宮城県中学校長会活動方針

 今日,我が国では,持続可能な社会の仕組みを構築するため,行財政改革,規制緩和,地方分権などの動きが進行している。

 教育界では,教育基本法及び教育関連法規の改正や教育機会確保法の制定をはじめ,第4期教育振興基本計画策定など一連の教育改革が行われ,新たな制度の構築や学習指導要領の改訂により,その趣旨や内容に基づく教育課程の編成・実施に加えて「GIGAスクール構想」や「部活動の在り方」,更には「学校における働き方改革」など,「令和の日本型学校教育」の実現が求められている。

 この時にあたり,私たち中学校長は,人間尊重の精神に徹し,「社会を生き抜く力」と「よりよい社会を形成する力」を育むとともに,Society5.0時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮し,「学校における働き方改革」の実現を含め,学校からの教育改革を推進しなければならない。

 宮城県中学校長会は,東日本大震災からの復興・再生や多発する災害への対応等が求められる中,教育の充実・発展を活動方針の第一の柱とし,全日中教育ビジョン『学校からの教育改革』を踏まえ,次の方針に基づき,本県中学校教育の一層の充実・発展を期する。 

1 宮城県中学校長会の機能を充実し,活動の活性化に努める。
(1) 仙台市中学校長会,小学校,特別支援教育諸学校,高等学校の校長会と連携した活動の推進
(2) 教育研究及び広報活動並びに諸事業の充実
(3) 関係機関との連携の促進及び教育課題の解決と提言
(4) 教育改革に関する迅速な対応と情報の発信

2 創意ある教育課程を編成し,確かな学力の向上と個性を生かす教育の推進に努める。
(1) 学習指導要領の趣旨の実現を図る教育課程の編成,実施,評価,改善
(2) 基礎・基本の確実な習得と,それらを活用する能力及び学びに向かう力を育てる指導・評価の工夫改善
(3) 「確かな学力」「豊かな心」,「健やかな身体」を育むための「カリキュラム・マネジメント」の確立。

3 当面する教育課題の解決に努める。
(1) 全日中新教育ビジョン『10の提言』の推進と検証
(2) 東日本大震災で被災した学校への支援
(3) 多発する自然災害に対応するために,実践につながる防災・安全教育の推進
(4) 心の教育を中心に据えた生徒指導の推進
(5) いじめを生まないを生まない学校体制の確立
(6) 多様な学びの確保など不登校支援の充実
(7) 志教育の視点に立った教育活動の展開
(8) 特別支援教育への適切な対応 

4 家庭や地域社会に信頼される学校づくりに努める。
(1) 地域の一員として信頼される教職員の育成
(2) 学校改善につながる学校評価システムの工夫(自己評価と学校関係者評価の活用)
(3) 諸機関との連携を密にした危機管理の徹底
(4) 教職員の適正な評価による資質向上と教育実践に結びついた現職教育の充実 

5 教育諸条件の整備・充実と職責に見合う待遇改善の実現に努める。
(1) 義務教育費国庫負担制度や人材確保法の堅持
(2) 教育改革推進のための人的配置と学校運営予算の充実
  ア 教職員の定数改善と学習指導要領の趣旨・内容に即応した人的配置
  イ 施設・設備の充実と学校裁量予算の増額
(3) 全ての子どもたちにICTを活用した学習を保障するための一層のサポート体制や研修,実践の充実
(4) 教職員の諸手当や旅費等の充実及び待遇改善
(5) 校長・副校長・教頭の給与体系の改善及び退職時における待遇の改善
(6) 「学校における働き方改革」を踏まえた部活動の地域移行の在り方の検討
(7) 適切な人事評価の実施

 

宣   言

 今日,我が国の教育は人格の完成を目指し,伝統と文化を尊重するとともに,豊かな人間関係で満たされる持続可能な社会を創るたくましい日本人を育成する使命を担っている。

 私たちは,自然災害や新たな感染症の発生,グローバル化の進展や急速な技術革新など社会状況が変化する中,新しい時代の中学校教育の課題に対応するとともに,自らの責任において全日中新教育ビジョンに基づく学校からの教育改革を推進し,新たな中学校教育の創造に努めなければならない。

 宮城県中学校長会は,東日本大震災による被災からの再生と全ての子どもたちの可能性を引き出す学びの充実,教育改革の推進を第一義に,これまでの成果の上にたって,当面する教育課題の解決を図り,特色ある学校づくりに努め,県民の付託に応える決意である。

 ここに,第75回総会に当たり,下記事項を決議し,その実現に期する。

決   議

       
人間尊重の精神に徹し,「社会を生き抜く力」や「よりよい社会を形成する力」を育む教育を推進する。
学習指導要領に基づく特色ある教育課程を編成・実施・評価・改善し,確かな学力の定着,豊かな心と健やかな体の育成を推進する。
現在の教育課題に即した研修を充実し,教職員の資質・能力の向上と使命感の高揚に努める。
創意ある教育活動を展開し,家庭・地域社会から信頼される,開かれた学校づくりに努める。
教育活動の活性化を目指し,人的措置をはじめ確固とした教育条件の整備・充実を期する。
「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」を堅持し,教育水準の維持向上を期する。
引き続き「学校における働き方改革」を推進し,教職員の勤務実態を踏まえ,有効かつ持続可能な指導・運営体制の構築を期し,Society5.0時代に求められる学校づくりに向けてリーダーシップを発揮する。
東日本大震災をはじめ近年多発する災害等により被害を受けた地域の復興を期し,教育活動の充実に向けた支援と防災教育・安全教育の充実に努める。

 

 令和6年5月31日

宮城県中学校長会