型」の仕様となるショートフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」有り、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」無し、ロッカーシャフト全体のシェイプが特に後期は「かなり滑らか」、コネクティング・リンクは「厚く短い」タイプで、先端は「直線形」、ロッドエンドの直径が約5.9mm(形状が整っている)
※さらに年代により細部に仕様の違いがある。例えば、当方の所有する「最終型」の一台には「ロッカーカム」に「フランジ」が付いていない。

「ウィリアム・F・ラディックⅢ氏」によれば、BONZOはラディック社と契約する以前からラディック製機材を使用していたとのことなので、当然「W.F.L ロゴのスピードキング」も所有していた可能性が高い。熱烈なBONZOマニアを自認する諸氏は、60年代後半から70年代初期にかけての仕様の異なる複数のスピードキング、少なくとも①、②、③、④、⑤の全モデルを買い揃えていく新たな楽しみができることになる。誠に喜ばしいことであるに違いない!

※「W.F.L. スピードキング」と1968年頃に製造されたと推定される「Ludwig スピードキング最初期型」はともにフットボード裏面に設けられたリブが2本であるが、4本リブ仕様のフットボードに比べてアクションが一段軽くなる。パワフルな演奏には4本リブタイプのほうが向くが、2本リブタイプ、4本リブタイプともに速い連打ができるようになるには相当な訓練が必要。
※BONZOが1976年頃以降に使用していたスピードキングの仕様については、現在調査中(画像がどうしても見つからない)。

※スピードキングの本体がブラックに塗装された「Ludwig スピードキング・最終型」が販売されはじめた年が特定できる資料、情報をお持ちの方は是非こちらまでご連絡ください。また、名機「スピードキング」に関する情報を後の世代にまで永く伝えていくため、スピードキングに関する情報をお持ちの方は是非ご連絡くださいませ。

※この項、記2016年5月15日



Bill Bruford's Speed King Pedal:Yes, King Crimson

ビル・ブルーフォードのピードキング:イエス/キング・クリムゾン

・1971年終盤に撮影されたイエス時代のビル・ブルーフォードと’Hayman’製のドラムキット。

・’Hayman’のスネアドラムは床に置かれ、キットにはラディックの’Supuraphonic LM400’がセッティングされている。キックペダルはスタンド類の陰になっているが、フレーム本体にスピードキング独特のフォルムが確認できる。因みに翌1972年の夏、ブルーフォードはイエスを脱退しキング・クリムゾンに移籍する。
※Bruford本人が「ブラフォード」と呼ぶのをやめてほしいと要望しているため、近年は原音に近い表記、「ブルーフォード」が定着しつつある。

■LEFT:Bruford's Speed King Pedal ・Right:My own Speed King Pedal(1968 product)

・左の画像はブルーフォードのスピードキング、右は当方の推定1968年製スピードキングで、「フィン」はロングタイプ。ビーターはほぼ最大長にセットした。ゴム紐を使用してビーターを踏み込まれた状態に固定し、元写真に写ったブルフォードのスピードキングとほぼ同じ角度から撮影した。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

二枚の画像の重ね合わせを行った。スピードキングの本体の最下部全体がスネアスタンドの下部ステイ(stay:中心にあるガイドパイプとレッグとを連結する平行な部材)の陰になってしまっているが、本体フレーム付近の形状的特徴やその配置がスピードキングのそれとほぼ完全に一致する。
・ブルーフォードのスピードキングに装着されたビーターはメーカーや型番などが不明だが、画像ではフェルト部の形状的特徴から、ラディックの「L1286」である可能性がある。また、もし「L1286」だとしたら、BONZOやロジャー・テイラーと同様、ビーターロッドをほぼ最大長にしてセッティングしていたということにもなるだろう。因みにブルーフォードのこのバスドラムの口径サイズは22インチ。
・元写真が撮影されたのがイエスを脱退する直前の1971年終盤であり、当時彼が使用していたのが「WFL ロゴ」ではなく「Ludwig ロゴ」のスピードキングだとすれば、この個体は1968~69年頃に製造された「Ludwig 最初期型(2本リブ仕様)」か、あるいは「70年代初期型(4本リブ仕様)」のいずれかであることになるが、「WFLモデル」を使用していた可能性も全く無いわけではない。


February 23, 1970, YES ~ イエス時代(1970年2月23日)

・1970年2月23日に撮影されたイエスのライブ動画、’Time and a word’の約3分23秒後のシーン。ほんの一瞬だが、動画ではスピードキングのロッカーシャフトがその独特なモーションで駆動しているのが確認できる。

February 23, 1970, YES ~ イエス時代(1970年2月23日)

・スピードキングが映っている部分を拡大した。元画像の解像度が低く、スピードキングの形状がはっきりしない。


・当方のスピードキングのビーター角度を元画像に合わせて固定し、ほぼ同じ角度から撮影した。主に円で囲った部分の形状的特徴がスピードキングを特定する手がかりとなる。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・形状的特徴が一致する部分を基準に二枚の画像を重ね合わせた。元画像の解像度が低いだけでなく、フロアタムのレッグやバスドラムのテンションボルトのウイング部が重なっているようで、そのため二者の画像を正確に重ね合わせることができなかったが、スピードキングはおよそこの画像のようにセッティングされていると思われる。

April 28, 1973, King Crimson ~ キング・クリムゾン時代(1973年4月28日)

・1973年4月28日撮影。キング・クリムゾン時代のビル・ブルーフォード。

キング・クリムゾン(King Crimson)… プログレッシブ・ロックというジャンルを確立したイギリスのグループ。後世のミュージック・シーンに多大な影響を与えた。音楽性の変化が激しく、メンバー構成もまた目まぐるしく変化した。『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)、『太陽と戦慄』(1973年)等の名盤で知られる

※『21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)』(1969年):邦題は後に『21世紀のスキッツォイド・マン』に改題された。ジャズとロックを融合させ、アグレッシブかつ様式美に溢れたスリリングな楽曲。動画は1969年にハイドパークで行われたライブでの模様(抜粋)で、ボーカルをとっているのは後に「エマーソン、レイク&パーマー」を結成するグレッグ・レイク、サックスを吹いているのは後に「フォーリナー」を結成するイアン・マクドナルド。
※『太陽と戦慄パートⅡ(Larks' Tongues In Aspic, Part Two)』(1973年):静と動の構築美、幻影、時空の超越、破壊、混沌、狂気といったさまざまなイメージと心理世界とが交錯し、聴く者の深層心理に深く斬り込んでくる芸術性の高い名曲。アルバム制作においてパーカッションを務めたジェイミー・ミューアがキング・クリムゾンに在籍していた期間は数か月で、この動画が撮影された時には既に脱退している。ベーシストのジョン・ウェットンはキング・クリムゾン解散後、ビル・ブルーフォード、アラン・ホールズワース、エディー・ジョブスンらとともに「U.K.」を結成する。
※『太陽と戦慄パートⅠ(Larks' Tongues In Aspic, Part One)』(1973年):この動画では狂気のパーカッショニストとして名を馳せたジェイミー・ミューアの実演が楽しめる。

Enlarged image ~ 拡大画像

・ペダルの部分を拡大した。スピードキングのシーリングキャップ付近についてはバスドラムに装着されたテンションボルトのウイングと一部重なって写っているようで、そのため形状がはっきりしないが、その他の各部分に関してはスピードキングの形状的特徴が酷似している。

■LEFT:Bruford's Speed King Pedal ・Right:My own Speed King Pedal(1968 product)

・左の画像で、枠で囲った部分がスピードキングの形状的特徴である。右は当方の所有する、推定1968年製の「最初期型 Ludwig スピードキング」。

Double Exposure ~ 画像の重ね合わせ

・スピードキングの特徴的な各部形状やその配置がほぼ完全に一致する。現段階での情報に基づけば、ビル・ブルーフォードは1970年代のイエス時代からキング・クリムゾン時代にかけてラディックのスピードキングを使用していたと確定してもよいだろう。両グループの名曲の数々もまた、この名機、スピードキングによって支えられていたのだ。
・ブルーフォードが1977~78年に在籍した「UK」や1979~80年に在籍した「BRUFORD」時代にもスピードキングが使用された可能性が高いため、引き続き調査を継続したい。


■作成中
・1972~73年か。
・ビル・ブルーフォードとスピードキングが明瞭に写った写真
Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


おまけ:ビル・ブルーフォードはロートタムの愛用者


・ビル・ブルーフォードは70年代からロートタムを使用していたアーティストの一人。
ビル・ブルーフォードのロートタム

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(記:2016年11月)



Roger Taylor's Speed King Pedal:QUEEN

ロジャー・テイラーのスピードキング:クイーン

’Liar’ by QUEEN 1973年のプロモーションビデオ、約21秒後より切り出した。BONZOをリスペクトするQUEENのロジャー・テイラーも、やはりスピードキング愛用者。

・フィンはロングタイプ、ヒールロッド末端の直径が「Ludwig 最初期型(推定1968年製)」のものよりやや太く整った形状をしているので、「Ludwig 1969年型」か、1970頃から1973年頃までの期間に製造された「Ludwig 70年代初期型」だろう。フロアープレート裏面にも「ノンスキッドパッド」が貼られているはずだが、毛布のようなものを床に敷いているためフロアープレート全体が沈み込んでしまっていて確認できない。

’Making of One Vision' video by QUEEN 1985より

・1985年製作、’Making of One Vision’より切り出した(約54秒後)。

・SIMMONSのエレクトロニック・ドラムに装着されたロジャーのスピードキングは、フィンがショートタイプであること、コネクティングリンクの厚みが1.6mmタイプであること、フロアープレートの底面に「Non-skid pad」が貼られていること等からすると「70年代中・後期型」か、あるいは動画からもわかるようにロジャーは複数のスピードキングを所有していたので、同じ70年代でも製造時期の異なるフレームとフットボードとが組み合わされている可能性もある。

・ビーターはもちろん’Ludwig L1286 Hard felt beater’だが、BONZO同様、ビーターロッドを最大長でセッティングしていることが確認できる。
・また、トウクランプの全長と形状が純正品と大きく異なっており、さらにスピードキングの「フィン」とシモンズのフープとの間に約15mmの間隔ができていることから、このトウクランプは恐らくロジャーが通常使用しているラディック・キットのバスドラムのフープとスピードキングとの間に一定のスペースをとるために特別に加工されたものだと思われる。

’I'm in love with my car’ live in Montreal 1981より

・動画、’I'm in love with my car’ live in Montreal 1981より切り出した(約30秒後)。

・ほんの一瞬、しかも一部分しか見えないが、スピードキング独特の動作が確認できる。
・ぼんやりとであるが、ショートサイズのフィンがかろうじて見えている。また、スピードキングのポストとバスドラムのフープとの間の距離からも、やはりフィンの仕様はショートサイズと見てよいだろう。
・ただ、ロジャーはフープとペダルとの距離をさらに離してセッティングするために、前掲した1984年の画像にあるスピードキングと同様、「トウクランプ」に改造が施されたものを使用している可能性もある。

・’ライアー’、’輝ける七つの海’、’キラークイーン’、’マイ・ベストフレンド’、’ボヘミアン・ラプソディー’、’タイ・ユア・マザー・ダウン’、’愛にすべてを’、’ウィ・ウィル・ロック・ユー’、’シアー・ハート・アタック’、’バイシクル・レース’…、ロジャーがスピードキングを愛用し、そのスピードキングによってクイーンの数々の名演が生み出されてきたという事実を改めて知ると、ロジャーの蹴り出すバスドラムのサウンドやクイーンの楽曲も、これまでとはまた違った感覚で楽しめるというものだ。

■おまけ①:一部パールヘッドが張られたロジャー・テイラーのドラムキット

・1985年製作、’Making of One Vision’より切り出した(1985年9月録音)。左の画像は11分37秒後、右の画像は1分6秒後のもの。
・ロジャーのドラムキットにはLudwig製の’ROCKERS’ヘッドが張られているが、タムタムの一つにパールブランドのヘッド(’REMO’によるOEM製品のようだ)が張られているのが確認できる。



・1985年7月に行われた’Live Aid’でのクイーンの’Radio Gaga’から切り出した(6分5秒後)。ロジャーのキットの一部タムに、やはり「パールヘッド」が使用されている。この約2か月後に撮影された「Making of One Vision」でのレコーディング時に張られたヘッドと同じものだろう。’他は’Ludwig Rockers Head’であるようだ。


■おまけ②:ロジャー・テイラーはロートタムの愛用者


’I'm in love with my car’ by QUEEN’ ~1979年、ロンドンでのライブ動画より。ロジャー・テイラーは70年代からロートタムを使用していたアーティストの一人。

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(記:2016年4月)



Ringo Starr's Speed King Pedal:The Beatles

リンゴ・スターのスピードキング:ザ・ビートルズ

・上画像:1965年6月21日に撮影されたビートルズのライブ写真より一部を拡大した。スピードキングに独特なシェイプがはっきりと写っている。画像が不鮮明なため細部は判然としないが、どうやらヒールクランプはリバースさせているようだ。

・ビンテージ・スピードキングのフットボード上に刻印されたロゴには、「WFL ロゴ」と「Ludwig ロゴ」の二種がある。WFLのカタログによれば、スピードキングは1950年頃に旧デザインから新デザインに全面的に改められ、フットボード表面に「WFLの文字があしらわれたキーストーン」をデザインとした大きなロゴが刻印される。その後、このロゴが刻まれたスピードキング単体の商品用イラストが、社名がLudwig Drum Companyに変更された1955年以後もさらに10年以上、少なくとも1967年版まで掲載され続ける(1968年~1970年については不明)。ラディックのカタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真は過去の使い回しが多いため確証とはならないが、当ページにて詳述したとおり、1965年時点でのスピードキングは間違いなく「WFL モデル」であろう。

※尚、「Ringo Starr」の「Ringo」は英語では正しくは「リンゴゥ」と発音される。。
※参考サイト:「Ludwig SPEED KING Maniac

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・元画像とほぼ同じ角度から撮影した当方の「WFL スピードキング」をリンゴのスピードキングの画像に重ね合わせた。ビーターの角度はなるべく元画像の角度に近くなるようゴム紐を使用して固定し、ヒールクランプはリバースさせた。

ヒールクランプのリバース

・上画像:リンゴのスピードキングはヒールクランプがリバースされていることがわかる。



・2015年12月、リンゴの使用したドラムキット(1963年入手・ブラックオイスター)がオークションに出品され、225万ドル(約2億7700万円)で落札された。上の画像は、このオークションに関連する動画から一部を切り出したもの。WFLモデルであることはフットボードで明白だが、不可解なことに本体フレームが60年代には存在しなかった「ショート・フィン仕様」であり、また、ロッカー末端の形状も滑らかで、これは60年代の製品にはない特徴だ。恐らくリンゴが所有している複数のスピードキングの中に1974年頃以降に製造されたものがあり、そのフレーム本体にWFLのフットボードを組み違えてセットしてしまったものだろう。


・上画像:2015年にアメリカ国内でリンゴのドラムキットが展示された際に撮影された画像より一部を拡大した。こちらでは「WFL ロゴ」ではなく「Ludwig CHICAGO ロゴ」のスピードキングが装着されている。バスドラムのフープのエッジとペダル底部の段差部分との間に隙間が全く無い。「ロング・フィン仕様」のスピードキングを装着した場合にはこの段差部分に12~13mmもの広い隙間ができるので、このペダルのフレーム本体は「70年代中期以降のショート・フィン仕様」であると見て間違いない。「ショート・フィン仕様」のフレームは60年代には存在しないのだ。

ただし、フットボードについては「WFL ロゴ」から「Ludwig CHICAGO ロゴ」に変更された1967年頃以降のいつ入手したものか、この画像だけからは特定することが困難。「Ludwig CHICAGO ロゴ」のフットボードは60年代終盤には確かに存在していたので、「ホワイトアルバム」の製作期に入手した個体かもしれないし、あるいはビートルズ解散後、70年代のソロ活動期に入手した個体かもしれない。

ビートルズ時代のドラムキットに70年代中期以降に製造されたスピードキングのフレームが確認できるということは、そもそもこの画像にあるスピードキングが、フレーム本体とフットボード、そしてビーターとが、オリジナルの状態で正しく組み合わされたものであるかどうかとなると、かなり怪しい。あまり物事に細かくこだわらないリンゴの性格も関連しているのかもしれないが、リンゴゥが所有する複数のスピードキングは保管時に既に「組み違い」が起きている可能性がある。


リンゴの足とWFLスピードキング

・オークションに出品する自身のドラムキットをリンゴが叩いている場面を撮影した動画から一部を切り出した。フットボード表面にうっすらと見えているパターンの印象から、これは「WFL ロゴ」であるようだ。ただし、バスドラムのフープとペダルとの距離が近いので、フレーム本体は恐らく70年代製だろう。「ヒールクランプ」はリバース状態。ビートルズ時代、リンゴは「ヒール・クランプ」をリバースさせてスピードキングを使用することが多かったようだ。また、「フロアー・プレート」が数ミリ浮き上がっているので、純正の「Non-skid pad(#2476:滑り止めパッド)」が装着されているのだろう。

A Scene from ’Rooftop Concert’ by The Beatles (January 30,1969)

・上画像:1969年1月30日に行われたビートルズの「ルーフトップ・コンサート」の模様を撮影した写真の一部を拡大した。ビートルズ初期にはプレミアのペダル(Premier #250)を使用していたが、1963年にLudwig製ドラムに替えて以後は一貫してスピードキングを使用したということになるだろう。

※参考サイト:Ringo's Beatle Kits
※記:2015年12月11日


Don Brewer's Speed King Pedal:Grand Funk Railroad

ドン・ブリューワーのスピードキング:グランド・ファンク・レイルロード
・2018年8月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1971年7月3日、ロンドンのハイドパークでのグランド・ファンク・レイルロードのライブを撮影した写真。

・ペダル本体は残念ながらほとんど写っていないが、黄色い枠内にビーターを固定するスピードキングの特徴的な「(ミッキーマウスの耳型)蝶ネジ」とロッカーのごく一部、また、本体フレーム上部にあるシリンダーのごく一部とビーターロッドがかろうじて写って見えている。バスドラムの打面には幅約1インチに切られた黒っぽいガムテープらしきものが7~8センチメートルの間隔で縦に二本貼り付けられており、ビーターロッドは右側のテープに一部重なって見えている。また、左側のテープのさらに左側にはスネアスタンドの一部が見えている。

・拡大画像

・上画像:スピードキングが写っている部分を拡大した。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・上画像:元の写真が広角レンズで撮影されているため被写体が若干歪んで写っており、二枚の画像を完全に一致させることは困難だが、ドン・ブリューワーが使用しているキックペダルがラディックのスピードキングであることはこの画像を元に確定することができるだろう。

『孤独の叫び』~Inside Lookin Out(1970 )

・ブリティッシュ・ロック全盛の1970年代初頭、アメリカの大地の匂いを漂わせたストレートで荒削りな、そして凄まじい大音量で演じられたロック・パフォーマンスは若者の魂を激しく揺さぶり、GFRは間違いなく時代を象徴するグループの一つになった。腰近くまで長く伸ばした金髪を振り乱し上半身裸でギターを弾きながら絶唱するマーク・ファーナーの存在もまた、多くの若者を魅了した。


※記:2018年3月24日(土)




Carmine Appice's Speed King Pedal

カーマイン・アピスのスピードキング

・上画像:1975年、レスリー・ウエストと共演するライブ動画での一シーン。ドラムソロを披露するカーマイン・アピス。画像を切り出した箇所は1分35秒後。黄色い枠内にスピードキングのロッカー(弓形の回転軸)の特徴的な形状が映っている。

カーマイン・アピス(Carmine Appice)… アメリカのドラマー。ハードロックドラマーとしての草分け的存在であり、ジョン・ボーナムやコージー・パウエルら後進のドラマー達にも多大な影響を与えた。ティム・ボガートらとともに結成したヴァニアラ・ファッジ(Vanilla Fudge)や、カクタス(Cactus)、ジェフ・ベック、ティム・ボガートと共に結成したベック・ボガート&アピス(Beck, Bogert & Appice)等での活動で知られる。

※『You Keep Me Hanging On』(1968) by Vanilla Fudge
※『Evil』(1970) by Cuctas
※『Superstition』(1973) by Beck Bogert & Appice

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・カーマイン・アピスはヴァニラ・ファッジやカクタス、ベック・ボガート&アピスの時代にもスピードキングを使用していた可能性が高いが、残念ながら画像資料が見つからなかった。

レスリー・ウエスト(Leslie West)… グランド・ファンク・レイルロードとともに70年代を代表するアメリカのハードロックバンド、マウンテンのギタリスト、およびボーカリスト。映画、『イージー・ライダー』のサントラ盤にも収められた『Mississippi Queen(ミシシッピー・クイーン)』や、哀愁を帯びた叙情的なバラード、『Nantucket Sleighride(ナンタケット・スレイライド)』等のヒット曲で知られる。因みにマウンテンでベースを担当していたフェリックス・パパラルディは1975年、竹田和夫率いる日本の『クリエーション』のアルバム制作に携わり、翌1976年にはフェリックス自身もクリエーションのメンバーとして全米ツアーに参加している。

※記:2018年2月8日(木)


Mick Tucker's Speed King Pedal:Sweet

ミック・タッカーのスピードキング:スウィート

・上画像:1975年にヒットしたスウィートの代表曲の一つ、『Fox on the run』のプロモーションクリップより。画像を切り出した箇所は2分15秒後。黄色い枠内にスピードキングが映っている。

スウィート(Sweet)… 1970年代にグラムロック、ハードロックの分野で活躍し、『Fox on the run』、『Action』等のヒットで知られる。クイーンのコーラスが「天使のハーモニー」、スウィートのコーラスが「悪魔のハーモニー」として比喩され、両者は対照された。
・代表曲である『Fox on the run』は全英2位(1975年)、『Action』は全英15位(1975年)を記録。また、『Block Buster』は全英1位(1973年)、『The Ballroom Blitz』も全英1位(1973年)、『Teenage Rampage』も全英2位(1974年)を記録し、1970年代に発表した10曲が全英シングルチャートでトップ10入りを果たしている。
・メンバーはボーカルがブライアン・コノリー(1997年逝去)、ギターがアンディー・スコット、ベースがスティーヴ・プリースト、ドラムがミック・タッカー(2002年逝去)。スウィート結成以前、ブライアンとミックは、後にディープ・パープルに参加することになるイアン・ギランが在籍していた『ウェインライツ・ジェントルメン(Wainwright's Gentlemen)』というグループで活動していた。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・画像の重ね合わせを行った。元の画像の画質が悪く半ばぼやけているが、スピードキングのシルエットとほぼ完全に一致する。

Mick Tucker's Speed King Pedal ~ ”Action” 1975

・上画像:1975年にヒットしたスウィートの代表曲の一つ、『Action』のプロモーションクリップより。画像を切り出した箇所は1分53秒後。映像ではカメラが移動しながら撮影しているが、独特なペダルのモーションとシルエットからスピードキングが使用されていることが判別される。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・上画像:スピードキングのセッティング位置としてはこのようになる。

Mick Tucker's Speed King Pedal ~ ”Fever of love” 1977

・上画像:1977年発表、『Fever of Love』のプロモーションクリップより。画像を切り出した箇所は1分29秒後。黄色い枠内にスピードキングが映っている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・上画像:「ロッカー(弓形の回転軸)」と直立した細い二本のフレームポストが特徴的であり、ロッカーのモーションもまた独特であるため、スピードキングの判別は比較的しやすい。

Mick Tucker's Speed King Pedal ~ ”The Ballroom Britz” 1973

・上画像:1973年にヒットした『The Ballroom Britz』のプロモーションクリップより。画像を切り出した箇所は1分49秒後。スピードキングの全体像が比較的はっきりと映っている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

・プロモクリップのほうがワイドレンズで撮影されているため屈折率が大きく、対象の歪みに合わせて上手く画像を重ね合わせることができなかったが、元のシルエットとスピードキングの特徴的な形状がおおよそ一致する。


Mick Tucker's Speed King Pedal ~ ”Lost Angels” 1977

・上画像:1977年 ”Lost Angels” 1分37秒時点

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Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

※記:201年月日()


Levon Helm's Speed King Pedal:The Band

リヴォン・ヘルムのスピードキング:ザ・バンド

・上画像:1976年6月に開催された『The Band』の野外コンサートでの模様を撮影した画像より一部を切り出した。Levon Helm(リヴォン・ヘルム)の使用するスピードキングの形態がよくわかる。

ザ・バンド(The Band)… 1967年から1976年にかけてアメリカで活躍したバンド。ボブ・ディランのバックバンドとしての活動でも知られる。ドラマーのLevon Helm(リヴォン・ヘルム)はアメリカ人だが、ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、リチャード・マニュエル、ガース・ハドソンら四人はカナダ人。

・1976年11月26日、ザ・バンドを解散するにあたりサンフランシスコで開催されたコンサートにはボブ・ディラン、リンゴ・スター、エリック・クラプトン、ロン・ウッド、ヴァン・モリスン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ドクター・ジョン、マディー・ウォータース、ポール・バターフィールド、ロニー・ホーキンスら、ロック界を担ってきた大物ミュージシャンがノーギャラで集い、彼らの名演もさることながら、変容しつつあった70年代半ばのミュージックシーンにおいて、一つの時代の終焉を象徴する伝説的なコンサートとして語り継がれることとなった。コンサートの模様は映画界の巨匠、マーティン・スコセッシ監督により映像に記録され、『ラストワルツ (The Last Waltz)』として1978年に公開された。また、ロビー・ロバートソンの監修によりLPレコード三枚組のサウンドトラック盤としてもリリースされた。

※『I Shall Be Released(アイ・シャル・ビー・リリースト)』(The Last Waltz/1976):共演:ボブ・ディラン、リンゴ・スター、ロン・ウッド、他。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

上画像:スピードキングのセッティング状況がよくわかる。ハードフェルトビーター(ラディック L1286)が最大長より約1cm短くセッティングされていることもわかる。



・上画像:1992年 動画 (43秒時) ラディックL1286ハードフェルト・ビーター


・こちらの 動画 ではアーカンソー州出身であるリヴォンの味のある南部なまりのヴォーカルとドラミングが楽しめる。


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Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
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・上画像:2009年 動画


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
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上画像:動画 2012年3月撮影。翌月、 リヴォンは癌のため71歳で亡くなった。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
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※「Levon Helm」の「Levon」の発音は本国アメリカでは「リィヴォン」に近い。

※記:201年月日()


Richard Manuel's Speed King Pedal:The Band

リチャード・マニュエルのスピードキング:ザ・バンド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:

※リヴォン・ヘルムがバンジョーを演奏している間にリチャード・マニュエルが自身のドラムセットを演奏。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
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※記:201年月日()


Bill Ward's Speed King Pedal:Black Sabbath

ビル・ウォードのスピードキング:ブラック・サバス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1974年4月6日に開催された『カリフォルニア・ジャム』での模様を撮影した画像より一部を切り出した。

ブラック・サバス(Black Sabbath)… 「レッド・ツェッペリン」、「ディープ・パープル」と並び三大ハードロックバンドに数えられるとともに、ヘビー・メタルの始祖的な存在として位置づけられている。当時のメンバーはボーカルがオジー・オズボーン、ギターがトニー・アイオミ、ベースギターがギーザー・バトラー、ドラムがビル・ウォード。
※”Ward”の発音は本国では「ワード」ではなく「ウォード」と発音される。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

Bill Ward's Speed King Pedal ~ ビル・ウォードのスピードキング

上画像:同じく『カリフォルニア・ジャム』での一コマ。Bill Ward(ビル・ウォード)の使用するスピードキングがよく確認できる。ビーターはラディックの”L1286 ハードフェルト・ビーター”。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ

上画像:

※記:201年月日()


Derek Longmuir's Speed King Pedal:Bay City Rollers

デレク・ロングミュアーのスピードキング:ベイ・シティ・ローラーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


上画像:1975年に発表された『Once upon a star(噂のベイ・シティ・ローラーズ)』を「Lip sync:口パク)」で演奏するベイ・シティ・ローラーズを収録した映像より一部を切り出した。切り出した箇所は2分26秒時。

・ベイ・シティ・ローラーズのドラマーであるデレク・ロングミュアーの兄でベーシストのアラン・ロングミュアーが在籍している時の映像なので、撮影も1975年と思われる。デレクの右足の踵付近にスピードキングのヒールクランプと、それを固定するフロアープレートが確認できる。この映像で演奏しているメンバーは、ボーカルがレスリー・マッコーエン、リードギターがエリック・フォークナー、サイドギターがスチュアート・ウッド、ベースがアラン・ロングミュアー、ドラムがデレク・ロングミュアー。アランは翌1976年に脱退し、イアン・ミッチェルが新たにメンバーに加入する。
※ボーカリストのレスリー・マッコーエンの名、「McKeown」は本国では「マッキゥーゥ(ェ)ン」に近い発音となる。

ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)… 特に1970年代中期に世界的に大旋風を巻き起こしたイギリス(スコットランド)のポップ・ロック・バンド。「バイ・バイ・ベイビー(Bye Bye Baby)」(1975年)、「サタデー・ナイト(Saturday Night)」(1973年)、「二人だけのデート(I Only Wanna Be With You)」(1976年)等のヒット曲で知られる。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


Derek Longmuir's Speed King Pedal ~ デレク・ロングミュアーのスピードキング

・上画像:1975年の撮影。演奏しているメンバーは、ボーカルがレスリー・マッコーエン、リードギターがエリック・フォークナー、サイドギターがスチュアート・ウッド、ベースがアラン・ロングミュアー、ドラムがデレク・ロングミュアー。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


Derek Longmuir's Speed King Pedal ~ デレク・ロングミュアーのスピードキング

上画像:1977年に発表された『It's a Game』のプロモーション・クリップから切り出した。この映像で演奏しているメンバーは、ボーカルがレスリー・マッコーエン、リードギターがエリック・フォークナー、サイドギターがパット・マッグリン、ベースがスチュアート・ウッド、ドラムがデレク・ロングミュアー。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


Derek Longmuir's Speed King Pedal ~ デレク・ロングミュアーのスピードキング

・上画像:イアン・ミッチェルが在籍していた1976年に撮影された映像の何編かでデレクがスピードキング以外のキックペダル(『ゴーストペダル』らしき機種と、機種が不明のキックペダル)を使用しているシーンが複数確認でき、また、上の写真ではレスリーが裾の長いジャケットをコスチュームとして着用していることから、この写真は1976年後半から77年にかけてのいずれかの時期に撮影されたものと思われる。デレクは1975年までスピードキングを使用し、1976年に一度他機種に替え、1977年には再びスピードキングに戻していた可能性もある。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


※1976年に撮影されたと思われるクリップにはデレクが「ゴースト・ペダル」らしきキックペダルを使用している映像がいくつかあり、また、同じく1976年に発表された「I only wanna be with you(二人だけのデート)」を収録したクリップではスピードキングともゴーストペダルとも異なるキックペダルを使用しているシーンが確認できたが、画像が不鮮明なため、現在のところ機種の特定まではできていない。

■個人的な述懐であるが、1975年にAMラジオで初めて「バイ・バイ・ベイビー」を聴いて以来、BCR(ベイ・シティ・ローラーズ)のファンとなり、1976年12月に日本武道館で行われた初来日公演にも観覧に行った。サイドギターを担当していたメンバーがイアン・ミッチェルからパット・マッグリンに替わって直後で、自分としては純粋に彼らの楽曲や演奏を楽しみたかったのだが、会場のほとんどは女性ファンで占められ、絶叫にかき消されてそれどころではなく、パットも演奏する時間より観客に手を振っている時間のほうが長いのではと思われるほどで、アイドルに徹しなければならない彼らのジレンマというものも感じられたとともに、ファンの側にももっとミュージシャンとしての彼らに敬意を抱き、その音楽性や楽曲を純粋に楽しむ心の余裕を持ってほしいと思ったものだ。実際、ベイ・シティー・ローラーズの楽曲を聴くと、ただ人気取りを目論んで操られるだけのアイドルによる商業主義的で薄っぺらな楽曲とは異なって、音楽に対する真摯な姿勢や、自分たちの音楽を心から楽しんでほしいといった純粋な思いがしっかりと伝わってくるのだ。

また、シンプルだがリズム感があり、歌うように心地よく響いてくるデレクのドラミングサウンドが大好きで、口パク撮影しか無かったが、当時テレビで放映されたBCRの映像を見て、デレク・ロングミュアーがいつも笑顔で楽しそうにドラムを叩いている姿も大変魅力的で、ドラムという楽器に対する興味と魅力をいっそう深めてもくれたものだった。

当時はほとんど表に現れることがなく話題にもならなかったが、実は純粋にベイ・シティー・ローラーズの楽曲に惹かれていた男性ファンもかなり存在しただろうと推測される。当時は男子ごときがベイ・シティー・ローラーズが好きだなどと口外するのも憚れる雰囲気が支配していたため、エアチェックしたテープやレコードを聴いて一人楽しむしかなかったのだろう。当方の場合も、当時バンド仲間に「サタデーナイト、コピーしようよ…」と提案したが、さり気なく流されてしまって残念に思った記憶がある。


・Once upon a star(2分27秒)
・I only wanna be with you(ゴーストペダル?)
・Rock'n Roll Love Letter(イアン・ミッチェル/3分4秒、3分18秒)
・Are you cuckoo?(2分47秒)
・Money(0分24秒)
・Remember()

※記:201年月日()


Charlie Watts' Speed King Pedal:The Rolling Stones

チャーリー・ワッツのスピードキング:ザ・ローリング・ストーンズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1966年に撮影されたローリング・ストーンズのステージ写真から一部を切り出した。1966年当時はまだスピードキングは「Ludwig CHICAGO ロゴ」となっていなかったため、チャーリー・ワッツがこの時使用していたのはビートルズのリンゴ・スターと同じ「WFL スピードキング」である。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!





Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!





・上画像:


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!



・上画像:

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


※記:201年月日()


Art Tripp's Speed King Pedal:Captain Beefheart & His Magic Band

アート・トリップのスピードキング:キャプテン・ビーフハート

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1972年、ドイツの音楽番組、「Beat-Club」での収録映像から一部を切り出した。切り出した箇所は14分20秒時。ビーターはラディックのL1286ハードフェルト・ビーター。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!



・上画像:アートが今日かぶっているパンティーはグリーン系のようである。

アート・トリップ(Art Tripp)… 動画内のメンバー紹介では「エド・マリンバ(Ed Marimba)」という彼の別名で紹介されている(10分40秒)。アートには他に「Ted Cactus(テッド・カクタス)」という別名もあるそうだ。元々クラシックの音楽家という異色のドラマーで、「キャプテン・ビーフハート & ヒズ・マジック・バンド」で活動する以前には「フランク・ザッパ& マザーズ・インヴェンション」で活動し、ザッパのアルバム7枚の制作に参加している。フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・インヴェンション時代にもアートはスピードキングを使用していたと考えられるが、キックペダルを特定できるような画像・映像が見つからなかった。


キャプテン・ビーフハート(Captain Beefheart)… アメリカのアーティスト。「キャプテン・ビーフハート」という名前は高校時代からの旧友であるフランク・ザッパから与えられたニックネームで、「ドン・ヴァン・ヴリート」が本名である。そのザッパのプロデュースにより制作され、1969年に発表された『トラウト・マスク・レプリカ(Trout Mask Replica)』は既存の音楽の枠組みから逸脱した形で作曲が行われ、「音楽以外の領域に活動する芸術家にも理解し得る芸術作品」といった評価を得ている。


記:2018年月日(日)



Robert Wyatt's Speed King Pedal:Soft Machine

ロバート・ワイアットのスピードキング:ソフト・マシーン

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:動画(10分34秒時)。この付近、スピードキング独特のキコキコ、カチャカチャがよく聞こえる。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

10分55秒時
11分43秒時

記:201年月日()



Neil Peart's Speed King Pedal:RUSH

ニール・ピアートのスピードキング:ラッシュ
・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1975年に発表されたRushのシングル曲、『Fly By Night』のプロモクリップから一部を切り出した。切り出した箇所は1分18秒時。ワイドレンズを使用して撮影されているため、被写体が歪んで写っている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


・上画像:1981年に行われたライブで「Tom Sawyer」を演奏するラッシュの動画から一部を切り出した。切り出した箇所は2分40秒時。スピードキングのロッカー部とその独特のモーションがかろうじて確認できる。



※Neil Peartの「Peart」は英語では「ピアート」に近い発音となり、「パート」とは発音されない。
ラッシュ(Rush)… カナダ出身のメンバーによるトリオ編成のバンドで、北米でのプログレッシブ・ロックの先駆的存在。ハードロック、プログレッシブロック等、音楽性は時代により変化しているが、高度な演奏技術、哲学的な歌詞を特徴とし、欧米での人気は絶大である。1970年代中期にニール・ピアートが加入して以来、メンバーは不動であったが、2018年1月、ギタリストのアレックス・ライフソンがラッシュの活動について「基本的には終わった」と、バンドの終焉を宣言したようである。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:2019年日()



Nick Mason's Speed King Pedal:Pink Floyd

ニック・メイスンのスピードキング:ピンク・フロイド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年、フランスのサントロペのコンサート会場でのリハーサル時の模様。 ”Cymbaline” (1分10秒時)

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


・上画像:1970年、ドイツ ”Atom Heart Mother” (13分35秒時)


・上画像:14分38秒時。ヒールクランプがリバースされている。

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記:201年月日()



Guy Evans' Speed King Pedal:Van der Graaf Generator

ガイ・エヴァンスのスピードキング:ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイター

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1972年、ベルギーのTV局でのライブ。切り出した箇所は19分51秒時。

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・上画像:1975年、ベルギーでのライブにおける”Scorched Earth”の演奏より4分32秒時に切り出した。

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ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレイター(Van der Graaf Generator)


記:201年月日()



Bill Kreutzmann's Speed King Pedal:Grateful Dead

ビル・クロイツマンのスピードキング:グレイトフル・デッド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1968年3月3日、サンフランシスコで行われたライブでの一コマ。ヒールクランプがリバースされている。
・撮影されたのは1968年3月3日であるが、これは現時点で入手している資料の中で「Ludwig CHICAGOロゴ・タイプ」のスピードキングが存在したことが確認される最も早い時期の写真である。

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・上画像:1972年、オレゴン州ヴェネータでのライブの一コマ

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グレイトフル・デッド(Grateful Dead)

記:201年月日()



Mell Taylor's Speed King Pedal:The Ventures

メル・テイラーのスピードキング:ザ・ベンチャーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:時期的に「W.F.L ロゴ」のスピードキングだろう。

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記:201年月日()



John Hartman's Speed King Pedal:The Doobie Brothers

ジョン・ハートマンのスピードキング:ザ・ドゥービー・ブラザーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Jesus is Just Alright』(00秒時)

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記:201年月日()



Michael Hossack's Speed King Pedal:The Doobie Brothers

マイケル・ホサックのスピードキング:ザ・ドゥービー・ブラザーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Long Train Running』(3分47秒時)

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記:201年月日()



Dennis Thompson's Speed King Pedal:MC5

デニス・トンプソンのスピードキング:MC5

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年7月19日、ミシガン州デトロイトにあるウェイン州立大学で催されたライブ動画より、『Ramblin Rose』の1分53秒時点から切り出した。スピードキングはシーリングキャップが外れ、シリンダー内部のカムが見えている。ビーターはラディックの「L1286 ハードフェルト・ビーター」。

魂を揺さぶるMC5渾身の演奏(3曲)

・1970年7月19日の収録。世界が激動し混迷するただ中にあり、ロックが最もロックらしかった時代の魂を揺さぶるMC5、渾身の演奏である。ファッションとしてのパンクでもなければ、ポーズとしてのアナーキーでもない。若く純粋な「生きざま」そのものから発せられる爆発的エネルギーと激情だ。

MC5(エム・シー・ファイヴ)・・・ アメリカ合衆国ミシガン州デトロイトを拠点として活動したバンド。「ロックを通じて文化革命を達成する」ことを標榜し、ベトナム反戦運動、黒人公民権運動の激しいうねりによって混迷を極め激動するアメリカにおいて、体制打破を扇動する危険思想を抱いた音楽集団と見なしたFBIやアメリカ政府から執拗な弾圧を受けた。当時のメンバーは、ウェイン・クレイマー(リードギター)、フレッド・スミス(リズムギター)、マイケル・デイヴィス(ベース)、ロブ・タイナー(ボーカル)、デニス・トンプソン(ドラム)の5名。

・1969年6月に解雇されるまでMC5のマネジャーに就任していたホワイト・パンサー党の党首でもあるジョン・シンクレアは翌7月、FBIのおとり捜査にかかり、大麻2本を所持していたとして逮捕され、法外な9年半の懲役刑を受けて服役するが、1971年12月10日にミシガン州デトロイトのアン・アーバーにて「ジョン・シンクレア支援コンサート」が開催され、その三日後に釈放されている。このコンサートにはジョン・レノンも参加し、『ジョン・シンクレア』という曲をステージで初めて披露している

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記:201年月日()



Simon Kirke's Speed King Pedal:Free / Bad Company

サイモン・カークのスピードキング:フリー/バッド・カンパニー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Live on Granada TV』より(15分25秒時)
・ビーターのモデルは不明。
・画像が不鮮明であるが、フットボード裏面にあるリブの一部がホールを通して見えているようなので、リブが2本から4本タイプへと変更された1969年頃に製造された「4本リブ最初期型」である可能性がある。

・初期フリーのメンバー:ポール・ロジャース(ボーカル)、ポール・コゾフ(ギター)、アンディー・フレイザー(ベース、キーボード)、サイモン・カーク(ドラム)

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・上画像:他のシーンで確認できるが、サイモンはヒールクランプをリバースした状態でスピードキングを使用している。

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バッド・カンパニー時代

・上画像:恐らく1974~75年頃の撮影と思われる。
・スピードキング本体フレームのポストとその上部シリンダー、ロッカー(弓形回転軸)がかろうじて見えている。

・バッド・カンパニーの当時のメンバーは、ポール・ロジャース(ボーカル)、ミック・ラルフス(ギター/元モット・ザ・フープル)、ボズ・バレル(ベース/元キング・クリムゾン)、サイモン・カーク(ドラム)の四名。

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記:201年月日()


John Densmore's Speed King Pedal:The Doors

ジョン・デンズモアのスピードキング:ザ・ドアーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Light My Fire』(0分00秒時点)

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記:201年月日()



Michael Shrieve's Speed King Pedal:Santana

マイケル・シュリーヴのスピードキング:サンタナ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Savor/Jingo』(1分12秒時点)

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記:201年月日()



Butch Trucks' Speed King Pedal:The Allman Brothers Band

ブッチ・トラックスのスピードキング:ジ・オールマン・ブラザーズ・バンド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像
・撮影年不詳(1971年10月29日に24歳で亡くなったデュアン・オールマンが右手に写っていることから、1970年か71年に撮影された可能性)

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記:年月日()



Mick Avory's Speed King Pedal:The Kinks

ミック・エイヴォリーのスピードキング:ザ・キンクス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1964年
・W.F.L.スピードキング

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記:201年月日()



B. J. Wilson's Speed King Pedal:Procol Harum

B. J. ウィルソンのスピードキング:プロコル・ハルム

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1964年
・W.F.L.スピードキング

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Jerry Edomonton's Speed King Pedal:Steppenwolf

ジェリー・エドモントンのスピードキング:ステッペンウルフ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年


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Peter Criss' Speed King Pedal:KISS

ピーター・クリスのスピードキング:キッス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1975年
・上画像:1976年

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Eric Carr's Speed King Pedal:KISS

エリック・カーのスピードキング:キッス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1982年
・KISS "ABC Fridays '82 Complete - THE Oath / A World Without Heroes / I(1’ 52”・10' 33")
KISS War Machine Live 1983(1’ 53”)

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Rick Parnell's Speed King Pedal:Atomic Rooster

リック・パーネルのスピードキング:アトミック・ルースター

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1972年
・”Black Snake”(10’ 44”・13” 45’)
・”Breakthrough”(3’ 41”)

1972:57' 27"・1:00’16”・1:04'12"・1: 07'

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Clive Banker's Speed King Pedal:Jethro Tull

クライヴ・バンカーのスピードキング:ジェスロ・タル

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年
・”Stockholm 1969”(3’ 54”)
Dharma for one part 2(Drum solo)/Live at the Isle of Wight Festival 1970”(5’ 24”)

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Des Dyer's Speed King Pedal:Jigsaw

デス・ダイヤ-のスピードキング:ジグソー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1975年
・”Sky High” (0’ 24”)
・0分24秒時、アクリル製だろうか、透明な台にセッティングされたドラムとそれを演奏するデスの足元をカメラマンが台の下にカメラを差し入れて撮影している。 0’ 24”時点で見えるペダルは「ヒールクランプ」の形状がスピードキングのものと一致するのでスピードキングに間違い無いが、0’ 32"時点で映っているのはハイハットペダルの裏側である。

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John Martin's Speed King Pedal:Dr. Feelgood

ジョン・マーティンのスピードキング:ドクター・フィールグッド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1979年
・”As long as the price is right”より(2’ 32”・2’ 40”)

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Florian Pilkington-Miksa's Speed King Pedal:Curved Air

フローリアン・ピルキントン・ミクサのスピードキング:カーヴド・エア

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:年
・”Broadcast Anthology/The Total Experience/1971-1972”(41’ 19”・42’ 10”)
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Jerry Shirley's Speed King Pedal:Humble Pie

ジェリー・シャーリーのスピードキング:ハンブル・パイ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1972年
・”The sad bag of Shaky Jake 1970 at Beat Club”(3’ 02”)

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Nicko McBrain's Speed King Pedal:Iron Maden

ニコ・マクブレインのスピードキング:アイアン・メイデン

・20193月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1983年
・”The Trooper 1983 Live in Dortomund” (0’ 00”・)
※スピードキングの独特な形状をしたロッカー、コネクティングリンク、本体フレームがはっきりと映っている。
・”The Trooper(Official Video)”(0’ 35”・1’ 03”・2’ 35”
※0’ 35”、2’ 35”で「ラディック・ハードフェルト・ビーター:L1286)、1’ 03”で独特な形状をしたスピードキングのロッカー付近が確認できる。

※「Nicko」の英語での発音は「ニ」に強勢を置き(日本人の感覚よりかなり強く発声する)、アルファベットの「o(オゥ)」と同様の音を加えて「ニコゥ」となるが、日本人にはほとんど聞き取れないため、日本語での表記は「ニコ」のままか、あるいは本人を尊重する場合は「ニコゥ」とすればよいだろう。ちなみに「チップ」の「ッ」のような明確な一拍の促音は本来英語には存在しないため、「Nicko」をローマ字読みして「ニッコー」、「ニッコゥ」と発音されることはない。

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Clive Burr's Speed King Pedal:Iron Maden

クライヴ・バーのスピードキング:アイアン・メイデン

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1982年
・”Run To The Hills(Official Video) ”(1’ 29”)
※スピードキングのヒールクランプ付近が確認できる。

・上画像:(年)
※スピードキング上部のロッカー、ロッカーヘッド、シーリングキャップ、フレームポストがはっきりと映っている。

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Don Powell's Speed King Pedal:Slade

ドン・パウエルのスピードキング:スレイド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1974年
・”Everyday”(1’ 54”)
Let's call it quits(0’ 38”)
・”In for a penny”(2’ 33”)
・”The Bangin' Man”(0’ 28”・1’ 09”・1’ 27”・2’ 13”)

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記:201年月日()



Dale Griffinl's Speed King Pedal:Mott the Hoople

デイル・グリフィンのスピードキング:モット・ザ・フープル

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1973年
・”Roll away the stone”(1’ 41”)
・モット・ザ・フープルのキーボード奏者であるモーガン・フィッシャーは1985年以降、日本に在住している。
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Dave Holland's Speed King Pedal:Judas Priest

デイヴ・ホランドのスピードキング:ジューダス・プリースト

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1980年
・”Living After Midnight(Official Video)”(0’ 02”)
※ショートフィン仕様のスピードキング。

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Rudy Lenners' Speed King Pedal:Scorpions

■ルディー・レナーズのスピードキング:スコーピオンズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Speedy's Coming』1974年(0' 15"・1’ 50”)
※スピードキングのロッカー先端部とコネクティング・リンクが確認できる。

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Floyd Sneed's Speed King Pedal:Three Dog Night

■フロイド・スニードのスピードキング:スリー・ドッグ・ナイト

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1972年

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Scott Asheton's Speed King Pedal:Iggy & The Stooges

■スコット・アシュトンのスピードキング:イギー & ザ・ストゥージス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『The Stooges Delta Pop Festival 1969』1969年(2' 43")
※ストゥールの脇にスピードキングの予備機が置かれている。

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Jerry Nolan's Speed King Pedal:New York Dolls

■ジェリー・ノーランのスピードキング:ニュー・ヨーク・ドールズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:撮影年不詳
・上画像:1991年

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Phil Rudd's Speed King Pedal:AC/DC

■フィル・ラッドのスピードキング:AC/DC

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1976年
※スピードキングの本体フレーム、ロッカー、コネクティング・リンクがはっきりと映っている。

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Tommy Ramone's Speed King Pedal:Ramones

■トミー・ラモーンのスピードキング:ラモーンズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:撮影年不詳

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Joey Covington's Speed King Pedal:Jefferson Airplane

■ジョーイ・コヴィントンのスピードキング:ジェファーソン・エアプレイン

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Full Concert 02/04/70 - Wally Heider Studios』1970年(16’ 49”)
※スピードキングのロッカー、ロッカーヘッド、フットボード先端それぞれの独特な動きが確認できる。

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Joe Vitale's Speed King Pedal:Joe Walsh/Barnstorm

■ジョー・ヴィターレのスピードキング:ジョー・ウォルシュ/バーンストーム

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Turn to Stone』1972年(5’ 13”)
※スピードキングのフットボードが確認できる。
※ジェームズ・ギャングを脱退後にジョー・ウォルシュが結成したバーンストームのライブ動画より。因みにジョー・ウォルシュは1975年にイーグルスに加入する。


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Don Henley's Speed King Pedal:The Eagles

■ドン・ヘンリーのスピードキング:イーグルス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年代中期?
※バスドラムにスピードキングがセットされているのがはっきりと確認できる。
※『ホテル・カリフォルニア』(1976年)のライブ動画ではラディックのゴーストペダルを使用している。

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Bun E. Carlos' Speed King Pedal:Cheap Trick

■バン・E・カルロスのスピードキング:チープ・トリック

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1979年?
※スピードキングのロッカー付近正面が確認できる。

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Ric Lee's Speed King Pedal:Ten Years After

■リック・リーのスピードキング:テン・イヤーズ・アフター

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『動画』の12分53秒時。
※スピードキングのフットボードと表面のパターンが確認できる。

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Steve Smith's Speed King Pedal:Journey

■スティーヴ・スミスのスピードキング:ジャーニー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Lovin', Touchin', Squeesin'』(1979年)の1分03秒時。
※スピードキングのフレーム上部、細長いコネクティングリンク、弓形をしたロッカーが確認できる。

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Phil Collins' Speed King Pedal:Genesis

■フィル・コリンズのスピードキング:ジェネシス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『I know what I like』(1976年)の4分28秒時。
※画質が粗いが、スピードキングのフレーム上部、ロッカーとロッカーヘッド、フットボードが確認できる。フットボード前部には特徴的な形状の穴もかろうじて見えている。

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Michael Giles' Speed King Pedal:King Crimson

■マイケル・ジャイルズのスピードキング:キング・クリムゾン

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1969年撮影。キング・クリムゾン第1期メンバーによるライブの模様から。
※画質が粗いが、スピードキングのほぼ全体像が確認できる。フィンはもちろんロングタイプ。

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Jaki Liebezeit's Speed King Pedal:Can

■ヤキ・リーベツァイトのスピードキング:カン

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:"Can LiVE 1973 Paris Bataclan"(1973年)
※17分12秒・19分03秒・20分19秒・20分37秒
※特に19分3秒時、20分37秒時にスピードキングに特徴的なの弓形ロッカーが確認できる。

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John Richardson's Speed King Pedal:The Rubettes

■ジョン・リチャードソンのスピードキング:ザ・ルベッツ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:"Come on over"(1977年)
※0分12秒・0分44秒・1分07秒・1分41秒・2分10秒・2分25秒・2分55秒

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David Getz' Speed King Pedal:Janis Joplin with Big Brother & Holding Company

■デイヴィッド・ゲッツのスピードキング:ジャニス・ジョプリン(B.B.& The Holding Co.)

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1967年

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Jamie Oldaker' Speed King Pedal:Eric Clapton's band

■ジェイミー・オールデイカーのスピードキング:エリック・クラプトン・バンド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1974年

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Micky Dolenz' Speed King Pedal:The Monkees

■ミッキー・ドレンツのスピードキング:ザ・モンキーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1967年

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Mick Fleetwood's Speed King Pedal:Fleetwood Mac

■ミック・フリートウッドのスピードキング:フリートウッド・マック

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1968年

・上画像:1973年

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PIETER VOOGT's Speed King Pedal:Ekseption

■ピーター・フォークトのスピードキング:エクセプション

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年代前期

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Joey Kramer's Speed King Pedal:Aerosmith

■ジョーイ・クレイマーのスピードキング:エアロスミス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1976年7月31日撮影/オハイオ州デイトンでのライブ時のショットより
・バスドラムにセットされたスピードキングの左フレームポストと、ストゥール右脇に置かれた予備機のスピードキングが確認できる。

・上画像:同日撮影
・スピードキングの予備機。ヒールクランプはリバースされ、また、左側のシーリングキャップが外れているようで、シリンダー内にカムらしきものが見えている。
・本体フレームのフィンはロングタイプのようで、これは1970年代初期までの仕様。一方、フットボードは4本リブ仕様のようで、これも1969年頃以降の仕様。複数のスピードキングを所有している場合、使用するその時々で本体フレームとフットボードが年代の異なるもの同士で組み違いが起きる場合がある。
・ビーターはラディックのL-1286ハードフェルトビーター。ドラムセットはラディック製。

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Bobby Torello's Speed King Pedal:Johnny Winter

■ボビー・トレロのスピードキング:ジョニー・ウィンター

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

Johnny Winger - Medley - Rockpalast 1979(live)
5分20秒時、6分30秒時、7分49秒時、8分51秒時、9分40秒時、13分19秒時、14分19秒時、14分46秒時

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Denny Seiwell's Speed King Pedal:Paul McCartney & Wings

■デニー・サイウェルのスピードキング:ポール・マッカートニー&ウイングス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!
・’Seiwell’の原音は「シーウェル」ではなく「サイウェル」に近い。

Big Barn Bed(James Paul McCartney TV Show 1973)
※2分50秒時

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Pierre Van Der Linden's Speed King Pedal:Focus

■ピエール・ファン・デル・リンデンのスピードキング:トレース

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上記写真:1974年頃。
・母国オランダでの発音は「ピエール・ファン・デル・リンデン」。ピエールはフォーカスを1973年10月に脱退し、1974年上半期、トレースに参加した。
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Charlie Hall's Speed King Pedal:The War on Drugs

■チャーリー・ホールのスピードキング:ザ・ウォ-・オン・ドラッグス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:2018年、ノースサイド・フェスティバルでのライブ(32分46秒時)より。
・28分05秒時、32分41秒時、33分24秒時、35分20秒時、38分04秒時、38分52秒時、43分25秒時、59分19秒時、

・上画像:2015年、オランダでのライブ、22分00秒時より。
・薄く長めのコネクティングリンクなので、1970年代製。ショートフィン。

・上画像:2018年、『In Chains(Live)』、5分13秒時より。
・5分54秒時

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Phil Taylor's Speed King Pedal:Motörhead

■フィル・テイラーのスピードキング:モーターヘッド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1987年のショット。左右のバスドラムにスピードキングがセットされている。

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Twink's Speed King Pedal:The Pink Fairies

■トゥインクのスピードキング:ザ・ピンク・フェアリーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1968年のショット。

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Pete Phipps' Speed King Pedal:The Glitter Band

■ピート・フィップスのスピードキング:ザ・グリッター・バンド

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:”Do You Wanna Touch Me”(1973年)の2分16秒時より切り出した。

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Warren Can's Speed King Pedal:Ultravox

■ウォーレン・カンのスピードキング:ウルトラヴォックス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:”Ultravox - Hiroshima Mon Amour - Old Grey Whistle Test 1978”(1978年)の0分15秒時より切り出した。
・’Ultravox’の発音は、’U’の発音が「オ」と「ア」の中間くらいとなるため、「オルトゥラヴォクス」に近い。

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Alan White's Speed King Pedal:YES

■アラン・ホワイトのスピードキング:イエス

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:”Into The Lens”(1980年)の8分04秒時より切り出した。
・スピードキングの本体フレーム上部とロッカーの独特なモーションが確認できる。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Graeme Edge's Speed King Pedal:The Moody Blues

■グレアム・エッジのスピードキング:ザ・ムーディー・ブルーズ

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1970年
・”Graeme”の発音は本来イギリスでは「グレィァム」に近い。
・”blues”の発音は本来は「ブルーズ」だが、日本人には摩擦音がほとんど聞こえないため、「ブルース」に聞こえる。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Loukas Sideras' Speed King Pedal:Aphrodite's Child

■ルカス・シデラスのスピードキング:アフロダイティーズ・チャイルド

・2021年4月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『It's Five O'clock』(1969年)の1分03秒から切り出した。レフト側のバスドラムにスピードキングがセットされているのがはっきりとわかる。
・日本では「アフロディテス・チャイルド」の表記で通っているが、英語では「アフロダイティーズ・チャイルド」に近い発音となる。
・名盤『666』より、『The Four Horsemen』(1972年)。
・アフローダイティーズ・チャイルドは1967年に結成されたギリシャのバンド。結成当初のメンバーは、ヴァンゲリス・パパタナシュー(キーボード、フルート)、デミス・ルソス(ボーカル、ベース、ギター)、ルカス・シデラス(ドラム、ボーカル)、アナギロス・クルリス(ギター)。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Buddy Rich's Speed King Pedal:Jazz drummer

■バディー・リッチのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2020年4月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1982年、『Buddy Rich "West Side Story Medley" on "Parkinson" '82 (pt.7/7) HQ』(7分57秒時)より切り出した。
※『Michael Parkinson Show GB 1982』より。
・バディー・リッチの場合、ロジャースのスウィヴ・オゥ・マティックを使用している際の画像が多く、スピードキングを使用していたのは40~50年代の一時期だったのではと思われたが、1982年に撮影された動画のドラムソロでスピードキングを使用しているシーンが漸く確認できた。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Andrew Cyrill's Speed King Pedal:Jazz drummer

■アンドリュー・シリルのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2020年4月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1969年、”Cecil Taylor Unit - Live in Paris 1969”の「1時間34分45秒」時より切り出した。
・上画像:2015年

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Dannie Richmond's Speed King Pedal:Jazz drummer

■ダニー・リッチモンドのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:1965年
※真横から見たWFLスピードキングが確認できる。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:2019年月日()



Eddie Gladden's Speed King Pedal:Dexter Gordon Quartet

■エディー・グラッデンのスピードキング:デクスター・ゴードン・カルテット

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Backstairs』1979年(9' 49"・15’ 56”)
※「9' 49"時」でスピードキングの本体上部がはっきりと映っている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Mickey Roker's Speed King Pedal:Jazz drummer

ミッキー・ローカーのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:撮影年不詳
・2枚

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



”Papa” Jo Jones' Speed King Pedal:Jazz drummer

■”パパ” ジョー・ジョーンズのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『動画』(3分38秒時点)


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


・上画像:『動画』(2分44秒時点)
・W.F.L.スピードキング
・Papa Jo Jones

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Rufus ”Speedy” Jones' Speed King Pedal:Jazz drummer

■ルーファス ”スピーディー” ジョーンズのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!

・上画像:『Whirlybird』by Count Basie and His Orchestra 1965(7分18秒時点)
・W.F.L.スピードキング

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

記:201年月日()



Joe Morello's Speed King Pedal:Dave Brubeck Quartet

■ジョー・モレロのスピードキング:デイブ・ブルーベック・カルテット

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1960年 W.F.L.スピードキング

・名曲、『Take 5』 5/4拍子(1961年)
・デイヴ・ブルーベック・カルテット 1959年発表

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


・上画像:1965年 W.F.L.スピードキング

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


■”Drum Solo”~Drummerworld
※0分00秒・0分23秒・0分40秒・0分56秒・1分15秒・1分40秒・1分52秒・2分04秒・2分42秒・2分57秒
※年代不明。ブラックに塗装されたスピードキングのようだ。

記:201年月日()



Roy Haynes's Speed King Pedal:Jazz drummer

ロイ・ヘインズのスピードキング:ジャズ・ドラマー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1973年、イタリアでのロイ・ヘインズのライブ動画より一部を切り出した。切り出した箇所は21分29秒時。動画ではスピードキングのロッカー部が独特のモーションで駆動しているのがわかる。

ロイ・ヘインズ(Roy Haynes)… 1940年代から活躍するアメリカのジャズドラマー。2018年2月現在、92歳。
・動画における他のプレイヤーは、ヴィブラフォンがゲイリー・バートン、トランペットがジミー・オゥェンズ、テナーサックスがジョー・ヘンダースン、ピアノがシダー・ウォルトン 、ベースがラリー・リドリー。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

Roy Haynes' Speed King Pedal, 1982

・上画像:1982年、ホワイトハウスで開催された「All Star Jazz Concert」というイベントでのライブ動画より一部を切り出した。切り出した箇所は4分21秒時。他に「1分43秒、2分40秒、3分45秒、6分43秒」時にもスピードキングの様子が確かめられる。
・ロイ・ヘインズ以外のメンバーは、ピアノがチック・コリア、ベースがミロスラフ・ビトウス。ミロスラフ・ビトウスはジャズ・フュージョン・バンド、『ウェザー・リポート』の初期メンバーの一人。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

Roy Haynes' Speed King Pedal, 2002

・上画像:2002年、ニューヨークのブルーノートで行われたライブを収録した動画より一部を切り出した。切り出した箇所は11分47秒時。他に「12分8秒、37分29秒,46分16秒、46分40秒」時にもスピードキングの様子が確認できる。
・スピードキングのフレーム本体は「ブラックタイプ」であるが、フットボードはそれ以前の「シルバータイプ」であり、両年代のパーツを組み合わせて使用している。ビーターはラディックの「L1286・ハードフェルトビーター」。
・ロイ・ヘインズ以外のメンバーは、ピアノがチック・コリア、ベースがミロスラフ・ビトウス。

スピードキングの故障原因
①「ビーター固定用蝶ネジ」を挿通するロッカー(ビーターを固定する弓形回転軸)側のネジ山が崩れるとビーターが固定不能となる。「ロッカー本体」の交換か、あるいはロッカー側のネジ山の切り直し等の加工修理が必要となる。ペンチを使用して蝶ネジを強く締め込んだり、角頭ボルトに替えて強く締め込んだりすると、ロッカー側のネジ山が崩れやすくなる場合があるので注意。
②フレームポスト内に格納された左右二本の「プランジャー(棒ピストン)」のいずれかが破損するとペダルが変調を来す。プランジャーはカムに接する太いロッドにスプリングを固定する細いロッドが差し込まれて一つのパーツを構成しているが、使用に伴い、希に細いロッドが太いロッドから抜けてしまうことがある。
③フレーム本体上部に格納された「ロッカーカム」の破損により、二本あるスプリングのうち一本しか機能しなくなる。フットボードの踏み応えが低下し、ペダルとして機能しなくなる。
④70年代以前の「コネクティング・リンク(連結バー:ただし70年代以前の規格品)」はプレートが薄いため、ペダルの酷使により破断する場合がある。当時と同じ規格の「コネクティング・リンク」を交換する場合、70年代以前に製造されたスピードキングのジャンク品からパーツを取るか、ロッカー(弓形回転軸)ごと交換してしまうか、あるいはパーツ単体の中古品を探すか等する必要がある。

また、上記以外に、演奏中に「トウ・クランプ用蝶ネジ」が緩み、ペダル本体がバスドラムのフープから外れかかった際に踏み込んだフットボードが「トウ・クランプ用蝶ネジ」を破損してしまうといったケースも少なくないようだ。

ヘインズの場合も、長らく使用してきたスピードキングのフレーム本体が故障により使用できなくなったために、年代の異なるスピードキングを組み合わせて使用し続けているということなのかもしれない。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

Roy Haynes' Speed King Pedal, 2005

・上画像:2005年に開催されたモダン・ドラマー・フェスティバルでのライブ動画より一部を切り出した。切り出した箇所は6分0秒時。他にも「8分44秒、14分7秒、14分59秒、15分57秒、16分19秒、16分29秒、17分40秒・47秒、18分45秒、19分33秒」時にスピードキングの様子が確認できる。
・2002年時と同様、スピードキングはフレーム本体が「ブラックタイプ」で、フットボードが「シルバータイプ」であるようだ。ビーターはラディックの「L1286・ハードフェルトビーター」。
・ロイ・ヘインズ以外のメンバーは、テナー&ソプラノサックスがマーカス・ストリックランド、ピアノがマーティン・ベヘラーノ、ベースがジョン・サリバン。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

Roy Haynes' Speed King Pedal, 2009

・上画像:2009年収録されたライブ動画より一部を切り出した。切り出した箇所は1分16秒時。
・スピードキングは2002年時、2005年時とは異なり、「シルバータイプ」に戻ったようだ。
・ロイ・ヘインズ以外のメンバーは、ピアノがデイヴ・キコスキー、ベースがジョン・パティトゥッチ。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


・1973/1976年:Roy Haynes - Live in Italy (full TV show, live 1973/1976) (21分29秒)
・1982年:1982 CHICK COREA, ROY HAYNES, MIROSLAV VITOUS at the White House(1分43秒、2分40秒、3分45秒、4分21秒、6分43秒)
・2002年:Chick Corea, Miroslav Vitous, Roy Haynes - 'Now He Sings, Now He Sobs'(11分47秒、12分8秒、37分29秒,46分16秒・40秒)
・2005年:modern drummer 2005 Roy haynes(6分、8分44秒、14分59秒、15分57秒、16分19秒、16分29秒、17分41秒・47秒、18分45秒)

・2005年:ROY HAYNES - Marcus Strickland - Martin Bejerano - John Sullivan: SUMMER NIGHT(5分33秒)
・2005年:Roy Haynes Quartet - JazzBaltica, Salzau, Germany, 2005-06-29(24分34秒、29分47秒)

・2009年:Roy Haynes David Kikoski John Patitucci - Trinkle Tinkle(1分16秒)
・2009年:Roy Haynes Trio 2009 (HD) (9分58秒、23分25秒)
・2018年:The 7-Decade Career of Drummer Roy Haynes [JAZZ STORIES](0分37秒)

※記:201年月


        PREMIER 250S PEDAL

Ian Paice's Premier 250S Pedal

イアン・ペイスのプレミア250S:ディープ・パープル
・イアン・ペイスもディープパープル時代(60~70年代)にスピードキングを使用していたと言われているが、実はその時期が判明していない。様々な画像や動画を見て調べてみたが、スピードキングを使用している際の確実な画像、映像が一切見つからなかった。その代わり、ペイスが「Premier 250S」を使用していた画像や動画が複数確認できた。
※因みに1970年にディープパープルが発表した曲、「Speed King」は覚醒剤を意味するスラングである。

December 5,1974 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1974
・上画像:1974年12月5日のディープパープル(第三期)のステージ写真から、ペイスによって蹴り倒されたドラムセットの一部を拡大した。
・バスドラムに装着された「Premier 250S」が確認できる。サカタザメのようなシェイプをしたユニークなデザインのフットボードだ。 ビーターは’Premier #1288’かもしれないが、詳細は不明。


■Premier 250S

Premier 250S
※「Premier 1976-77年版カタログ」より
(カタログは1977年に当方が入手したもの)

・「Premier 1976-77年版カタログ」の「250S」の説明欄には以下のようにある。
「Fast, tough, easy action.The reasons for its popularity both abroad and at home will be obvious the minute you try one. Complete with 2-way leather and lambswool beater and finished in durable metalic paint with chrome plated trim. Folds in one movement. *Dual ballraces;hardened steel, frictionless. *Completely dustproof *Wide space between posts *Lags, quick-action thumb-screw for beater adjustment」(Premier 1976-77 catalog)

※各年代のカタログ内容については’DRUMARCHIVE.COM’で確認するとよい。

■Premier 250S

・2015年12月に入手した「Premier 250S」。製造国だけあって、このペダルはイギリスにタマ数が多いようだ。

March 7,1969 ~Premier 250S Pedal of Ian Paice
Premier 250S pedal of Ian Paice,1969
・上画像:ディープ・パープル、1969年3月7日に撮影された第一期メンバーによるロンドンでのライブ画像より一部を拡大した。フットボードを最大限に踏み込んでいるためにフロアーの固定バー(Fixed stay)とフットボードとが一体になって見えているが、バーの形状やフットボード(Vinyl-moulded steel foot plate)の黒っぽい色合い等の特徴が「Premier 250S」に酷似している。
※元画像にはメンバーとしてイアン・ギランやロジャー・グローバーがクレジットされているが、被写体の人物は当人達ではなくロッド・エバンスとニック・シンパーであるため、誤記載である。
※第一期メンバー:ロッド・エバンス(ボーカル)、ニック・シンパー(ベースギター)、リッチー・ブラックモア(ギター)、ジョン・ロード(キーボート)、イアン・ペイス(ドラム)
※ロッド・エバンス(ボーカル)、ニック・シンパー(ベースギター)はこの時期、1969年3月頃にメンバー間の意見対立からバンドを解雇される。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1969
・当方の所有する「Premier 250S」をゴム紐を使用してフットボードが踏み込まれた状態に固定し、ほぼ同角度から撮影したうえで二枚の画像を重ね合わせた。フットボード固定バー(Fixed stay)全体の形状、ヒール部の機構や形状、フットボードの形状が「Premier 250S」とほぼ完全に一致する。

March 7,1969 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1969
・同日(1969年3月7日)に撮影された別角度からの画像より一部を拡大。「Premier 250S」の左側のシーリング・キャップが一部見えている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1969
・画像の重ね合わせを行ったところ、フレーム上部の様子やスプリングの位置、ヒール部等、各部の様子がよくわかる。

July 14,1970 ~Premier 250S Pedal of Ian Paice
Premier 250S pedal of Ian Paice,1970
・上画像:第二期ディープパープル、1970年7月14日に収録されたイギリスの’Granada TV’でのライブ映像より一部を静止画として切り出し、拡大した。切り出した位置は、演奏曲である’Improvisation/Mandrake Root’での約2分20秒後。
・わずかにヒール部分だけであるが、その機構や形状、色合い等が「Premer 250S」に酷似している。右側に見えるのはリッチー・ブラックモアの左手とギターのネックである。
※第二期メンバー:イアン・ギラン(ボーカル)、ロジャー・グローバー(ベースギター)、リッチー・ブラックモア(ギター)、ジョン・ロード(キーボート)、イアン・ペイス(ドラム)

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1970
・このキックペダルも「Premier 250S」で間違いないだろう。

July 14,1970 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal

・’Improvisation/Mandrake Root’より。プレミア250Sを使用してのイアン・ペイスの演奏。

December 1,1974 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1974
上画像:1974年12月1日に撮影された第三期ディープ・パープルによるライブ時の画像から一部を拡大した。ヒール部の機構や形状が「Premier 250S」と酷似する。
※第三期メンバー:デビッド・カバーデイル(ボーカル)、グレン・ヒューズ(ベースギター)、リッチー・ブラックモア(ギター)、ジョン・ロード(キーボート)、イアン・ペイス(ドラム)

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1974
・フットボード固定バー(Fixed stay)の形状、ヒール部の機構や形状が「Premier 250S」とほぼ完全に一致する。

December 5,1974 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1974
・上画像:1974年12月5日に撮影された、第三期ディープパープルのステージ写真から。ペイスによって蹴り倒されたバスドラムに「プレミア250S」が装着されている。
・「Premier 250S」にはフットボードのヒール部表面にリベットが一つ打たれた仕様と打たれていない仕様がある。厳密に何年からリベットが打たれるようになったのかその時期は判明していないが、少なくとも70年代に製造されたほとんどの「250S」にはリベットが打たれているようだ。

December 5,1974 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1974
・撮影:1974年12月5日。

December 5,1974 ~Ian Paice's Premier 250S PedalPremier 250S pedal of Ian Paice,1974
・撮影:1974年12月5日。
・プレミア製のビーターだと思われるが、最大長でセッティングされていることがわかる。

February,1975 ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1975
・上画像:1975年2月の第三期ディープ・パープルのライブ画像から一部を拡大した。フットボードのヒール部表面の色合いや形状、機構等が「Premier 250S」と酷似している。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ ~Ian Paice's Premier 250S Pedal
Premier 250S pedal of Ian Paice,1975
・フットボードのヒール部のや形状、ヒンジ部のピンの位置、固定バー(Fixed stay)の形状等がほぼ完全に一致する。イアン・ペイスが1975年2月の時点で使用していたキックペダルは「Premier 250S」で間違いないだろう。
・ちなみにイアン・ペイスは身長が約170cmと小柄なため、当時はよく上げ底靴を履いていた。
※リッチー・ブラックモアはこの後4月にディープ・パープルから脱退する。

December 15,1975 ~Ian Paice's Premier 250S PedalPremier 250S pedal of Ian Paice,1975
・1975年12月、日本武道館での撮影。この公演でのディープ・パープルは、トミーボーリン、グレン・ヒューズ、デイヴィド・カヴァデイル、ジョン・ロード、イアン・ペイスを擁する第4期の布陣である。
・『プレミア250S』のフットボード上面に装着されている、黒いビニル製のモールドカバーが写っている。また、そのすぐ下には『プレミア250S』の「固定バー(Fixed stay)」もわずかに見えている。
※画像の重ね合わせは後日!

December 15,1975 ~Ian Paice's Premier 250S PedalPremier 250S pedal of Ian Paice,1975
・1975年12月15日、ディープ・パープル(第四期)の日本武道館での公演で『プレミア250S』を使用して’BURN’を演奏するイアン・ペイス
・ディープ・パープルは翌1976年7月24日に解散を正式発表する。また、同年12月4日にはギタリストのトミー・ボーリンが麻薬の過剰摂取のため25歳の若さで急逝する。

■残念ながらこれまでに断片的な情報しか得られてはいないが、「イアン・ペイスは少なくとも1969年3月から1975年12月までの7年近く、ディープ・パープルの第1期から第4期にかけて一貫してプレミア250Sを使用していた」ことはほぼ明白である。そして、「Speed King」「Fireball」「Highway Star」「Smoke on the water」「Burn」「Mistreated」… イアン・ペイスによる数々の名演が、この「Premier 250S」によって生み出されたのだ。

       


March 1,1981WHITESNAKE period)

・上画像:1981年3月1日、'Whitesnake'時代のイアンペイスを撮影した写真を一部拡大した。キックペダルのシルエットから推察するに、機種は「Ludwig #205 Ghost Pedal」であろう。

※元画像のクレジットには「1975年12月1日」と記載されているが、ペイスの風貌、クリアーヘッドを張ったドラムヘッド等の諸状況、また、同じ日の撮影と思われる別ショットの日付から、正しくはホワイトスネイク時代、「1981年3月1日」の撮影と思われる。

■Ludwig #205 Ghost Pedal

Ludwig #205 Ghost Pedal
※「Ludwig 1980年版カタログ」より

・「コイルスプリング」というゼンマイ型のスプリングを使用した独特な機構をもつ。歴史の古いペダルであるが、1975年に’Ghost’社から販売権を得てのち、’Ludwig’社での生産が開始されたが、メンテナンス上の問題が大きく、数年後には’Ludwig’の機種としては廃番となったようだ。

※詳細はこちら、’The forgotten GHOST pedal’で確認することができる。
DRUMARCHIVE.COM様に画像の掲載許可をお願いしました。(2015年10月5日)
※記:2015年11月



・2015年11月に入手したイアン・ペイスの直筆サイン。



Cozy Powell's Premier 250S Pedal:Rainbow

コージー・パウエルのプレミア250S:レインボー

Rainbow PV 'All Night Long' 1979
Premier 250S Pedal of Cozy Powell,1979
1979年に発表されたレインボーの曲、「All Night Long」のPVから一部を切り出した。切り出した位置は約2分17秒後。パウエルの右足の下に「Premier 250S」のフットボードとヒンジ部が確認できる。床の反射光がヒンジ部の隙間を通して見えている。左足はキックペダルではなくハイハットのペダルに置いている。ドラムキットはヤマハ製。

※’Cozy Powell’の英語での発音は「コゥズィ・パゥ」に近い。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
Premier 250S Pedal of Cozy Powell,1979
・当方で所有する「Premier 250S」をパウエルの「Premier 250S」とほぼ同じ角度から撮影し、画像を重ね合わせた。ヒンジ部の形状、さらにヒンジ部の隙間を通して見えている床の反射光の位置や大きさ等も「Premier 250S」とほぼ一致する。また、フットボード表面に刻まれたパターンの特徴も一致する(当方の所有する個体は摩耗のため凹凸がはっきりしない)。

Rainbow PV 'All Night Long' 1979
Premier 250S Pedal of Cozy Powell,1979
・同じ「All Night Long」のPVで、画質の異なる別の動画から切り出した一コマ。こちらでは「Premier 250S」のフットボードの、特にヒール部分の独特な形状が一部確認できる。床すれすれの位置から撮影されたため、フットボードの裏面からのアングルであるが、これは、「Premier 205S」のリンク(連結バー)がフレキシブルな機構となっており、踏み込む角度や踏み込んだ際の反発によってフットボードが若干左右に傾くことがあるためだ。
・パウエルの左足はハイハット・ペダルに置かれ、その右に見えているのは、やはりレフト側バスドラム用の「Premier 250S」のヒール部である。

November 10,1975
Premier 250S Pedal of Cozy Powell,1975
・上画像:レインボー時代、1975年11月10日撮影。左右バスドラムそれぞれに「premier 250S」が装着されている。ドラムキットはラディック製。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
Premier 250S Pedal of Cozy Powell,1975
・上画像:画像の重ね合わせを行った。パウエルの「Premier 250S」がよく確認できる。華々しく刺激に満ち、激動する70年代のロックシーンにおいて、イアン・ペイスやコージー・パウエルらに愛用されたこのイギリスの名機、「Premier 250S」は、アメリカの「Ludwig #201 Speed King Pedal」と並び、その美しく魅力に富んだ時代を担い、彩り、そして私たちに深い感動と夢とを与えてくれた。

       


October 20,1977

’Still I'm sad(Cozy Powell drum solo)’ 1977
1977年、レインボー在籍時のライブより。動画の中でパウエルの足元が映った箇所が数カ所あるのだが、その中でキックペダルのヒール部付近の形状やフットボードの独特な動作が確認でき、パウエルがこの時使用していたキックペダルは「Premier 250S」であると判断される。

それにしても、コージー・パウエルのあの「デクデクデクデク…」と鳴り響くツインバスドラムのサウンドが大変懐かしい。硬く張りがあり、カラッとした開放感のある明るいコージーのバスドラサウンドが大好きだった。BONZOもそうだったが、打面をゆるゆるに張って「ドベッ」と鳴る現在主流のチューニングとは異なっていたようだ。コージーのバスドラムは、コージーの支配下にあって、野獣のように吠え、暴れ、歌っていた。今聞いても当時の興奮がそのまま蘇る。

■1980年代に入るや、スイッチが切り替わったかのように、不思議とどのアーティストのどのようなサウンドも、何かみな妙に綺麗になり、透明感を放ち、無駄が無くなり、軽やかになり、洗練され、ある意味均質化したようにも感じられたが、その実感は、当時のさまざまな動画や音楽を聴けるようになった今、むしろ以前にもまして強く確信される。機材や音響技術、録音技術の向上、アーティスト自身の意識の変化、聴衆の意識の変化、社会の変化といったものが大きく影響しているのだろう、精神の解放、連帯、攻撃、反骨、破壊、変革… 聴衆の意識とアーティストの意識とがオーバーラップし融合することで爆発的に増幅されていたパワーと熱気、狂気、そうした70年代初期までのロックの象徴的な精神性とその発現は完全に消滅し、幻影をなぞり、追体験で満足せざるをえないだけのノスタルジーと模倣のループを延々と彷徨う時代に突入した。

コージーのバスドラサウンドに限らず、BONZOにしてもPAICEにしても、当時の彼らの放つバスドラサウンドを聴くと、バスドラムは蹴られるだけの存在ではなく、また、単に重低音を発生させるためだけに存在する器具でもなく、本当は魂を揺さぶるほどに感情が豊かで、歌を歌うだけの力を秘めた誇り高き楽器なのだとの思いを新たにさせられる。

※追記:2016年5月21日
※記:2016年1月9日


Michael Schenker Group Rockpalast 1981 Hamburg Markthalle
・16分05秒時、32分30秒時にコージー・パウエルの左足によってキックされるプレミア250Sが確認できる。
2019年3月23日現在、編集中




Keith Moon's Premier 250S Pedal:The Who

キース・ムーンのプレミア250S:ザ・フー

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1967年に行われたライブで演奏された「My Generation」の最後にドラムを蹴り倒すキースムーン。切り出した箇所は動画の2分51秒時。

ザ・フー(The Who)… ビートルズ、ローリング・ストーンズと並び、イギリスの三大ロックバンドの一つに称される。ステージ終盤でギターやドラムを破壊する派手なパフォーマンスとは対照的に、特にギタリストであるピート・タウンゼント(本来の発音は『タウンゼンド』に近い)の歌詞世界は内省的で文学的と評され、暴力的なパフォーマンスとのギャップがザ・フーの魅力の一つでもあった。「破壊王」、「奇人」、「狂人」とも呼ばれていたキース・ムーンは生前、「ドラムを100セット壊すことが目標」と豪語していた。
・ザ・フーのメンバーは、ボーカルがロジャー・ダルトリー、ギターがピート・タウンゼント、ベースギターがジョン・エントウィスル、ドラムがキース・ムーン。キースは1978年、薬物のオーバードース(過剰摂取)により急逝。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!




上画像:1972年9月9日、パリで開催されたミュージック・フェスティバルで撮影された写真の一部を拡大した。


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!



・上画像:


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


※キースは「250S」を使用する以前には「250S」の前身モデルであり、リンゴ・スターも使用していた「250」を使用していた。

※記:201年月日()


Rickey Medlocke's Premier 250S Pedal:Lynyrd Skynyrd

リッキー・メドロックのプレミア250S:レーナード・スキナード

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:1972年撮影。黒いフットボードとそれを固定する「フィクスト・ステイ(Fixed stay):固定バー」、そしてヒール部の形状が「プレミア 250S」の特徴と酷似している。リッキー・メドロックは、こののちレーナード・スキナードのギタリストとして活躍。

レーナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)… 70年代に活躍したアメリカのサザン・ロックバンド。「スウィート・ホーム・アラバマ」、「フリー・バード」、「シンプル・マン」等の代表曲で知られる。1977年、メンバーら22名が搭乗していたチャーター機が「エンジンの不調による燃料切れ」によりミシシッピの森林地帯に墜落し、ボーカリストのロニー・ヴァン・ザント、ギタリストのスティーヴ・ゲインズ、そしてバックアップシンガーを務めていたスティーヴの姉、キャシー・ゲインズらが亡くなり、人気絶頂にありながら解散を余儀なくされた。
※「Lynyrd」の発音は「レナード」または「レナード」と「レーナード」の中間くらい。「イ」の音は含まれないため、「レイナード」とは発音しない。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

※記:201年月日()


Bob Burns' Premier 250S Pedal:Lynyrd Skynyrd

ボブ・バーンズのプレミア250S:レーナード・スキナード

・2019年3月現在、当項目は作成中です!


・上画像:撮影年不詳。エド・キングが在籍していた時代なので、1974年前後と思われる。1975年までレーナード・スキナードに在籍したボブ・バーンズのドラムキットにプレミア250Sがセットされている。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


※記:201年月日()


Herman Rarebell' Premier 250S Pedal:Scorpions

ハーマン・アーベルのプレミア250S:スコーピオンズ

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・上画像:『We'll Burn The Sky』(1978年)の1分30秒時より切り出した。プレミア250Sの独特な「中抜きコネクティングリンク」が確認できる。ただ、バスドラムのヘッドにガムテープ片のようなものが貼ってあるため、いずれ画像の重ね合わせにより確実な検証を行う予定。
※1分17秒、2分13秒

※「Herman Rarebell」:ドイツ語発音:ハーマン・アーベル、英語発音:ハーマン・レァベル
・ハーマンはスコーピオンズに加入した1977年当初、イギリスにおいて「Rarebell」を「アーベル」と発音するのだと伝えたことがあったそうだが(本名は「Hermann Josef Erbel」)、その後どこへ行っても「レァベル」と発音され続け、誰にも正しい発音を覚えてもらえないので、諦めてそのまま「レァベル」でよいことにしてしまったそうだ。・尚、英語発音での「レァベル」は「レァ」の「レ」に強くアクセントを置いて(日本人の感覚よりかなり強く発声する)、続く「ァ」と接近させて発音されると日本人には「ラー」に聞こえるため、海外のインタビュー等では「ラーベル」と聞こえる場合が多い。

・参考動画URL:Herman Rarebell Interview 2019(?)

・「ビル・ブルーフォード(イエス/キング・クリムゾン)」を「ビル・ブラッフォード」、「レスリー・マッキゥーウン(ベイ・シティー・ローラーズ)」を「レスリー・マッコーエン」のように、日本のレコード会社は洋楽アーティストの名前がどのように発音されるのかろくに確認もせず、ローマ字読みで適当に作ってしまうので大変困ったものだ。「desk」や「Guten Morgen」、「déjà vu」のように原音とローマ字読みが近いものもあるが、中学1年生でも習う「baseball」や「soccer」をローマ字読みして「バセバルル」、「ソクセル」などと読まないことくらいわかるだろうに。

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

※記:201年月日()


Jack DeJohnette's Premier 250S Pedal:Miles Davis Group

ジャック・ディジョネットのプレミア250S:マイルス・デイヴィス・グループ

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・上画像:1970年8月29日、イギリスのワイト島フェスティバルで行われたマイルス・デイヴィス・グループのライブでの一シーン。切り出した箇所は約6分1秒時。


Miles Davis - trumpet
Gary Bartz - saxophones
Chick Corea - electric piano
Keith Jarrett - electric piano
Dave Holland - bass
Jack DeJohnette - drums
Airto Moreira - percussion


Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!

※記:2019年月日()


Elvin Jones' Premier 250S Pedal:Jazz drummer

エルヴィン・ジョーンズのプレミア250S:ジャズ・ドラマー

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・上画像:1968年
動画
・2分08秒時点

Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!




Double exposure ~ 画像の重ね合わせ
・画像作成中!


※記:2019年月日()


        PREMIER 250 PEDAL

Mitch Mitchell's Premier 250 Pedal:The Jimi Hendrix Experience

ミッチ・ミッチェルのプレミア250:ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス

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PREMIER 250
・ビートルズがデビューした1962年頃、リンゴ・スターは「250S」の前身モデルである「250」を使用していたことがあるが、ザ・フーのキース・ムーンやザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェルもこの「250」を使用していた時期がある。

Mitch Mitchell's Premier 250 Pedal

・「250S」と「250」はフットボードの形状以外は一見したところよく似ていて区別がつかない。


・上画像:プレミアの1963年版カタログより。「250」と「250S」は機構的に共通する部分が多いため、フットボード以外はデザイン的に近似している。上の画像で赤い円で囲んだ部分がミッチ・ミッチェルのフットペダルを「250」と判断できる形状的特徴である。


・上画像:円で囲った部分に黒っぽいものが見えるが、これは「250S」には無い特徴である。

・「250S」が登場するのは1960年代半ばではないかと思われるが、ミッチ・ミッチェルがその後「250S」に替えて使用したかどうか、あるいは他の機種を使用したかどうかは画像資料が見つからず、確認することができなかった。

■Mitch Mitchell, John Lennon, Eric Clapton, Keith Richards/December,1968

・上画像:1968年に制作された『ロックンロール・サーカス』で「The Dirty Mac」のメンバーとしてジョン・レノン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズらとともに演奏するミッチ・ミッチェル。

※2018年2月14日(水)


Mel Taylor's Premier 250 Pedal:The Ventures

メル・テイラーのプレミア250:ザ・ベンチャーズ

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・上画像:
・「プレミア250S」の前身、「250」

※記:201年月日()


Ringo Starr's Premier 250 Pedal:The Beatles

リンゴ・スターのプレミア250:ザ・ビートルズ

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・上画像:1962年 EMIスタジオ
・「プレミア250S」の前身、「250」

※記:201年月日()


Premier 250S Pedal Made in England


・イアン・ペイス(ディープ・パープル)、コージー・パウエル(レインボウ)、キース・ムーン(ザ・フー)、ボブ・バーンズ(レーナード・スキナード)、ジャック・ディジョネット(ジャズ・ドラマー)らが愛用した「Premier 250S」。


・2015年12月に入手した「Premier 250S」。ダイレクト・ドライブ。本体のカラーはメタリックの「アジャ・ブルー(Azure blue=淡青色)」。


・「250S」は「250」を前身モデルとして1960年代の中期に登場したモデルで、1980年代の初期頃まで生産が続いたようだ。フットボードのカバーはビニール製で、ヒール部のリベットにより取り外しができない。リベットによる固定が何年からの仕様なのか、その正確な時期は判明していない。ただ、少なくとも70年代製のほとんどにはリベットが打たれているようた。リベットで固定しないとヒール部のカバーが外れかかって装着状態が不安定になるような欠点があったのかもしれない。
・カバーを一度外すとプレートに装着し直すのが結構手間。また、ビニール製のカバーはスチール製プレートに引っかける部分のエッジがかなり薄くなっており、装着する際に切れてしまうことがある。フットボードのプレートはプレスにより成形してあり、非常に軽量。


・本体スタンドとフットボードは連結固定されているため取り外しができないが、フレームスタンドを前に倒し、その上にフットボードを載せる形で折りたたむことができるようになっている。ただ、折りたたんでもフットボード後方がかなりはみ出した状態になるため、コンパクトとは言い切れない感がある。


・入手後、クリーニングに3時間ほどかかった。


・1960年代中期から80年代まで仕様にほとんど変更が無いようで、古き良き時代? を感じさせるレトロで華奢な作りだ。重量はビーターを除いて約1,150gで、スピードキング(シカゴ仕様)より約290gも軽い。コネクティング・リンク(連結バー)の上下、フロアー側の固定バー(fixed stay)の連結部各所に「遊び」があり、現代の各機種に比べると、奏者によっては安定性が低く感じられるかもしれない。


・スプリングを引っかけるためのフックは上下反対に装着するとペダルの動作が鈍くなるので注意が必要。当方自身、この機種を入手して直後にスタジオでテスト使用してみて、どうもビーターの動きがスムーズでないと思ったら、このフックが上下逆さまに装着されていることが後でわかった。前オーナーは上下逆さまに装着したことにずっと気づかずに使用していたのかもしれない。


・画像左:ビーターロッドを固定するための穴の深さは「17.5mm」しかなく、スピードキングより「8.5mm」短い。打撃による衝撃が継続するとぐらつきが発生するかもしれないので、適宜ビーターロッドの締め付け具合を確認するとよい。
・プレミア製のビーター(型番は不明。#1288かもしれない)のロッドには段差加工が施してある。一般のビーターでもテストしてみたところ、止めネジを強く締めればビーターの脱落は起こらないが、不安な場合はロッドの蝶ネジが当たる付近を金属ヤスリで荒らすことで、蝶ネジの固定力がかなり増す。ペンチでより強力に締め付けるようなことをするとドライブシャフト側のネジ山がつぶれる可能性が高いので避けるべき。

ラディックのスピードキングのビーター脱落防止措置と同様、別項に紹介したようにロッドの蝶ネジが当たる箇所を平坦に研削し、蝶ネジを強めに締め付けるよう処置するとよい。


・バスドラムのフープにペダルを装着する際、フレームスタンド底部の縦幅が67mm長とかなり短いため、しっかりとネジを締め込んで固定しないとキックする度にロッキングチェアのようにフレームスタンド全体が前後にスイングしてしまうので注意

・どういった利点があるのかよくわからないが、フットボードがフレキシブルに可動する機構を採っているため、踏み込む際に芯を外すとパワーをロスしたり制御がぶれたりすることがある。ヒール部もフットボードの揺れ動きに伴って揺れ動くため安定性に欠けるが、通常のペダルより高い位置にヒール部があり、これはビーターを打ち込む際に加速を生む利点となっているように感じられる。

       


Premier 250S
・現代の重厚かつ高性能なキックペダルが価値的基準となっているドラマー達にしてみれば、この古風なキックペダルは確かに中途半端で、奏者に信頼感を与える水準のものではないかもしれない。一瞥するなり、「これって 超しょぼいじゃ~ん」と吐き捨てられるのが関の山だろう。しかし、60年代から70年代にかけて、イアン・ペイスやコージー・パウエル、キース・ムーンら、時代を担った名手達がこのペダル、「Premie 250S」によって数々の名演を生み出したという厳然たる事実、歴史がある。その意味で、「Ludwig #201 Speed King」や「Rogers Swev-o-Matic」と並び、このPremie 250S」もまた紛れもなく時代を担った名機であると言えよう。1966年版のプレミアのカタログに掲載された「250S」には、「THE FASTEST PEDAL ON EARTH」と銘打たれてある。当時、プレミアは、このペダルの機構や打撃速度にそれだけの強い自負があったのだ。新しい時代を担うべく、理想と可能性とがふんだんに注ぎ込まれたペダルであったに違いない。そして、イアン・ペイスやコージー・パウエル、キース・ムーンらが積極的に選択し、その秘めたポテンシャルを最大限に発揮させ、愛用したのが、この’250S’だった。

※「プレミア 250S」を使用していたドラマーとしては、かつてよりザ・フーのキース・ムーンとレインボー時代のコージー・パウエルが知られていましたが、2015年現在、ウェブサイトを検索してもイアン・ペイスが60~70年代のディープ・パープル時代に長くこのペダルを愛用していたとの情報は海外も含めて一切存在しないようですので、今後「Premier 250S」が名機としてじわじわと認知され、再評価されていくだろうと確信します。

※’PREMIER’のカタログは’DRUMARCHIVE.COM’で閲覧が可能。

(記:2015年12月29日)



フープスペーサーの作成 ~Hoop Spacers for Ludwig Speed King

Hoop spacers type 1 ~ フープスペーサー・タイプ1
・ラディック社製ドラムのフープ(Ludwig hoop)は幅が広めで、その幅に合わせてスピードキング等のキックペダルも設計されているそうで、それより幅が狭めのフープ(Narrow hoop)にスピードキングを装着すると、ペダルのロッカー末端がドラムヘッドに接触してしまうため、フープスペーサーの装着が推奨される。

※当方では以前は次項で紹介した「フープスぺーサー・タイプ2」を使用してきたが、2015年10月以降は「タイプ1」を使用している。
※フープスペーサーの作成が面倒な場合は、まずは「割り箸一本」をフープとペダルとの間に挟んで調子を見てみてください。

Ludwig製フープスペーサー

※Ludwigの1980年版カタログ(Copyright 1978 by Ludwig Industry)によれば、当時オプション品として「BASS DRUM HOOP SPACERS」なるものが販売されていたようだ。商品説明には「For bass drums with narrow hoops it becomes necessary to position pedal 1/16" back from drum head to allow swing-clearance between rocker shaft and head. To accomplish this, we provide rubber hoop spacers with split pins which can be attached to the Speed King Pedal as illustrated.」とあり、つまり、「幅の狭いフープにスピードキングを装着する場合、ビーターを振るためのクリアランスの確保には16分の1インチ分、スピードキングを後退させて設置する必要がある」ということだ。ただ、「16分の1インチ」というと、わずか「1.59mm」の長さであり、カタログに掲載されたイラスト内の点線相互の間隔とは印象的に大きく異なるため、イラストはあくまで「概念図」として見るべきなのかもしれない。イラストに画かれた「ショート・フィン(実測で約12.5mm)」の長さをもとにこの間隔を推測すると、7~8mmほどになるだろう。また、逆にもし約2mm程度のスペーサーを装着してもかなり薄いため、バスドラムのフロントを持ち上げる高さによってはやはりロッカー末端がヘッドに接触する場合があり、実用にならない。これまでに現物の画像を確認したこともなく、どうにもこの商品の実体がよく掴めない。

DRUMARCHIVE.COM様に画像の掲載許可をお願いしました。(2015年10月5日)

       


Hoop Spacers Ludwig type?

・Ludwig のカタログに掲載された「フープスペーサー」のイラストを参考に形状を推測して作成してみた(こんな感じ?)。スペース長は実用的な範囲にとどめ、約4mmとした。商品説明にある「split pin」とは「割ピン」のことで、「書類整理専用:割ピン(100個入り・25mm・約300円)」を文具店で入手し、転用した。この程度のスペース幅であればスピードキングでもクローズ奏法が可能

※ご注意
「ショート・フィン仕様」のビンテージ品の中には左右にあるフィンのうち片側にしか穴が開けられていない仕様のものもあるため、その場合は次項にある「フープスペーサー・タイプ2」を作成してみてはいかがだろう。


■作成法
・当方では平常利用しているスタジオに備え付けのドラム(PEARL MCX:22インチ・ウッドフープ:幅40mm)の場合、スピードキングのコネクティングリンク上部のロッカー末端がドラムヘッドに接触してしまうため、「4mm用フープスペーサー・タイプ1」をスピードキングに装着して使用している。

・因みに「PEARL MCX:22インチ・ウッドフープ:幅40mm」の場合、フープのエッジからヘッド面までの距離は「約32mm(ヘッドのテンションによって若干変動する)」、スピードキングのショートフィンの幅が「約12.5mm」、そして、それに「4mm」のスペーサーを装着すると、ヘッド面からペダルのポストまでの距離は「48.5mm」となる。ちなみに「バスドラムのフロントを持ち上げる高さ」が変わると、ロッカー末端とヘッド面との距離も若干変動する。

設計図


作成手順
・ゴム板を用意し、「縦17mm、横14mm、高さ15mm」のサイコロ状に切り出す。
・ゴム表面へのライン等の書き込みは極細の油性マジックペンを使用するとよい。
・中心の溝の切り出し方… 溝の最奥部付近まではカッターでざっくりと切り出した後、紙やすり(60番前後)を二つに折り、その間に定規を挟んで持ち、「サンダー」代わりにして切れ込みの最奥部を整形する。「フィン」の先端部の形状どおりのきれいな曲面にする必要はないが、スペーサー二個ともに同じスペース長となるよう調整する必要がある。
・割りピンを通す穴は錐(きり)を使用して開ける。反対面の穴の位置がずれてしまわないよう注意して作業すること。
・スペーサー全体の形状を微調整する場合はカッターを使用せず、紙やすり(100番前後)を作業台の上に置き、そこにスペーサーを押し付けるようにしてこすり、整形するとよい。ただし、きれいな平面を出すのは難しい。


・上画像:粗めの紙やすり(60番前後)を二つ折りし、その間に定規を挟んでサンダー代わりとし、スピードキングのフィンが収まるよう切れ込みの最奥部を整形する。きれいな曲面にする必要はないが、スペース長を調整しつつ削る必要がある。

台座用クッション:厚さ1mmのゴムシートを「幅21×奥行き26mm」程度の大きさにカットし、両面テープで台座(フープ受け)に貼り付ける。「台座用クッション」を貼ることで、フープの損傷を防ぎ、蝶ネジの締め付けによるペダル本体の不自然な傾きをある程度抑え、ペダルを安定させるのにも有効。3mm厚のゴム板だとトウクランプとの隙間が狭くなり、フープを噛ませづらくなるのでお勧めしない。尚、ビンテージ品のスピードキングの場合、シルバーの塗装が大変剥げやすいため、あまり強力な粘着力のある両面テープを使用すると、テープを剥がす際に塗装も剥がれてしまう場合がある。ただ、「台座用クッション」を貼らなくても台座部分はいずれフープによって傷が付き、塗装が剥げてしまうものなので、フープの損傷を防ぎ、ペダルの固定を安定させる効用を考量すれば「台座用クッション」を貼っても実用的には決して損は無いだろう。
両面テープ:両面テープの厚さには一般タイプから極薄タイプまで様々あるが、あまり厚すぎないほうがよい。また、粘着力については強力タイプや超強力タイプは避けたほうがよいだろう。ただ、粘着力が強くなくても、ビンテージ・スピードキングの場合はもともとシルバーの塗装は剥げやすいので念のため。
カッター:厚手のゴム板は結構固いため、ゴムの切り出しには大型のカッターが必要。刃は新しいものに替える。鋭角研磨刃である「OLFA 特専黒刃(大):LBB10K」がお勧め。カッターマットも入手しておくとよい(100円ショップで入手可)。厚手のゴム板をカッターで切る際には、一度にざっくりと切ってしまおうとせず、ステンレス製の物差し(100円ショップで入手可)を当て、刃を垂直に立てたままカッターを何度かに分けて走らせ、徐々に切っていくほうが綺麗に切れる。ゴムの形状や大きさによって切り方を適宜変えるとよい。
紙やすり:溝部分の整形には粗めの「60番前後」、スペーサー全体の整形が必要な場合には「100番前後」があると作業も早くなる。
その他:紙やすりを使用してゴムを整形する際にゴムの粉塵が出るので、防塵マスクを着用するとよい。

※単純な形状にもかかわらず、ゴムの弾力のために直線や直角、平面を正確に切り出すのが困難なため、スペーサーの切り出し、整形、および微調整には結構な手間がかかります。作成を途中で諦めざるをえなくなるケースも考えられますので、作業に自信が持てない方、作業自体が面倒な方は、初めから細かい作業を厭わない知人等に作成を依頼されることをお勧めします
※スペーサーの作るスペースによってビーターと打面との距離がある程度決まり、ビーターの振り角度を調整することになるので、スペーサーはあまり厚くなりすぎないように調整することをお勧めします。ペダルを装着するフープの幅にもよりますが、制御のしやすさ、脚の疲労度等から言えば、
個人的には5mmのスペーサーの使用で一杯いっぱいと感じていおり、スピードキングの場合、ペダルを踏み込んだ際にロッカー末端とヘッド面との間に3~5mm程度の隙間ができるのが一つの基準となるので、まずは「4mm用のスペーサー」を作成することをお勧めします。また、バスドラムのフロントを持ち上げる高さを調整するとロッカーとヘッド面との距離も変わるので、適宜調整しながら、また、スツールの高さや位置等、総合的にバランスを図りながらスピードキングを制御しやすいセッティングを詰めていってください。


■結束バンド(Cable ties)

・上はスペーサーを「結束バンド(100円ショップで入手。80mm・100本入り)」で固定した場合の例。このように「割ピン」以外にも「結束バンド」や「フリーカットワイヤー」「紐」等でスペーサーを固定することが可能。

(タイプ1作成:2015年10月)

       


■Hoop Spacers Type 2 ~フープスペーサー・タイプ2
・「ショート・フィン仕様」のビンテージスピードキングの中には左右の「フィン」のうち一方に穴が開けられていない仕様のものがあり、その場合は「フープスペーサー・タイプ1」が装着できないため、こちらの「タイプ2」を使用してみてはいかがだろう。

※フープスペーサーの作成が面倒な場合は、まずは「割り箸一本」をフープとペダルとの間に挟んで調子を見てみてください。

※ご注意
・特にビンテージ・スピードキングは、そのシルバーの塗装が非常に剥がれやすくなっています。当項目でご紹介するフープスペーサーのご使用により、両面テープを剥がす際に塗装も一緒に剥がれてしまう恐れがありますので、実用を優先される方以外の方はこちらでご紹介するフープスペーサーのご使用をお避けください。


■Hoop Spacers Type 2


4mmスペーサーの作成
・準備するもの

ゴムブロック:「厚さ20mm」の「ゴムブロック」を1個。(奥行き25mm×幅20mm×高さ13mmに切り出せるゴムブロックであればよい)
台座用クッション:厚さ1mmのゴムシートを「幅21×奥行き26mm」程度の大きさにカットし、両面テープで台座(フープ受け)に貼り付ける。「台座用クッション」を貼ることで、フープの損傷を防ぎ、蝶ネジの締め付けによるペダル本体の不自然な傾きをある程度抑え、ペダルを安定させるのにも有効。3mm厚のゴム板だとトウクランプとの隙間が狭くなり、フープを噛ませづらくなるのでお勧めしない。尚、ビンテージ品のスピードキングの場合、シルバーの塗装が大変剥げやすいため、あまり強力な粘着力のある両面テープを使用すると、テープを剥がす際に塗装も剥がれてしまう場合がある。ただ、いずれにしても台座部分はフープによっても傷が付き、塗装が剥げてしまうものなので、フープの損傷を防ぎ、ペダルの固定を安定させる意味では「台座用クッション」を貼ったほうがよいだろうと思える。

両面テープ:両面テープの厚さには一般タイプから極薄タイプまで様々あるが、あまり厚すぎないほうがよい。また、粘着力については強力タイプや超強力タイプは避けたほうがよいだろう。ただ、粘着力が強くなくてもシルバーの塗装は剥げやすいので念のため。
カッター:厚手のゴム板は結構固いため、ゴムの切り出しには大型のカッターが必要。刃は新しいものに替える。鋭角研磨刃である「OLFA 特専黒刃(大):LBB10K」がお勧め。カッターマットも入手しておくとよい(100円ショップで入手可)。厚手のゴム板をカッターで切る際には、一度にざっくりと切ってしまおうとせず、ステンレス製の物差し(100円ショップで入手可)を当て、刃を垂直に立てたままカッターを何度かに分けて走らせ、徐々に切っていくほうが綺麗に切れる。ゴムの形状や大きさによって切り方を変えるとよい。
紙やすり:スペーサーの形状を整える際には「100番前後」があると作業も早くなる。
その他:紙やすりを使用してゴムを整形する際にゴムの粉塵が出るので、防塵マスクを着用するとよい。

作業上の注意点
※単純な形状にもかかわらず、ゴムの弾力のために直線や直角、平面を正確に切り出すのが困難なため、スペーサーの切り出し、整形、および微調整には結構な手間がかかります。作成を途中で諦めざるをえなくなるケースも考えられますので、作業に自信が持てない方、作業自体が面倒な方は、初めから細かい作業を厭わない知人等に作成を依頼されることをお勧めします
※スペーサーの作るスペースによってビーターと打面との距離がある程度決まり、ビーターの振り角度を調整することになるので、スペーサーはあまり厚くなりすぎないように調整することをお勧めします。ペダルを装着するフープの幅にもよりますが、制御のしやすさ、脚の疲労度等から言えば、個人的には5mmのスペーサーの使用で一杯いっぱいと感じていおり、スピードキングの場合、ペダルを踏み込んだ際にロッカー末端とヘッド面との間に3~5mm程度の隙間ができるのが一つの基準となるので、
まずは「4mm用のスペーサー」を作成することをお勧めします。また、バスドラムのフロントを持ち上げる高さを調整するとロッカーとヘッド面との距離も変わるので、適宜調整しながら、また、スツールの高さや位置等、総合的にバランスを図りながらスピードキングを制御しやすいセッティングを詰めていってください。


■設計図




・厚手のゴム板を上記のサイズに切り出す。
・スペーサーの底部に両面テープを貼り、ペダル本体に接着する。
・センター用スペーサーに貼られた両面テープの厚さ分を念頭に、サイド用スペーサーの全長を微調整するとよい。

※3mm厚や5mm厚のスペーサーを作成する場合は、上図の全長、および「B」の長さを調整して切り出す。
※図のAの面やフープが当たる面など、サイドスペーサーの平面を平滑にする必要のある箇所には、紙やすり(100番前後)を作業台に置き、つまみ持ったスペーサーのほうを紙やすりの上で平行移動しながらこすりつけ、平滑にしていく。

■面取り


・左右それぞれのスペーサーの底部に面取りを行う。カッターで切りづらい場合は紙やすり(100番前後)を作業台の上に置き、そこにスペーサーを押し付けるようにして整形するとよい。



(タイプ2作成:2012年4月)

       


スティールフープへの装着

■ゴムプレート

・スピードキングをパール製のスティールフープ(幅40mm)に装着しようとしたが、フープの内側に溝が走っているため、ペダルの固定ができない。前後左右にずれ動くだけでなく、ペダルのロッカー末端がヘッドの打面に接触する。そこで、DIY店で5mm厚のゴム板を入手し、20×50mmの大きさに切り、適当に面取りし、両面テープで貼り付けた。



・スピードキングのコネクティングリンクとバスドラムのヘッド面との距離が近すぎて接触するので、次項に紹介したフープスペーサーを使用するとよい。フープスペーサーの作成が面倒な場合は、まず試しに割り箸一本をスペーサー代わりに挟んで操作具合を見てみることをお勧めする。




シーリング・キャップの脱落防止措置




・スタジオでの練習の際、スピードキングは使用に伴う震動によりシーリング・キャップが脱落して紛失する恐れがあるので、その防止措置を採っている。上の画像は「ボンド・水性アクリル充填剤・多用途シール(クリアー)」という商品を、充填したばかりの段階で撮影。
・充填剤の先は「細口ノズル」となっているので、直接シーリングキャップの円周上に盛り、小指の先を上手く使ってはみ出しを除去し、ボリュームを整えるとよい。
・充填時は白いが、乾燥すると透明な軟質プラスチックに硬化する。乾燥後は剥がし取るのも簡単であるが、そのためこの措置は恒久的なものではなく、適宜充填のし直しを行い、ペダルの使用に際してもキャップの脱落が無いか、毎回確認したほうがよい
・硬化すると充填時より充填剤のボリュームがかなり目減りするため、充填時にはうっすらと塗るより、画像のように多少ぼってりと厚めに盛るほうが、充填剤を塗り直すなどする際に「ペロリ」と剥がしやすくなるので丁度良い。

■硬化後

・硬化後の充填剤の様子。ボリュームが減り、透明なので目立たない。


■シーリング剤


・「セメダイン・高性能シリコーン系充填剤・バスコーク・クリア(半透明)」でも試してみた。乾燥後は完全なクリアではなく半透明の乳白色をしていて、シリコンが短期間でメラメラと剥がれてきて見た目が良くないうえ、塗り直しをする際にはシリコーンがこびりついて剥がし取るのに結構な手間がかかるので、こちらの使用はお勧めしません

シーリングキャップの外し方


・シーリングキャップはねじ込み式ではなく、ただ単にフタを被せるようにシリンダーの枠内に押し込んであるだけなので、演奏中の振動が継続すると自然に外れてしまうことがよくあるが、何かの事情により自分でキャップを外す必要がある際には、次の手順で外すとよい。

①予めシーリングキャップの外周に「CRC-5-56(呉工業)」等の潤滑剤を差しておく。
②「一方のポストにタオルを巻き」、「片手でそのポストを持ってフレームをぶら下げる
③シーリングキャップの直ぐ下辺りの、「ポストの首部分」をプラスチックハンマーかゴムハンマーを使用して暫く叩き続ける。
④固着してキャップが外れない場合は、タオルで保護しながら、時々キャップ表面やカム格納部の外周も軽く叩いて振動を与える。

※タオル等で保護せずに直接叩いたり、シリンダーのエッジ付近を叩いたりすると、フレーム本体が欠損したり塗装が剥がれたりする恐れがあるので十分注意すること。ハンマーは100円ショップで入手できる「プラ&ゴムハンマー」が便利。



フットボードのロゴ・シーリングキャップ

■旧型スピードキング

・旧型スピードキングの商品写真。1937年版『WM. F. Ludwig カタログ
』より。
DRUMARCHIVE.COM様に画像の掲載許可をお願いしました。(2015年10月5日)
※参考サイト:「Ludwig SPEED KING Maniac

「新型 W.F.L. スピードキング」の誕生
・旧型スピードキングを除外しての分類だが、スピードキングのフットボード上に刻印されたロゴには、「WFL ロゴ」と「Ludwig CHICAGO ロゴ」の二種がある。

WFLのカタログ、1949年版(Catalog No. 49 Prices effective April 1, 1949 and subject change without notice)ではまだスピードキングの本体デザインは旧型のままのイラストで掲載されているが、1951年版(Copyright 1950, WFL Drum Co.)ではスピードキングの本体デザインが全面的に変更され、フットボード表面に「WFLの文字があしらわれたキーストーン」をデザインとした大きなロゴが刻印のある、かのリンゴ・スターが使用したことでお馴染みの「新型 スピードキング(WFLロゴ)」のイラストへと差し替えられた。

その後、この「WFL ロゴのスピードキング」の商品イラストが1955年版(Copyright W.F.L. Drum CO., 1954.)、1957年版(Copyright Ludwig Drum Co., 1956.)、1960年版(Copyright 1959 - LUDWIG DRUM CO.)、1962年版(COPYRIGHT 1961, LUDWIG DRUM CO.)、1964年版(LUDWIG DRUM CO. 64)、1967年版(Copyright 1966 by Ludwig Drum Co.)と、15年以上にわたりカタログに掲載され、1968~70年版については不明だが、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)ではデザインと規格に変更が加えられ、フットボード表面に新たに「Ludwig CHICAGO ロゴ」が刻印された「新生スピードキング」の商品写真に差し替えられる。

フットボード表面のロゴ


ロゴの変更年について

・WFL、およびLudwigのカタログによれば、1951年版、55年版、57年版、60年版、62年版、64年版、67年版に掲載された「スピードキング単体の商品イラスト」、及び「ドラムセットに装着されたスピードキングの写真(またはイラスト)」はこの間ずっと「WFL ロゴ」のままである。 それが1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)で「スピードキング単体の商品写真」、および「ドラムセットに装着されたスピードキングの写真」がともにフットボード上のロゴが「Ludwig CHICAGO」となったものに変更されている。これは、1967年頃から1970年頃までのいずれかの時期に「ロゴの変更を含む仕様変更」が行われたという事実を意味するわけだが、その年代をより絞り込むことはできないだろうか。

フットボード裏面のリブ(筋状補強)の本数が一つの手がかり

・「WFL ロゴ」のスピードキングに「筋状の補強(リブ)」が「4本」のものは存在しないのに対し、「Ludwig ロゴ」が刻印されたスピードキングのフットボード裏面には上の画像に示したとおり、「2本のものと4本のもの」が存在する。

別項(『フットボード裏面のリブ増設』の項に画像を掲載)にも説明しているが、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)のカタログに掲載されたスピードキングの場合は「4本」であることが確認できる。カタログ掲載用に商品の撮影が行われたのが遅くとも版権記載と同じく1970年、もしくはその前年である1969年内であると仮定すると、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)に掲載された「4本リブ仕様」のスピードキングもまた、「遅くとも1970年内、早ければ前年の1969年内」に製造された個体である可能性が浮かび上がる。

また、上の画像で中央にある「ロゴがLudwig CHICAGOで、フットボード裏面のリブが2本仕様」のスピードキングについてだが、仕様の変遷からしてこれは「
Ludwigロゴ・最初期型スピードキング」として位置づけられる。特にアメリカの中古市場において少なからずこの仕様のスピードキングが流通している事実を踏まえると、その製造期間は「少なくとも1年間」はあっただろうと推測される。この「2本リブ仕様のLudwig スピードキング」が最低1年間製造されていたと仮定し、さらに、先の1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)に掲載された「4本リブ仕様のLudwig スピードキング」もまた遅くとも「1970年の終盤」に製造されていた個体だと仮定すると、「2本リブ仕様」は「4本リブ仕様」に先立つ仕様であるから、「2本リブ仕様のLudwig スピードキング」はその1年前に遡る遅くとも1969年終盤には製造が開始されていたものと推測することができる。

ただ、別項「ロングフィンとショートフィン」内の「写真の使い回し」で説明したように、ラディックのカタログでは前年または前年以前に撮影された商品写真が数年にわたり使い回されていたことが事実としてあり、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)に掲載された「4本リブ仕様のスピードキング」の商品写真についても、実際にカタログ掲載用に撮影されたのは、先に可能性として提示した「遅くとも1970年内、早ければ前年の1969年内」よりさらに1年程度遡る可能性もある点を念頭に置かなければならない。

■一方、「WFL ロゴ」に関しては、
1967年版のカタログに「Copyright 1966 by Ludwig Drum Co.」との版権記載があるが、商品写真の使い回しも念頭にすると、このカタログに掲載されたドラムセットに装着された「WFL ロゴ」のスピードキングは版権表示と同じく「1966年」、もしくは、「1965年以前」に製造された個体であると推測される。

また、1967年版(Copyright
1966 by Ludwig Drum Co.)のカタログで「スピードキング単体の商品イラスト」も「ドラムセットに装着されたスピードキングの写真」も「WFL ロゴ」となっているということは、1967年版のカタログでわざわざ「WFL ロゴのスピードキング」を紹介、販促しておきながら、同年1967年に「Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング・最初期型を注力して販売するという展開は極めて不自然であり、その意味では少なくとも1967年内は「WFL ロゴ」のスピードキングの製造、及び販売自体は「中心的に」行われていたと推定するのが妥当だろう。「中心的に」というのは、この年、1967年のある時期、例えば中期頃から「Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング・最初期型」の企画、および販売に向けた製造も既に開始されていたという可能性を否定できないためである。

以上によれば、「WFL ロゴ」から「Ludwig CHICAGO ロゴ」への変更時期については、最大期間として見た場合であるが、「1967年(中期)から1969年終盤までのいずれかの時期」という範囲を推測することができる。 これはまた別言すると、「真正60年代製・Ludwig スピードキング」は、最も長くとってもその製造期間が1967年中期から1969年終盤までのわずか2年半程度しかなく、スピードキングの歴史全体から見るとその製造数は極めて限られていたということにもなろう。

矛盾
・ところで、1960年代の「一定期間」にもし「Ludwig CHICAGO ロゴ」のスピードキングがまだ存在しなかったとすると、一点大きな問題が生じる。それは、内外を問わずこれまで長らく、恐らくは四十数年の長きにわたり一般認識としてあった「『Ludwig CHICAGO ロゴ』で、かつロングフィン仕様の60年代製ビンテージ・スピードキング」なるものは、不可解なことに実は60年代には存在しなかった」ということになり、非常な矛盾を生じてしまうのだ。その意味からすると、先述したように最大期間として見た場合の、1967年中期から1969年終盤のいずれかの年に「WFL ロゴ」から「Ludwig ロゴ」に仕様変更され、一定数量が製造されていたとする見方は決して不合理とは言えないわけだ。


       


ロゴの変更年は1968年か
ただ、もし「Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング」の製造が開始されたのが「1969年終盤」だとすると、「真正60年代製 Ludwig スピードキング」の個体数は、その生産期間がわずか2~3か月程度となってしまい、「60年代製 Ludwig スピードキング」という一般認識を担保するうえでは非常に不自然な個体数となる。1969年終盤のわずか2~3か月の間に製造された「Ludwig ロゴのスピードキング」の個体数が、果たして「60年代製・Ludwig スピードキング」という一般認識をその後40年以上もの長きにわたり担保しえてきたと言えるだろうか。この「一般認識」とはもちろん日本に限ったものではなく、スピードキングの製造国であるアメリカ本国においても同様の「一般認識」を念頭に置いている。

そこで、可能性として浮かび上がるのは、まず一点目、先に説明したとおり1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)のカタログに掲載されている「4本リブ仕様のスピードキング」が掲載された商品記事が最初にカタログに掲載されたのは、実は「1970年」ではなく、さらに遡った「遅くとも1969年、早ければ1968年内」ではないかという新たな仮説である。

あるいは、第一点目とは別に、例の「
Ludwig最初期型スピードキング(2本リブ仕様)」の中古市場での出現数から、その生産期間が当初仮定した「最低でも1年間」ではなく「2年程度」あったと「仮定」を変更すると、「Ludwig ロゴのスピードキング」が市場に出現した時期もまたさらに「1年ほど遡り」、当初の「遅くとも1969年終盤」から「遅くとも1968年終盤」へと推測時期も変わり、「60年代製 Ludwig スピードキング」という一般認識を担保するうえでのその製造期間も当初の「2~3か月程度」から「1年少々」へと増えることになり、一般認識と個体数との関係において、そのほうがより現実味が増すことになる。

そして、この二点の仮定から共通して浮かび上がるのが「1968年」という年であり、先に「WFL ロゴのスピードキング」が「中心的に」製造されていた最後の年と推測した「1967年」の翌年に当たり、「年代が同じ年で重なり合ってくる」のだ。

以上により、企画、改良、テスト、生産等の準備期間等をも考慮すれば、「『Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング(2本リブ仕様の最初期型)』が誕生したのは、早ければ1967年内、遅くとも1968年内」と見なしてよいのではないかと個人的には考えている。ロゴを「W.F.L.」から改めた新仕様としての「Ludwig ロゴのスピードキング」が一般に広く認知され、流通しはじめた年代としては、便宜的には「1968年頃」と見てよいのではないだろうか。

また、「リブの増設」が行われた事情に関しては、時代的な背景として1968年頃からのハードロックの台頭により「2本リブ仕様」での「パワー不足」や「足の甲をビーターが打撃する不都合」を改善する要望が強まり(別項『フットボード裏面のリブ増設』、『操作』を参照のこと)、翌「1969年内」に「4本リブ仕様」への変更が行われた可能性が考えられる。

補足
・以上、「Ludwig ロゴ」のスピードキングが登場したのは「
(便宜的には)1968年頃」と推測したが、一点補足すると、「WFL スピードキング」が旧型から新型(キーストーンにWFLのロゴをあしらったデザイン)に全面改良されたと考えられる時期の1951年版(Copyright 1950, WFL Drum Co.)のカタログでは、スピードキング単体の商品記事に「SENSATION OF THE DRUM WORLD - WFL's NEW SPEED KING PEDAL」と、新型であることを高らかに謳うコピーが明記されている。残念ながら現時点ではまだ確認できていないが、「1968年版」や「1969年版」のカタログが実際に存在する場合、そのいずれかに「New Speed King Pedal」等のコピーが見られるだろうし、そこには「Ludwig 最初期型スピードキング(2本リブ仕様)」が掲載されてもいるに違いない。事実の判明がいつになるかわからないが、判明するその時が楽しみである。

※スピードキングの仕様変更期に当たる重要な時期(1968年、1969年)のカタログや情報が得られておらず、当ページの記事はあくまで推測の域を出ません。
※以上は全て「仮定」を前提とした推論であり、前提が事実と異なれば推論は成立しないため、あくまで参考程度にとどめてください。新たな情報が得られ次第、直ちに当ページにて分析結果を反映させます。また、名機スピードキングに関する情報を多くの方々と共有し、後の世代にまで伝えていくため、スピードキングに関する情報をお持ちの方はこちらまでご連絡くださるようお願いいたします。


■2018年3月18日(日)追記
・スピードキングを使用したドラマーを探している段階で、グレイトフル・デッド(Grateful Dead)のドラマーであるビル・クロイツマン(Bill Kreutzmann)が1968年3月3日に「Ludwig CHICAGO」ロゴのスピードキングを使用している写真が見つかった。

・1968年3月3日に撮影されたこの写真は、現段階で入手している資料の中で「Ludwig CHICAGO ロゴ」のスピードキングの存在が確認できる最も早い時期のものである。やはり推定どおり「1967年」に新しいデザインのための企画が行われ、新たに誕生した「Ludwig CHICAGO ロゴ」のスピードキングが1967年終盤には市場に流通し始めていた可能性が高い。

・ヒール・クランプはリバースされている。

       


「Ludwig ロゴ」~1994年版のラディックのカタログより

・ 1994年版(1994 The Selmer Company, Inc)のカタログ写真より一部を拡大した。

シルバーに塗装された「シカゴ仕様」のスピードキングのフットボードには「Ludwig CHICAGO」のロゴが刻印され、キックペダル全体が黒く塗装された『最終型スピードキング』には「Ludwig MADE IN USA」と刻印されている。上の画像は1994年版(1994 The Selmer Company, Inc)カタログに掲載されたスピードキングの写真を一部拡大したものだが、フットボード上の刻印はもちろん「Ludwig CHICAGO」である。

※同じ写真のシーリングキャップに刻印された文字とビーターヘッドにあるキャップの文字については判読不能だった。

・当方で所有する、1989年に発行された音楽雑誌(冒頭のジョン・ボーナムの記事が掲載された雑誌)には、都内某有名楽器店の広告に「シカゴ仕様」のスピードキングが商品写真として掲載されており、また、Ludwigが1984年に拠点をモンローに移してから10年経った1994年版カタログにもシカゴ時代と同じ仕様のスピードキングが掲載されている事実から、1980年代にはブラックに塗装された「最終型スピードキング」はまだ存在していなかったと断定され、また、「シカゴ仕様のスピードキング」の製造が少なくとも1990年代中期頃までは継続されていたことも断定される。

当方の所有するスピードキングのフットボード

・当方で所有するスピードキング二種を、ラディックの1994年版カタログに掲載されたスピードキングの写真とほぼ同角度で撮影した。

Double Exposure ~画像の重ね合わせ
・ブラックに塗装される以前の「シカゴ仕様」のスピードキングにはフットボード表面に「Ludwig MADE IN USA」と刻印された個体は存在しないのだが、念のため上に掲載した1994年版カタログの写真と当方が所有する「シカゴ仕様」のスピードキングの写真とを重ね合わせてみた。「CHICAGO」の「A」の文字部分は判然としないが、それ以外の文字は陰影、文字幅、文字数等がほぼ重なり合う。

       


シーリング・キャップ~1988年版のラディックのカタログより

※上画像:Ludwigの1988年版(Copyright・年次記載無し)カタログより。Ludwig社は1984年にシカゴからモンローに移転したが、1988年版のカタログでは「シーリングキャップ」にまだ「CHICAGO. U.S.A.」が刻印された「スピードキング単体の商品写真」が掲載されている。カタログ写真を確証とすることはできないにせよ、1984年のモンロー移転後も少なくとも数年間はシカゴ時代の仕様をそのまま継続していたようだ。情報が少ないため、「フィン」や「フットボードのロゴ」についての年代同様、「シーリングキャップ」についても明確な仕様変更の年代を特定するのは困難だ。


       


ブラック塗装の仕様
本体が黒く塗装されるようになった「最終型スピードキング」の生産が開始された年代については、現在のところ全く特定されていない。本体がシルバーに塗装された「シカゴ仕様」のスピードキングが掲載されている1994年版カタログに掲載されている商品写真を根拠とすれば、「最終型スピードキング」は少なくともカタログ発行年の前年である1993年の時点ではまだ存在していなかった可能性が高い。

これは別言すると、シルバーに塗装され、かつ「ショート・フィン」を仕様とした、いわゆる「『70年代製ビンテージ・スピードキング』とは、1970年代中期から1990年代中期までの約20年間に製造され続けた製品を指す」ということになり、これには誰しも違和感を覚えずにいられないだろう。ただ、内外のオークション等に出品されている個体を観察すると、「シルバー塗装でショートフィン仕様」のスピードキングが、80年代製や90年代製のものをも含めて「70年代製ビンテージ・スピードキング」として出品される例が散見され、これは、出品者側に「シルバー塗装のスピードキングは60年代製か70年代製」、「フィンが長いほうが60年代製で、短いほうが70年代製」というこれまでの大まかな区分認識が一般化しているためであり、シルバー塗装されているというだけで「(70年代製)ビンテージ・スピードキング」として出品されるタマ数が、特に製造国であるアメリカで異常なほど多い理由もここにある。



フットボード裏面のリブ増設


・強度向上のためフットボード裏面に施された「筋状の補強」は「リブ(rib)」と呼ばれる。強度向上のためだけでなく、フットボードの重量を増すことで、よりパワフルにペダルを蹴りつけることができ、サウンドにも重みが増す。上の画像で左端は「1960年代製 WFL スピードキング」、中央は1968年頃の製造と見られる「Ludwigロゴ・最初期型スピードキング」、そして右端は1972~73年頃の製造と見られる「1970年代初期仕様のスピードキング」で、それぞれのフットボード裏面の様子を撮影した。

4本リブ仕様のフットボード(推定1969年製)

・4本に増強されたリブのうち外側の2本は、角度にもよるが、フットボードに開けられたホール上面からもはっきりと見える。上の画像でわかるとおり、1971年版カタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真にはその外側のリブがはっきりと写っているのだが、この版のカタログには「Copyright 1970 by Ludwig Industries」と記載されており、この記載が1970年に制作、発行されたカタログことを意味するならば、遅くとも1970年終盤には既にリブが4本に増強されたスピードキングが製造されていた確証となる。ただし、別項『フットボードのロゴ』で検証したとおり、この写真に掲載されているスピードキングは「1969年頃」の製造である可能性がある。

2本リブ仕様のフットボード(Ludwig スピードキング最初期型=推定1968年製)

・上の画像は当方が2016年2月に入手した、「Ludwig CHICAGO ロゴ・2本リブ仕様」のスピードキング。一つ上の画像と比較しやすいよう、ほぼ同じ角度から撮影した。

・両種を比較して分かるとおり、こちらのフットボードにはサイド側リブが無い。つまり、「2本リブ仕様のLudwig スピードキング」である。特に生産国であるアメリカの中古市場でのスピードキングを継続的に観察しているが、この「2本リブ仕様のLudwig スピードキング」の出現数は決して少なくなく、そのため、その製造期間は「少なくとも1年」はあっただろうと推測される。

さらに、ロッカーシャフトのヘッド形状等、細部の仕様的特徴や仕様の変遷という点も加味すると(別項『年代別仕様比較』を参照のこと)、この「Ludwig スピードキング(2本リブ仕様)」は「WFL ロゴ」から「Ludwig CHICAGO ロゴ」に仕様変更された直後の時期における「Ludwigロゴ・最初期型スピードキング」である。また、別項『フィンの変更年』に記載した「60年代製 Ludwig スピードキングが実は60年代には存在しなかったという矛盾」を回避するなら、この仕様のモデルは1967年から1969年の最大約3年間のうちの最初期に一定期間(少なくとも1年間)製造されていた『真正60年代製Ludwig スピードキングである。そして、これも別項『ロゴの変更年』にて説明したとおり、この「Ludwig スピードキング・最初期型」の「市場への登場は1968年頃」と推定されるのだが、現在のところ1968年版、1969年版のカタログでの確認ができておらず、確証までは得られていない。

       


4本リブへの増設は1969年か
・前項、「ロゴの変更年は1968年か」において「ロゴの変更年」と「リブの増設」とを関連づけて考察する必要があったため、本項、「リブの増設」での考察は前項の内容と重複する。

フットボード裏面の「リブ(筋状補強)」については、「WFL ロゴのスピードキング」に「4本リブ仕様」のものは存在せず、「Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング」には「2本リブ仕様」のものと「4本リブ仕様」の二種が存在し、「2本リブ仕様」は「4本リブ仕様」に先立つ仕様である点をまず踏まえておく。

「WFL」の「1967年版カタログ(Copyright 1966 by Ludwig Drum Co.)」に商品写真として掲載された「WFL ロゴのスピードキング」は、当然のことながらこの「WFL ロゴのスピードキング」をその年「1967年内」に中心的に販売するというラディック側の販売方針と受け取れるため、「1967年内」には確実に「WFL ロゴのスピードキング」が中心的に販売されていたと推測される。「中心的」というのは、同じ1967年内に次期仕様である「Ludwig CHICAGO ロゴのスピードキング=最初期型=2本リブ仕様」の企画、設計、テスト、生産準備が既に開始されていた可能性が排除できないためである。

それに対し、「1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)」のカタログには「4本リブ仕様」へと改良されたスピードキングが既に商品写真として掲載されており、このカタログは版権記載にあるとおり発行年は「1970年」である。

以上二点の情報に基づいた限りでは、「Ludwig スピードキング最初期型=2本リブ仕様」が誕生したのは「早ければ1967年内」、そして、「4本リブ仕様の改良型」が登場したのは「遅くとも1970年終盤」ということになるが、各年代についてさらに絞り込みを進める。


「早ければ1967年内」に誕生した可能性のある「Ludwigロゴの最初期型スピードキング」は「WFL ロゴのスピードキング」と同様にまだ「2本リブ」を仕様としており、特に生産国アメリカの中古市場でのその出現数から、「少なくとも1年間」は生産されていたのではないかと考えられる。

また、「4本リブ仕様」へと改良されたスピードキングが商品写真として掲載された「1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)」のカタログが制作された時期を仮に「1970年終盤」と仮定し、これを基準としたうえで「Ludwigロゴのスピードキング最初期型=2本リブ仕様」が製造されていた期間を「約1年間」と仮定した場合、この「Ludwigロゴのスピードキング最初期型」が誕生した時期が「1971年版(1970年発行)」に掲載された「4本リブのスピードキング」が登場する1年前、つまり「1969年終盤」だということになる。

ところが、そうなるとこれまで世界的に認識されてきた「60年代製 Ludwig スピードキング」なる個体が製造されていた期間が「1969年終盤のわずか2~3か月のみ」となり、「60年代製 Ludwig スピードキング」という一般認識を担保するうえでの製造数が極めて不自然となる

ラディックの各年代に発行されたカタログに掲載されている商品写真は、前年、あるいは前年以前に撮影されたものがその後数年にわたり「使い回される」ケースが事実としてあることも考慮したうえで、「60年代製 Ludwig スピードキング」という一般認識を担保するためには、「1971年版(1970年発行)」のカタログに掲載された「4本リブ仕様」のスピードキングの商品写真が撮影された時期が実際には「1970年終盤」ではなく、時期をより遡って「遅くとも1969年終盤」であった可能性も浮かぶ。

そうなると「2本リブ」を仕様とする「Ludwigロゴの最初期型スピードキング」はさらに1年遡った「遅くとも1968年内」には製造が開始されていた可能性が考えられるのだが、この「1968年」という年は、先述した「W.F.L.ロゴ」のスピードキングが「中心的に販売されていたと見なすことのできる「1967年」の翌年に当たり、両者仮定による年代が同じ「1968年」で一致してくるのだ。

       


・以上により、「Ludwigロゴのスピードキング最初期型=2本リブ仕様」は「1968年」頃に登場し、翌「1969年」頃にリブが「2本」から「4本」へと増設された「
Ludwig CHICAGO ロゴ=4本リブ最初期型」が誕生したと推測される。製品の企画、設計、テスト、生産準備といった一連の販売プロセスをも踏まえると、市場に流通し、一般に認知された年代としては、便宜的には「1969年」としてよいのではないかと個人的には考えている。

■補足
「1969年」に登場したと推定される「Ludwig CHICAGO ロゴ=4本リブ最初期型」スピードキングは、まさに「1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)」において、スピードキング単体の商品写真、及び各種ドラムセットに装着されたスピードキングの映像と同一の仕様であるわけだが、その仕様的特徴とは以下のとおりである。

①フットボード裏面のリブは「4本」へと増設された。
②ロッカーシャフトのヘッド形状が「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング=2本リブ仕様」と同様、「ほぼ直角にくびれ」ており、まだ後の「滑らかな曲線形状」へと変更されていない。
③フレーム本体のフープを乗せる部分、つまり「プラットフォーム」の底面にはまだリブが増設されていない
④フットボードを支持するフロアープレートのヒール部ヒンジを構成するロッドの先端形状が、後の「ナベ型」と異なり、フライパンを裏返したように「平べったい」形状をしている。
⑤同じくヒンジを構成するロッドの先端とフロアープレート本体との間に「ワッシャー」が噛ませてある。
⑥フレーム本体底面にはまだ「中空孔」が設けられていない。
⑦フロアープレート底面に「Non-skid pad=滑り止めラバー」が装着されている。
⑧コネクティング・リンクは「薄く、長い」タイプである。
⑨フットボード表面の「SPEED KING」の文字は全てレギュラータイプであり、まだこの時期には「イレギュラーな文字タイプ」は存在しない。
⑩下請け製造企業のものと推測される刻印は恐らく全て「K.D.C.」であり、この時期にはまだ「W.M.C.」の刻印は無い。

スピードキングの製造国アメリカの中古市場では、この仕様を特徴とするスピードキング、つまりLudwig CHICAGO ロゴ=4本リブ最初期型」が出現する率は「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング=2本リブ仕様」の出現率よりもかなり低い。

順序としては、フットボード裏面のリブの増設、ヒンジ部ロッド先端の形状処理、同部位へのワッシャーの装着といった仕様変更がほぼ同時期に行われ、その後暫くしてからロッカーシャフトのヘッド形状を後の標準形状である「滑らかなタイプ」へと変更されたものと考えられるが、このことからすると「滑らかな形状」に変更される前の「Ludwig CHICAGO ロゴ=4本リブ最初期型」が製造されていた期間は「長くても半年程度」と、極めて短期間であった可能性がある。

■ではそもそも「リブの増設」が企図された理由は何なのだろうか。時代背景として、特に1968~1969年はハードロックがいよいよ台頭を迎える時期であり、このことと「リブの増設」とが深く関連していると見るのは決して不自然なことではないだろう。実際、操作感としても、フットボードのリブが2本仕様の「W.F.L スピードキング」や、同じく2本仕様の「Ludwig 最初期型スピードキング」は、リブが4本仕様のスピードキングと比較すると「アクションが一段軽い」のだが、逆に4本リブ仕様のスピードキングはフットボードの重量が増加した分、「よりパワフルに蹴りつけることができる」ため、よりハードロックに向くキックペダルとなっていると言える。

また、「2本リブ仕様」と「4本リブ仕様」の操作性を比較するため、両者のコンプレッションスプリングの強さとビーターの長さを同じに設定したうえで、ダブルストロークのように「速く、強く」バスドラムを連打すると、「2本リブ仕様」のフットボードは重量が軽いためにビーターの「振り角度」も大きくなり、そのため、蹴りつける度にビーターのフェルト部分が「足の甲を打撃」する現象がよく起きる。このことは、「W.F.L. スピードキング」や「2本リブ仕様のLudwig スピードキング」は「バスドラムをパワフルかつ素早く蹴りつける必要のある演奏には向かない」ということを意味してもいる(ただし、スプリングの強弱調整や個人の奏法にもよる)。この点においてもまた、スピードキングのリブが2本から4本に増設された年代と、ハードロックが台頭しはじめた年代との大きな関連性が見出せると言ってよいだろう。ハードロックバンドのドラマー達から「2本リブ仕様」での操作上の不具合を改善する要望が増加し、そのため、これが「遅くとも1969年内」に「4本リブ仕様の改良型」が誕生する事情の一つとなったのかもしれない。

■以上の内容を「流れ」として再度まとめると、次のようになる。
「WFL ロゴのスピードキング」には「2本リブ仕様」のものしか存在しない。そして、この「WFL スピードキング」は少なくとも「1967年内」においては「中心的に販売」されていたと推測され、早ければこの年、「1967年内」、もしくは「遅くとも1968年内」には新たに企図された、同じく「2本リブ」を仕様とし、ロゴが「WFL」から「Ludwig CHICAGO」へと変更された新しいデザインによるスピードキングの製造が開始されていた可能性がある。この「2本リブ仕様」のスピードキングは「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング」として位置づけられ、中古市場での出現数から「少なくとも1年間」は製造が続いた可能性がある。

「Ludwig 最初期型スピードキング」の製造が約1年続くと、折しも「ハードロックの台頭」という時代を迎えており、「パワーアップの必要性」と「足への打撃」という二点の問題を解決するため、「4本リブ仕様」への改良の必要性が高まり、「早ければ1968年内、遅くとも1969年内」にはそれを新仕様とする「改良型スピードキング」の製造が新たに開始されたと推測される。

「4本リブ」を新たな仕様として改良されたこのスピードキングは、当初はロッカーシャフトのヘッド形状が「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング」と同様の「ほぼ直角にくびれたタイプ」の形状をし、ヒール部ヒンジに挿通されたロッド先端の形状も「平べったい」形状で、さらにワッシャーも噛ませてあり、この時期に製造されたスピードキングのサンプルモデルが「早ければ1968年内、遅くとも1969年内」に「カタログ掲載のために撮影に使用」された可能性がある。

ところが恐らく半年程度、長くても1年以内にさらにマイナーチェンジが行われ、ロッカーシャフトのヘッド形状が後の標準形状となる「滑らかな形状」へと変更され、ヒール部ヒンジに挿通されたロッド先端の形状もやや丸みを帯びた「ナベ型」へと変更され、ワッシャーも外される。

ところで、「1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)」に掲載された「4本リブ」を仕様とする「改良型スピードキング」のカタログへの初出」が発行年である「1970年」であるとすると、製造期間が「少なくとも1年間」と推測される「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング=2本リブ仕様」の登場が「遅ければ969年終盤」となり、そうすると「60年代製 Ludwig スピードキング」の存在した期間がわずか2~3か月となってしまい、これまでの四十数年にわたる「「60年代製 Ludwig スピードキング」という一般認識を担保し得ないいう不自然が生じる。そうした事情から「Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型スピードキング=2本リブ仕様」の登場は「1968年」頃、「Ludwig CHICAGO ロゴ・4本リブ最初期型スピードキング」の登場は「1969年」頃と推測される。

       


以上により、企画、改良、テスト、生産等の準備期間等をも考慮すれば、「4本リブ」を仕様とする「改良型スピードキング」、つまり「Ludwig CHICAGO ロゴ・4本リブ最初期型スピードキング」が誕生したのは、「早ければ1968年内、遅くとも1969年内」と見なしてよいのではないかと個人的には考えている。一般に広く認知され、流通しはじめた年代としては、便宜的には「1969年頃」としてよいのではないだろうか。また、「Ludwig CHICAGO ロゴ・4本リブ最初期型スピードキング」の個体が初めてカタログに掲載されたのは、実際には「1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)」ではなく、もし存在するとすれば、「早ければ1969年版」、「遅くとも1970年版」である可能性がある。ただ、両年版ともカタログの現物が存在するかどうかが判明しておらず、現時点では確証を得られていない。



ロングフィンとショートフィン



       


「ロング・フィン仕様」と「ショート・フィン仕様」
・バスドラムのフープを受け、ヘッド面との一定距離を維持し固定するための台形をした突起部を便宜上「Fin=フィン(フープ定位置支持翼)」と呼ぶことにして、スピードキングには、ペダルを横から見た場合、横方向に「長いサイズ」=「ロング・フィン仕様(フープを噛ませる奥行きが浅いタイプで、フィンの長さは1インチ=25.4mm)」と、逆に「短いサイズ」=「ショート・フィン仕様(フープを深く噛ませるタイプで、フィンの長さは半インチ=12.7mm」と、二種類ある。

「フィン」という名称について…… バスドラムのフープを受け、バスドラムのヘッド面とペダルとの距離を一定に保つ機構を持つペダル下部の「台形をした突起部位」を当サイトでは以前は『フープストッパー』としていたが、海外ではそのような名称は一切使用されておらず、正式名も調べてみたが判明しなかった。海外のサイトでは『(Short、またはLong) index arms(fingers)』といった表現が見られたが、あくまで一個人の使用例に過ぎない。「index fingers」であれば恐らく「フープの設置指標となる指状の突起」という意味になるのだろう。当サイトでは、より呼びやすい名称として、飛行機の垂直尾翼や、あるいはロケット、ミサイルの安定翼が英語では『フィン』と呼ばれ、スピードキングの台形突起もこの形状に近似しているため、洒落を込めて、また、スピードキングへの愛着を込めて、当面は『フィン(フープ定位置支持翼)』と表記することにした。「Index fin」という名称でもよいかもしれない。正式名が判明した場合、当サイトの表現を差し替える予定。
※海外では使用されていないが、「Narrow type」、「Wide type」といった呼称が用いられる場合がある。ただ、「narrow」または「wide」が横から見た場合の「フィンの幅」を指すのか、あるいはバスドラムのフープ幅を指しているのか、捉え方に食い違いや誤解が生じる可能性があるため、当サイトでは敢えて使用しないでおく。


ロング・フィン(WFL・1951年版カタログより)

・1951年版カタログ(Copyright 1950, WFL Drum Company)より、WFLスピードキングの「ロングサイズ・フィン」。長さは1インチ(25.4mm)ある。

DRUMARCHIVE.COM様に画像の掲載許可をお願いしました。(2015年10月5日)
※参考サイト:「Ludwig SPEED KING Maniac

ショート・フィン(Ludwig・1984年版カタログより)

・1984年版のカタログ(Copyright 1984 The Selmer Company)のスピードキング単体の商品写真ではそれまでとフィンの仕様が異なり、「ショートサイズ」となった。長さは「半インチ」で、「ロングサイズ・フィン(25.4mm)」の半分(12.7mm)である。1984年版のカタログに掲載された「スピードキング単体の商品写真」を根拠にすれば、「フィン」がこのように「ショートサイズ」に仕様変更された年は、カタログ掲載用に撮影が行われた可能性のある1983年か1984年にかけてではないかということになるのだが、事実は全く異なる。以下、スピードキングの年代によるフィンの仕様の違いについて検証を行った。

       


写真の使い回し(1971年版~1982年版)

・1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)と1982年版(Copyright 1982 Ludwig Industries, Inc.)に掲載されたスピードキング単体での商品写真は、元版が同一である。ただし、1982年版では、フロアープレート底部に装着されていた「Non-skid pad(#2476:滑り止めパッド)」が修正によりカットされている。

DRUMARCHIVE.COMというカタログサイトにはLudwigが過去に発行したカタログが掲載されているのだが(ただし、掲載されている年次は所々飛んでいる)、「スピードキング単体の商品写真」は1982年版までは「フィン」は「ロング仕様」となっており(1983年版については不明)、「ショート・フィン仕様」のスピードキングが登場するのは1984年版である。両年のカタログに掲載されたこれら「スピードキング単体の商品写真」に基づけば、「フィンの仕様変更は1983年か1984年」ということになるのだが、それではこれまで長らく一般説となってきた「ショート・フィン仕様のスピードキングは1970年代製」という一般認識が崩れ、「ショート・フィン仕様のスピードキングとは1980年代中期以降の製品を指す」となってしまい、従来の認識と大きく矛盾してしまう

「スピードキングのフィンの幅が狭くなった(フープを深く噛ませるようになった)のは1970年代中期」といった楽器店関係者の証言、また、海外でも一般に同様の認識があることから、Ludwigのカタログに掲載された「スピードキング単体の商品写真」は、その年のスピードキングの仕様を正確に反映しているわけではないという点を念頭に置く必要がある。海外のサイトでも、「Ludwigのカタログに掲載されている写真は過去の写真の使い回しが当たり前」とする認識があり、事実、上に画像を掲載したとおり、1982年版(Copyright 1982 Ludwig Industries, Inc.)に掲載された「スピードキング単体の商品写真」は、実はその11年前の1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)に発行されたカタログに掲載された「スピードキング単体の商品写真」と元版が同一のものである。 Ludwigに限らず、一般に楽器メーカーでは特にマイナーチェンジ程度の仕様変更については、わざわざその都度製品の写真を撮影し直して直ちに次版のカタログに反映させるとは限らない側面が現実としてあるからだ。

       


「フィン」の仕様変更年について
・フィンの仕様変更の理由についは諸説あるが、「’Ludwig’製バスドラムのフープが仕様変更によりその幅が広くなり、そのためキックペダルとバスドラムのヘッド面が離れすぎてしまい、操作上の不都合が生じたため」という説が一般であるようだ。そのフープ幅の仕様変更期については現在調査しているところだが、「1960年代後期ではないか」、「1970年前後ではないか」「1970年代前期ではないか」というように証言者によって認識がさまざまに異なっている。
・「Copyright 1978 by Ludwig Industries Printed in U.S.A. All rights reserved」と記載された「1980年版カタログ」の「スピードキング単体の商品写真」の中に「BASS DRUM HOOP SPACERS」という商品が記載されている。この記載によると、フープスペーサーとは「『ラディック製フープ(Ludwig hoop)』より幅の狭い『他社製フープ(Narrow hoop)』にスピードキングを装着する際にスピードキングのロッカーシャフトがバスドラムのヘッドに干渉するのを回避させ、クリアランスを確保するための補助部品」である。

・1980年版のカタログが上記記載にあるとおり「1978年」に制作されたものだとすると、遅くとも1978年にはこの純正「フープスペーサー」の販売が開始されており、ラディック製フープの幅が広く仕様変更されたのもまた、遅くとも1978年だということになる。これは同時に、「フィン」が「ロングタイプ」から「ショートタイプ」に仕様変更されたのもまた1978年以前ということになるのだが、以下、さらにこの点について検証を進めてみた。

※現在1960年代から1970年代に製造されたラディック製バスドラムを所有している方で、フープ幅について情報をお持ちの方は、是非こちらまでご連絡ください。ご協力のほどお願い申し上げます。

       


・前項で記したように、ラディックのカタログに掲載された「スピードキング単体の商品写真」は1971年版から1982年版までの足かけ12年間(ただし、Copyright 記載年を基準にすれば1970年から1982年までの足かけ13年間となる)「使い回し」されたものであるため、この写真を年代区分する際の絶対的根拠とすることはできない。そこで、カタログに掲載されている「各種ドラムセットに装着されたスピードキング」の写真を観察したところ1980年版「総合カタログ」や1975年版「ビスタライトカタログ」に「ショート・フィン仕様のスピードキング」が既に撮影に使用されていることが新たに確認できた。

1980年版のドラムセットには既に「ショート・フィン仕様」のスピードキングが撮影に使用されている

・Ludwigの1980年版カタログではドラムセットに装着された「ショート・フィン仕様」のスピードキングが撮影に使用されており、それが数枚確認できる。上の画像は「COMBO Ⅱ」というセットの写真を一部拡大したもので、フィンの形状からして「ショート・フィン仕様」であることは疑いない。
・1980年版のカタログには「Copyright 1978 by Ludwig Industries Printed in U.S.A. All rights reserved」と版権記載があり、カタログ制作年が1978年だとすると、遅くとも1978年には「ショートフィン」が存在していたことの確証となる。

画像の重ね合わせ

・当方のスピードキング(ショート・フィン仕様)をカタログ写真に写っているスピードキングとほぼ同じ角度から撮影し、二枚の画像を重ね合わせた。「ロングフィン仕様」は「ショートフィン仕様」の二倍の長さがあるため、このようにきれいにフィンの形状が重なり合うことはない。1978年にはフィンが確実に「ショート仕様」となっていた確証と見てよいだろう。

さらに! ショートフィン仕様のスピードキングは1974年には既に存在していた!


・1975年版の「総合カタログ(Copyright 1974 by Ludwig Industries)」に掲載されているドラムセットの写真を確認したところでは、撮影に使用されたのは従前の「ロング・フィン仕様」のスピードキングであるが、別版である1975年版「Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)には、やや不鮮明ながらも明らかに「ショートフィン仕様」のスピードキングであると判断可能な2枚の写真(上の画像)がドラムセットに装着された状態で掲載されている。

1975年版「Vistalite カタログ」で確認できるこの「ショートフィンのスピードキング」については、カタログ掲載用の写真が撮影されたのがカタログ発行年と同じ1975年、あるいはその前年中であると仮定しても、遅くとも1974年終盤には既に「ショート・フィン仕様」のスピードキングが存在していたと見ることができ、そうなるとフィンの仕様が変更された年代について、これまでの通説である「1970年代中期」に一致するのだ。 そして、この「ショート・フィン」の仕様は、スピードキングの生産終了を迎える2014年まで、その後およそ40年間続くことになる。

※1975年版「総合カタログ」表紙裏には「Copyright 1974 by Ludwig Industries」と版権記載され、また、1975年版「Vistalite カタログ」の巻末には「Copyright 1975 Ludwig Industries」と記載されている。
※1976年版の「総合カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」でも、掲載されているドラムセットに装着されたスピードキングの中に、「ロング・フィン仕様」であれば多少は写っているはずの「フィン」の先端部分がどれにも見られず、また、フープのエッジとスピードキングのポストとの距離からも、撮影に仕様されているスピードキングは「ショート・フィン仕様」ではないかと推察される写真が複数ある。画像が非常に不鮮明なため断定まではできず、ここに引用することができなかったのが残念だ。

1973年版「Vistalite」カタログより

※1973年版の「総合カタログ(Copyright 1972 by Ludwig Industries)」、及び1973年版「Vistalite カタログ(Copyright 1973 by Ludwig Industries)」に掲載されたドラムセット(NO.993TP)に装着されたスピードキングはいずれも「ロングフィン仕様」となっており、ドラムセットにセッティングされたスピードキングの写真の中にも「ショートフィン仕様」であろうと推定されるスピードキングの写真は一切発見できなかった。また、1974年版のカタログについては、カタログサイト('DRUMARCHIVE.COM')にカタログそのものが掲載されていないため、現在内容を確認できていない。引き続きカタログ現物の入手に努めたい。

※ラディックより「Vistaliteモデル」が初めて紹介されたのは1972年
※2017年4月28日追記:1975年版の「総合カタログ」を数種観察したところ、「CATALOG NUMBER '75」というバージョンや「CATALOG NUMBER '75-1」というバージョンがあり、また、やはり1975年版のプライスリストにも「1974年3月1日版」、「1974年7月15日版」等があることがわかった。つまり、1974年3月の時点で1975年版の総合カタログが発行されていたということは、元々1974年版の「総合カタログ」自体が存在しない可能性があるということになる。
※「DRUMARCHIVE.COM」以外に、「Vintage Drum Guide」というサイトに「Vistalite 1974年版カタログ」が掲載されている。この版のカタログには、上記検証に引用した「Vistalite 1975年版カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」に掲載されている「Big Beat Outfit」、「Pro Beat Outfit」の計二機種が、元版が同じ写真で掲載されている。ということは、フィンが「ショート仕様」へと変更された年がさらに1年遡り、1973年である可能性が浮かび上がってくるのだが、残念ながらカタログに「Copyright」記載が無く、実際に1974年版のカタログかどうかが確認できていない。

       


フィンの変更年は1974年か
バスドラムのフープ幅の変更に伴う自社製キックペダルの装着、及び操作性の不具合は当然当初より想定されていた事案だろうから、フープ幅の変更時期とフィンの規格変更とは時期的に一致していると見るのが自然だろう。あるいは、フィンの規格変更が後回しになっていたとしても、企画から製造までのプロセスにそう時間はかけていられないはずだ。

さて、「Vistalite カタログ」についてだが、版権記載の無い「1974年版(?)」と、発行年次が明記された「1973年版Copyright 1973 by Ludwig Industries」、及び「1975年版(Copyright 1975 Ludwig Industries」のわずか三種の情報のみに基づいて浮かび上がる事実、推論は以下のとおりとなる。

①ラディックの「Vistalite モデル」の発表は1972年である。(事実)
②「1973年版 Vistalite カタログ(Copyright 1973 by Ludwig Industries)」に掲載されたドラムセットに装着されたスピードキングのフィンは「ロング仕様」である。(事実と考えられる)
③「1975年版 Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」に掲載されたドラムセットに装着されたスピードキングのフィンは「ショート仕様」である。(事実と考えられる)
④この「1975年版 Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」に基づくと、「フィン」が「ロング仕様」から「ショート仕様」へと規格が変更されたのは「遅くとも1975年」であるのはほぼ確実である。
⑤「1975年版 Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」を根拠とした場合、カタログに掲載された「スピードキング(ショートフィン仕様)」が装着されたたドラムセットの写真は、発行年度である「1975年内」に撮影されたか、あるいは「早ければ1974年内」」に撮影された可能性も排除できない。
⑥「1974年版」とされる「Vistalite カタログ」が存在するが、版権記載が無く、発行年度が不明である。
⑦発行年度が確定されないこの「1974年版 Vistalite カタログ」には、「ショートフィン仕様」のスピードキングが装着されたドラムセットが掲載されているが、これは「1975年版 Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」に掲載された写真と元版が同一である。
⑧規格の変更を行う必要性が認識されてから「具体的な立案、試作、テスト、撮影、一定数の製造」等、販売までに数か月の準備期間が必要である。これは「ショート仕様のフィン」が「誕生した時期」と、その仕様を備えたスピードキングが実際に「市場にリリースされた時期」とに数ヶ月のタイムラグが生じるということだ。
⑨立案から市場へのリリースまでの準備期間を仮に3か月とし、「1975年版 Vistalite カタログ」の発行時期を仮に「1975年中期」とした場合、「遅くとも1975年前期」に「ショートフィン仕様」のスピードキングが既に誕生していた可能性が考えられる。

⑩「1974年版 Vistalite カタログ」が現実に存在するとした場合、その発行は実際に「1974年」である可能性があるが、前年の「1973年内」に発行されていた可能性も排除できない。ラディックのカタログではその年の版が実際に同年に発行されたものもあれば、前年、あるいは前年以前に発行されているケースが実際にあるからだ。ただ、「1973年版 Vistalite カタログ(Copyright 1973 by Ludwig Industries)」が現実に存在することを踏まえると、「1974年版」の発行が「1973年前期」である可能性は低い
⑪⑩から、「1974年版」が現実に存在するとすれば、その発行は「早ければ1973年中期」、そして、1974年も終盤になってから「1974年版」のカタログが発行されるのは不自然であるため、「遅くとも1974年中期」であろうと考えられる。
⑫⑪から、「1974年版 Vistalite カタログ」が現実に存在し、その発行が「1973年後半から1974年前期」であると仮定した場合、「フィン」が「ロング仕様」から「ショート仕様」へと規格変更された時期は、広くとって「早ければ1973年前期」、「遅くとも1974年中期」と考えられる。

以上から、スピードキングのフィンが「ロング仕様」から「ショート仕様」へと変更された年代がこれまでの通説に一致し、「1970年代中期であったと考えられるが、「1974年版 Vistalite カタログ」が現実に存在するかしないかで1年程度の違いが生じるため、その範囲も広がって「早ければ1973年前期」、「遅くとも1975年前期」ではないかと推測される。

ただ、に「『ロングフィン仕様』のスピードキングの生産は少なくとも1973年内のある時期までは続いた」と考えられること、また、「誕生」と「リリース」との期間にあるタイムラグを加味すると、「ショートフィンの登場」を便宜的には「1974年頃」としてよいのではないかと個人的には考えている。

※以上の年代検証は極めて限定的、一方面的な分析によるものであり、当方の錯誤、誤認も十分に有り得るため、あくまで「仮確定」とし、新たな情報が得られ次第、当サイトの記事に反映します。

       


フィンの違いによる年代区分について
ところで、 「Ludwig スピードキング」のビンテージ品については、「ロング・フィン」仕様を「60年代製」、「ショート・フィン」仕様を「70年代製」と、便宜的に「大まかな」区分がなされるのが内外を問わず一般である。しかし、上述したとおり、「フィンの変更年」は1970年代中期(1974年頃)であると見られ、しかも、次項以降で検証するとおり、同じ「ロング・フィン」のスピードキングであっても細部仕様の違いから以下のように分類される。

①『
1968年型』:『Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期モデル
・フットボード裏面のリブが2本・ロッカーシャフトのヘッド形状は「ほぼ直角」にくびれている。フープを載せるプラットフォーム裏面にはまだリブが設けられていない。コネクティングリンクは「薄く・長いタイプ」。ロングフィン。ノンスキッドパッド装着。
②『
1969年型』:『Ludwig CHICAGO ロゴ・4本リブ最初期型
・1971年版以降、1982年版までカタログに掲載されていたスピードキングの商品写真に使用されている個体と同一モデル。フットボード裏面のリブが「4本」に変更される。ロッカーシャフトのヘッド形状は「WFLモデル」と同様の形状で、「ほぼ直角」にくびれている。ヒール部ヒンジに挿通されたロッド末端が「平べったタイプ」で、しかも「Cリング=C型ワッシャー」を噛ませてある。フープを載せるプラットフォーム裏面にはまだリブが設けられていない。コネクティングリンクは「薄く・長いタイプ」。ロングフィン。ノンスキッドパッド装着。
③『
1970年代初期型
・1970~74年頃までのモデル。フットボード裏面のリブは4本。ロッカーシャフトのヘッド形状が後の標準形状と同一で「滑らか」。フープを載せるプラットフォーム裏面にはまだリブが設けられていものがほとんどだが、後に設けられるようになる。ヒール部ヒンジに挿通されたロッド末端の形状は80~90年代のものと同様に丸みを帯びた「ナベ型」で、「Cリング=C型ワッシャー」は装着されない。コネクティングリンクは「薄く・長いタイプ」。ロングフィン。ノンスキッドパッド装着。
④『
1970年代 中・後期型
・1974年頃にフィンは「ショートタイプ」へと変更された。フットボード裏面のリブは「4本」。フープを載せるプラットフォーム裏面にリブが設けられた。また、ある時期から本体フレーム底面に『中空孔』が新たに設けられた。コネクティングリンクは1970年代終盤まで続く「薄く・長いタイプ」。ロングフィン。ノンスキッドパッド装着。

以上のように
「フィンの長さ」だけを基準に「60年代製」と「70年代製」とに区分するのは正確な判断とは言えないことがわかる。

DRUMARCHIVE.COM様に画像の掲載許可をお願いしました。(2015年10月5日)
※追記・訂正:随時
※記:2015年10月

       


■おまけ

・ラディックの1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)頃以降、1982年版(Copyright 1982, Ludwig Industries)頃までのカタログに掲載されているスピードキング単体の商品写真は元版が同一のものであるが、印刷状態によるためか、特に1980年版ではコネクティングリンク下端とトウクランプとを「糸」か「テグス」で結んであるのがはっきりと見える。これは恐らく、カタログ写真撮影時にスピードキングの姿容を整えるべくビーターのアングルを調整するための措置だったと思われる。実際にはスピードキングのビーターはニュートラルポジションではこの写真のように高く立ち上がることはなく、もっと深めに奏者側に傾いている。ビーターが手前に倒れかかっているより立ち上がった写真のほうがペダルの動的な印象が強まり、姿容も美しく見せる効果があるのだろう。



ノンスキッドパッド



’Non-skid pad’ ~ 「滑り止めパッド」の装着は1979年頃までか
・別項にも示したとおり、ラディックのカタログでは1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)から1982年版(Copyright 1982, Ludwig Industries, Inc.)にかけて、「スピードキング単体の商品写真」には元版が同一の写真が使用されているが、1981年版(1981 Ludwig Industries)では新たに撮影されたと見られるスピードキングの写真(上の画像)が使用されている(なぜか翌年再び古い写真に戻る)。この1981年版に掲載された写真で確認できるとおり、スピードキングにはこの時点で既に「Non-skid pad(滑り止めパッド)」は装着されていない。

流れとして見ると、1980年版(Copyright 1978 by Ludwig Industries)に掲載されている「ドラムセット」には「Non-skid pad」が装着されたスピードキングが撮影に使用され、1981年版では各ドラムセットが正面から撮影されているためにスピードキングがほとんど写っていないため確認できず、1982年版では「Quadra-Plus」というドラムセットに「Non-skid pad」が装着されたスピードキングが撮影に使用されているが、これは1980年版に掲載された同モデルの写真と同版である。

つまり、カタログ発行年の前年を撮影年と仮定して整理すると、
①1980年版に掲載されたドラムセットの写真によれば、「前年である1979年内にはスピードキングに『Non-skid pad』が標準装備されていた」可能性が高い。
②1981年版に掲載されたスピードキング単体の商品写真によれば、「前年である1980年内に『Non-skid pad』が標準装備されなくなった」可能性がある。
③1982年版に掲載された「Quadra-Plus」というセットに装着されたスピードキングには「Non-skid pad」が装着されているが、この写真は1980年版に掲載された写真と同版であるため、「1981年の時点で『Non-skid pad』は標準装備されていない」と考えられる。

以上から、1981年版に掲載された「Non-skid pad」が外されたスピードキングの写真を「ラディック側が仕様変更の方針を明確に反映したもの」と見ることができ、「遅くとも1980年のある時期から『Non-skid pad』が標準装備されなくなった」、あるいは「少なくとも1979年までは『Non-skid pad』がほぼ確実に標準装備されていた可能性がある」という捉え方をしておく。


・左の個体は1968年頃に製造されたと推定される「最初期型 Ludwig スピードキング(2本リブ仕様・ロングフィン仕様・K.D.C.ロゴ)」のフットボード、右の個体は1969年頃から1974年頃までの間に製造されたと推定される「イレギュラーな文字タイプの Ludwig スピードキング(4本リブ仕様・ロングフィン・W.M.C.ロゴ)」のフットボード。右の個体の『Non-skid pad』は後部が千切れてしまったのか、残存していない。



コネクティングリンク


・コネクティングリンクについては、その先端が「直線形状」のものと「半円形状」のものと二種ある。「半円形状」のものは全長が約75mm、厚みは1.6mm(実測)で、手でも簡単に曲げることができるが、「直線形状」のものは全長が約70mm、厚みは3.2mm(実測)で、ペンチを使用しても曲げることが困難なほど堅牢である。



・左は「薄く、長め」のタイプで、1979年頃までの仕様、右は「厚く、短め」のタイプで、1980年頃以降の仕様



Connecting link ~ コネクティング・リンクの仕様変更は1980年頃か
・コネクティング・リンクはその下端が「半円形状」の場合は上端も「半円形状」であり、「直線形状」の場合も同様に上端も「直線形状」である。1980年版(Copyright 1978 by Ludwig Industries)のカタログに掲載されたスピードキングの場合、コネクティングリンクの先端は「半円形」であり、サイズは「薄く・長い」旧仕様であるのに対し、1981年版(1981 Ludwig Industries)のカタログに掲載されたスピードキングは先端が「直線形」であり、サイズは「厚く・短い」新仕様のものとなっている。

商品の撮影が行われたのがカタログ発行年の前年とすると、コネクティングリンクが「ロングタイプ」から「ショートタイプ」に仕様変更されたのは「早ければ1977年」、「遅くとも1981年」までであったということになる。現段階ではいずれの年であるかまでは絞り込めておらず、暫定的にではあるが、当サイトではこれを当面「1980年頃」としておく。



イレギュラーな文字タイプ

・1981年版(Copyright 1981 by Ludwig Industries)のカタログにはフットボード上の’SPEED KING’の文字の、特に「’S’と’G’の形状がイレギュラーなタイプ」の個体が掲載されている。’S’の文字は通常より縦長で、「ニョロッとしたヘビのような印象」を与え、’G’の文字もまた通常より縦長で、トウモロコシのような「頭がとがり気味」の形状をしており、いずれもWFL時代のロゴ文字に近似したデザインである。また、文字それぞれの間隔が通常より若干空き気味であるため、’D’と’K’の間隔がかなり狭くなっている。さらに、文字パターンだけでなく、各所で細部がレギュラータイプとわずかに異なっている。

イレギュラーなタイプは1970年頃以降、補充的に製造されたか
・別項にも記載したが、「Non-skid pad(滑り止めパッド)」がフロアープレート底面に標準仕様として装着されていたのは1960年頃から1980年頃までの約20年間であったようで、また、コネクティングリンクが「薄く・長いタイプ」から「厚く・短いタイプ」に仕様変更されたのも1980年頃であるようだ。1981年版のカタログに掲載されたこの「イレギュラーな文字タイプ」のスピードキングを観察すると、フロアープレート底面に「Non-skid pad」が装着されておらず、コネクティングリンクは新仕様の「厚く・短いタイプ」となっており、つまり「80~90年代仕様」と同一である。

現在、中古市場に流通しているイレギュラータイプのスピードキングのサンプル画像を収集中であるが(2017年11月19日現在、83台分)、これを観察した限りでは、この「イレギュラーな文字タイプ」のスピードキングには、フロアープレート底面に「Non-skid pad」が貼られ、コネクティングリンクが「薄く・長いタイプ」のもの、つまり「70年代型」のものと、「Non-skid pad」が貼られず、コネクティングリンクが「厚く・短いタイプ」、つまり「80~90年代型」の二種を確認できる。

1968年頃の製造と推定される「Ludwig ロゴの最初期型スピードキング」にはこのイレギュラーな文字パターンは1台も発見できていないことから、恐らくこのタイプのスピードキングは1970年頃から生産調整か何かの理由により長約10数年にわたって補充的にに生産されていたということになるのだろう。

■イレギュラータイプのスピードキング

・上の画像で左側の個体は2017年5月に入手した「イレギュラー」な仕様のスピードキング。「フットボードに刻印された「SPEED KING」の文字デザインが「レギュラータイプ」のスピードキングのそれと異なっている。
・「イレギュラータイプ」と「レギュラータイプ」の現物双方をよく比較してみると、「SPEED KING」の文字パターン以外にも各所に異なった点が多々あることがわかった。

フットボード裏面

・フットボード裏面については、リブや外枠の厚みが「レギュラータイプ」に比べて「薄い」という点が挙げられる。ただ、フロアープレートを含めてのフットボード全体の総重量はほとんど同じであり、個体差の域を出ない。

刻印の違い

・「イレギュラータイプ」には「C」の中に「W」と「M」をあしらったロゴが刻印され、「レギュラータイプ」には「矢印」の中に「K」「D」「C」をあしらったロゴが刻印されている。

※2019年10月22日(火)追記
・「K.D.C.」ロゴと「C.W.M.」ロゴについて
・WFL時代から2000年代まで長らくスピードキングの本体フレーム、フットボード、ロッカー等のアルミ製パーツに刻印されてきた「K.D.C.」のロゴマークについて、新たに判明した情報として、これはかつてイリノイ州シカゴにあった「Krone Die Casting(クロゥン・ダイ・キャスティング)」社のものであるようだ。また、1970年頃より十数年間、補充的に製造されていたスピードキングの同アルミパーツに見られる「C.W.M.」のロゴマークについては、1937年に創業後、現在もシカゴ近郊で操業を続けている「Chicago White Metal Casting」(シカゴ・ホワイト・メタル・キャスティング)」社のものであるようだ。現在の企業ロゴを見てわかるとおり、かつての刻印とアルファベットの構成デザインが完全に一致している。いずれの社もラディックの下請け企業として、ドラムのラグ等の各種アルミパーツ、また、各種楽器に使用されるアルミパーツ類の鋳造を請け負っていたと考えられる。しかしながら、「K.D.C.」社は2000年代についに廃業したようで、「C.W.M.」社についても、1984年にノースカロライナ州モンローに拠点を移したラディックとの現在の契約状況は不明である。


ヒールクランプの刻印

・ヒールクランプにもそれぞれ二種の異なったロゴが刻印されている。

本体フレーム底面の刻印

・本体フレーム底面に刻印されたロゴもまたそれぞれ二種で異なっている。
・リブの厚みは「レギュラータイプ」より「イレギュラータイプ」のほうが若干薄くなっている。
・本体フレームポストに格納されている「コンプレッション・スプリング(押しバネ)」の強さを調整するための「止めネジ」をねじ込む周囲の幅が、「イレギュラータイプ」のほうが若干大きめとなっている。
・「中空孔」については少なくとも1970年代の中期以降の製品には必ず設けられているようなので、1970年代初期のいずれかの時期に設けられるようになった可能性がある。この点については現在調査中。
※2018年2月10日(日)追記:「中空孔」は1973年頃の個体から見られるようで、さらに調査を継続します。

ロッカーシャフトの裏側

・「イレギュラータイプ」のロッカーシャフトの裏側のロゴもまた「W.M.C」となっている。

全体写真

・当方で所有するイレギュラータイプの特徴:
①コネクティング・リンクが薄く長い(1970年代末までの仕様
②ロングフィン仕様(1973年頃までの仕様
③本体フレーム底面に「中空孔」が無い(1970年代初期? までの仕様
④フットボード裏面のリブが4本(1969年頃以降の仕様
⑤プラットフォーム(フープ台)裏面にリブが有る(1970年代初期? 以降の仕様
⑥「Non-skid pad」を装着(1960年頃~1970年代末までの仕様
⑦コンプレッション・スプリングの巻き数が27(1990年代以前の仕様
⑧ベアリングがハーフオープンタイプ(1980年代中期? 以前の仕様
⑨フットボードのヒール部のロッド末端がナベ型に処理(1970年代初期? 以降の仕様
⑩本体フレームポスト内、及びカム格納部に「肌色をしたコンパウンド状の潤滑剤」が固形化していた。これは「W.F.L スピードキング」、および「推定1968年製・最初期型スピードキング」に注入されていた潤滑剤と同種のもの。「70年代中・後期型」のスピードキングについては未入手のため、確認ができていない。
⑪「フットボード裏面」、「ヒールクランプ裏面」、「ロッカーシャフト裏面」、「本体フレーム底面」のいずれの箇所にも共通して「W.M.C」のロゴが刻印されているため、本体フレームとフットボードが年代の違うもの同士で「組み違い」が起きている可能性は低い。

・以上から、当機は「1970年代初期(1970~1972年頃)」に製造された個体である可能性がある。今後、「レギュラータイプ」の「1970年代初期型」、「1970年代中・後期型」スピードキングを入手後に改めて比較、分析を行う予定。

「イレギュラータイプ」の出現率
・特にアメリカの中古市場に出品されるスピードキングの中で「イレギュラータイプ」が出現する率については、現在までの観察では感覚的には20台程度に1台、5%程度の出現率だろうか。
・さらに、「イレギュラータイプ」には「ショートフィン仕様」と「ロングフィン仕様」の二種があるようで、主に生産国アメリカでの中古市場に出品される個体の画像収集を行っているが、2017年5月12日現在、サンプル画像58台分中15台が「ロングフィン仕様」で、この割合は25%強、残りは「ショートフィン仕様」で、こちらの割合は74%である。故障等により年代の違うフレームとの組み違いが起きているケースも考えられるが、その点は考慮せずに単純にサンプル画像のみを資料としたため、あくまで参考値としていただきたい。画像サンプルが200台分に達したら改めてこの項にて報告を行います(2019年10月1日現在、143台分)。

・本項で紹介した「イレギュラータイプ」の個体には、「フットボード」、「ロッカー」、「フレーム本体」、「ヒールクランプ」のいずれにも「W.M.C.」のロゴが刻印されているが、中古市場に出品されている個体の画像を観察する限りでは、フットボードが「レギュラータイプ」であっても他の三つのパーツのうちいずれかに「W.M.C.」の刻印があったり、また、フットボードが「イレギュラータイプ」であっても、他の三つのパーツのうちいずれかに「K.D.C.」のロゴが刻印されている個体があったりするようだ。既にスピードキングを所有している方は四箇所の刻印を一度確かめてみてはいかがだろう

「W.M.C ロゴ」と「K.D.C ロゴ」
・「W.M.C」の刻印と「K.D.C」の刻印が、ラディックからパーツ等の製造を委託されていた下請けの企業のロゴを表している可能性があり、いずれこの点についても調査をしたい。

・「イレギュラータイプ」と「レギュラータイプ」の違いは鋳造時に使用される型枠の違いから来ているが、「どういった経緯でその二種の型枠が作られるようになったのか」、また、「なぜイレギュラーなタイプは個体数が多くないのか」といった問題については追跡調査ができず、確証を得るのは非常に困難であろう。ただ、一般論として、下請け企業ではラディックのフットペダルだけでなく各社から受注した様々なパーツを製造しているであろうから、ラディック側ではその時その時で生産量のバランスをとる必要から、メインの企業である「K.D.C」による生産量を「W.M.C.」に補完させる形をとっていたのかもしれない。

主要パーツの四種(フレーム本体、ロッカー、フットボード、ヒールクランプ)いずれもが「K.D.C.製」である場合は「(主要パーツ四種が)K.D.C.製のスピードキング」、主要パーツの四種いずれもが「W.M.C.製」である場合は「(主要パーツ四種が)W.M.C.製のスピードキング」、あるいは主要パーツ四種が「K.D.C.製」と「W.M.C.製」で混成による場合は「(主要パーツ四種が)混成タイプのスピードキング」として分類してもよいだろう。

※2016年、「Supraphonic LMシリーズ」のシェルについて野中貿易の打楽器担当の方に電話でお話を伺ったところ、シェルや部品の細部は下請け企業によって若干異なる場合があるとのことだった。

操作感
・フットボードのリブが2本仕様である「W.F.L. スピードキング」や、同じく2本リブ仕様である1968年頃に登場したと推定される「最初期型 Ludwig スピードキング」は4本リブ仕様のものよりアクションが一段軽く感じられるが、この「イレギュラータイプ(4本リブ仕様)」については他の4本リブ仕様の「レギュラータイプ スピードキング」と操作感は特段変わらない。

※記:2017年5月



ブラックシカゴ



Black Chicago
・シルバーに塗装された「シカゴ仕様のスピードキング」は少なくとも1990年代中期まで製造され、その後ブラックに塗装された「最終型スピードキング」に仕様変更される。「最終型」ではフットボード表面の刻印も「CHICAGO」から「MADE IN U.S.A.」に変更されたが、この移行段階における最初期に「ブラック塗装でありながらフットボード表面に『Ludwig CHICAGO』が刻印」されたスピードキングがごく少数製造された。

フットボード表面のヘアライン処理はのちの模様(横筋や斜め横筋)とは異なり、全面「縦スジ」となっており、コネクティングリンクを装着するフットボード先端には「フラットスプリング(平バネ)」が付き、プラスチック製のブッシュがまだ装着されておらず、フロアープレートの厚みも「1.8mm」の薄いタイプで、全てシカゴ仕様のままである。また、内部ベアリングが「オープンタイプ」で、コンプレッション・スプリングの巻き数が「27」、ビーター固定用の「蝶ネジのつまみが大きめ」となっている等についても同様であるが、全体的にリニュアルに向けたプロトタイプのような趣である。

他に特徴としては、本体フレームの黒塗装はのちのモデルと同様の「ややざらついた感触の黒塗装」であるが、フロアープレートの塗装はそれと異なった「薄くマットな黒塗装」となっている。 本体のシーリングキャップの刻印はこの時期の他のモデルと同様、「MONROE. NC U.S.A.」である。






※記:2017年10月



年代別 仕様比較

スピードキングの年代別区分
・スピードキングの年代区分は概ね以下のようになる。
※1949年頃以前の『旧型スピードキング』については本サイトでの考証から除外している。

『新型 W.F.L.モデル』(1950年頃~1967年頃)
リンゴ・スターが使用したことで知られるモデル。ロングフィンフットボード裏面にリブが2本、フレーム本体底面に「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ無し、1960年頃よりフロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径が約5.3mmと小さい。

『1968年型=Ludwig CHICAGO ロゴ・最初期型=2本リブ』(1968年頃)
ロングフィンフットボード裏面にリブが2本、フレーム本体底面に「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面のリブ無し、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「ほぼ直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径が約5.5mmで小さめ。

※以上の2種は「フットボード裏面のリブが2本」で、かつ「ロングフィン」を仕様的特徴とする。

『1969年型=4本リブ最初期型』(1969年頃)
ラディックのカタログで、1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)から82年版(Copyright 1982 Ludwig Industries, Inc.)にかけて掲載され続けたスピードキングの商品写真に使用されているモデルロングフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」無し、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面のリブ無し、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「ほぼ直角」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は6.2mm、その形状は「ナベ型」ではなく「フラット」で、「Cリング(C型ワッシャー)」を噛ませてある

『1970年型」(1970年頃)
・ロングフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」は無い。プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブは無い。フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」な形状に変更、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は6.2mm。その形状は「ナベ型」ではなく「フラット」で、「Cリング(C型ワッシャー)」を噛ませてある

⑤『70年代初期型』(1971年頃~1974年頃)
・ロングフィン
フットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」は無いものがほとんど。プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブの無い個体がほとんどか。フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mm。その形状は80~90年代製と同様の「丸みを帯びたナベ型」ロッド末端の「Cリング(C型ワッシャー)」は無くなる

※以上の3種は「フットボード裏面のリブが4本」で、かつ「ロングフィン」を仕様的特徴とする。
※「70年代初期型」は現物を未入手のため、主に画像情報に基づく。入手後に情報を反映します。

『70年代中・後期製』(1974年頃~1979年頃)
・ショートフィン
フットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面に「中空孔」が設けられたものがほとんど、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」装着、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「薄く長い」タイプで先端は「半円形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mmか。その形状は80~90年代製と同様の『丸みを帯びたナベ形』

※さらに年代により細部に仕様の違いがありうる。
※以上の6種は「コネクティングリンク」が「薄く・長い」仕様を特徴とし、以下の2種は「コネクティングリンク」が「厚く・短い」仕様を特徴とする。
※「70年代中・後期型」は現物を未入手のため、主に画像情報に基づく。入手後に情報を反映します。

『80~90年代型』(1980年頃?~1990年代終盤?)
ショートフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」有り、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」無し、ロッカーヘッドの「くびれ」が「滑らか」、コネクティング・リンクは「厚く短い」タイプで、先端は「直線形」、ヒールのヒンジ部に挿通されたロッド末端の直径は約8mmか。その形状は「丸みを帯びたナベ型」

※さらに年代により細部にも仕様の違い有り。
※以上の7種は本体が「シルバー」に塗装されている点で共通している。

『最終型』(90年代終盤?~2014年)
本体の塗装がこれまでのシルバーからブラックに変更され、「最終型」の仕様となるショートフィンフットボード裏面にリブが4本、フレーム本体底面の「中空孔」有り、プラットフォーム(フープ受けの台座)裏面にリブ有り、フロアープレート裏面に「ノンスキッドパッド」無し、ロッカーシャフト全体のシェイプが特に後期は「かなり滑らか」、コネクティング・リンクは「厚く短い」タイプで、先端は「直線形」、ロッドエンドの直径が約5.9mm(形状が整っている)
※さらに年代により細部に仕様の違いがある。例えば、当方の所有する「最終型」の一台には「ロッカーカム」に「フランジ」が付いていない。

※スピードキングの本体がブラックに塗装された「Ludwig スピードキング・最終型」が販売されはじめた年が特定できる資料、情報をお持ちの方は是非こちらまでご連絡ください。また、名機「スピードキング」に関する情報を後の世代にまで永く伝えていくため、スピードキングに関する情報をお持ちの方は是非ご連絡くださいませ。

(記:2016年2月9日)

       

Footboard ~ フットボード

・フットボード裏面のリブが4本タイプと2本タイプとでは2本タイプのほうがアクションが軽く、ヒールクランプをリバース(リリース)するとフットボードの自重が軽くなる分アクションがわずかに軽くなり、操作感も変わる

Fin ~ フィンの形状


       


グレーにペイントされたトウクランプ

・ラディックの1994年版カタログ(1994 The Selmer Company, Inc)に掲載されたスピードキングの写真では、トウクランプがグレーに塗装されているのが確認できる。カタログ情報が不足しているためこの仕様が継続していた期間は不明だが、オークション等の中古市場でこのタイプのトウクランプを装着したスピードキングはごくまれに見かける程度なので、個体数はさほど多くはないのだろう。カタログ掲載用に写真が撮影されたと考えられる1994年頃のごく一時期にのみ製造された仕様なのだろう。


Rocket shaft ~ ロッカーシャフト

・ロッカーシャフトの形状の違いは上図のとおりである。70年代初期、及び中・後期の製造と確実に推定される個体を所有していないため、入手後に仕様比較を行う予定。(2016年2月12日現在)

ロッカーシャフト先端の形状変更


Frame base ~ 本体底面のリブ

Ribs and Floor plate ~ フットボードのリブとフロアープレート

・フットボード裏面のリブが4本タイプと2本タイプとでは2本タイプのほうがアクションが軽く、ヒールクランプをリバース(リリース)するとフットボードの自重が軽くなる分アクションがわずかに軽くなり、操作感も変わる

■Diameter of Rod end ~ ロッド末端の径


       


真正60年代ビンテージ・Ludwig スピードキング
・繰り返しになるが、1960年代後期の一定期間にもし「Ludwig ロゴ」がまだ存在しなかったと仮定すると、一点大きな問題が生じる。それは、内外を問わずこれまで長く一般に通用してきた、Ludwig CHICAGO ロゴで、かつロングフィン仕様の「60年代製ビンテージ・スピードキング」なるものが、不可解なことに実は60年代には存在しなかった」という非常な矛盾を生じてしまうことだ。先述したとおり、1967年から1969年までのいずれかの年(当サイトでは1968年頃と推定した)に「WFL ロゴ」から「Ludwig ロゴ」に仕様変更され、それが一定期間製造されていたと考えるのが自然であり、事実、遅くとも1968年頃に製造されたと推定される「Ludwig ロゴ」のスピードキング(2本リブ仕様・当方で所有する個体)が存在することで明らかなように、最大でも約3年間の短い期間ではあるが、この時期に製造された「Ludwig CHICAGO ロゴ(ロングフィン仕様)」のスピードキングは確かに存在する。別言すると、「真正60年代製スピードキング(Ludwig CHICAGO ロゴでロングフィン仕様)」というものは製造期間が最大でも3年程度しかなく、そのタマ数が極めて限られているということにもなるわけだ。

また、「ショートフィン仕様」への変更が行われたと推定される1974年より以前、つまり1970年代初期に製造されたスピードキングであっても、「ロングフィン」であるという点のみにおいては60年代終盤製と仕様が共通しているため、一般にはこの「70年代初期(1970~1973年頃)製スピードキング」と「60年代終盤(1967~1969年頃)製スピードキング」とを区別せず、いずれも「60年代製スピードキング」として同一に扱われている。しかし、正確には両者はそもそも製造された年代が異なるのだから、本来は同一視するのは適当ではない。

大まかな区分
厳密な区分とは言い切れないが、「Ludwig CHICAGO ロゴ」で、かつ「フットボード裏面のリブが2本、フィンがロング仕様
」である場合は「1960年代終盤(1968年頃と推定される)に製造された真正ラディック・スピードキング」であり、「フットボード裏面のリブが4本で、フィンがロング仕様」の場合は「早ければ1969年内に製造が開始され、また、遅くとも1973年頃まで製造されていた『70年代初期仕様』のラディック・スピードキング」であるということになる。

真正70年代ビンテージ・スピードキング
前項(真正60年代ビンテージ・スピードキング)で説明した内容を踏まえると、「Ludwig ロゴの70年代製スピードキング」なるものは、実は大きく分けると「1970年代初期仕様、つまり1969~1973年頃に製造された『ロングフィン』仕様のスピードキング」と、「1970年代の中・後期仕様、つまり1974年頃~1979年に製造された『ショートフィン』仕様のスピードキング」との二種があるということになる。

そしてこの二者のいずれもが「真正70年代ビンテージ・スピードキング」であると言えるわけだが、もし「真正70年代製スピードキング」に固執するならば、別項でも説明したとおり、一見したところでは仕様的にほとんど区別ができない「1980~1990年代に製造されたスピードキング」が存在するということは踏まえておく必要がある。

『ロングフィン』は60年代製スピードキング」、「『ショートフィン』は70年代製スピードキング」といった不正確な区分がこれまで長らく一般であったこと、そして、「80年代製や90年代製のスピードキング」の存在が念頭に置かれてこなかったことから、海外のオークションサイト等では「80年代製や90年代製のシルバー塗装されたスピードキング」が「70年代製ビンテージ・スピードキング」、あるいは「(70年代製を前提とした)ビンテージ・スピードキング」として取引されているケースが少なくないという現実がある。製造国であることを差し引いても、「70年代製ビンテージ・スピードキング」としての出品が、特にアメリカでそのタマ数が異常に多い理由もうなづけるわけである。

真正の70年代ビンテージ・スピードキング」を識別するには、フロアープレートの裏面に「Non-skid pad(#2476:滑り止めパッド)」が装着されているかどうかが一つの基準になるだろう。WFL、およびラディックのカタログによれば、1957年版ではスピードキングにこの「Non-skid pad」がまだ装着されておらず、翌1958年から1959年にかけては不明であるが、1960年版では「Non-skid pad」が商品説明欄に追記されており、その後1981年頃までこの仕様が継続していたようだ(※1981年版カタログでは、「スピードキング単体」の商品写真からは『Non-skid pad』が消えたが、1982年版のドラムセットに装着されたスピードキングにはまだ『Non-skid pad』が装着されたまま掲載されている。撮影自体は1981年と思われる)。

ただ、「Non-skid pad」は消耗品であり、剥がし取ることもまた決して困難なことではなく、60年頃から81年頃にかけて「Non-skid pad」が標準仕様として常に確実に装着されていたかどうかの確証も得られていない。また、80年代のいずれかの時期までこのパッドを補充パーツとして単体で入手できた時期もあった可能性が高く、さらに、一部イレギュラーな仕様の個体が存在したり、中古商品によっては各部が部品交換されていたりする場合もあるため、「Non-skid pad」の有無のみが年代特定のための絶対的基準となり得るわけではない

「Non-skid pad(滑り止めパッド)が装着されていること(後付けされたり剥がされたりした個体も有り得る)」以外には、コネクティング・リンクの厚さが「1.6mm」で、その全長が「75mm前後」の「薄い・ロングタイプ」であること、その「先端がアーチ形状」であることフットボードの「リブが4本」であることが「真正70年代製スピードキング」を判断する基準の一つとなろう。




仕様年表・各部名称 ~Chronological table of Speed King Pedal

仕様年表
・年表は「2017年5月2日現在」のものです。中古市場に出品されている個体の仕様を観察し、逐次年表を修正しています。
・中古品の中にはフレーム本体とフットボードとが年代の異なるもの同士「組み替え」られていたり、あるいは「組み違い」が起きていたりする場合があり、明らかにそのように判断できるものは参考から除外している。
・コネクティング・リンクやロッカーシャフト等において「部品交換」が行われたと推測される個体も参考から除外している。
・’drummechanix’等のカスタムショップにより改造されたと思われる個体についても参考から除外している。
・ラディック社の発行したカタログ、当方の所有する実機(10台/内、2台は譲渡)、中古市場に出品されている個体の画像等をもとに、当方の個人的な推測を交えて年表を作成しているため、事実と必ずしも一致しない場合があります。その点、予めご了承ください。

情報提供のお願い
・Ludwigの名機、「Speed King Pedal」に関する情報が大変不足しています。「1968年に『CHICAGO ロゴ』のスピードキングを新品で購入した、または販売していた」「1973年に『ショート・フィン仕様』のスピードキングを新品で購入した、または販売していた」「1997年に『黒く塗装されたスピードキング』を新品で購入した、または販売していた」「Ludwig 1970年代のステンレススティール製バスドラムのフープ幅」「Ludwig 1970年代前半のビスタライトのフープ幅」「1990年代の雑誌に掲載された楽器店による『最終型スピードキング』の広告写真」「『スピードキングがリニューアル!』等の文言のある雑誌広告」等の情報の他にも、スピードキングの仕様や年代特定に関する情報をお持ちの方はこちらまでご連絡ください。ご協力のほど宜しくお願いいたします。

Finish(塗装)
ラディックの1994年版カタログには、「シルバー塗装」された「シカゴ仕様」のスピードキングが堂々と掲載されている。その年にもし最新仕様である「ブラック」の最終型スピードキングが販売される予定であったとしたら、購入者はカタログで見た商品とは全く異なる意想外な仕様の現物を予告無く購入させられることになり、それは一部信用問題にも関わろうから、1994年時点ではスピードキングは確実に「シルバー」だったのではないかと推定し、年表にはその販売年である1994年を「仮の基準年」として記入した。また、1989年発行の音楽雑誌(冒頭のジョン・ボーナムの記事が掲載された雑誌)に掲載された都内有名楽器店の広告にも「シカゴ仕様(シルバー塗装)」のスピードキングが商品として掲載されており、この点から少なくとも1980年代にはまだブラックに塗装された最終型スピードキングは生産されていないのは確実だ。以上から「最終型スピードキング(ブラック塗装)」が実際に生産開始されたのは1990年代後半以降であろうが、情報不足のためその点が確認できていないことにより、年表には2000年を仮の基準年として記入した。(1990年代から2000年前後の期間の仕様については現在調査中で、カタログ等の資料入手に努めている)

Logo type
WFL ロゴ」が刻印されたスピードキングの商品単体のイラストが1951年版(Copyright 1950, WFL Drum Co.)から1967年版(Copyright 1966 by Ludwig Drum Co.)まで継続してカタログに掲載されている。また、1967年版のカタログに掲載されたドラムセットに装着されたスピードキングもまた「WFL ロゴ」となっていることが確認でき、さらに、1967年には当然1967年版の商品案内どおり「WFL ロゴ」のまま販売されたはずであると仮定し、「WFL ロゴ」が存在していた仮の基準年を1967年とした。また、「Ludwig CHICAGO ロゴ・4本リブ仕様」がカタログに初めて登場するのは1971年版(Copyright 1970 by Ludwig Industries)で(1968~1970年版は不明)、カタログ掲載の前年を撮影年、あるいは製造年と考えると、Ludwig CHICAGO ロゴ」の開始は遅くとも1970年と考えられる(Copyright 記載にも「1970」とある)。さらに、当方が2016年2月に入手した「Ludwig CHICAGO ロゴ」のスピードキングは「フットボード裏面のリブが2本仕様」であり、別項にて説明したとおり、中古市場に出現する個体数から、「Ludwig CHICAGO ロゴ」が遅くとも1969年には存在していた」可能性が高く、しかも、長らく通用している「60年代製Ludwigスピードキング(CHICAGO ロゴ、ロングフィン仕様)」がもし60年代後半の一定期間に存在しなかった場合にはこの通説に矛盾が生じるうえに、その期間がわずか1年程度であった場合にもまた「60年代製スピードキング」という通説を担保するうえでは不自然な個体数となってしまうため、この点からも「Ludwig CHICAGO ロゴの開始は遅くとも1969年」だったのではないかと推測され、これにより1969年を仮の基準とした

続いて、1994年版のカタログではスピードキングの塗装がまだシルバーの「シカゴ仕様」のまま掲載され、「Finish(塗装)」の項で仮定したとおり、カタログ発行年である販売年を製造年とも見なし、「CHICAGO ロゴ」の継続は少なくととも1994年までとし、その1994年を仮の基準とした。本体が黒く塗装されるとともに機構的な変更が加えられ、「MADE IN USA ロゴ」が刻印される「最終型スピードキング」の製造開始は遅くとも2000年であろうと「仮定」し、「シーリング・キャップ」や「フロアープレートの全長」等の仕様変更年と同様、2000年を仮の基準とした。1990年代後半の仕様については現在、調査中。

Fin type… 1973年版「総合カタログ(Copyright 1972 by Ludwig Industries)」、1973年版「Vistalite カタログ(Copyright 1973 by Ludwig Industries)」双方に掲載されているドラムセットに装着されたスピードキングは「ロングフィン仕様」であることから、その前年である1972年を撮影年、製造年と考え、「ロング・フィン仕様」は少なくとも1972年まで製造が継続していたと見なし、これを仮の基準年とした。また、1975年版(Copyright 1974 by Ludwig Industries)の「総合カタログ」では、スピードキング単体の商品写真も、また、ドラムに装着されたスピードキングの写真もともに「ロング・フィン仕様」となっているが、同年(1975年)に発行された「Vistalite カタログ(Copyright 1975 Ludwig Industries)」には明らかに「ショートフィン」と判断可能な2枚の写真が掲載されており、その前年を撮影年、また、製造年と考え、「ショート・フィン」への仕様変更は遅くとも1974年からと推定し、これを仮の基準年とした。1973年時点の状況にについては現在調査中。

Non-skid pad(滑り止めパッド)の有無
フロアープレート裏面に貼られた「Non-skid pad(滑り止めパッド)」については、ラディックの1957年版(Copyright 1956 Ludwig Drum Co.)のカタログにはその説明の記載が無いが、1960年版(Copyright 1959 Ludwig Drum Co.)には明記される。1958年から1959年にかけては不明。また、1981年版(1981 Ludwig Industries)ではそれまでの版と異なり新たに撮影されたスピードキング単体の商品写真に既に「Non-skid pad」が装着されておらず、1982年版(Copyright 1982, Ludwig Industries, Inc.)では商品単体の写真は1971年版に使用された元版が同じ写真を再び転用し、レタッチ(画像修正)によって「Non-skid pad」が削除された状態で掲載されている。1980年版(Copyright 1978 by Ludwig Industries)では商品単体の写真にもドラムセットに装着されたスピードキングの写真にも「Non-skid pad」が装着されていることから、「Non-skid pad」が標準装備されていた仮の基準年を1960年から1979年までとした。ただ、この約二十年の期間に「Non-skid pad」が確実に標準仕様として継続されていたかどうかまでは確認がとれていない。「Non-skid pad」が装着されていることが60年代製、70年代製のビンテージ・スピードキングを識別する一つの基準にはなるが、このパーツは剥がし取ることも困難なことではなく、また、補充部品(#2476)として後付けも可能だった時期があるため、年代特定の決定的な基準となるわけではない。

スプリングの巻き数
別項にも記載したとおり、WFLモデルを含め、シルバー塗装されていたと見られる90年代中期までのほとんどの「シカゴ仕様」のコンプレッション・スプリング(押しバネ)は巻き数が「27」であるようだ。ブラックに塗装された「最終型」の巻き数は「26」で、このスプリングの特性の違いが両者で踏み込みの軽さ、強いて言うなら操作性や制御性にも大きく影響を与える要素となっていると推測される。

フットボード裏面のリブ本数
強度向上のためフットボード裏面にある「rib(リブ=筋状補強)」の数が2本から4本に増設された時期については、「Ludwig Chicago ロゴ」が刻印されたスピードキングの中に「WFL ロゴ」時代と同じくリブが2本のみのモデルが存在することから、逆に「WFL ロゴ」のモデルにはリブが4本仕様のものが存在しないと推定される。その「WFL ロゴ」のスピードキングが、「Logo type」の項に説明したとおり少なくとも1966年まで製造されていたと推定されること、また、「Ludwig CHICAGO ロゴ」で、かつ二本リブのスピードキングが1967年から1969年の間のいずれかの時期に製造開始されていると推定されることから、リブが確実に2本のみだったのは少なくとも1967年までと見て、これを仮の基準年とした。さらに、4本に増強されたリブのうち外側の2本はフットボードに開けられた四か所のホール斜め上面からも見て確認できるのだが、ラディックの1971年版カタログ(Copyright 1970 by Ludwig Industries)に掲載されたスピードキングの商品単体の写真にはその外側のリブが明瞭に写っており、そのため、カタログが発行される前年に撮影が行われたと考えると(Copyright記載にも『1970』とある)、少なくとも1970年には既にリブが4本に増設されていたと見なすことができ、この1970年を仮の基準年とした。1968年から1969年の仕様については現在、調査中。

本体裏面のリブ本数
フレーム本体、バスドラムのフープを乗せる台座部分(プラットフォーム)の裏面についてもフットボード裏面と同時期に「rib(リブ=筋状補強)」が新たに増設された可能性があるが、この時期の中古品の中には、フットボードにリブが4本ありながら、本体台座部分の裏面にはリブが無い個体が少なからず存在する。この逆のパターンは「組み替え」、あるいは「組み違え」でない限り存在しないと思われ、本体台座部分のリブの増設はフットボード裏面のリブ増設より時期的に後だった可能性が高い。ただし、前項目でフットボード裏面のリブが確実に2本だった年として推定した1967年の翌年である1968年から70年代初期のいつ頃に台座裏面のリブが増設されたかを絞り込むのは、目立たない箇所であるためにかなり困難であるが、当方が所有する「CHICAGO ロゴ(推定1968~69年製)」の個体がまだリブが増設されていないことから、少なくとも1968年まではまだ増設されていないものと見なし、1968年を仮の基準年とした。因みに年表中の「2+0」、「2+2」それぞれの最初の「2」とは、台座部分のリブではなく、左右テンションスクリューを結ぶ位置に元々ある二本のリブを表している。1950年頃から1960年頃にかけての仕様は確認できていないが、この横方向に設けられた二本のリブについては元々あったものと見なして年表に記入した。

ロッカーシャフトのヘッド形状
ロッカーシャフト先端、ヘッドの手前のくびれた部分の形状については、少なくとも1966年製造のWFLモデルまでは直角であるのに対し、「Ludwig CHICAGO ロゴ」に変更された直後、つまり1960年代終盤のモデル(当方の所有する、推定1968~69年製と見られる個体)ではまだほぼ直角に近い形状を残している。くびれた底の部分はWFLモデルと異なりわずかに丸みをもち、ヘッド全体もまた若干だがサイズ的に大きくなり、ネック部分はWFLモデルと同様にまだ骨張った形状を残している。そして、ラディックの1976年版(Copyright 1975 Ludwig Industries)のカタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真では、ロッカーシャフト先端のヘッドの、例のくびれた部分は「最終型」に通ずる滑らかな形状へと変更されていることが確認でき、カタログ掲載用に撮影が行われたのがカタログ発行年の前年である1975年と考えると(Copyright記載にも『1975』とある)、ロッカーのヘッド形状が滑らかになるのは1970年代初期ではないかと推測することができる。さらに、中古市場に出現する1970年代初期に製造されたと見られる「ロングフィンでフットボード裏面が四本リブ仕様」の個体、つまり「1970年代初期型 Ludwig スピードキング」を観察してみると、そのほとんどでロッカーのヘッド形状が滑らかな新形状のものとなっていることから、遅くとも1973年には滑らかな形状へと変更されていたと見なし、仮の基準年を1973年として記入した。因みにこの滑らかな新規のシェイプは「最終型スピードキング」のヘッド形状にも継承されるが、「最終型」及びそれ以前の数年間における製品のシェイプは研磨処理が強化され、「より滑らかになり、メッキの光沢もかなり強くなる」

ロッカーシャフトの補強
「WFL ロゴ」のスピードキングの場合、ロッカーシャフト中央にビーターを挿入するための穴があり、その右脇の部分、つまりビーターロッドを固定するための蝶ネジが据えられる部分の金属には十分な厚みをとってあるが、反対側(左側)にはまだ金属の盛り上げが行われていない。その後、「Ludwig ロゴ」に変更された1960年代終盤以降のモデルには、恐らく補強を主目的とした金属の盛り上げがこの部分に施され、これが「最終型スピードキング」に至るまで標準の仕様となる。

本体ポストの太さ
外見状は判別が難しいが、実機を計測したところ、WFLモデルの本体ポストは以後のラディックモデルのポストよりわずかに太めとなっている。WFLのポストは「ややずんぐりとした印象」であり、以後のポストは「スリムな印象」である。中古品の中には本体が「WFL」のものでありながらフットボードが「Ludwig ロゴ」のものに組み合わされた個体や、その逆の組み合わせになった個体も存在するが、これは仕様変更期の「レアな個体」である可能性もあるが、単なる「組み違い品」あるいは「組み替え品」である場合も少なくないので、ビンテージ品の選定を行ううえでは、ある程度スピードキングの仕様について予備知識を得ておくことをお勧めする。

コネクティング・リンクの厚さと全長
1980年版(Copyright 1978 by Ludwig Industries)のカタログに掲載されているスピードキングの写真によれば、コネクティング・リンクはその厚さが「約1.6mmの薄型」、全長は「75mm前後のロングタイプ」であったようだが、1981年(Copyright 1981 Ludwig Industries)、及び1982年版(Copyright 1982 Ludwig Industries)、1984年版(Copyright 1984 The Selmer Company)カタログに掲載された写真によれば、その厚さが「3.2mmの厚型」、全長は「約70mmのショートタイプ」に仕様変更されたようである。「シカゴ仕様」のスピードキングの中古品にはよく「への字」に曲がったコネクティング・リンクをしばしば見かけるが、これは上記二種のうち「薄型、ロングタイプ」のコネクティング・リンクであり、実際、手でも簡単に曲げられるほどの厚みしかない。その後、1980年頃、スピードキングのコネクティング・リンクは「厚型、ショートタイプ」へと変更され、ペンチを使用しても曲げられないほどに堅牢となった。

※実機を計測したところ、1960年代に製造されたと推定されるWFL時代のスピードキングのコネクティング・リンクの全長は「75.8mm」、当方の所有する1968年~69年の製造と推定される「Ludwig ロゴ・2本リブ仕様」のスピードキングのコネクティング・リンクの全長は「74.3mm」だった。70年代初期、及び中・後期に製造されたスピードキングのコネクティング・リンクについては、確実にその年代のものと推定される個体を入手後に計測する予定。
※個体差もあろうが、コネクティング・リンクの全長を大まかに分類すると、「WFL ロゴ」時代が「75~76mm」、そして「CHICAGO ロゴ」に変更されて以後、1979年までの期間は「74~75mm」であると仮に見なし、暫定的に年表に記入した。また、当方で所有する推定80年代~90年代製のスピードキングの場合は4台とも「69.4mm」であり、1981年版、1984年版のカタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真からはコネクティング・リンクの全長が「短く厚いショートタイプ」であることが確認でき、その撮影が行われたであろう前年、つまり1980年にはコネクティング・リンクが「ロングタイプ」から「ショートタイプ」へと仕様変更されていたと見なし、さらに、この「ショートタイプのコネクティング・リンク」は1994年版のカタログに掲載されたスピードキング単体の写真でも同仕様のものが装着されていると推認されるため、1980年から1994年を仮の基準とし、この時代のコネクティング・リンクの全長を「69~70mm」と見なして年表に記入した。本体が黒く塗装された「最終型スピードキング」のコネクティング・リンクは、当方が所有する3台(1台は後に譲渡)ともに「70.0mm」であるため、「最終型」の仕様開始は遅くとも2000年であろうと仮定し、コネクティング・リンクの全長を統一的に「70mm」と見なし、2000年までを仮の基準として年表に記入した

コネクティング・リンクの先端形状
1979年以前の「薄く、長いタイプのコネクティング・リンク」はその先端が「アーチ状」となっており、1980年以後の「厚く、短いタイプのコネクティング・リンク」はその先端が「直線状」である。よって、この点は70年代製以前の個体と80年代製以後の個体とを識別する一つの基準となる。

フロアープレートの全長
実機を計測した限りでは、WFLモデルが「203.5mm」、1968~69年の製造と見られる「Ludwig ロゴ(ロングフィン仕様・フットボードのリブが2本)」の個体が「204mm」、推定80年代~90年代製の4台がそれぞれ「200mm」、「203mm」、「204mm」、「205mm」だったため、これは個体差として把握してよいものと考え、上記全ての時期を通して「200mm~205mm」として年表に記入した。「最終型スピードキング」についても個体差が当然考えられるが、当方で所有する3台(後に一台は譲渡)は全て「204mm」だったため、暫定的に「204mm」とみなして記入した

フロアープレートの厚さ
実機9台を計測した限りでは、WFLモデルから90年代までを通して、シルバーに塗装された「シカゴ仕様」のフットボードについては、その厚みは「1.8mm」で共通しているものと推認されるため、暫定的に「1.8mm」として年表に記入した。また、「最終型スピードキング」の場合は剛性を高めるためにフロアープレートの厚みが「2.2mm」に増強されているため、「2.2mm」として年表に記入した

Ceiling cap(シーリング・キャップ)
1988年版のカタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真では、シーリング・キャップにはまだ「CHICAGO」が刻印されていることから、1984年のモンローへの拠点移転時に即時シーリングキャップの刻印も「MONROE」に変更されたわけではないようだ。当年表では、当方の所有するモンロー移行期に製造されたと見られる一台の仕様(別項に記載)等も勘案し、撮影が行われたと考えられる先のカタログ発行年の前年、1987年を仮の基準年とした。ただし、シーリング・キャップは外れて紛失しやすいパーツであること、また、そのために補充部品として長く在庫があった可能性もあり、「MONROE」が刻印されたシーリング・キャップが標準仕様として統一的に装着されるようになるのはかなり遅れ、1990年前後だった可能性もあるが、正確な年代検証は困難。

ビーターのキャップの刻印
ラディックがモンローに拠点を移した1984年以降、スピードキングの各所仕様の中でも比較的早く変更が可能だと思われるのが「シーリング・キャップ」と「ビーターのキャップ」であるが、小さく目立たないパーツでもあるため、年代の正確な特定は困難である。

ベアリングのタイプ
実機比較によれば、「WFLモデル」の場合はベアリングにシールド(フタ)は無いが、内部のベアリングボールが少し見える程度に隙間が開いた「ハーフオープン・タイプ」となっており、当方の所有する1968~69年に製造されたと推定される「Ludwig CHICAGO ロゴ」の個体にも同一のベアリングが使用されている。70年代については現時点で不明であるが、遅くとも80年代中期以後のベアリングにはキャップが使用されず内部のボールがそのまま見える「オープンタイプ」であり、「最終型スピードキング」の場合はベアリング内部が一切見えない「完全シールドタイプ」が採用されていたようだ。

ヒール部のロッド末端の太さ
フロアープレートのヒール部に出ているロッド末端の直径は、「WFL モデル」が「約5.3mm」でかなり細め、「推定1968~69年製・Ludwig 初期モデル」もまた「約5.5mm」とかなり細めである。「推定1980年代中期以降のモデル」の場合はかなり太めの「約7.9mm」、「最終型」が「約5.9mm」だった。ただ、当方で所有する「推定80年代終盤製」の個体は「約7mm」となっており、年代により差異がある可能性がある。1970年代製のサイズについてはまだ実機を所有しておらず、現時点では不明。

フットボード先端の『ベロ』
「WFL モデル」と、シルバーに塗装された「Ludwig のシカゴ仕様」のスピードキングの場合、フットボード先端に平らな形状をしたスプリングである「フラットスプリング」、通称「ベロ」が装着されている。フットボードをコネクティングリンクに引っかける際のガイド部品としての役割とともに、ペダルを使用中にコネクティングリンクからフットボードが外れてしまわないようガードする役割があるようだが、年代によってこのフラットスプリングが「真っ直ぐなタイプ」のものであったり、下側か上側どちらかに一回折り曲げた「『く』の字タイプ」のものであったりする。また、黒く塗装された「モンローモデル」ではフットボード先端のスプリングピン(ロールピン)にプラスチック製のブッシュ(bush=円筒形の筒)が装着されるため、フラットスプリングの装着は無くなる。ただし、「シカゴ仕様」から「モンロー仕様」へと移行する時期(1990年代終盤か)に、黒く塗装されたフットボードにフラットスプリングが装着された仕様の製品が希少ながら存在する。

未詳
各項目の基準年と基準年を挟み、仕様が確認されていない部分については「未詳(Unknown)」としてある。



分解測定



ビンテージ・スピードキング
・スピードキングの素人研究に必要だったため、2015年7月~2016年2月にかけて、国内外のオークションを利用し、ビンテージ品を計6台入手した(WFL1台を含む)。

※その後2台を譲渡し、1台を追加入手した。さらに調査のため年代の異なる3台をできれば年内に追加入手する予定(2017年5月現在)。

操作感
・当方が所有する
ビンテージ・スピードキングの中で最初に入手した一台はフレーム本体が傷だらけで、かなり使い込まれていたらしく、ヒール部のロッド(軸)周囲がシンバルのキーホールのように縦に若干広がってしまっていたのだが、これを試奏して驚いたことに、それまでメインで使用していた「最終型スピードキング」と比較して明らかに踏み込みが軽く、しかもなめらかに操作でき、コントロールがしやすいと感じられた。

スピードキングは、特によく使い込まれていない場合、ペダルを踏み込む際にビーターヘッドに重量を感じ、ビーターヘッドを力ずくで振り回しているような違和感やバランスの悪さが感じられ、従前そうした特性がさらにコントロールの難しさに強く反映しているのではと感じていた。ところが、このビンテージ・モデルの場合、ビーターがペダルの一部に組み込まれてある程度一体化し、内蔵スプリングとのバランスもとれ、ビーターヘッド自体の重みをさほど意識せずにコントロールに集中でき、軽快に操作することができた。これは特に今まで使用していた「最終型」には無かった感覚だった。「ビンテージ・スピードキングは踏み込みが軽い」とは従前耳にしてはいたが、これは後述するとおり、両者フットボードの重量にはほとんど違いはないため操作感の違いはここから来るのではなく、内蔵スプリング(コンプレッション・スプリング)の「特性の違い」や、それ以外にもコネクティング・リンクの全長の違い、「最終型」に装着されたプラスチック製ブッシュによるビーターの振り角度への影響といった「機構上の特性」といった要素が複合的に影響を与えているようだ。

ショートフィンとロングフィン
・70年代中期以降のスピードキングの「フィン」は「ショートサイズ」、つまり「半インチ=約12.7mm」であり(冒頭の記事を参照のこと)、50~70年代初期におけるスピードキングの「フィン」は「ロングサイズ」、つまり「1インチ=25.4mm」である。当方がスタジオ練習で使用しているパール・MCX(ウッドフープ)での使用時には、フープスペーサーは通常「4mm用」を装着し、バスドラムのヘッド面とスピードキングのロッカー末端とがスレスレの状態で使用しているが、50~70年代初期のスピードキングの「フィン」の仕様は長さが1インチなので、「ショートフィン仕様」のスピードキングに約13mm(!)ものフープスペーサーを装着するのに相当し、5mmのスペーサーまでで一杯いっぱいと感じているところ、ビーターをヘッド面からさらに8mmも遠く離してスピードキングを操作するというのは、個人的には非実用的なセッティング条件だ

ただ、プレイヤーそれぞれに奏法の違いや志向の違いもあるので、スピードキングの入手を検討している場合には、最低限の条件として、ビーターとヘッド面との距離を考慮したうえで、「
ロング・フィン仕様(フープをかませる奥行きが浅い=50~60年代の仕様)」を選ぶか、あるいは「ショート・フィン仕様(フープを深くかませる=70年代中期以降の仕様)」を選ぶかし、そのうえでフープスペーサーを作成する心づもりがあるならば「ショート・フィン仕様」のスピードキングを選択すればよいし、踏みしろが深めになっても制御や脚力、体力に自信があれば「ロング・フィン仕様」のスピードキングを選択すればよいだろう。また、いずれの仕様にしろ、バスドラムのフロントを持ち上げる高さを変えることでも、ビーターとヘッド面との距離を若干調整することができるので、その点も念頭に置くとよい。

       


分解
専門的な分析はできないものの、ビンテージ品(シルバー塗装のタイプ)数台と「最終型スピードキング(ブラック塗装のタイプ)」一台の駆動部を分解し、スプリング、カム(ロッカーシャフト)、プランジャー(棒ピストン)、ベアリング等の仕様について計測、比較してみた。その結果、それぞれのパーツにおいて目立った差異は無かったのだが、ただ一点、スプリングの巻き数が、ビンテージ・スピードキングが共通して「27+α」、最終型は「26+α」となっており、巻き数が多いシカゴデザインのモデルのほうが踏み込みが軽く、ペダルの機能的バランスが比較的とれているように感じられた。

そこで、ビンテージ品のスプリングを「最終型スピードキング」に換装して使用してみたところ、ビンテージ品の操作感に近い操作感、つまりアクションがある程度軽く滑らかにはなるのだが、別項に記載したようにスプリング以外にペダルの機構的要素も操作性に影響しており、スプリングを換装しただけではビンテージ品と同一の操作フィーリングを得るのは困難なようだ。また、スプリングの特性や機構上の違いに加え、初期オーナーの踏み癖によるものだろう、特に使い古された一台の左側のカムの軸とそこに接するプランジャーの先端がかなり摩耗しており、このようなパーツの摩耗具合といった要素もまた、スピードキングの操作に自由度と柔軟性を与えていると推測される。

コンプレッション・スプリングの巻き数の数え方について…… スプリングの末端は平坦に研削されており、その末端部分において完全な線の形状をとどめている部分を基点にして巻き数を数えた。そのため、専門的なスプリングの巻き数の数え方とは異なる。


※上の画像:ビンテージ・スピードキングのカムとプランジャー。
・ビンテージ品6台の中で最初に入手した、最も使い込まれたスピードキングのカムとプランジャー。カムのほうは摩耗によりわずかに軸がえぐれてしまっている。プランジャーの先端もまた、カム軸を受ける部分の表面がわずかに摩耗している。こうした両者の摩耗がスピードキングの動作をある程度滑らかにし、コントロールのしやすさにも影響していると考えられる。

Rare?

・上の画像は2015年9月に海外のオークションで入手したビンテージ・スピードキング。商品の到着時に剥がし取った商品ラベルを再度仮止めして当初の状態に再現し、撮影した。本体とフットボード双方に同一の商品ラベルが貼り付けられたままになっており、そこに価格である「$89.99」以外に商品コードやバーコードが記入されている。シーリングキャップ二枚には「MONROE NC U.S.A.」、箱にもまた「MONROE N.C.」とあるが、ビーターには「CHICAGO U.S.A.」と刻印されている。ラディックの1988年版カタログに掲載されたスピードキング単体の商品写真ではシーリングキャップにまだ「CHICAGO」が刻印されているので、上記個体は1980年代終盤、もしくは1990年代初頭おける製造品である可能性がある。

・同機は、本体やフットボードに多少の傷や汚れがあり、また、ビーターにも多少の汚れがあり、いずれも一定期間は使用されていた形跡があるが、フットボード表面には磨耗がほとんど無く、ヒール部分の「軸ピン」周辺にも広がりは無く、ほとんどガタつかない(大概のビンテージ品は多少ガタついている)。さらにアルミ地肌に新品時当初に特有の光沢がまだそのまま残っていた。また、カム軸に接するプランジャー上端を外して確認したところ、摩耗はまったく見られなかったので、恐らくカム軸にも磨耗は無いと思われる。商品の使用状態、フットボードのアルミ表面の状態や光沢、蝶ネジのメッキがほとんどくすんでいないこと、本体とフットボード双方に同一の商品ラベルが当時そのままに残っていたこと等の状況から、ワンオーナー品である可能性が高い。しばらく使用してのち、使い慣れないために箱にしまわれたまま保管されていた、といった趣である。商品本体の落札価格は日本円で約24,600円、その他に配送料や関税などの諸費用を含め、総額で約34,600円となった。

       


スピードキングの駆動部パーツ

WFL Speed King Pedal:1960s ~ WFL スピードキング・1960年代仕様
Ludwig Speed King Pedal:Late 1960s ~ ラディック・スピードキング 最初期型

Ludwig Speed King Pedal:Early 1970s ~ スピードキング 1970年代 初期仕様

Ludwig Speed King Pedal:Mid 1970s-Late 1970s~ スピードキング 1970年代 中・後期仕様

LudwigSpeed King Pedal:1980s ~ スピードキング 1980~90年代仕様(シルバー塗装)


LudwigSpeed King Pedal:The latest model ~ スピードキング 最終型(ブラック塗装)


計測結果
当方で所有するスピードキングのうち何台かの駆動部を分解し、主要パーツの計測を行った。両者における仕様の違いに興味があってわざわざ分解して計測したのだが、結局具体的な各部数値をここに記載しないことにした。両者に数値的な違いが無いか、あるいはほとんど無く、敢えて比較する意味を見出せなかったためだ。

例えばロッカー(弓形の駆動部材)の重量はいずれも140~141gで、1g程度は個体差の域を出ない。メッキの状態は製造年代等によって若干異なるが、ロッカー各部における形状の微妙な差異もまた個体差の域を出るものではない。カムについてはビンテージ品、および当方が2011年に新品で購入した最終型スピードキングにもやや小さめのフランジが付いていたが、同じ最終型でも、今回分解した年式不明の個体にはフランジが付いていなかった。フランジが付いたタイプと付いていないタイプではカム本体の重量に約2gの差が出るが、プランジャー(棒ピストン)が接するカムの軸部分の径は、両者4.2mmで同一である。カム本体のサイズもまた、フランジ部分を除いてまったく同一である。プランジャーを受ける「カム軸」の位置については外見的には両者に違いは無さそうだが、精密な測定が困難であるため断定することは避けるにしても、各個体それぞれの使用に伴うカム軸やプランジャー先端面の摩耗度の違いを考えれば、両者の操作性の違いに影響を及ぼすほどの大きな要素とはなっていないようだ。

プランジャーについては、細い軸部分の長さに両者で0.5mmの差があったが、もともと太い軸に細い軸を差し込んであるだけの構造なので、やはり個体差の域を出るものではない。重量についても、ビンテージ品が2本で85g、最終型が85.3gで、摩耗の違いを考えれば両者は同一と言ってよいだろう。スプリングについては、ビンテージ品は初期使用者の踏み癖による圧縮のためか左右で全長がごくわずかに異なり、それぞれ79.5~79.7mm、最終型の場合は左右ともに80mmで、やはり両者に差異はほとんど無い。スプリング本体の径も8.7mmで同一だった。ただし、スプリング線一本の径については、手持ちのノギスでは精密な計測が困難なため、行っていない。

フットボード(フロアープレートを含む)の重量については、ビンテージ品4台を計測したところ、それぞれ485.5g、481g、476.5g、473gで、436.5g(2本リブ)、459.5g(WFL・2本リブ・ノンスキッドパッド付き)で、最終型(ブラック塗装仕様)3台の場合は(一台はのちに譲渡)、それぞれ494g、486.5g、そしてフットボード裏面を研削した個体については切削前に重量を計測し忘れたが、研削後の重量は491gだった。

2本リブの個体2台を除き、敢えて重量を平均すると、ビンテージ品が「479g」最終型が「490.5g(裏面を研削した個体を含める)」で、ビンテージ品のほうが「11g程度」軽くなっていた。ただし、これはフットボード単体での計測値ではなく、フロアープレートの重量を含め、しかも両者の塗装仕様の違い、プレートの厚みの違い、細部各パーツの違い等の要素を一切考慮せずに単純比較したものなので、あくまでその点を念頭に置いたうえでの参考としていただきたい。

そのフロアープレートについてだが、ビンテージ品にはプレートがグニャグニャに曲がったものをよく見かけるが、当方で入手した一台目のビンテージ品がやはり多少不規則に歪んでいたため、工具を使ったり手で圧迫したりしてほぼ元の形に修復した。ところが、ブラックに塗装された「最終型スピードキング」の場合、かなり硬いために手先だけでプレートを曲げることはほぼ不可能であり、変形した個体はほぼ皆無であろう。そこで、両者の厚さを測ってみたところ、ビンテージ品の場合が1.8mm最終型の場合が2.2mmで、最終型は剛性をより高めてあることがわかった。さらに、フロアープレート単体での全長は、ビンテージ品が200~204mmと個体によってばらついているのに対し、最終型は204mmで統一されているようだ。

フロアープレートの両者での厚みの違いからすれば、当然ビンテージ品と最終型とではフットボード単体での重量差はさらに縮まるはずである。フロアープレートのついたままフットボードの重量を量ると個体差があるが、フットボード単体として見た場合、その重量はビンテージ、最終型両者にほとんど違いは無く、そのためフットボードが両者の操作性の違いに影響を与えているわけではないと言える

       


操作感の違いはどこから来るか
以上のように、全体的にはビンテージ品と「最終型」とに操作性の違いに結びつく大きな仕様の違いというものは見られなかったのだが、ただ、スプリングの巻き数がビンテージ品4台が全て「27+α」最終型3台が全て「26+α」で、従前ビンテージ品のほうが踏み込みが軽いと言われてきた点に、やはりスプリングの巻き数の違い、さらに言うならスプリングの特性の違いと、別項に記載した機構上の違いといった要素が深く関係しているようだ。巻き数が異なるにもかかわらずスプリング本体の重量には両者に差異が無いので、スプリング線一本の径が両者でごくわずかに異なり、その特性にも大きく影響を及ぼしていることが推測される。

スプリングの特性の違い以外にも、フットボード先端にある、コネクティング・リンク(連結バー)を掛けるためのスプリングピン(ロールピン)単体では直径3.2mmであるが、「最終型」には「ブッシュ(bush=プラスチック製の円筒管)」が装着されており、その直径は4.8mmある。また、コネクティング・リンクの長さは70年代のものは「最終型」より5mm前後長く、フロアープレートの全長の違いもフットボードの傾斜角度やビーターの振り角度の違いとして反映している。

カムとプランジャーの摩耗について
どの程度ペダルが使い込まれているかにもよるが、スピードキングは使い込んでいくうちにカムの軸とそこに接触するプランジャー(棒ピストン)の上端部分がともに摩耗し、奏者のクセや奏法に徐々にスピードキングの側が馴染み、そのアクションも徐々に滑らかになってくる。この駆動部の摩耗がどの程度進んでいるかは、ペダル本体の外見から判断することはできない。ペダル本体の外見がボロボロでも、カムやプランジャーがほとんど摩耗していない場合もあれば、逆に外見が綺麗でも相当にそれら部位が摩耗してへたっている場合もあるだろう。

プランジャーの場合は、ペダル本体底部にある「スプリングテンション調整ネジ(P-1260)」を外せばスプリングとプランジャー両者を取り出すことができるので、プランジャー先端の摩耗具合を実際に確かめることができるが、プランジャーを元に戻すには一定方向にポストに差し込み、カムにうまくかみ合わせる必要があることから、本腰入れてのメンテナンスを実施する意思が無い限りはこの作業はお勧めしない。また、カムについても、カムにフランジが付いていないタイプであれば、シーリングキャップを外せばある程度カム軸の磨耗具合が確認できるが、フランジが付いているタイプの場合、フランジが遮って磨耗具合を視認することが難しい。

プランジャーやカムの破損について
当方で所有するビンテージ・スピードキングの中に、一部プランジャーの細い軸部分が根本から少し傾いたものがあった。ポスト内部にはペダル本体の底面から約3cmの深さまでネジ溝が切ってあり、「スプリング調整ネジ(adjustment screw):P-1260」を最奥まで締め込むと、ペダルを踏み込んでいないニュートラルな状態で、調整ネジとプランジャー下端とのクリアランスは約6~7mmとなる(精密な測定は行っていないため、あくまで目安としてください。以下同様)。通常使用においては、ペダルを踏み込むとプランジャーは2mm程度押し下がり、それでも調整ネジとのクリアランスは4~5mmあり、プランジャーを損傷することはないはずだ。ところが、バスドラムからペダルを外し、ロッカーが反転するまで手で無理やり回転させると、プランジャーは最大で7mm程度押し下がるので、調整ネジが最奥までねじ込まれていた場合、プランジャーの下端が調整ネジと接触する恐れがある。そこまで調整ネジを締め込んだらカムとプランジャーやカムが破損し、パーツの交換修理が必要になる恐れも出てくるので、スピードキングの駆動部の構造を自身でもある程度確認しておくとよいだろう。


ピンパンチ(Pin punch)
もしカムやベアリングを外すといった目的で駆動部を分解する場合には「ピンパンチ=Pin punch(ピンポンチともいう):3mm径」という道具を入手し、ペダルに打ち込まれた「スプリングピン(ロールピン)」にそれを当て、ハンマーで叩いて抜き取る。ただ、細かく馴れない作業であるため、スプリングピンを抜く際にも、再度打ち込む際にも、ずれたピンパンチの先端によって打ち込む穴の周辺に傷を付けてしまう恐れが多分にあり、よほど必要な場合以外、この作業はお勧めしない。

       


ビーター

・上にある画像は「CHICAGO」が刻印されたビーター(L1286(ハードフェルト))4本のうちの2本。左が推定80年代中・後期のものと思われるモンロー製ビンテージ・スピードキングに付属していたもの。右は年代不明。キャップの形状は、右の個体はは現行品(販売中!)と同様に「R(Radius=レイディアス=語源的には「半径」だが、製造用語としては「丸みをつけること」「カドをとること」の意)」がとってあるが、左は直線で形成されている。刻印されている文字の書体も両者で異なる。重量は左が80.0g、右が83.2g。ただし、新品時の重量より若干目減りしているだろう。フェルト部分の高さは右のほうが2.5mmほど高く、現行の’L1286’と比べると5mmほど高さがかさむようだ。スピードキングは本体の塗装、メッキの状態、超ネジの形状、ビーターに至るまで、年代により総じて細部の仕様にかなりバラつきがあり、脈絡がはっきりしない。

ビーターロッド

・推定80年代中・後期に製造されたと見られるビンテージ・スピードキング(モンロー製)に付属していたビーター(L1286・CHICAGOの刻印)だが、ビーター脱落を防止するための措置だろう、驚いたことに標準仕様としてロッドの末端45mmが平滑に切削処理してあった。この切削がロッドの両面に、計二箇所施されている。自分自身、これまで金属やすりを使用して同じような切削を施してビーターの脱落を防止してきたが、実はラディック社自身も既に過去、ユーザーの意見・要望を採り入れ、製品にそれをフィードバックさせるという姿勢を持ち実践していたことに大いに感心させられたのだが、コスト削減のためだろうか、その後ユーザーにとって重要なこの措置が継続されず取りやめられてしまったのは残念だ。ビーターの脱落防止措置によりスピードキング本体の評価も肯定的に見直されるはずなのに、売り上げ自体にはさしたる好材料とはならなかったということなのか、とにかくその判断の理由については不明である。

       


塗装の色調

・塗装については経年による変色も考えられるが、当方で所有する6台については、広い意味でシルバー(もしくはシルバーグレー)という点で共通してはいるが、それぞれ色調や風合いが異なる。上の画像は二本リブ仕様の2台を除く4台を撮影したもので、①は恐らく1980年代後半のモンロー製(ただしシカゴ仕様)で、色調は最も強く黄色味を帯びている。②はビンテージ品としては最初に入手した個体で、①に比べわずかに黄色味を帯びており、④が最も濃いシルバーとなっている。また、シルバーの塗装が剥げやすい点については全てのビンテージ・スピードキングに共通しているようだ。

※②にはフープスペーサー、③にもセンターにのみフープスペーサーを装着してある。

スプリングピンの打ち込み穴

・上の画像での本体の並び順に対応させて並べてある。塗装以外の相違点としては、トウクランプを本体に固定するためのスプリングピン(ロールピン)を打ち込むための穴径が、右側(奥側)は四台とも同じ小さな径で共通しているが、①と②のみ左側(手前側)だけが大きめの径になっている。

■ところで、「コネクティング・リンク」、つまり「連結バー」であるが、スピードキングのビンテージ品(50~80年代初頭に生産されたと思われる個体)に、本来は真っ直ぐな細いプレートであるにもかかわらず「へ」の字の形に曲がったものを、特に海外のオークションでは非常に多く見かける。これは恐らくビーターの振りが重く感じられるなどし、ビーターを短くセットしようにもロッドがコネクティングリンクに当たってしまい、スピードキングの制御においてさらにそれが障害となり、その対処としてペンチか何かの工具で強引にプレートが曲げられたものではないだろうか。「へ」の字の形が意外に揃っているものが多いので、あるいはそのような措置をサービスとして行うショップでもあったのだろうか。ビーターロッドを研削するほうが対処としては適切で簡便だと思うが、誰しも自身で研削作業したり工場に依頼したりまでして積極的に対処しようとは思わないだろうから、金属やすりをで研削する簡便な対処であっても、当時からその方策が知れ渡ることが無かったのだろう。いずれにしても、「『へ』の字リンク」はスピードキングの制御には長年多くの人たちが苦闘してきたということの一つの証左と言えるだろう。

       


フロアープレートの裏面

・本体の画像での並び順と対応させてフロアープレートを並べた。フロアープレートの塗装も本体の色調、風合いと一致する。中古品の中には本体とフロアープレートとが組み違えてあるものや、異なった年代のパーツが組み合わされて出品されているものもあるので、入手を検討するうえでは、ある程度色調の見比べやパーツごとの年代鑑定をすることをお勧めする。

ヒール部を固定する赤い矢印の部分を「ロッド」と呼ぶことにして、このロッドを受けるプレート側の穴の広がり方と、フロアープレートのヒール底部の塗装の剥げ方を見れば、ペダルの使用状況がある程度推測が可能だ。②の軸受け穴は相当に使い込まれた形跡があり、左右のうち特に左の軸受け穴がシンバルの「キーホール」のように縦に2mm近く広がってしまっていた。左右の穴の広がり方の違いは、恐らく初期オーナーの踏み癖によるものと思われ、使用に際して特に支障は無いが、ガタつきは多少大きくなる。

また、②の本体側でも、カムやプランジャーの磨耗の度合いに左右で大きく偏りを生じていた。特に左側のカム軸とプランジャー上端の磨耗が激しかったのだが、このカム軸とプランジャー上端の磨耗が、コンプレッション・スプリングの特性の違いやフロアープレートの全長の違いといった要素に加え、スピードキングのアクションを軽く滑らかにする要素となっている。実際、当方で所有する6のビンテージ品の中で、最も使い込まれて一見ジャンク品に近いこの古びたスピードキングが、実は最も操作が軽快かつ滑らかで使いやすく、自然とこれをメインに使用するようになっている

(記:2015年10月)

       


機構的な違い

・フロアープレートの全長が200mmである「シカゴモデル(#2機)」の場合、ビーターを垂直に立てるとコネクティングリンク(連結バー)もまた垂直になる。


・「最終型(モンロー製)」のフロアープレートの全長は「シカゴモデル(#2機)」のものより4mm長い204mmであり、フットボードも数ミリメートル後方に位置する。フロアープレートの全長の違いはフットボードの位置や傾斜角度に影響し、フットボードを踏み込んだ際のビーターの振り角度がシカゴモデル(#2機)より大きくなる。

50~80年代初頭に生産されたスピードキングのコネクティング・リンク(連結バー)は全長が75mm前後であるのに対し、80年代中期以降、最終型に至るまでのコネクティング・リンクの全長は約70mmであり、この全長の違いとともに、フットボード先端に装着されているプラスチック製のブッシュ(bush=円筒形の部品)もまた、ニュートラル時のフットボードの傾斜角度を急にする要素となっている。



・フロアープレートの全長はわずか4mmの違いだが、これがフットボードの踏み込み度合いに対するビーターの振り角度を機構的に大きく変えている。以前(2014年4月)、モンローモデルのフットボード裏面を「ディスク砥石」でえぐるようにして削り、フットボードの軽量化を図って操作感がどう変わるか実験してみたものの、まるで変化が感じられなかった理由はこのような点にもあったのだ。
・ビンテージ品にはフロアープレートの前半分の形状が崩れているものをよく見かける。フロアープレートの厚みは「最終型」のほうが0.4mm厚く、その分当然重量も増す。剛性が高められていることで、ビンテージ品とは異なり、手では簡単に曲げられない。両者の重量差については別項にも記載したが、フロアープレートの重量差を差し引けば、モンローモデルとシカゴモデルとでフットボード単体の重量に差異はほとんど無いと考えられ、両者の操作性の違いはフットボード単体の重量の違いから来るものではない


・「最終型」には3.2mmのスプリングピン(ロールピン)に直径4.8mmのプラスチック製のブッシュが装着されており、この太い径のパーツがフットボードの傾斜角度やアクションにも影響を与えている。
・コネクティング・リンクの(連結バー)の上端には、隙間からわずかにしか見えないが、「最終型」だけでなくビンテージ品にもプラスチック製のブッシュ(bush)が装着されている。二本リブ仕様の2台(WFLモデル1台と、推定1960年代末製造の1台)には、プラスチック製ではなく金属製のブッシュが装着されていた。


・スプリングテンションを「最弱」にし、フットボードに負荷をかけないニュートラルな状態からコネクティングリンクを垂直に立てたときのビーターの振り角度を両タイプのモデルで比較してみたところ、「17°」の差あることがわかった。


・上記シビンテージ品「#2機」とは別の「#1機」は80年代中・後期のモンロー移行期における個体と推定されるが、この個体のフロアープレートの全長は205mmで、「最終型」よりもさらに1mm長くなっている。ビンテージ品4台のフロアープレートの全長は、「#1機」が205mm、「#2機」が200mm、「#3機」が203mm、「#4機」が204mmで、この四台以外に、WFLモデルが「204mm」、推定1960年代末仕様の個体がやはり「204mm」で、個体によりかなりばらつきがあった

・同じビンテージ品であっても、「#1機」と「#2機」とでフロアープレートの全長が5mm違うわけだが、ビーターの振り角度を比較したところ、「#2機」が「58°」であるのに対し、「#1機」は「78°」もあり、両者には何と「20°」もの違いがあった。(バスドラムのヘッド面までの振り角度ではなく、ニュートラル状態からコネクティングリンクが垂直になるまでフットボードを押し込んだ場合のビーターの角度)


「最終型」のフレームにビンテージ品「#2機」のフットボード(フロアープレートを含む)を換装すると、フットボードの位置が数ミリメートル前方にシフトし、ニュートラルな状態でのビーターの位置はほとんど変わらず、フットボードの傾斜も急なままだが、コネクティングリンクを垂直に立てたときのビーターの角度は「#2機」とほぼ同じになる。それだけでなく、操作感も「#2機」に近づき、かなり軽くなる。また、巻き数(特性)の異なるビンテージ品のスプリングを換装すると、操作感がよりビンテージ品に近づくことがわかった。

※ビンテージ品のフレームに最終型のフットボードを装着するにはフットボード先端にあるブッシュを外さなければ装着できない。ピンパンチを使用してピンを外そうと試みたが、かなり硬く固定されており、結局外すのを諦めた。

操作感
・ビンテージ品の「#1機(フロアープレート全長:205mm)」と「#2機(同:200mm)」、そして、「最終型」の本体フレームに「#2機」のフットボード(フロアープレートを含む)を換装し、これら3機で操作感を比較してみた。

:「#2機」は従前より繰り返しているとおり、最も動作が軽く滑らかで、ビーターの重量をほとんど意識せずに制御でき、操作性が最も高い(ただし、所有機の中で最もガタつきが大きいためノイズも激しい)。
:続いて制御が楽なのは、やはりシカゴモデルの「#1機」で、フロアープレートの全長が205mmと「#1機」より5mmも長いので、きっと動作がやや重く制御も難しくなるだろうと予測していたが、「#2機」ほどではないにせよ、足に吸い付いてくるような感じやビーターの打ち込み速度など、シカゴモデルに共通した操作性、制御性はしっかりと備えていると感じられた。「#2機」より若干ビーターの重みを感じたが、制御のしやすさからすればさほどの問題には思えなかった。
「#2機」のフットボードを換装した「最終型」については、純正仕様の「最終型」には感じられない動作の軽さや制御性を感じるが、やはりコンプレッション・スプリングの特性の違いから来るのだろう、「最終型」に特徴的なビーターの重みが若干だが意識され、その点を除けば「#1機」に近い操作感だと思われた。コンプレッション・スプリングをビンテージ品のもの(巻き数27)に交換すると、②の#1機とほとんど操作感の区別がつかなくなる

※記:2015年11月
※追記:2015年12月7日

       


スピードキングの入手
先述したとおり、スピードキングを入手する場合、最低限の条件として、ビーターとヘッド面との距離を考慮したうえで「ロング・フィン仕様(フープをかませる奥行きが浅い=50~1974年頃の仕様)」を選ぶか、あるいは「ショート・フィン仕様(フープを深くかませる=1974年頃~最終型(モンロー仕様))」を選ぶかしなければならない。フープスペーサーを作成する心づもりがあるならば、「ショート・フィン仕様」のスピードキングを選択すればよいし、踏みしろが深めになっても制御、体力、脚力に自信があれば「ロング・フィン仕様」のスピードキングを選択してもよいだろう。また、いずれの仕様にしろ、バスドラムのフロントを持ち上げる高さを変えることでも、ビーターとヘッド面との距離を若干調整することができるので、その点も念頭に置くとよい。

さらに、ビンテージ品、「最終型」とを問わず、外見的にはボロボロであっても、良い意味で使い込まれ、カム軸やプランジャーの先端が適度に摩耗し、スプリングとのバランスもうまくとれ、アクションも軽く滑らかで足と一体化するように自在に操作できる逸品と言えるスピードキングが存在する可能性があるが、ただ、それを入手した際に、そもそもスピードキングの特性を把握し、セッティング条件を調整できなければ、もしそれが逸品であっても、逸品であることそれ自体に気づくことなく、そのままお払い箱としてしまうケースが十分に考えられる。あるいはまた、外見的に綺麗で、機械的にも上記パーツ類が十分に熟(こな)れておらず、まだ総合的なバランスがとれていない状態にある場合、もしこのようなスピードキングを入手しても、やはりただ使いづらいという実感を抱くのみで、使い込んでスピードキングを奏者側に馴染ませる以前に、そのままペダルをお払い箱にしてしまうケースも有り得るだろう。

スピードキングの中古品を入手する前に外見以外の本来的な意味でのコンディション、機能的コンディションを見抜くのはまず不可能であり、また、入手してからでさえ、スピードキングの特性とセッティング条件をよく踏まえておかないと、他の一般的なペダルとの対比的視点のみによって、ただ「使いづらい」「実用的でない」といった一面的評価が下され、その本来的な魅力を見出し、ポテンシャルを引き出す機会そのものを逸してしまう可能性がある。そういう意味では、「名機とやらをいっぺん使ってやるか」「BONZOと同じペダルだからな」くらいの動機や好奇心だけでスピードキングに手を出すのは冒険と言えるかもしれない。

「最終型」にしろビンテージ品にしろ、外見によらずよく使い込まれていない個体が意外と少なくないと考えられるので、入手した当初は自由にならず使いづらいと感じられると思うが、スピードキングの特性を踏まえたうえで、各種セッティング条件を詰めていきながら時間をかけてしっかりと使い込んでいけば、カム軸とプランジャー先端の磨耗も進み、やがて奏者の奏法や踏み癖にも徐々に馴染んでいくと思われる。そして、スピードキングを踏んでいて心から楽しめ、自由に制御できるようになったその時、スピードキングはあなたにとっての本当の名機となっているに違いない。

※記:2015年9月20日

       


チェックポイント(ビンテージ・スピードキング)
オークション等では、商品の状態判断に不都合な情報を敢えて明示しない出品者が多いので、入札を検討する前に必要最小限の情報確認をすることをお勧めする。

年代:別項に検証したとおり、シルバー塗装されたスピードキングは「W.F.L.モデル」を除くと、1960年代終盤製から1990年代製まで幅があるため、予めそれぞれの年代ごとに仕様の違いを確認しておくことをお勧めする。
フィン:「ショート・フィン仕様」か「ロング・フィン仕様」かを確認する。「ショート・フィン仕様」の場合、手持ちのドラムのフープ幅が40mmだとペダルのロッカー末端がバスドラムのヘッド面に接触するため、別途「フープスペーサー」を自作するか、毎度割り箸を一本挟み込む必要がある。割り箸一本を挟むだけでもスペーサーとしてのとりあえずの機能を代替できるが、より精密な制御には向かないかもしれない。逆に「ロング・フィン仕様」の場合は、フープ幅によってはバスドラムのヘッド面とペダルとの距離が離れすぎて「踏みしろ」が深くなり、操作、制御が困難になる可能性もある。また、疲労度もかなり増す。
ビーター:ラディック純正品かそうでないかを確認する。また、フットボードのロゴが「Ludwig CHICAGO」でもビーターが「MONROE」である場合があるので、その点を確認する。さらに、ビーター固定用の蝶ネジがボルトに替えられていないか確認する。蝶ネジが装着されていても、前オーナーがボルトを使用してビーターを固定していた場合、ネジ山が多少緩くなっている可能性がある。ただし、この点を入札前に確認することは困難だろう。
シーリング・キャップ:フットボードやビーターに「CHICAGO」の刻印があってもシーリングキャップが「MONROE」である場合があるので、その点を確認する。
フレーム本体:シルバーの塗装は剥がれやすく、大概のビンテージ品は外見が綺麗ではない。スプリングやカムが格納されたポスト2本が外側に向けて広がりすぎていないか確認する。
フットボード:フットボード表面の摩耗具合を確認する。外見上は汚くても、オーナーがペダルに使い慣れないために使用頻度の低いスピードキングが少なくない。また、フットボード裏面の「筋状補強(リブ)」が2本タイプか4本タイプかについて確認する。2本タイプは4本タイプよりアクションが一段軽くなり、両者の操作感に少なからず違いがある。パワフルな演奏には4本タイプのほうが向くが、2本タイプも4本タイプもスピーディーな連打には相当な訓練が必要となる。
フロアープレート:本来は段差が設けられているが、ビンテージ品はその厚さが1.8mmしかないため、段差が崩れ、歪んでいるものが多い。ただし、操作性にはほとんど影響は無い。また、フットボードを固定するための「ロッド=軸」を通した穴にキーホールのような極端な広がりが無いか確認する。多少の広がりは大抵生じており、多少大きめの穴であっても操作性にはさほど影響無い。また、裏面に「Non-skid pad(滑り止めパッド)」が装着されている場合は、1960年頃から1980年頃の期間に製造された個体である可能性があるが、「Non-skid pad」は補充部品でもあるため、60年代、70年代ビンテージ品を判定するうえでの確実な基準となるわけではないので念のため。
コネクティング・リンク:本来は真っ直ぐなスチール・プレートだが、厚さ1.6mmだった1980年頃以前のコネクティング・リンクは手でも曲げることが可能で、ビーターロッドとの接触回避のためにーナーによって「くの字」に曲げられたものが少なくない。80年代中期以降に製造された「スピードキング」のコネクティング・リンクは厚みが倍の3.2mmに増強されており、それ以前のコネクティング・リンクのように簡単に曲げることができない。尚、これはあくまで個人的な見解だが、当ページ冒頭、「スピードキングがものにできない……!!」でも説明したとおり、スピードキングはその機構や動作の特性からビーターを「最大長」にしたほうが操作性がよく感じることが多いので、操作しづらいからといってコネクティングリンクを無理にへし曲げてまでビーターを短くセットしても(海外では非常に多い)、実際には期待するほどの効果は得られないだろう。
コンプレッション・スプリング:「ビンテージ・スピードキング」と「最終型スピードキング」との操作性の違いに大きな影響を与えている要素の一つと考えられるのが「コンプレッション・スプリングの巻き数」だが、これを事前に出品者に確認することは困難だ。また、よほどのことが無い限りはビンテージ品のスプリングが「モンロー仕様」のスプリングに交換されていることはないだろう。
カム:当方が新品で2011年に購入した「最終型スピードキング」には「フランジ」が付き、別の「最終型」の個体には付いていなかったことからすると、「フランジ」の無いタイプは生産終了を迎える直前の数年間だけに限定される仕様なのかもしれない。ビンテージ品に「フランジ」の付いていないカムが装着されているとすれば故障等により近年に交換された可能性があるが、これは希少ケースと言ってよいだろう。
プランジャー(押し棒):事前に確認するのは困難だが、細い軸部分の根本が多少傾いている場合がある。ただし、折れていなければ機構上、操作上、影響は無い。
その他:ヒールクランプ固定用のネジとワッシャーは付いているかどうかを確認する。無い場合は楽器店に在庫の入手が可能かどうかを問い合わせるとよい。

※記:2015年12月10日



Other kick pedals

■Pearl #810 Bass Drum Kick Pedal
※追記:2022年2月:エインズレイ・ダンパーが当機「パール#810」を使用している画像が複数発見できました。サイトのリニュアル後に内容を反映させます。

・1977年購入。1980年代初頭より2010年までドラムをやめていたが、今も保存だけはしてある。名器である、といった評判は、これまでついぞ耳にしたことがない。純正品のベルトが腐っていたので、工業用ベルトで代替。2014年4月に久しぶりに当機をスタジオ練習の際に一時的に使用した。ラディックのスピードキングと比べるとキックする際に力の入れ方を調整しやすいが、パワー不足と、レスポンスが少々良くないように感じ、このペダルは今後も使用することはないだろうと思った。


■Pearl #810



■駆動シャフトの磨耗


■Pearl #810


・1977年に購入後、使用1年半ほどの間に、スティール製の駆動シャフトの末端部分が摩耗し、緩みが大きくなったため、確か1980年前後に、薄い金属片を噛ませて応急処置をした記憶がある。

■金属片

・シャフト部分に噛ませた金属片。それでもまだビーターの回転角度に遊びが多少できる。

■シャフトの磨耗

・使用に伴い、シャフトがかなり摩耗してしまっている。このままで使用すると、ペダルの踏み込みの際に緩みに近い遊びが出てしまい、キックペダルとしての用途を果たせない。


■アルミ製パーツ

・意外にもアルミ製のパーツのほうは、駆動シャフトを受ける部分がほとんど摩耗していない。

■空回り度のチェック

・パールのキックペダル、#810をオークションで入手されるご予定の方は、駆動ベルトの状態以外にも、駆動シャフト末端の摩耗具合を品質上のチェックポイントにされると宜しいでしょう。チェックの仕方は、ペダルのフットボードを手で軽く押した際に、駆動シャフトの末端部がどの程度空回りするかでわかります。1ミリ程度であればまだ許容範囲ですが、それ以上空回りするようであるならフットボードの踏み込みにおいて「遊び」が相当にあり、補修が必要だと見てよいでしょう。

       


■Pearl P-3000D ELIMINATOR Demon Drive


■デーモンドライブ

・2011年3月購入。
・いろいろ調整したり踏み方を変えてみたりしたが、自分の技量ではまったく使いこなせない。「これが現在の世界最高水準のキックペダルというものなのか……?」というのが正直な感想。体の一部になかなかなってくれようとしないので、別次元の道具のような印象。遊びが一切無いので、キック時以外の時にはビーターがやたらにブルブルと震えて安定せず、打音がばらつく。意図せずヘッドに当たってしまうこともしばしば。恐ろしく踏みづらい。力加減もコントロールも難しく、まったく思い通りに操作できない。よほど時間をかけて操作に熟練する必要があるのだろう。
(記:2012年4月)

       










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