◆ 川西市の特産品・イチジク =27年8月5日=
 お茶室のある川西市の特産品の一つ・イチジクが出荷時期を迎えます。完熟朝採りなので大変美味。また市内の和洋菓子店には「いちじくスイーツ」が並んでおり、これも甘党にはうれしいですね。
 明治16年創業の「いな川本舗 上政」の「清和の雫(せいわのしずく」は、イチジクをまるごと蜜づけにしたもので、口に含むと濃厚な風味が広がります。いちじくわらび餅やいちじく羊羹二種も上品な味わいです。

◆ 掛物に描かれた〇は「円相」 =27年9月3日=
 表千家七代如心斎(じょしんさい、号は天然)は表千家中興の祖。命日の9月13日にはお家元で、遺徳を偲び天然忌の行事が行われます。「天然円相」の掛物が掛けられ、お抹茶が供えられます。
 えっ、自画像でも文字でもなく円? 円相とは一筆でマルを描いたもので、絶対的な真理、究極の姿をあらわしているそうです。単純な形ゆえに、見る人の気持ちによって感じ方や解釈の仕方はいろいろ。
 如心斎は自画像をつくらせず、代わりに円相を描き残されました。

◆ 逸翁美術館に、あの秀吉像が =27年10月19日=
 大阪府池田市の逸翁(いつおう)美術館で秋季展「秀吉の時代」が催されており、狩野光信筆の重要文化財「豊臣秀吉像画稿」が展示されています。これがテレビや教科書でおなじみの、あの秀吉のお顔。ぜひご対面を。他には千利休が好んだ茶道具等が陳列されています。
 逸翁美術館は、阪急東宝グループを起こした小林一三(雅号・逸翁)の住んでいた池田市にあり、生涯をかけて収集した美術工芸品が収蔵されています。展覧会開催中の土日祝には、逸翁考案の椅子席のお茶室で気軽にお抹茶がいただけますよ。

◆ 11月5日は「いい男の日」 =27年11月5日=
 教室に通われている男性お二人が先日、池田市の池田文庫内茶室「大小庵」でお茶会デビュー。小林一三が愛用された四畳半台目の田舎づくりの茶室で、背筋を伸ばし、神妙に薄茶を喫されました。
 次に訪れた逸翁美術館内の「即心庵」は椅子席のせいか、少しリラックス。美術館所蔵の貴重なお道具でのお点前や呈茶を楽しんでおられました。
 11月5日は資生堂が制定した「いい男の日」で、いきいきと素敵に生きる男性を応援する日。まさに「茶道男子」は「いい男」ですね。

◆ 「無事」 =27年12月20日=
 12月の掛物は例年どおり「無事是貴人(ぶじこれきにん)」。禅語としての解釈はさておき、今年も無事にお稽古できたことに感謝します。
 長く習われている方はもちろんですが、細かくご注意することの多い初心者の方々もが「お稽古が楽しい」と。禅の「無」の境地には遥かに及びませんが、ひと時、他の事にとらわれず茶道を学ぶ心地よさを感じていただけたようです。指導者としてとてもうれしく思いました。

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 「ひとこと集A」       門田宗朋


「常盤饅頭(ときわまんじゅう)」=27年1月6日=
 表千家の新年のお菓子は「常盤饅頭」。白い薯蕷(じょうよ)の皮で、緑色に染めた餡を包んであります。常磐というのは、千年変わらぬという松の翠を指す言葉。二つに割ると、白い雪の中から鮮やかな松が現れます。
 裏千家ではごぼうと白味噌餡を餅や求肥で包んだ「花びら餅」、武者小路千家では緑色と紅色に染め分けたきんとんの「都の春」をお使いになります。流派を問わず、楽しみたい和菓子ですね。
 
茶道は「さどう」?「ちゃどう」? =27年2月3日=
 テレビから流れてくる「ちゃどう」という言葉に違和感を感じていましたところ、教室のHさんが調べてくださいました。
 表千家流では「さどう」、裏千家流などでは「ちゃどう」を用いるとのこと。江戸時代までは茶頭(さどう)と混同しないように「ちゃどう」と言われていたそうです。
 どちらも正しいのですね。「茶の湯」という言葉もよく使われます。

利休忌 =27年3月2日=
 天下一の宗匠となりながら、秀吉の不興をかって切腹を命じられた千利休。祥月命日は2月28日(旧暦)ですが、表千家お家元では新暦3月27日に利休忌の行事が行われます。
 利休といえば草庵の茶室を連想されるようで、「あなたの教室は草庵みたいな所ですか」と尋ねられたことがありました。残念ながら(?)8畳敷の和室です。草庵の茶を極めれば畳2枚の茶室となりますが、そこではあまりに狭く、十分なお稽古はできませんね。

◆ 「山花開似錦」 =27年4月8日=
 吉野山 上千本では、きょう桜満開を迎えました。まさに「山花開いて錦に似たり」。山花とは山桜のこと。禅語としての深い意味はさておき、毎年この時期に教室の床に「山花開似錦」の短冊を掛けます。
 桜はあまり茶花には用いませんが、お茶碗や、抹茶の粉を入れる茶器、お菓子や菓子器などが桜の意匠で、教室は花満開です。

◆ 桑原秀樹監修「お抹茶のすべて」 =27年5月7日=
 宇治抹茶問屋の桑原秀樹さん監修の「お抹茶のすべて」には抹茶の歴史や製法などがわかりやすく書かれています。それほど丁寧に栽培され、やさしく摘み取られ、作られているのかと感嘆。おかげで私達は美味しい薄茶や濃茶を楽しめているのですね。
 一方市販の抹茶アイスやラテ、ケーキなどの多くは、臼で挽かれた物ではなく、粉砕機で微粉末にした加工用の抹茶(と言えるかどうか)を使っているそうです。抹茶スイーツ好きの方、教室で点てられた薄茶をぜひ味わいにいらしてください。

◆ 個性的な、琳派・尾形乾山 =27年6月6日=
 今年は「琳派」400年の年。琳派といえば尾形光琳(こうりん)作の国宝「燕子花(カキツバタ)図屏風」が浮かびます。
 それらの装飾画風の意匠を陶芸に取り入れたのが、弟の尾形乾山(けんざん)。殊に個性的な味わいの抹茶茶碗は、多くの陶芸家によって真似られています。これは写物(うつしもの)と言われるもので、決してニセモノではありません。念のため。
 乾山写しのお茶碗でお薄をいただくと心が豊かになる…と、私の周りにもファンが多くいらっしゃいます。
 
◆ 姫路「好古園」内茶室「双樹庵」 =27年7月3日=
 姫路城横の「好古園」は池泉回遊式の日本庭園。お城見学の後に、園内のお茶室「双樹庵(そうじゅあん)」でお抹茶をいただきました。こちらは裏千家十五代お家元が設計・監修された数寄屋造りの本格的茶室です。
 お抹茶をよばれる呈茶席は、姫路城天守閣を臨める開放的なお部屋。心づくしの季節のしつらえがなされ、お城と同じく白いお茶碗での一服はほっとするひと時でした。
 正座が苦手な方でも大丈夫、イスをご用意いただけますよ。