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造巣〜育雛

ハシボソガラスとハシブトガラスでは繁殖開始時期に違いがありハシボソガラスは3月中旬〜7月、ハシブトガラスだと4月中旬〜8月が多いがいずれにしても個体差が大きい。

平均的な繁殖期は4月〜7月と覚えておくと良いだろう。

ハシボソガラスは意外と低い位置でも平気で営巣してしまい春一番の葉がない木だととても目立ってしまう。

逆にハシブトガラスは高くて込み入った樹林を好み針葉樹への営巣が多い。



繁殖期に入ると縄張り内の古巣をチェックしたり枝を折って運んだりと造巣行動が見られ縄張りガードが強化されて若いカラスの侵入を許さなくなる。

番同士の信頼関係も強まり♂から♀への「給餌行動」が目立ち始める。

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カラスの営巣場所は樹上がメインだが広告塔や送電線などの人工物も利用する。

公園や街路樹への営巣が多いが縄張り内の木が切られるなど営巣に適した木がなくなると電柱にも営巣してしまう場合がある。


基本的カラスは毎年新しい巣を造る。

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しかし古巣をリサイクルする場合も結構あり理由は縄張り内に適した木が余りなかったり繁殖に失敗してやり直す場合である。

何年も同じ巣をリサイクルという個体もいる。

「古巣があるとカラスがまた戻ってくる」と言って取ってしまう人もいるがカラスは縄張りで暮らしている鳥なので古巣があってもなくても何ら生活に影響はない。

カラスは繁殖期であれば何度でも再営巣するので巣を取り除いても繁殖をやり直させて期間を長引かせるだけでメリットはないと言える。

巣がなくなってもカラスは決していなくならないしそれどころか刺激を与えてしまったために再営巣時には更に神経質になる可能性が高い。



巣材に利用されるのは木の枝が中心だが土台には「針金ハンガー」が人気である。

最近ではガーデニングに使うプラスチックの仕切りのような物も利用されている。

巣の一番大切である「産座(卵を置く部分)」にはシュロ縄を細かくした物・コケ・犬などの動物の毛を利用する。

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また紐やテグスといった人工物も使うのだが雛の足に絡みついて悲惨な事になる場合がある。



カラスは♀のみが抱卵をして♂はは縄張りをガードして♀や雛に食べ物を調達する役割を担う。

♀が巣を離れる時は♂がしっかりと見守っている。

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卵は1日に1個産むと言われていて約20日で孵化する。産卵日がずれているので孵化日にもずれが生じる。

この数日の差が雛の成長に大きく影響する。

雛は丸裸で目も開いていない状態なので孵化後も♀が「抱雛(ほうすう)」している。

10日を過ぎると羽軸が出てきて徐々に羽が生えてくる。全身に羽が生えてくると体温維持も可能になるので♀も巣を離れて食べ物を探しに出かけるようになる。

こうして雛はどんどんと成長してやがて巣立ちが近づいてくる。

育雛〜巣立ち



「カラスが頭スレスレを飛んできてビックリした」とか「後ろから頭を蹴られた」と言われるのがこの期間である。

よく「カラスに突かれた」という人がいるがこれは大きな間違いである。

カラスは飛びながら突くのは不可能であり突くのなら足をしっかりと踏んばらないと無理である。

しではどうしてこのような誤解が生じるのかというと「後ろから来られる」という事とハシブトガラスのあの「大きな嘴」のイメージから突かれたと感じても不思議ではない。

実際には両足で反動を付けて蹴るのである。



巣立ちが近づいてくると特にハシブトガラスは神経質になり巣の近くや縄張り内に人がいるだけで警戒態勢に入る。

カラスが突然襲ってくるような事はなく事前にシグナルを出している。
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また同時に人のカラスへの攻撃レベルも示してみたので参考にしてほしい。
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公園などで鳴いているカラスに「石や枝を投げつける人」を見た事があると思う。

しかしこの行動は逆効果であり益々カラスの怒りをかってしまい怒りが頂点に達してしまうとどうにもならなくなる。

カラスは巣や雛を守りたいだけであり「人間が嫌い」という判断ではない。

「攻撃された=危険=守ろう」となるのは自然な行動だと言える。

またカラスに威嚇行動を取らせる事によって育雛の時間が取られてしまい成長が遅れる。

その分巣立ちも遅れるという悪循環が続くのである。

わざわざ成長を妨げて威嚇期間を延ばしている事に気が付いていない場合がほとんどでだろう。

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カラスの行動を人に例えてみると・・・・・。

誰かが自宅の敷地に侵入して家を覗き込んでいて石などを投げ付けてこられたらどうするだろうか?

黙っている人も少なからずいるかもしれないが通常は怒鳴るか警察に通報するだろう。

つまり手法は違っていても人もカラスも「守る」という事を実行しているに過ぎない。

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基本的な事に戻るが札幌で繁殖しているカラスは「ハシボソガラス」「ハシブトガラス」である。

見た目は黒くて区別が付かないという人が大半だと思う。

しかし種が違うという事は生態も違うという事である。

この生態の違いが繁殖期の行動にも出ているのである。

特に繁殖が進むにつれて防衛行動もはっきりしてくるのだがここでもハシボソガラスとハシブトガラスの違いがはっきりと出ている。(種別反応参照)

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つまり繁殖期間であっても実際に行動に出るのはハシブトガラスで巣立ち前10日から巣立ち後1週間程度である。

ハシボソガラスに関しては雛が転落するという事でもない限り直接的な威嚇行動はほとんどないと思って良いだろう。



カラスは記憶力が優れているので一度攻撃を加えてしまうとそのカラスが命を全うするまで記憶されてしまうと思っていると良いと思う。

繁殖期が終われば通常は威嚇行動も治まるのだが翌年以降の繁殖期に再び危険人物の記憶がよみがえり威嚇されてしまうのである。

更に確実に個人を特定しているという訳ではないので似たような年齢や風貌に人にも威嚇をするようになってしまう。

分かりやすく表現するのなら八つ当たり的な行動だろう。

たった1人の人が手出しをしてしまったが故に全く関係のない似た風貌の人にも威嚇をさせてしまうという事は「人為的被害」と言えるのではなかろうか?

言いかえればカラス自身も被害者かもしれない。


攻撃をかわす方法はあるのか?



全国的にカラス問題で多いのが繁殖期の威嚇行動である。

言葉を話せないカラスに大声で怒鳴っても無意味なので止めた方が無難である。

カラスに本能故の攻撃を止めさせるのははっきり言って不可能である。

それよりは人間が出来る事はないだろうか・・・・・と考えてみる。

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実は人間が出来る事ってたくさんある。

巣があるのが分かっているのなら見上げたり物を投げつけたりしないという事やカラスが鳴いているようならちょっと迂回するとか方法はある。

しかし中には「なんでカラスの為に迂回するんだ!!」という人もいる。

でもそれは勘違い。カラスのためじゃなくて人への威嚇から人を守るために言っているのだ。



しかしカラスの縄張り全てを網羅して繁殖状況を知るなんて不可能である。

思いもよらないところでいきなり低空飛行なんて事もある。そうなった場合に手出しをせずにかわせる方法がある。



「傘を差す」というのは昔から言われている回避策であり顔も隠れるので良い方法である。

しかし毎日傘を持ち歩くという非現実的な問題に直面する。

「帽子を被る」という方法もあるがこれは蹴られた時にカラスの爪で引っかかれないようにするためでしかない。

蹴られて帽子が脱げる事も多々ある。



一番良いのは「腕をまっすぐにあげて動かさない」という簡単な方法である。(画像参照)


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何故これが効果的なのかというとご存じのようにカラスは後ろから反動を付け後頭部を蹴ろうとする。

しかしその時に腕があると翼が引っかかりカラス自体が怪我をするリスクが生じる。

つまり腕がある事によって腕の上を飛ぶしかなくなり後頭部を蹴る事が出来なくなるのである。

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しかし腕を上げた際に動かしてしまうと攻撃されたと思われてしまうので決して動かさないというのが鉄則である。

腕を上げて決して走る事なくその場を通り過ぎれば大丈夫である。

カラスもハンターなので相手に走られるとついつい追いかけてしまうのである。



雛が順調に成長して自分の判断で人が来たら飛び去れるようになると親ガラスの威嚇は一気に減少する。

威嚇行動はカラスにとって無駄なエネルギー消費に過ぎない。

そんな事に使うよりは子育てに没頭してもらった方がは遥かにマシである。



人間のちょっとした気遣いでカラスも落ち着いて繁殖が出来て人への威嚇も軽減される。

カラスはただ単に雛を守りたいだけなのでその事を十分に理解して人間側が考えて行動できるようになると良いだろう。準備中です。


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