◆ 池田文化デイ大茶会へ =28年11月7日= 
 11月5日、教室のある川西市のお隣・池田市の「IKEDA文化DAY」イベントの一つ「大茶会」に参加。池田文庫のお茶室・古彩庵と大小庵、逸翁(いつおう)美術館内の即心庵でお抹茶をよばれました。いずれも素晴らしいお道具でのしつらえがなされ、お点前を拝見しながらの喫茶は、ご一緒した生徒さんも私もとても勉強になりました。
 また小林一三記念館にはお茶室が3つあり、広間や狭ーい2畳敷、椅子席など、いろいろなタイプを見学。合わせて6か所のお茶室をゆっくり味わうという、心も頭も(お腹も)いっぱいになる贅沢な一日でした。写真は教室案内のページに。

◆ 「七走一坐(しちそういちざ)」 =28年12月28日=
 12月「師走(しわす)」は、先生やお坊さんでなくても走りたいぐらい忙しいですね。でもこの禅語を思い浮かべてください。「七走一坐」。走り続けている方も、時には立ち止まって座ってみよ、という意味です。いっとき走るのを止めて自分を見直してみると、新たな気力が湧き出たり、良いアイデアが浮かんだり。
 日々お仕事などに追われている方が、月に2度お茶室で正座されるのにも、同じようにリセット効果があるようです。

◆ 平成29年 逸翁白梅茶会 =29年1月30日=
 1月25日に逸翁白梅茶会が行われ、木曜クラスの方々と参加しました。今年は、逸翁(小林一三翁)が酉年に実際に初釜で用いたお道具組をほぼ再現されたとのこと。松花堂昭乗筆の鶏図掛物、古伊賀の花入れを間近に見てその重厚さに感動。また仁阿弥道八や永楽和全作の菓子鉢、楽弘入や覚入作の茶碗を一人ずつ拝見でき、その吸いつくような手触りを味わうことができました。
 このお茶会は毎年1月25日に小林一三記念館で行われています。今から来年のしつらえが楽しみです。

◆ 茶の心 「和敬清寂」 =29年3月2日=
 茶の心は「和敬清寂(わけいせいじゃく)」の四文字で表されていると言われています。和と敬は文字通り仲良くする、お互いに敬うという意味。清は物心共に清らかに。寂は何にも動じず落ち着いている様(色々な解釈あり)。言葉にすると面倒で難しそうですが、普段のお稽古で「自然と」心掛けていることなのです。
 このほど文化庁が、茶道などをユネスコ無形文化遺産への登録申請の対象として検討することに決めたとのこと。もし登録されましたら、これまで以上に広く世界の皆さんに茶道と親しんでいただけることでしょう。

◆ 涼を感じるハンゲショウ =29年6月30日=
 先日の教室の床にはハンゲショウの花(写真)。緑の葉の一部が白く鮮やかに。蒸し暑い梅雨時に一服の清涼剤のように感じます。七十二候の一つ「半夏生」(ハンゲショウ=今年は7月2日)の頃に白い花を咲かせるから「半夏生」と名付けられたとのことです。またその時期に上部の葉が白くなる様子から「半化粧」とも。なんとも粋な名前ですね。写真をクリックすると拡大します。
 受講生が多くなりましたので、現在募集を停止しております。再開の際に連絡をご希望の方はメールにてお知らせください。

◆ 「心静即身涼」 =29年7月31日=
 お着物を召してお稽古に通われている方がいらっしゃいます。先日は夏用の透ける素材「絽(ろ)」の着物と帯でしたが、外気温は30度以上。それにもかかわらず、一歩お茶室にお入りになると、暑さを全く感じさせないさわやかなお顔に。
 禅語の「心静即身涼」を思い浮かべました。心しずかなればすなわち身涼しーと読み、心を平穏に保てば、身体は清涼である、という意味です。酷暑のこの時期ですが、お茶室の真夏のしつらえに加えて、気持ち穏やかに、涼しげにお稽古したいものです。

◆ 「さかい待庵」でタイムスリップ =29年9月29日=
 千利休の出身地・堺市にある「さかい利晶の杜(りしょうのもり)」には、国宝の「待庵(たいあん)」を復元した二畳の茶室「さかい待庵」があります。以前はあの大柄な利休が二畳の茶室に入ると随分狭くるしいのでは?と思っていましたが、見学中に座ってみると、意外にも広さを感じました。そしてわびた床や壁に囲まれ、利休の時代にタイムスリップしたような空気感が。ぜひ体験してみてください。
 呈茶席では、表、裏、武者小路三千家による立礼でのお点前があり、椅子席で薄茶をいただくことができます。堺の和菓子も美味しいですよ。

◆ 「茶味芳し(かんばし)」 =29年11月7日=
 表千家同門会の機関紙『同門』に寄せられているお家元のお言葉の今月のタイトルが「茶味芳し」。それを生徒さんが先週のお稽古で実感されました。濃茶をお飲みになった方々が「きょうは殊のほかおいしい」と。これはお茶を点てられた方への最高のほめ言葉です。10月末に行われた表千家同門会の講習会でも、木村雅基宗匠が「お家元が常々言われているように、最も大切なのはおいしいお茶を呈することだ」とご指導されました。そのすぐ後の出来事でした。
 作法、湯加減、抹茶粉とお湯の量などいろいろなことに心を配り、美味な一服を供したいものです。何年お稽古していても難しいですが。


     

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 「ひとこと集B」       門田宗朋



◆ 「一花開天下春」 =28年1月18日=
 今年のお稽古初めの床は「一花開天下春」(いっかひらいて てんかはるなり)のお軸。厳しい寒さが続いていますが、各地から早咲き梅の開花の便りが届いています。春はそぐそこに。
 ところで「一花開」は「心の花が開く、悟りを開く」という意味だなど、禅語にはいろいろな解釈があります。いずれも難解。ただ梅の紅を思い浮かべ、常盤饅頭(ひとこと集参照)の薯蕷の白、中の餡の緑を目にすると、お正月らしく華やいだ気持ちに。今年がこのお軸のように明るい一年でありますようにと祈ります。

◆ 「逸翁白梅茶会」 =28年2月10日=
 1月25日、逸翁(小林一三)の命日に、池田市の小林一三記念館で「逸翁白梅茶会」が行われました。
 お道具は、逸翁が収集された、美術館ではガラスのむこうに陳列される物。森狙仙(そせん)筆の猿図の掛物、大きな青磁(せいじ)の花入、渋い赤楽のお茶碗、どっしりした黒織部(くろおりべ)の筒茶碗等々。教室の方々と共に参加した私は、貴重なお道具を手に取ったり間近で拝見することができて感激しきりでした。
 このお茶会は毎年1月25日に行われ、どなたでも参加できます。

◆ 川西市源氏まつり =28年3月25日=
 茶道教室を開いている川西市は、源氏発祥の地。今から千年以上前、清和天皇の曽孫・源満仲公が川西市の多田盆地に移り住み、現在の多田神社を創建し、清和源氏の礎を築きました。
 毎年4月(今年は10日)に懐古行列が行われ、鎧兜に身を固めた源氏ゆかりの武将や、あでやかな着物姿の巴御前・静御前、若武者、稚児など600人が練り歩き、絢爛な時代絵巻を繰り広げます。
 スタート地点の多田神社の境内にはお茶席も設けられるとのことです。

◆ フジの発祥は大阪市の野田 =28年4月22日=
 今月のお稽古では、フジの絵のお茶椀を出しております。これは知人が窯元で絵付けをされたもの。有名作家の作品はもちろん素晴らしいですが、素人の手作り品もまた味があって楽しいものです。その方との縁を感じながらいただくお抹茶は格別のおいしさです。
 フジはノダフジ系とヤマフジ系に分けられ、公園などでよく見られるノダフジは、大阪市の野田が発祥とのこと。豊臣秀吉も見物に訪れてお茶会を催したそうですよ。
 大阪市福島区「のだふじ巡り2016」のホームページによると、早くも各所で見頃を迎えています。

 ◆ 「薫風自南来」 =28年5月13日=
 風薫る5月を迎えると、お茶室では炉(囲炉裏のようなもの)を閉め、しばらくは風炉(火鉢状のもの)に釜をかけて湯を沸かします。
 床には「薫風」の色紙。禅語「薫風自南来」(くんぷうみなみよりきたる)の一部です。いろいろなこだわりや迷いを捨て、物事を素直に受け止め行動しよう、というような意味。
 4月末に行われた表千家同門会大阪支部の薄茶席には、先代のお家元・即中斎宗匠御染筆の「薫風」が掛けられていました。

◆ 6月の和菓子・水無月 =28年6月29日=
 あす6月30日は一年の折り返し。神社では「夏越の祓(なごしのはらえ)」の神事が行われ、和菓子「水無月(みなづき)」を食べる地方があります。私の教室でも、半年間の穢れを祓おうと、6月のお稽古に水無月を用いました。
 氷をイメージした三角形の白い外郎(ういろう)、その上には甘い小豆。氷片の形には暑気払い、小豆には魔除けの意味があるそうですよ。残りの半年も、皆さんつつがなくお稽古が続けられますように。

◆ ゆかたでお稽古に =28年7月29日=
 花火大会や夏祭りでゆかた姿をよく見かけます。ゆかたは「浴衣」という漢字が示すように、元々は入浴時または湯上がりに着るものでしたが、現代では外出もOKに。
 以前こちらの教室に浴衣姿でいらして、お稽古の後に花火大会に行かれた生徒さんがいらっしゃいました。もちろん正式なお茶会の装いとしては失礼になりますが、お稽古にお召しになって、お抹茶一服、というのもステキですよ。先生方のお考えによりますが、私は大歓迎です。

◆ 「風 月 (ふうげつ)」 =28年9月6日=
 陰暦8月15日の夕方に出る月は中秋の名月と呼ばれます。陰暦の秋は7〜9月。8月はその真ん中なので中秋ということ。
 今年は9月15日に当たりますので、次のお稽古には「風 月」の短冊を掛けましょう。空には皓々(こうこう)たる名月、サーッと吹き過ぎる秋風。何とも清々しい風情ですね。この時期にぴったりです。この自然のように、人間も欲等を捨て去り清らかに…という深い意味を頭の片隅に置いて。
 ※8月に、ゆかた姿でお稽古にみえたお二人のお写真を、教室案内のページに載せました。

◆ 10月は名残(なごり) =28年10月20日=
 10月は、茶の湯では名残と呼ばれます。昔なら、昨冬から使い始めた茶壺の茶葉が残り少なくなるころです。夏・秋に楽しませてくれた庭の草木も、花数が少なく、小ぶりになって、こちらも名残惜しいです。
 火が恋しくなると、茶室では風炉(熱源です)をお客様に近づける「中置(なかおき)」という構えにし、取り合わせるお道具も渋く、侘びたものとなります。「今年の風炉の点前は今月で終わりね…」と、少々センチメンタルに。
 来月は茶の正月。(「ひとこと集@」の『11月は茶の正月』を参照してください) 風炉をしまい、炉を開きます。