LM400
■Ludwig Supraphonic LM400(1976)
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LM400 100th Anniversary Model(2009)
■Ludwig Supraphonic LM400(100th Anniversary Model)
■Ludwig Supraphonic LM400(100th Anniversary Model)
■Ludwig Supraphonic LM400(100th Anniversary Model)
アルミニウムシェルにクロームメッキを施したこの素材を、かつてラディックは’Ludaloy ’と呼称していた(現在、Ludwigのウェブサイトでこの表現は見られない。シェルの素材については別項を参照のこと。オークションを利用し、2013年5月に中古品を入手(ケース付き)。2009年がラディック創立100周年であり、その記念モデルとして発売されたもの。バッジが100周年限定デザインとなっている。本体は手垢が付いている程度で、数年間徹底的に使い込んだという感じでは全くなく、錆、腐食、キズもなく、状態は極めて良好。シリアルナンバーは打たれてないのだな。。。
※’Ludaloy’はアメリカ本国では『ラダロイ』と発音されている。
・例1: 60's Ludwig Supraphonic COB or Ludaloy? How To Spot a COB 1958-1961 SUPER
LUDWIG Snare Drum
(11秒後、17秒後、2分54秒後、5分42~43秒後、10分44秒後、10分50秒後、11分58秒後、14分4秒後等で発音を聞けますのでご確認ください)
・例2:Demo of Ludwig Supra Snares Drum Side By Side Maple/Ludalloy/Bronze/COB
Chrome/Brass
(50秒後に発音が聞けます)
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■ガスケット
■現行品には高倍音をカットし、また、シェルを保護するため、ラグとシェルの間に挟み込まれたゴムプレート(ガスケット)が装着されている。ヴィンテージスネアにはもともとガスケットは装着されておらず、また、テンションボルトのプラスチックワッシャーも無かったそうなので、ヴィンテージスネアの音質に近づけるため、双方を取り外し、ワッシャーは金属製のものに交換することにした。振動を吸収する10枚ものガスケットでシェルの周囲をがんじがらめに締め付けてしまえば、音響性能に極端な差が生じて当然だ。倍音を抑制し、引き締まったサウンドが必要な場合はそのままにしておけばよい。
■P260A Mounting Screw
■ガスケットを外し、ラグをシェルに装着しようとすると、ガスケットの厚さの分スペースが出来てしまい、シェル内側のネジを締めてもラグがグラグラしてまったく固定できないので、’P260A
Mounting Screw(カップワッシャーとネジ、平ワッシャーの一式)’を入手した。、上の写真で、2枚の黒いゴム板がガスケット(外したガスケット10枚のうちの2枚)。
(記:2013年6月18日)
■Ludwig Strainer P-85
・スネア(スナッピー)テープやスネア(スナッピー)コードをストレイナーに固定するため、折々ネジで締めつけているうちに、台座部分のツメが微妙に折れ曲がってくる。そこで、間に布を挟み、ペンチを使ってこのツメを真っ直ぐに直そうとしたら、力を入れたその瞬間に「パク」というかすかな音がして、呆気なく破断してしまった。破断面をよく見ると、P-85(ストレイナー)は、レバーや機械構造部分等はスチール製のようだが、カバー本体はどうもアルミ製のようだ。
■画像(1)
■画像(2)
・上の両画像ともにグレーの部分がツメの破断面であるが、カバー本体に接合している部分は、実はわずかな面積しかない。一部を除いて接合部が大変細くなっており、十分な強度が確保されておらず、もともと折れやすい構造になっている、
・ツメの厚さ自体はある程度確保されて、一見堅牢そうに見えるのだが、上の写真の破断面を見て分かるとおり、ツメの付け根は、その全面が本体に接合しているわけではなく、一部のみしか接合しておらず、しかも極めて細く(薄く)しか接合していないため、外見の印象に反して大変折れ曲がりやすい。
・画像(2)をご覧になってわかるとおり、P-85のツメを一度折った経験のある方は既に確認済みの事実であろうが、それ以外の方々には、外見の印象に反して、まさかツメの付け根がこれほど折れやすい構造になっているとは想像だにされなかったはず。私と同じように、ツメが少し曲がっていると次第にそれが気になってきて、やがてある時、ふと、今日こそはペンチで真っ直ぐに修正してやろうと思い立ち、さて、いざ実行してみると、力を入れたその瞬間に呆気なく破断してしまい、パーツ交換するはめになったラディックスネアのオーナー達が、いったい世界中にどれだけいたことだろう(カバースライド:P-1017-1)。その拍子抜けし落胆した表情と、後悔の念とともにはき出された嘆息と、そして、こんなつぶやきが思い浮かぶ。
「ほえっ!? ・・・切れた・・・・・・
… うそ・・・
スチール・・・
… じゃないのか・・・・・・
・・・・・・ やるんじゃなかった・・・・・・」
・P-85を装着したスネアドラムを所有している方は、当該部分が徐々に曲がってきても(曲がっていても)、決して物理的な処置を加えないようにすべきです。ネジをきちんと奥まで締め付けようと思って締め込み過ぎると徐々にツメが曲がってきますので、いずれ自然破断する可能性さえあります。このツメ部分に関しては、構造的に十分な強度が確保されていないので、多少の変形があっても、あえてそのことは気にせず、そのままにしておいたほうが無難です。
※この項:記:2013年6月18日
Vintage LM400 ~1976 product?~
■ビンテージ LM400
■Ludwig Supraphonic LM400 1976 product?
・自分には必要無いので、もうスネアは買わないつもりだったが、2013年7月、ああ、買ってしまった(宝物が一つ増えた)。。。 今度は恐らく1976年頃に製造されたビンテージ品で、42,000円で入手。多少の’pits(ぶつぶつしたあばた状の腐食痕)’はあるものの、総じてコンディションは良く、この年代のものにしてはまあまあの美品と言ってよいだろう。以前から気になっていた、ビンテージ品と現行品との重量差やパーツの違いについて調べてみたかったこともあり、早速計測を行ってみた。
※ラディック製ドラムの年代特定(推定)については、楽器店も一般オーナーもシリアルナンバーガイドに掲載された情報のみを根拠としているが、情報そのものに誤りがあると指摘するアマチュア研究家も存在する。シリアルナンバーが『1350×××』である自分のLM400の場合、シリアルナンバーサイトによれば1977年製であるが、その研究家の方の推定にしたがうと1976年製であることになる。当方の記事では、その研究家の方の説にしたがい、自分のLM400は1976年製であると推定しておく。
※参考サイト:
・うるさい象のパオーン教室
ビンテージ研究家の方が、「シリアルナンバーガイドにおけるシリアルナンバー、『917×××』からが1976年製とあるのは誤りであり、1976年製は恐らく『12×××××』辺りから『14×××××』であろう」と推定されています。
・シリアルナンバーガイド(Ludwig Serial Number Guide)
■シェル単体での重量比較
■LM400 2009 model
・ラグ、ストレイナー等のパーツは全て取り外し、シェル単体の重量を比較した。現行モデル(写真上:2009年・100周年記念モデルエンブレム付き)は「786.5g」。
■LM400 1976?
・推定1976年製は「790.5g」。
・推定1976年製には現行品には装着されていないミュート(マフラー)装置のための穴がさらに二つ開いていること、さらに、両者におけるバッジ(エンブレム)の重さの違いといった明らかな相違点以外にも、ラグ取り付け穴の微妙な大きさの違い、クロームメッキの厚さの違い、シェル内側のメッキの厚さの違い、シェルの厚さそのものの違い、若干の個体差等、重量に関する変動要素も種々考えられるので、あくまでこの計測値は参考の域を出ないが、シェル単体の重量を単純に比較すると、「76年製のほうが4g重い」という結果となった。 50円硬貨、1枚分の違いである。あるいは、後述するように、フープをはじめとするパーツ類の仕様や重量の違いの大きさと比較すれば、シェル単体に限っては「両者の重量にほとんど違いはない」、という言い方も可能だ。
■LM402 2009 model
・ちなみに、最近バンドを組んだらしい姪にプレゼントするために購入した中古LM402(2009年・100周年記念モデル・2013年7月購入・¥35000)を同様にシェル単体で計測したところ、重量は「972.5g」だった。今後、ビンテージLM402を入手することは考えていないので、両者で重量比較ができないのが残念。
ただ、LM400のケースと同様、LM402も、シェル単体でビンテージ品と現行品とで重量を単純比較した場合、両者にはほとんど違いは無いだろうと推測される。両者でサウンドが異なると言われている点については、後述するとおり、シェルによる影響よりもむしろフープをはじめとするパーツ類の仕様の違いや重量の違いといった要素による影響もかなり大きいと思われる。
両者のサウンドに違いがあること自体は確かであるが、その原因については数十年にわたり、謎めかしたネーミングをもつ「シェルの素材=Ludaloy(英米では『ラダロイ』と発音される)」の「成分比の違い」に常に目が注がれ、それこそが「主要因」であるかのようにまことしやかに語られてきた。しかし、そもそも’Ludaloy’は「アルミニウム合金」ではなく、「アルミニウムシェルにクロームメッキを施した素材」のことなので(※2014年7月、野中貿易に確認済み。別項を参照のこと)、この事実を前提とすれば、「年代により合金の成分比が異なる」、「合金の成分比の違いが年代によるサウンドの違いを生んでいる」といった推論は成立しないことになる。
ただ、シェルの素材が「合金」ではなく「アルミニウム」である場合も、「アルミニウムの純度」や「経年劣化(エイジング)」等の要素の他に、「メッキ工程の違い(下地処理としてのニッケルメッキの有無等)」「メッキの厚さ」や「メッキの剥げ具合」、「Pits(あばた状の腐食痕)の発生状況」、「シェルの成形状態」等、音質に影響すると考えられる要素は種々考えられるが、シェル以外のパーツによる影響も念頭におくべきで、シェルのみに一面的に視点が注がれる傾向は改めなくてはならないだろう。
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■ラグの構成部品
■ラグの構成部品
・上が現行モデル(2009年・100周年記念モデル)のラグ(アルミ製)とそのパーツ(カップワッシャーは別途購入)、下が推定1976年製LM400のラグ(アルミ製)とそのパーツ。
・ラグ外面のデザインはほぼ同じで、少し離して見るとその違いはほとんどわからない。しかし、推定76年製のほうが各所ラインのエッジがやや角張っており、現行モデル(100周年記念モデル)のほうは面取りが強めに為され、ラインのエッジが滑らかになっている。ビンテージ品のラグは「やや角張った感じ」、現行品のラグは「つるんとして滑らかな感じ」、といった印象である。
・ラグを構成するパーツとその形状もそれぞれ全く異なり、特に推定76年製のラグにはスプリングが仕込まれており、さらに、ラグの内部にはそのスプリングを寝かせる位置に合わせて、薄く細長いスポンジが敷かれている。ただし、スポンジは経年による材質劣化のため既に朽ちた状態になっており、上に掲載した写真のラグについては、分解した時点でちょっとした振動が加わっただけでボロボロと崩れながら剥がれ落ちてくるので、後日、全てのラグについてこのスポンジを除去した。現在流通しているビンテージ品の中には、既にこのスポンジがこっそり除去されているものも少なくないはずで、新たにビンテージ品を購入する予定の方や、既に所有されている方は、その有無や状態を確認しておくとよいだろう。スポンジは金属的な倍音を抑制する機能があるため、サウンドに少なからぬ影響を与えている。
■構成部品の拡大画像
・現行モデル(2009年)のラグ内部には黒いプラスチックパーツが組み込まれている。テンションボルト(テンションロッド)の緩みを抑えるための「テンションキーパーの機能」と、「テンションボルトの固定を高める機能」、さらに、「金属的な倍音を抑制する機能」とを併せ持たせているようだ。
・その他、ラグをシェルに固定するためのボルトについては、現行モデル(2009年)のものにはボルトの頭にドライバー用の十字型の溝が切ってあるが、推定1976年製LM400のものにはアルファベットを組み合わせたロゴのような刻印があるだけで、十字溝は切られていない。
・ラグを取り外しする場合、ペンチやレンチを使用して慣れない作業をし、シェルやカップワッシャー、ボルト等に余計な損傷を与えてしまう恐れもあるので、その点は予め念頭に置いておくべきです。
※参考サイト:
・APOLLO 店長&スタッフブログ (ガスケットを外した場合の音響変化について:音響レンジの拡大、残響の増大、高音域の伸びの拡大、ドライな音質への変化))
・うるさい象のパオーン教室 (ラグ内部のスポンジによる音響変化について:金属質の過大な倍音を抑制する機能)
■ラグのカバーのみの重量比較
■LM400 2009 model
・ラグを構成する細かいパーツ類を外し、ラグ本体のみの重量を計った。現行モデル(2009年)のほうは「51.9g」だった。
■LM400 1976?l
・推定1976年製のほうは「52.8g」だった。現行品との重さの違いは1個当たり「0.9g」であり、10個一セットでは「9g」、10円硬貨、2枚分の違いとなる。ただし、次の2枚の画像でお分かりのとおり、両者では内部の形状が一部異なるので、あくまで単純な重量比較としてのご参考にとどめてください。
※スポンジは自作代替品。
■ラグ内面の形状
■LM400 2009 model
・現行品のラグにはテンションキーパーと思しき黒いプラスチックパーツが組み込まれている。振動吸収剤としての機能も持つのだろう。
■LM400 1976?
・推定76年製のLM400のラグにはスプリングが仕込まれており、テンションボルトをラグの内側に向けて押すと、テンションボルトをねじ込んで固定する金属製のベースパーツ(名称不明)とともにテンションボルトがラグ内部に沈み込む。現行モデルのラグのようにテンションボルトがラグに完全に固定される方式ではなく、テンションボルト(およびそれを固定するベースパーツ)が半ば浮かんだ状態になった「セミ・フローティング機構」が採り入れられている。
このシステムによって一体どんな効果が意図されたのかを探ろうとあれこれ考えてみたが、結局分からない。当方が別に所有するロジャース製、「Superten
Snare drum」のラグにも確かスプリングが組み込まれていたように記憶するが、テンションボルトのテンションを維持する機能を期待しての発想なのかもしれない。これで却ってチューニングが狂いやすくなるのではという気もしないではない。あるいは倍音の増幅等、一種音響的な効果を図ったのだろうか。これが後に廃止されるシステムであることからすると、「実はさ、あのね、うふ、何の意味も無かったのさ、アハ!」、ということなのだろうか。音響的な影響は確かに無くはないにしろ、ラディック、謎のセミ・フローティングシステムである。
※上の画像では、スプリングの奥に赤茶色や黒褐色に変色した、劣化し朽ち果てている状態のスポンジが見えている。かろうじて原形をとどめている状態だが、スプリングを外すと、ほんの少しの振動でもスポンジの破片がボロボロと崩れ落ちてくるほどに劣化しており、ただのゴミクズ状態となっていたため、後日、すべてのラグについて、このスポンジを除去した。
■スポンジの代替品
■スポンジの代替品
・推定1976年製のラグ内部に収められていた朽ち果てていたスポンジを全て除去し、後日、代替品を収めた。3mm厚程度のスポンジがなかなか見つからず、100円ショップで購入したソフトキャリーケースに3mm厚程度のスポンジが使用されていたので、これを13×40mmの長さに切り、新たにラグ内部に収めた。スプリングの座りが良くなり、音響上の特性もきっとオリジナルに近づいたはずである。
※代替… 本来は「だいたい」と読む。
※参考サイト:
・APOLLO 店長&スタッフブログ (ガスケットを外した場合の音響変化について:音響レンジの拡大、残響の増大、高音域の伸びの拡大、ドライな音質への変化))
・うるさい象のパオーン教室 (ラグ内部のスポンジによる音響変化について:金属質の過大な倍音を抑制する機能)
■スポンジ製品
・100円ショップで購入した、3mm程度の厚さのスポンジが使用されたソフトキャリーケース。生地はスポンジの両面に化粧生地や保護生地が接着されたもので、表側の化粧生地は剥がすことができなかったが、裏側の網目状の保護生地は剥がすことができた。3mm程度の厚さで、しかも化粧生地や保護生地などの接着していない単体としてのスポンジが見つかったら、またそれに交換しようと思う。どこかにきっとあるはずだ。
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■ラグ一式の重量比較
■LM400 2009 model
・ラグを構成するパーツを含めて重量を計測した。上の画像は現行モデル(2009年)に装着されているラグで、10個全ての重量は「587.5g」。
■LM400 1976?l
・上の画像は、推定1976年製LM400に装着されているラグ一式で、10個合わせて「599.5g」だが、ラグ内部のスポンジは除去済みであるため、実際にはその分を含めるとわずかにだがもう少し重くなる。スポンジを除き、ラグ10個全体で見て、2009年製との重量差は「12g」、50円硬貨、3枚分の違いである。
■カップワッシャーの重量比較
■LM400 2009 model
・’Ludwig P-260 マウンティングスクリュー’という商品に含まれているカップワッシャー20個分の重さは、「31.5g」となった。
※LM400(2009年・100周年記念モデル)にはラグとシェルの間にガスケット(ゴムパッキン)が挟み込まれており、そのためカップワッシャーは本来装着されていないが、ガスケットを外したことでラグの固定にカップワッシャーが必要になり、別途購入したもの。
※LM400の現行モデル(2009年・100周年記念モデル)には、バット(Butt:ストレイナーと反対側にあるスナッピー固定器具)にもガスケットが装着されているため、このガスケットを外すと、ラグ同様、ボルトだけではシェルに固定できず、やはり別途カップワッシャーが2個必要になる。
■LM400 1976?
・推定1976年製LM400に使用されているカップワッシャー20個全てを合わせた重さは「42.3g」だった。現行品との重量差は「10.8g」。5円硬貨、約3枚分の違いである。
■カップワッシャーの形状比較
■カップワッシャー
・上が推定1976年製LM400に使用されているカップワッシャーで、下が現行モデル(2009年)に別途装着したカップワッシャー(『Ludwig
P-260 マウンティングスクリュー』に含まれるパーツの一つ)。形状も大きさも違うが、何より素材の厚みについては推定76年製のほうが倍ほども厚く、かなり丈夫。丈夫なだけに、ボルトを強くしっかりと締め付けてラグを固定することができる。現行品はボルトを締め付けるにしたがい、カップワッシャーのボルト穴周辺がどんどん沈み込んでゆき、ボルトを締め込めば締め込むほど、逆にそのボルトが緩みやすくなってしまうという大変間抜けな欠点がある。これもまたラディックらしさの一つと言っていいだろう。
■補強処置
・そこで、LM400の重量計測を行った後、現行品のLM400のカップワッシャーには、平ワッシャーを1枚噛ませてから、次に純正品のスプリングワッシャー、ボルトという順にして締め直すことにした。こうすることで、ボルトの締め付けがかなり強くしっかりとできるようになった。サウンドを引き締める効果も無くはないだろう。ただし、ボルトの締め付けが強まる分カップワッシャーの締め付け痕(キズ)がシェルに多少深めに付く可能性があるので、それに対して不安や抵抗がある方は、このような方法を採らないでおくほうがよいでしょう。
※ビンテージ品については、ラグを固定するボルト類の頭には現行品のようなプラスドライバー用の十字の溝が切ってなく、また、ミリ規格のレンチも使用できない。そのため、ボルトを緩めたり締めたりするにはペンチかプライヤー、あるいはインチサイズのスパナ等が必要になる。いずれにしても、慣れない作業によってシェルやパーツ類に余計な損傷を与えてしまう恐れがあり、それを回避したい場合には、ご自身での作業は一切行わないほうがよいでしょう。
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■シェルとパーツ類とを合わせた重量比較
■LM400 2009 model
・フープ、テンションボルト類、ヘッド、スネア(スナッピー)を除いた場合の本体の重量を比較してみた。
・LM400、現行モデル(2009年・100周年記念モデル)の場合、「1671g」となった。
※小数モードに切り替えるのを忘れた。
※シェルにラグ、ストレイナー、バット(Butt:ストレイナーの反対側にあるスナッピー固定器具)を装着した場合の重量。
※ガスケット(ラグ用のゴム板パッキン)は全て取り外した。また、ラグ用とバット用に、別途、計22個、カップワッシャーを装着してある。
※「スナッピ-」について… 「スナッピ-」は和製英語であり、欧米では「snare wire(スネアワイアー)」と称される。よって、「スナッピ-」という語を海外で使用しても意味は通じない。
■LM400 1976?
・LM400:推定1976年製の場合、「1699g」となった。
・2009年モデルとの重量差は「28g」。500円硬貨、4枚分の違いである。
※小数モードに切り替えるのを忘れた。
※シェルにラグ、ストレイナー、バット、及びミュート(マフラー)を装着した場合の重量。
※本来現行品にはラグに「ガスケット(ゴムパッキン)」が装着されているが、この仕様での計測は行わなかった。
※計測時にはラグ内のスポンジを除去してあり、代替品のスポンジをまだ収めていないため、実際はさらにスポンジ10枚分の重量、およそ5gが加わる。その場合は推定1976年製の重量は「1704g」であり、2009年モデルとの重量差は33gとなる。
※推定1976年製の場合、ミュート(マフラー)の重量が「33.9g」であり、それを除いた本体重量は「1665g」となる。この場合の両者の重量差は6gとなる。1円硬貨5枚分の違いである。
■フープの重量比較
■LM400 2009 model
・LM400、現行品(2009年)のスティールフープは厚めで、トップ側のフープの重さは「644.5g」、ボトム側のフープは「624g」で、合計すると「1268.5g」となる。手持ちのノギスでの簡易計測では、厚みは「2.3mm」だった(※参考程度にとどめてください)。
■LM400 1976?
・推定1976年製のスティールフープは薄めで、トップ側のフープの重さは「484.5g」、ボトム側のフープは「473.5g」で、合計すると「958g」となる。厚みは手持ちのノギスでの簡易計測では「1.6mm」だった(※参考程度にとどめてください)。フープのみでの現行品との重量差は「310.5g」と、かなり大きい。500円硬貨で約44枚分、または100円硬貨で約65枚分の違いである。
■テンションボルト類一式の重量比較
■LM400 2009 model
・上の写真は現行品(2009年)に使用されているテンションボルト、及び金属ワッシャー(パール製。プラスチック製のワッシャーは外した)、脱落防止ゴムリング。20本一式の重さは「180g」となった。
■LM400 1976?
・推定1976年製LM400に使用されているテンションボルト、及びワッシャー。20個一式の重さは「205.5g」となった。形状的には、現行品はボルトの頭近くまでネジ溝が切ってあるが、推定76年製のボルトはネジ溝が途中までしか切ってない。現行品との重量差は「25.5g」。100円硬貨、約5枚分の違いとなる。
※LM400(推定1976年製)購入時、ワッシャーが2枚欠品していたため、パール製ワッシャーで代替している。そのため、計測した重量は完全なものではなく、あくまで参考値としてください。
※現行品に標準装備されているプラスチック・ワッシャーの場合だと、両者の重量差はもう少し広がる。
■テンションボルト単体での重量比較
■LM400 2009 model
・ワッシャーを外し、テンションボルト単体の重量を計ったところ、現行品では「8.3g」だった。
■LM400 1976?
・同じく、ワッシャーを外し、テンションボルト単体の重量を計ったところ、推定1976年製では「9.6g」だった。現行品との重量差は「1.3g」で、20本では「26g」、5円硬貨で約7枚分の違いとなる。
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■総重量比較(ヘッド、スネアを除く)
・ヘッドとスネア(スナッピー)を除いたスネアドラム本体の総重量を比較した。
※シェルにラグ、ストレイナー、バット等を装着し、さらにフープとテンションボルト類をも合わせた重量。
・LM400 現行品(2009年・100周年記念モデル)
ヘッドとスネア(スナッピー)を除いたスネアドラム本体の総重量は、「3119.5g」である。
※ガスケットを全て外し、カップワッシャーを装着した場合の重量。
※カップワッシャーをより強く固定するために後日装着した社外品の平ワッシャーの重量は含まれていない。
・LM400 推定1976年製
ヘッドとスネア(スナッピー)を除いたスネアドラム本体の総重量は、「2862.5g」である。
※76年製LM400のラグに収められていたスポンジは除去してあるため、その重さを加えると、10枚分でさらに5g程度重くなる。
・以上から、上記仕様に限り、両者の重量差は「257g」となった。500円硬貨、約37枚分の違いである。ほとんどがフープの重量の違いと言ってよい。
※マフラー(ミュート)の重量、「33.9g」を除いた場合、推定76年製の重量(ヘッドとスネア、スポンジの重量をを除く)は、「2828.6g」である。この場合の両者の重量差は「290.9g」であり、500円硬貨、約41枚強の違いとなる。
※当記事における計測値は電子計量器による実測値ですので、参考程度にとどめてください。ラグやストレイナーに塗布されたグリースの量や金属類に発生した腐食等の要素によっても、個体ごとに重量が変動します。使用した電子計測器は、「タニタ KD-320」です。
※当記事は、単に年代の違うLM400を分解して重量を計測、比較し、記録しただけですので、両者の重量差が即ち音質の違いを決定している、という趣旨を記したものではありません。
P-85 Strainer
■P-85 Strainer Black Face (二穴タイプ)
・推定76年製のLM400のストレイナー(旧P-85)は、現行の’P-85’と異なり、スネア(スナッピー)のヒモを通す穴が二つ開いているだけなのだが、以前破損した現行’P-85’の固定用ステイ(クランプブラケット:LUDWIG P1012)をこちらに転用して、スネアコードとスネアテープの両方を固定できるようにしてみた。
ただし、現行のストレイナーには二つの穴に元もとネジ穴が切られているが、旧モデルの穴にはネジ穴が切られていないため、DIY店で穴径よりも細めのネジ(3mm径×10mm長)、ナット、ワッシャー、バネ座金(いずれもステンレス製)を購入し、装着した。ネジを強く締め付けすぎるとストレイナーの側の台座(ツメ部分)が曲がってきたり折れたりするので、締め付け過ぎには注意を要する。ストレイナーの表側から、ネジ、バネ座金、クランプブラケット、ワッシャー、ストレイナー台座、ワッシャー、ナットの順に装着した。ストレイナーのツメ部分(ネジ用台座)の脆弱性についてはこの項目内冒頭に記したので参照してください。
・クランプブラケットのような器具を使用してスネア(スナッピー)コードをタイトに固定する方法と、あるいは反対に手結びだけで固定し、コードの伸縮性をある程度保つ方法とでは、コードの伸縮度に大きな差が生じるので、それがスネアの共振性能、ひいては総合的な音質にも相当な影響があることくらいは素人である自分にも容易に想像がつく。クランプブラケットのような固定器具を用いずに、あくまで手結びによる固定によっただけのほうが、よりオープンで伸びやかなビンテージサウンドらしくなるのかもしれない。
※因みに、市川宇一郎氏の「ジャズ・ドラム入門」(ドレミ楽譜)によれば、スネアスタンドの3本のアームでスネアドラムを強く締めつけるとシェルの振動が妨げられ、スネアドラムが充分に鳴らなくなるため、アームにはスネアドラムを載せるだけにしたほうがよいとのことである。また、スネア(スナッピー)を固定するためのプラスチックフィルムは伸縮性が低いため、伸縮性に富んだ「ヒモ」を用いたほうが自然でふくらみのある響きが得られやすいとのことである。
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■ストレイナーの緩み軽減措置
・P-85ストレイナーは、スネア(スナッピ-)のテンションが大変よく緩むので、当方では以下のような措置を採って緩みを軽減させている。それでも緩み自体は収まらないが、ノブをガムテープで固定してしまうよりはましだと思っている。
■作成法
・「オレフィン系エラストマー・ゴム板」をDIY店で入手し、上の画像の右下にある「下駄」を作るだけ。サイズは「幅11mm×高さ10mm」。ゴム板のもう片方の面にある凸部はカッターで切り落とす。
※天然ゴム製では試作していません。各自で効果・劣化具合を比較してみてください。
■装着方法
・「ゲタ」をストレイナーの溝にはめ込み、ゲタの縦溝にボルトを通す。
・ストレイナーのヒモの結び方は、我流ですが、ストレイナーの穴の裏から表へ通した後、そこで一回クロスさせたら、今度は下側から再び裏へ回し、ツメの上側から表へ出して、そこで二回結んでいます。これで多少はタイトになるようです。もっといい結び方があるかもしれませんが、よく知りません。
Ludaloy とは?
■’Ludaloy’とは、アルミシェルにクロームメッキを施したシェル(Chrome Plated Aluminum Shell )のことである。ラディックの本国ウェブサイト中には現在’Ludaloy
’という語が存在しないようだが、’Supraphonic’のページ内にある商品紹介コメントには、シェルについては’beaded aluminum shell’と明記されている。
※’Ludaloy’はアメリカ本国では「ラダロイ」と発音される。
・例1: 60's Ludwig Supraphonic COB or Ludaloy? How To Spot a COB 1958-1961 SUPER
LUDWIG Snare Drum
(11秒後、17秒後、2分54秒後、5分42~43秒後、10分44秒後、10分50秒後、11分58秒後、14分4秒後等で発音を聞けますのでご確認ください)
・例2:Demo of Ludwig Supra Snares Drum Side By Side Maple/Ludalloy/Bronze/COB
Chrome/Brass
(50秒後に発音が聞けます)
※「アルミニウム」については、北米でのスペリングでは’aluminum’となり、発音は「アルミナム」、北米以外でのスペリングは’aluminium’で’i’が加わり、発音は「アルーミニアム」となる。
※’bead’は、「ビード加工」と呼ばれるプレス工法により、スネアドラムのシェル側面の円周上にエッジと平行に筋状の突起を施した部分のこと。この加工部分が「ビード=輪帯(りんたい)」と呼ばる。スネアドラム以外にビード加工された製品の典型例としては「ドラム缶」がある。スネアドラムにおいては、その代表的な形状に、’Supraphonic’や’Acrolite’に見られる「センタービード」があるが、他にシェルの上下に二本のビードを加工した’ダブルビード’等がある。ビード加工本来の目的は薄い素材の剛性を高めることであるが、スネアドラムの場合は強度以外にも音響的な効果やデザインを念頭に設計されるのが一般である。
・’Supraphonic’の商品コメント内にある’beaded aluminum shell’という表記についてだが、’alminum’には「アルミニウム合金」という意味は存在しないので、’Supraphonic’のシェル素材については字義どおり「アルミニウム」であると捉えてよい。同様に、’Acrolite
LM404’の商品説明には、’brushed-aluminum shell’とあり、つまり、’Supraphonic’と’Acrolite’のシェルの素材はいずれもアルミニウムで、まったく同一である。ちなみに’acro-’には「先端の、頂点の」という意味があり、’lite’は「軽い」という意味の’light’と同じ意味で使われる語である。’Acrolite’には、「軽量素材のアルミニウムをシェルに使用した先駆的スネアドラム」という意味が込められているのだろうか。
※’brushed’は、「ブラッシュド加工」と呼ばれる表面処理法のことで、’Acrolite’の場合は物理的に表面を荒らすことで艶消し処理を行っている。尚、日本では一般に「t」と「d」の発音を区別せず、「マッチドグリップ」「ベイクドポテト」「ウォッシュド」「シェイクド」などと発音するが、本来の英語では中学で習うとおり、「マッチト」「ブラッシュト」「ベイクト」「ウォッシュト」「シェイクト」と無声音で発音される。
・「合金」という意味の語は’alloy’であるが、’Ludaloy’にもそれに類似した、’l’が一つ足りない’aloy’がその綴りに含まれている。さらに、シェルに施されたクロームメッキが剥がれた後に現れる鈍い灰色をした地肌や、軽く、磁石の付かない性質等も傍証として加わり、そこから、’Ludaloy’とは、’Ludwig’、’alminum’、’alloy’の三語を合成して造語されたものであり、即ちその素材は「ラディック独自の開発によるアルミ合金」のことであろうと誰しも推定してしまうものだ。事実、数十年の間そう信じられてきたし(海外でも同様)、「アルミ合金」という言葉が現在も一人歩きをし、亡霊のように彷徨い続けている。
同じアルミニウムを素材としたシェルでありながら、’Supraphonic’の素材が’Ludaloy’とされ、’Acrolite’がそうでなかった大きな理由とは、ただ一点、シェル表面に施されたメッキの有無の違いのみにある。’Acrolite’がアルミ素地のままであるのに対し、’Supraphonic’は表面にクロームメッキが施されている。
つまり、’Ludaloy’は純粋な意味での「合金」ではないが、当時メッキ加工の難しかったアルミ製のシェルに「異種の金属(クローム)」をメッキという形で「混成」することで、個性的かつパワフル、そして普遍的な音質を生む画期的なシェル素材として、そこに積極的に高い製品価値を与え、強い期待と確信を込めて、また、謎めいたほのめかしによる注目を狙って’Ludaloy’を造語したのかもしれない。
ただ、アルミニウムの「純度」の違いや誤差という点では時代による多少の変動が推察されるにせよ、’Ludaloy’という素材が明確な目的と意図を持って異種の金属を特定比率で配分した「アルミニウム合金」でないことだけは確かなようである。そうでなければ、わざわざラディックが’aluminum shell’などとは明言しないはずだ。
※ラディック製品の総代理店、野中貿易の’Acrolite’の商品ページには、「継ぎ目のないアルミ合金シェル」とあるが(2013年7月現在)、これは、従前から錯綜してきた’Ludaloy’の素材についての風聞による錯誤かもしれない。そもそも’Acrolite’のシェルにクロームメッキを施して誕生したのが’Supraphonic’だったという歴史があり、その’Supraphonic’のシェルの素材が「アルミ合金」であると永く信じられてきたわけだから無理もない。あるいは、グレーな神秘性が付加価値として営業的な側面での作用を果たしているといった要素もあるかもしれない。しかし、繰り返すが、ラディック側では’Supraphonic’の素材についても、’Acrolite’の素材についても、いずれも’aluminum shell’であると自ら明言している。’aluminum alloy(アルミニウム合金)’であるとは決して言明していない。かつて実際にシェルの素材が「アルミニウム合金」であったものが、いつの頃からか秘密裏に「アルミニウム」に変更されていたとしたら、それはもはや本来の’Supraphonic’とは本質的に異なる、まったく別の仕様を備えたスネアドラムのラインナップだということになってしまう。いずれ野中貿易に直接問い合わせてみる予定です。
★追記:2014年7月15日、野中貿易の担当者の方に電話でお話を伺った。
「ラディックのウェブサイトの記事によれば、’Supraphonic LM400’等のモデルのシェル素材は’aluminum’と記載されているが、実際は『アルミニウム』なのか、『アルミ合金』なのか」
「基本的にはニュアンスの違い。’Ludaloy’の語義は不明だが、’alloy(合金)’との連想、また、一般にスネアドラムに用いられるスティール(鋼鉄:鉄に炭素を含んだ金属)やブラス(黄銅鉱・真鍮:銅と亜鉛との合金)といった素材と対照させ、表現上のニュアンスとして『アルミ合金』という語を使用している。’Supraphonic’も’Acrolite’も、実際には確かにシェルの素材は同じ『アルミニウム』であり、正確には『アルミニウム合金』ではない。」
とのことで、つまりは、
「’Ludaloy’という名称から連想される’alloy’(合金)をニュアンスとして含めて『アルミ合金』と敢えて表現しているが、実際の素材(アルミニウム)とは異なるので、表現としては正確ではない」ということのようでした。
※ラディック製品において現在’Ludaloy’という語が見られなくなったのは、アルミにクロームメッキを施したシェルをもつスネアドラムを生産するメーカーがラディック社以外にも存在し、ラディック独特のシェル素材とはならなくなったからかもしれない。ちなみに、アルミにクロームメッキを施す処理を施したスネアドラムをラディックに先がけて開発したのはSONOR(ドイツ語では「ゾノア」、または「ゾノール」)であるとの不確実な情報があるが、真偽は不明である。
■ラグの中のスプリングやスポンジの有無、フープの違い、ストレイナ-の仕様の違い、また、パーツ類の素材や細部仕様の違い、メッキ状況等、重量や仕様に関する種々の変動要素を考慮せず、年代ごとのLM400を手に抱えて比較し、「~年製は重い、軽い」といった比較を論じるのは意味がない。重量が違うのは仕様が違うためである可能性もあり、それが音質にある程度の影響を及ぼすのは当然なのだし、そのうえ、「シェルに用いられている金属の成分比の違い」にまで発展させて論じるのは論理の飛躍だ。シェルの素材はもともと「アルミニウム合金」ではなく「アルミニウム」なのだから、推論を行ううえでの「大前提」がそもそも成立していない。一人歩きをしている根拠の判然としない伝説や神話に弄ばれないよう注意したい。しかしながら、「Ludaloy」が「アルミ合金」であるとの数十年にわたる誤った認識は今すぐに消えることはなく、今後も一般のみならず、ショップなどにおいてさえも長らく続くだろう。
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■シェルへの磁石の吸着について
・一般の磁石はLM400、LM402のシェルに吸着することはないが、超強力マグネット(100円ショップ『ダイソー』で入手)ではどうなのか実験してみたところ、上の画像にあるとおり、推定1976年製も現行品も、決して強力にではないが確かに吸着した。
2016年3月4日、この現象についてメッキの専門業者に電話で尋ねたところ、「アルミニウムにもクロームメッキにも磁石は付かない。ただし、アルミ地にクロームメッキを施す際に下地処理として塩化ニッケルによるメッキを施すが、ニッケルは鉄と同様に磁性体であるため、磁石はそれに反応する」とのことだった。超強力マグネットを使用した場合のシェルへの磁石の吸着力の弱さからすると、確かにこの説明は合理的で納得できるものである。
尚、ラグの場合、超強力マグネットを使用するとシェルよりもさらに強めに吸着するが、これはラグ内部に挿入されたテンションボルトなどのスティールパーツに反応していることによる。また、ストレイナーのノブ部(テンション調整ボルト上端部のツマミ部分)については、現行品の場合は磁石が強力に吸着したが、推定1976年製LM00の場合、納豆の粘り気程度の極めて弱い吸着しか示さなかった。これは現行品の場合はノブ部の素材がスティールであり、推定1976年製の場合はアルミニウムということであるようだ。
(この項、2016年3月4日追記)
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■ビンテージサウンド
・現行品(2009年製)とビンテージ品(推定1976年製)とのサウンドの違いについてだが、当方はドラミングの技術についてはまったくの趣味レベル、素人レベルであるため、残念ながら専門的な見解を提供することができない。敢えて両者のサウンドの印象だけを単純に比較するなら、現行品(2009年製)もビンテージ品も、「どちらもまとまりのある、汎用性の高い、クセの無いサウンド」ではあるが、ビンテージ品はその点に加え、「金属的な倍音が大きめで、サウンドがよりオープンで伸びやか」というものだった。
しかしながら、ビンテージLM400を購入後、スタジオ練習で数回使用しているうちに、その「クセが無く、まとまりのよいサウンド」、それ自体は大変好ましいことではあるものの、逆にそのためにだんだんムズムズとして来、イライラとしてストレスを感じるようにまでなって、使用5回目にはついに我慢できなくなってしまった。そこで、当方の場合、LM400以外に1977年に購入した”Rogers
Superten 6.5×14(推定1976年製)”を所有していたため、それに替えて使用してみると、LM400のサウンドとは異なる、「ス カーン!」とよく抜けるスティールシェルの小気味よいサウンドがこれまで以上に、また、想像以上に新鮮に、かつ刺激的に心に響くようになり、そのサウンドをいっそう楽しめるようになった。LM400の購入を検討されている方は、スティールシェルやブラスシェル等の、お手持ちのメタル製スネアドラムの持つサウンドの魅力を再発見できる可能性もあるということを念頭に置かれるとよいでしょう。
・これまで見てきたとおり、ラグやフープ、バット、また、それらを固定するためのボルトやワッシャー類に至るまで、パーツ類の全てが現行品とビンテージ品とでは同一の製品がまったく使用されていない。そのため、LM400は製品全体として見ても、総合的な音響バランスからしても、両者で完全に同一とはなりえず、LM400の発売以来、その基本構造や仕様に大きな変化が無いとされているように、コンセプトとしては同一のLM400であることに間違いはないが、しかし一方では、両者は極めて近似した別の製品であるというとらえ方もできる。結局はオーナーの受け止め方次第ではあるが。
そこで、現行品については、ガスケットが装着されているならばそれを外し、テンションボルト用のワッシャーがナイロン製ならそれを金属製ワッシャーに替え、テンションボルト自体も形状の似た重めの商品を探して替えてみたり(あるのかな?)、ラグ内部にスポンジやスプリングを組み込んでみたり、また、特にフープは薄く、軽いものに替え、スネアテープではなくスネアコードを使用するなど、さまざまな変更や工夫を加えてビンテージサウンドへの変化を追究する新たな楽しみもありそうだ。
■現行品のラグにスプリングを組み込む
■LM400 2009 model
・DIY店で「スプリング」、100円ショップで「ハトメ(鳩目)」を入手し、「スポンジ(先項で紹介したソフトキャリーケースの生地)」も加え、現行品のラグにスプリングを組み込み、ビンテージ品のラグ構造に似せた小細工をした。ハトメはテンションキーパーを挿入するポケットに一緒に挟み込んである。プラスチック製のテンションキーパーは振動の伝達を抑制するので使用したくなかったが、いろいろと試してみて、誰にでも簡単な細工で現行品のラグにスプリングを組み込める方法が他に見つからなかったため、やむなくそのまま使用した。
上の画像では「13×30mm」のサイズにカットしたスポンジ(厚さ3mm)をラグ内の底部に敷いてある。このスポンジを外し、スプリングを指先で弾くと、「ビョンビョン」とかなりの振動が発生する。ビンテージ品のラグには、こっそりと内部のスポンジが除去されているものも少なくないが(気づいていないオーナーも多い)、それと似た音響効果を生み出せる可能性がある(かも)。。。
プラスチック製のテンションキーパーが装着されているうえに、さらにスポンジを敷くとスプリング固有の振動がほとんど無くなり、ラグにスプリングを組み込んだ意味が無くなるので、スポンジを使用する場合はもっと小さめにカットしてラグの底部に敷き、ある程度スプリングの振動が保持されるよう調整してみてはいかがだろう。当方では上の画像の撮影後、15×10mm程度の大きさにスポンジをカットし、10個のラグそれぞれに装着した。スポンジのサイズが逆に小さすぎると、使用に伴いスポンジがずれたり外れたりする可能性もあるので、サイズは適宜判断してください。
※本加工は2014年7月12日(土)~13日(日)に行った。
※追記(2014年7月17日)
・ラグにスプリングを組み込んだ後、本日、スタジオ練習で現行LM400(2009年)を13か月ぶりに使用した(ノーミュート)。自分はスネアドラムの音質は3種しか知らず(二台のLM400以外には、ロジャース・スーパーテン・6.5インチ)、音質の違いや音質の微妙な変化をしっかりと聞き分けられるような水準ではないため、よくはわからなかったが、今日の直感的な印象では、やはり倍音が少なめで、ドライでありながらサウンドに色合いや深みが感じられ、LM400が、「もっと自分を知ってほしい。自分の歌を聞いてほしい」と訴えてくるように思われ、つい心が引かれてしまった。そして、今後このモデルを手放すことは無いだろうと、そう確信した。以前はこのように感じたことはなかったのだが。
■スプリングの組み込み
・スプリング(和気産業:SR-441・押バネ・線径0.8×外形10×自由長70mm・ステンレス)を半分の長さにカットし、その後、全長約5cmに引き伸ばして使用した。つまり、1本のスプリングでラグ2個分が作成できるということ。
■スプリングの組み込み
・ハトメ(100円ショップで入手・外径12mm×内径7mm)は一般的な絶縁ペンチを使用して、縁をフラットに押しつぶす。スポンジは「すきまテープ(スポンジ製)」や台所用スポンジなどを利用するとよい。
※テンションボルトが真っ直ぐにねじ込めるよう、ハトメの位置を調整してください。
※パーツ類の取り外し、取付け、およびラグへの細工等の一切の作業に関しては、すべて自己責任において実施してください。
(この項:記2014年7月12日)
※参考サイト:
・APOLLO 店長&スタッフブログ (ガスケットを外した場合の音響変化について:音響レンジの拡大、残響の増大、高音域の伸びの拡大、ドライな音質への変化))
・うるさい象のパオーン教室 (ラグ内部のスポンジによる音響変化について:金属質の過大な倍音を抑制する機能)
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■まとめ
’Supraphonic LM400’は、
①ビンテージ品(推定1976年製)と現行品(2009年)は、ともにシェルは「アルミニウムにクロームメッキを施したものが採用され、アルミニウム合金は使用されていない」(※2014年7月15日、野中貿易に確認済み)。
②アルミニウムの純度やメッキの厚さ等に関しては年代ごとの相違は推察されるが、そうした要素が音質にどの程度の影響を与えるのかは科学的な分析データが存在せず、不明である。尚、本ページでは現行品とビンテージ品とでシェルの素材がアルミニウムで同一であることを前提とし、シェル単体として比較した場合に両者に音質の差異は無いという主張は一切していない。⑧にあるとおり、極端に言えば製品の年代を問わず、ギターのように個体ごとに音質が異なっていても全く不思議ではない。
③ビンテージ品と現行品とでは、シェルを除き、パーツ類全ての仕様が異なり、重量もまた異なっている。パーツ類の仕様や重量の違いは、シェルの振動や音響に、ある程度の影響を与えている。
④ビンテージ品には、他にミュート装置(マフラー)を構成する金属パーツや、ラグ内部に組み込まれたスプリング等、シェルの振動や音響に影響を与える要素が加わる。
⑤現行品には、「プラスチックワッシャー」、「ガスケット(ゴムパッキン)」、「ラグ内部に組み込まれたプラスチック製のテンションキーパー」など、ビンテージ品には無い種々の「倍音を抑制するためのパーツ」が使用され、それらがシェルの振動や音響に少なからぬ影響を与えている。
⑥「’Ludaloy’はアルミニウム合金らしい」という誤った推測や噂がやがて「事実」と捉えられるようになり(海外でも同様)、さらに、その推測や噂が大前提となって、「’Supuraphonic’は年代によって合金の成分比が異なる」、「合金の成分比の違いが年代ごとのサウンドの違いを生んでいる」といった論理に飛躍し、まことしやかな神話となって定着してしまった。
⑦ビンテージ品と現行品とでサウンドに違いがあるとすれば、シェルそのものの要素以外にも、シェル以外のパーツ類の違いやフープの違い等による影響も当然大きい。
⑧シェルに関しては、シェルそのものの厚さの違い、メッキの厚さの違い、メッキの剥がれ具合、シェル内面のメッキ状況、ピッツ(pits=アバタ状の腐食痕)の状態、ビード(輪帯)やエッジにおけるプレス形状の微妙な違い、グリスの有無や量の多少、スティールパーツの錆び具合、アルミニウムの劣化(エイジング)状況等、それぞれの要素について年代や個体ごとの差異は当然考えられ、音質にも少なからず影響を与えている。
⑨60年代のLM400については、当方で現物を所有していないことや情報不足もあり、また、70年代のモデル以上に情報が錯綜しているようなので、現段階では推測が困難。通常アルミ地に下地処理として施される「塩化ニッケルによるメッキ」が製造初期には行われていなかった可能性があり、その点がアルミの著しい剥落、腐食に大きく影響し、音質の違いにもまた大きな影響を与えていることが考えられる。また、先述したとおり、シェルの素材を「アルミニウム合金」であると前提し、それをもとに「成分比率」や「音質の違い」等について推論、論評するのは飛躍である。
⑩現行品(2009年)の場合、ラグにはゴム製(PVC?)のガスケット、ラグ内にはプラスチック製のテンションキーパー、ワッシャーにもまたプラスチック製というように、ゴムやプラスチックを素材とするパーツが各所に多数用いられ、さらに厚く重いフープを装備することで、「サウンドを引き締め、倍音の発生を極力抑制する仕様」となっている。それに対し、ビンテージ品(推定1976年製)には、ラグ内のスポンジ以外(ビンテージ品の中にはスポンジがオーナーによって既に除去されている場合もある)、そうしたパーツ類やフープは装備されておらず、そのため、逆に「シェルの振動が解放され、倍音を発生する種々の要素を備えた仕様」となっており、極めて対照的な仕様の違いが認められた。
■以上のように、厳密には両者は「完全に同一の製品ではない」。あるいは、両者は「『振動・倍音解放仕様(ビンテージ品)』と『振動・倍音抑制仕様(現行品)』の別モデル」である、とも言える。
そこで、現行品については、スネアドラム本体の倍音を抑制する種々の要素を極力取り除き、フープを薄いものに交換し、スネアにはストラップではなくヒモを使用する、といった簡単な処置を行うだけで、「金属的な倍音が多めで、かつ、オープンで伸びやか」であると言われるビンテージサウンドにある程度は近づけることが可能だろう。LM402等のモデルについても同様のことが言える。
※この項:記:2013年7月23日
(追補:2014年7月13日)
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■課題曲、’EXPRESSO’ 仕様
・練習セット:レモのロートタム、ラディックのLM400、ラディックのスピードキング。
・2018年2月6日(火)撮影
■課題曲:’Expresso’ by GONG(1976) 作曲:ピエール・モーレン
■Gongのアルバム、’Gazeuse!’(1976年)に収録されている’Expresso’。ドラマーのピエールは12台のロートタムをそれぞれ音程の低いほうから「Lower
C、Lower F、Lower G、C、G、A♭、B♭、Uppwe C、Upper E♭、Upper F、Upper G、Upper A♭」で音階チューニングを行い、意図されたフレーズ構成によって流麗かつダイナミックなロートタムサウンドを炸裂させている。ギターは当時GONGのメンバーだったアラン・ホールズワース(2017年4月16日逝去)による演奏である。
■REMO ROTOTOMのページはこちら
■Ludwig L201 スピードキングのページはこちら
Snare Drum
■Rogers Superten(6.5×14")
・1977年、池袋駅の近くの楽器店で購入。老店主に勧められて購入した商品だった。2割引きするという話だったが、後に入手したカタログで改めて定価を調べてみると、自分が購入した価格は上位モデルの’Rogers
Dyna-Sonic’の値段の2割引きだったことに気づく。競争の激しい社会である。そして、純粋で無防備な少年が客だったので、老店主はきっとわざと価格を間違えてしまったのだろう。。。
当時、新聞配達でお金を稼ぐことは大変なことだったのだが、よく調べて購入しなかった自分も悪い。相手を信頼していただけに自分の心の傷やショックは小さくなかったが、世の中の現実というものを思い知らされた出来事ではあった。
■Rogers Superten (6.5×14")
・コンディションは良好。シェル内側に若干のサビは浮いているが、外見はピカピカ。ヘッドとスネア(スナッピー)も30年ぶりに交換し、2011年秋、スタジオで30年ぶりに音を出してみた。スタジオの環境によるのかどうかよくはわからないが、スネアとはこんなに大きな(破壊的な)音を出す楽器だったかと改めて驚く。(記:2012年4月)
・ロジャースの「スクリプトバッジ」と「ビッグRバッジ」とが併用されていること、さらに、「ビッグRバッジ」がストレイナーの右側に位置していることから、1976年製造の製品だと思われる。ところで、’ビッグRバッジ(Big
R foil badge)’にはゴールドのものとシルバーのものと二種類あるのだろうか…? ゴールドと言っても薄めの色だが。
■Rogers Drums Catalogue(1977年版 …52・7・30・000)
・当方で所有する「Rogers Drums Catalogue(1977年7月版 …S52.7.30,000)」より。’Supertenn Snare
Drum’の商品案内には、「胴はコールドロールスチール製で、パワー、深みのある音質、音ぬけ、スティックワークの容易さ、さらに耐久性の高さとやさしいチューニング、あらゆる点でやはり本物です」とある。
※cold rolled steel …冷間塑性加工された鋼鉄。
・1977年の2月版(52・2・10,000)には、’Supertenn Snare Drum’の商品案内に、「ファンキーサウンド スーパーテン!
現代の音楽にぴったりです。パワー、ボリューム共に抜群、重厚なサウンドが生み出されます。操作性、チューニングは簡単です」とあり、また、1980年6月版(55・6・30,000)には、「コールドロールスチール材を使用し、ロックミュージシャンのパワフルなドラミングに最もマッチします。完全に真円であることから、そのチューニングのしやすさ、正確さは高い評価があります」とある。
※ここには掲載していないが、1980年版のカタログでは’Superten’の14×6.5インチサイズの価格は、¥57,500になっている。