ホバークラフトの紹介

少し本格的な2モータータイプのホバークラフトです。モーターと電池ケース以外は全部自作しますので製作に時間がかかりますが、確実に動くホバークラフトができます。
ホバークラフトは浮上用の空気流をどのように作るかがポイントになります。ファンを回して一定の圧力の空気を床と接する底面から流しながら浮上します。ファンを格納する容器の選択とファンを回転させるモーターの取り付け方法を試行錯誤しながら改良してきました。4号というのは改良4番目という意味です。
稲毛エジソンクラブでは、1回3時間の教室2回で作っています。

関連資料

参考とした情報

遠心ファンのデザインは東工大ScienceTechnoのHPを参考にしました。
ポリシートを使ったスカートの構造は2006年の科学の祭典千葉大会で羽根岳雄先生(当時松戸市河原塚中学校)の工作で教えてもらいました。他にもいろいろな方が製作しています。

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作り方

材料

  • 型紙1:遠心ファン製作用、工作用紙に印刷する。A4サイズから2組とれる。1組でファン2個分。
  • 型紙2型紙3:ホバークラフト本体加工用。コピー用紙に印刷する。
  • 型紙4:舵、色画用紙、ケント紙など少し厚手の用紙に印刷する。
  • 型紙5:推進プロペラ用。コピー用紙に印刷する。
  • カラーボード(紙を貼っていないタイプ、A5サイズ、厚さ5mm)
  • モータ:マブチモータのFA130を2個使用する。
  • プロペラ:PPシート(厚さ0.75mm、40mm×150mm)を使って作成する。
  • 電池および電池ホルダ:単3電池2本を使う。スイッチ付きのホルダを用意する。
  • ローターホルダー:25mm□×1-2mmtのプラスチック板。中心に2.0mmφの穴をあけたもの、2個。
  • ファンケース:「ホワイトペーパーカップ140ml」という名で売られている(ダイソー)。底面の直径が約55mm、高さが48mm程度のもの。透明プラスチックのふた付き。ふたとカップの両方使う。
  • モーターホルダー材:10mm厚の紙をはってないカラーボード。34×64mmに切り出しておく。
  • プロペラ台:木のブロック30mm×30mm×15mmt。
  • スカート:厚さ15μmのポリ袋から切り出し(A5サイズより少し大きめ)。
  • アルミ線:かじのコントロールロッド1mmφ、19cm
  • 治具1:紙コップの底開口用型紙(ファンローター部品F2);治具2:モーターホルダーにモーター差し込み用の穴を熱線カッターで開けるときに使う治具;治具3:モーター台(カップのふた)穴開け用型紙

工具・補助材料

  • コンパスカッターと針保持用の円盤(えんばん)、2mmドリル(ピンバイスが付いているものがいい)、台になる木片、千枚通し、ホットカッター(ハンダごてでも可)、熱線カッター(発泡ボード用、電源含む)、アイロン、定規、カッター、カッティングマット、はさみ、ピンセット、つまようじ(一人3本程度)
  • 油性ペン、スプレーのりあるいはスティックのり(はがせるタイプのもの)、セメダインC、プラスチック用接着剤(ボンドクリヤーGP)、両面テープ(5mm巾(はば)と10mmあるいは15mm、両方)、ビニールテープ。

工作手順


T.遠心ファンローターの作成
  1. 型紙からコンパスカッターを使って部品を切り出す。
    • 円板F1が一つとドーナッツF2、F3が二つ。
  1. ドーナッツに実線が書いてあるほうからベーンガイドF3を4枚切り出す。
    • 必要な数より多く印刷されている。
  2. 型紙から羽F4を8枚切り出す。
    • 必要な数より多く印刷されている。
  1. 羽F4を曲げて羽ガイドF3にちょうど合う形にする。
    • 軽く曲げながら羽ガイドに合うようにかたちづくる。
    • 8枚全部成形する。
  1. カバーF1の斜線部(しゃせんぶ)に羽ガイドF3をセメダインCで接着する。
  1. 羽を接着する。
    • 羽ガイドを利用してカバーF1と羽ガイドの角にセメダインをぬり、羽を取り付ける。
    • セメダインは多めにぬる。
    • つまようじを使って羽を羽ガイドに押し付(おしつ)ける。
  1. 入り口カバーF2のガイド線(一点鎖線)の上にセメダインをぬって、羽に合うように6.と重ね合わせ接着する。
    • セメダインは少し多めにぬる。
    • ガイド線と羽をうまく合わせるように重ねる。
    • 入口カバーF2とカバーF1の中心ががちょうど重なるようにあわせる。
  1. 出来上がったローターのチェック。
    • カバーと羽が接着していないところが無いかどうかよくチェックして、接着していないところにセメダインCをつまようじでぬる。

U.ファンユニットの組み立て
  1. ファンローターにモーター軸の穴をあける。
    • 2mmのドリルを使う。
    • 木の台に置いて、コンパスカッターの穴に合わせて開ける
  2. ローターとローターホルダーの接着面に接着剤をぬる。
    • ボンドGPクリア、あるいはプラスチック接着剤を使う。
    • ローターの接着面にぬってからローターホルダーを重ね、接着面をすり合わせて接着面に接着剤を広げる。
  3. ローターホルダーを取り外して接着面を上に向けて置き、放置する。
    • 接着は接着剤が乾くのを待って、後のステップで行う。
  1. カップの底に丸穴をあける。
    • 治具1をカップの底の真中において、中の円をサインペンでなぞって切り抜く円をコップの底に書く。
    • 円にそってカッターナイフで切り穴をあける。
  2. カップの側面に導線が通る穴を2本あける。
    • 千枚通しで図の位置にあける。
    • 外からモーターの導線を差し込んで少しきついぐらいの穴にする。
  1. 熱線カッターを使ってモーターホルダーを加工する。
    • 治具2にモーターホルダー材を挟み込みテープで固定する(写真下)。
    • 熱線カッターで周囲を切る。
    • 抜き取る場所の真中にクジリで5mmぐらいの穴をあける。
    • 熱線を外して上で開けた穴に通したあとカッターにひっかけ止める。
    • 熱線を型に当てながら(上下に同じ型がある)ゆっくり動かしてモーターが入る穴を切り抜く。
    • 切り抜けたら熱線をフックから外してホルダーから抜き取り、もう一度フックにかけて線を元に戻す。


熱線カッターの使い方
熱線カッターは、熱線が取り外し可能なものならどのようなものでもOK。ここでは自作のカッターと電源を使ったものを紹介する。
  • 電源は定電流電源を使う(電流は約1A)。
  • スイッチを押すと熱線に電気が流れ熱くなる。
  • 熱線をフックから外すときは、2本の竹ひごのフックに近い場所を軽くつかんで巾をせまくして外す。熱線を取り付けるときも同じ。
  • 使う前に熱線を指ではさんでしごいてできるだけ真直ぐにしておく。
  • カッターはゆっくり動かす。

  1. 紙カップのふたに穴をあける。
    • 治具3を紙コップのふたにはめる。
    • ハンダごてを使って中央に穴をあける。
    • 紙の型にハンダごてを強く押し付けてはいけない。
    • 切り取った部分が平らになるように。
    • 穴があいたらモーター(出力軸の反対側)の白いつき出ている部分を差し込んでみる。
組み立て説明図
  1. ローターをモーターに取り付ける。
    • ローターホルダー、ローター、ローターホルダーを順番にモーター軸に差し込む。
    • 上のモーターホルダーからモーターの軸を2mm出す。
    • 二つのモーターホルダーをお互いに押し付けてローターを接着する。
  2. モーターをローターホルダーでカップのふたに固定する。
    • モーターホルダーのカップのふたとの接着面に両面テープをはる。
    • モーターをモーターホルダーに反対側に5mmぐらい出っ張るまで差し込む。
    • ふたの穴に合わせてモータを乗せ、モーターホルダーとふたを接着するる。
    • モーターホルダーの差し込みが緩い場合はモーターに10mmの両面テープをはってから差し込む。
  3. ペーパーカップにふたをはめ込む。
    • モーターの導線をカップの側面に開けた穴から外に出す。
    • モーターを取り付けてあるふたをペーパーカップにはめ込む。
  1. 紙カップのふたにファンで送る空気が通る穴をあける。
    • ふたの平らな部分に穴をあける。
    • ハンダごてを使って半月状の穴をあける。
    • 平らな部分を3mm程度残しておく。
    • 穴を開けたら紙コップの底の穴から息を吹き込んでみる。
    • ローターが軽く回ったら完成。回らなかったらローターと紙コップが当たらないように調整する。

V.推進ユニットの作成
  1. プロペラの作成。
    • 型紙5から選択して切り出し、プラスチック板にスティックのりではる。
    • 2mmのドリルで図面の位置に穴をあける。
    • はさみでプロペラを切り出す。
    • 中央部をアイロンで温めてプロペラにひねりをつける。
  1. 舵の切り出し。
    • 型紙4から切り出し、折りやすくするために、点線の上を定規を使ってボールペンで上書きする
    • 斜線部に5mmの両面テープを貼る。
    • はさみでプロペラを切り出す。
    • 両側を残して中の両面テープの保護テープをはがす。
  1. 舵の作成。
    • アルミ線を端から70mmmの位置でL時に曲げる
    • 上の手順で作った舵の中央の折り線の上にアルミ線を置いて、舵を折り曲げはり合わせる。
    • 端の両面テープを使って舵をプロペラ台に接着する。
  1. モーター・プロペラの取り付け。
    • モーターをプロペラ台に両面テープで接着する。
    • プロペラをモーターに取り付ける。

W.船体の作成と組み立て
  1. カラーボードに型紙2を貼りつける。
    • 型紙2の外形を切り出し、スティックのりを使ってカラーボードにはる。
    • 点線で書かれている部分(合わせ線)の上を定規とボールペンを使って上書きする。
    • 発泡ボードに線を残し、推進ユニットを取り付ける位置の目安とする。
  1. 送風口を開ける。
    • 図の中心に合わせてコンパスカッターの針で穴をあける
    • 保護用の円板の裏に両面テープをはり、円板の穴に針を通してから先ほど開けた針穴に差し込む。
    • 円板を押して型紙に接着する。
    • コンパスカッターの刃が線の上に来るように長さを調整する。
    • 4〜5回回して切りだすつもりで少しずつ切る。
    • 穴があいたら型紙をはがす。
  1. 裏側に両面テープをはる。
    • 船体の外周部に5mmの両面テープをはる
    • つなぎ目のところは重ねて張っておく。
  1. 型紙3をはる。
    • 型紙3から外形を切り出す
    • 裏面にスティックのりを中央付近に2cm角、3箇所ぐらいつける。
    • 3で両面テープをはった面に上の型紙をはる。
    • 型紙は両面テープの内側に収まる。
  1. ポリシートをはる。
    • ポリ袋を切って開きシートにする
    • 机の上にシートを広げる。
    • 3の両面テープの保護フィルムをはがす。
    • シートの上に接着面を下にして船体をおいて接着する。
    • はった後、余分のポリシートを切りとる。
  1. ポリシートの中側を切り抜く。
    • カッターナイフを使って切る。
    • ポリシートの上から切り取り線をなぞって型紙を半分ぐらい切るつもりでポリシートを切っていく。
    • ポリシートが切りはなせたら型紙を取り出す。
  1. ファンユニットに接着用の両面テープをはる。
    • 両面テープ(10mm)をケース(紙コップの透明なふた部分)に半分はみ出させて、一巻きする)(A)。
    • はみ出した部分を歯状に切る(B)。
    • 内側に折り返して、保護テープをとる(C)。
  1. ファンユニットを取り付ける。
    • 裏側から見てモーターが穴の中央に来るように合わせる。
    • ファンユニットを船体に押し付けて接着する。
  1. 電池ケースと推進ユニットを取り付け配線する。
    • プロペラ台を両面テープでつける(ボールペンで印をつけたところ)。
    • 電池ケースは1cmぐらいの両面テープで仮止めする。
    • ファンは+−逆に配線する(電池の黒をモーターの赤に)。
    • プロペラモーターは前進する方向に配線する(プロペラのひねりで回転方向が変わる)。

調整とあそびかた

ホバークラフトは空気の圧力で浮きます。ファンで加圧された空気により底面にはったポリシートが膨らみクッションになるとともに空気の漏れを少なくします。ポリシートは実機でスカートと呼ばれている部分の役割をしています。
浮上したホバークラフトはほとんど摩擦が無い状態になるので船体が傾いているとプロペラを回さないでも傾いた方向に進みます。浮上した時船体が水平になるように電池の位置を調整しておきます。
水平になったら、推進ユニットの方向を調整します。舵が真直ぐな時船体も正面に真直ぐ進むように調整します。真直ぐ進むようになったら舵を使って旋回させてみましょう。わざと水平バランスを崩してホバーがどちら向きに進むかを調べるのも面白いですね。

ファンを動かすと内部にたまった空気の圧力でポリシートが膨らみます。調整の時はまずスカートが膨らむことを確認します。膨らまない時は、一旦モーターを止めて指を船体とポリシートの間に滑らせて空間を作っておきます。

初版:2011.7.26