No.42/2007.2
他館レポート
印象的だった 藤 田 嗣 治 展 を観て


  5月に東京に出掛け、妹とMOA美術館や、世田谷美術館、東京国立近代美術館と、たいした知識もなくただ観てあるくのが好きだというだけで、いただいた招待券を無駄にしないためにも暫くぶりの東京見物と酒落て歩きました。
 その中でも、特に圧巻だった藤田嗣治展は、時間が経過しているにもかかわらず脳裏に焼きついて作品が次々と思い出されます。テレビでも放映されたのを見てますます鮮明に思い出が甦ってきました。
 日本人でありながら、パリ在住が長く、生誕 120年に当ることを記念して全画業を紹介する展覧会だっただけに、驚きで目が点になるほどでした。
  エコール・ド・パリの代表的な画家として活躍したといわれ、これだけでも驚きの画家だと思います。
 自分の好きな愛猫、裸婦、痛ましいほどに描かれた第二次世界大戦中の戦争画、美しいもの、好きなものにもまして戦争画は悲惨さを経験している日本人にとっては、よくぞ描いたと二面性を感じずにはいられませんが、優れたタッチはそれをも忘れさせてくれました。
 裸婦の黒い髪、褐色の髪は、乳白色の肌にマッチして神々しさを感じました。大戦後フランスに帰化し 120年が経って初めて作品が紹介されたのですから、何も知らない私でも伝説的な作品の物凄さは伝わってきました。
 こんな展覧会に遭遇した自分の幸運にも感謝せざるをえません。
グラッチェ

M.K
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35号福井爽人の世界
34号ギョレメ・オープン・ミュージアム
32号浮世絵美人画の魅力