女性の縮毛矯正のポイントは自然な伸びとツヤ、そしてダメージを感じさせないしなやかさだと考えます。もちろん「持ち」も重要なポイントです。

お客様様がご自宅でお手入れをする際にブラシで懸命にブローしたりする必要がないようにハンドブローでバサバサッと乾かせばスッと落ち着きツヤが出るような楽にお手入れができる、そんな施術を心がけています。

僕のアイロンを使った縮毛矯正技術との出会いはバブル全盛期の1987年頃だったと思います。東京のサロンでの勤務時代です。
当時、ストレートパーマは高粘度の薬剤を毛髪に塗布し、プラスティック製のパネルを貼り付けて伸ばすというものでしたが、期待する効果が出ないだけでなく逆にクセがひどくなる場合も出てきて急速に下火になっているときに、所属していた研究団体の講習で「次世代のストパー」と銘打って理容のアイパー技術の応用として紹介されました。

今の縮毛矯正の原型となる「熱」を使ってクセ毛を矯正すると言うものでした。その後、何回かの薬事法改正によってアイロンや専用薬剤の開発、改良が進み現在に至っています。

僕のレディース縮毛矯正は「不自然なまっすぐ毛髪」な仕上がりは極力避けます。
お客様がお求めになるのは「単なる直毛」ではなく、自然な「ストレートヘアーのスタイル」だと考えているからです。


たとえばショートボブ…。 普通に縮毛矯正を掛けると単純直毛の金太郎人形のようになってしまいますが丸みのある柔らかいフェミニンなストレートラインを心がけています。

様々なセミナーや講習を受講し実習や研究を重ね、ケミカルの知識を実践を繰り返してアイロン技術をブラッシュアップ。
2011年にポリイオンコンプレックス(アニオン+カチオンによる毛髪表面のコーティング)を導入して以降、インナーコンプレックス(毛髪内部の重合によるハリコシの向上とダメージホールの充填)、タンニンやエルカラクトン、生ケラチンなどのケミカル剤とpH 移行還元と組み合わせる現在の技術にたどり着きダメージヘアーやエイジングヘアーへの対応力を向上させております。






◆ 施術例 1 (7月) ◆   ダメージしやすい、広がるクセの細毛(白髪割合15〜20%)  

50代のお客様、3年ぶりに三島市からのご来店です。ご来店の所要時間は車で片道2時間、遠いところありがとうございます。

2〜3ヶ月前に他のサロンで縮毛矯正とカラーをなさったとの事ですが、あまり効果がなかったようでツヤもなく、毛先はかなりダメージしてます。
これはオーバータイムか強すぎる薬剤の使用によるものだと思われますが、カラーによるダメージも相当あると思います。
全体にかなりダメージがあり、画像では分かりにくいですが毛先は所々ビビリが出始めています。オーバーセクションの毛先ダメージレベルは5(=最大損傷レベル)の箇所もありますね。(汗)

とにかく削ぎが多過ぎのように思います。これだと毛先に厚みが出ないので仕上がりがピンピン、ペラペラした感じになると思います。
矯正のカットは削ぎが多すぎると毛髪のスペースがありすぎて暴れやすくなるのとワンパネル中に力のある毛先がいくつも発生するので収まりが悪くなるだけでなく、持ちにも大きく影響します。
カットが縮毛矯正の「持ち」に大きな影響を与える事は意外に知られていないんですよね…。

さらに梳き過ぎはアイロンで挟む毛量が少なくなるので熱が溜まりやすく、アイロンの熱コントロールがシビア。
しかし、今回はあまり切りたくないという事なのでフロントだけ少しカットする程度でその他はノーカット。

今日は「とにかくクセを何とかしたい」との事なのでカラーはしないで縮毛矯正だけさせて頂くことにしました。




 クセはそれほど強くありませんが、うねって広がる感じのクセです。比較的多いタイプのクセですね。
根元が浮いてスタイルの表面がブカブカした感じになっています。根元のダメージレベルは2〜3といったところでしょうか。ここは普通のアイロンの守備範囲。

 以前は太い髪でしたが、約3年ぶりにご来店下さったところ細くなっており、白髪が増えてオーバーセクション(=頭の上半分)で白髪割合は15〜20%くらいだと思います。
意外に思われるかもしれませんが、太くて硬い髪の方が矯正は楽です。この方のような細くて柔らかい髪はシスティンが少ないために痛み易く、伸びにくいのでどちらかというと難度は高いです。

 白髪は左フロントに固まって生えているので矯正する際に、ここは要注意。白髪は黒髪とタンパク組織が違うので耐熱性、保水性が低く、痛みやすいからです。ここは普通のアイロンはちょっと無理かな?やってやれないことは無さそうですが、安全策を選択。

 縮毛矯正はアイロンでプレスしてスルーするだけだと思っている方がいらっしゃいますが、ヒートパネルのどの部分をどう使うのかで仕上がりはまったく違うものになります。
 そのアイアニングコントロールは何パターンかあり、クセの種類と強さ、また求めるストレート具合(=Rの度合い)によって頭の場所ごとに変えてアイロンの種類も使い分けながら組み合わせて対処します。上手な方は1本のアイロンでやってしまう方もいらっしゃるのかもしれませんが、僕は怖くてちょっと考えてしまいます。僕は道具に頼る方ですのでリスクマネージメントの面からも、いくつかのアイロンを使い分けて施術するほうが多いです。
小心者ですいません。僕なんてこんなもんです(笑)。


【施術計画】
医薬部外品チオ系を主体薬剤パワー 8-5-3(12分)⇒ポリイオンコンプレックス+M耐熱処理⇒ツインブロー+Gアイロン(180℃)

「ダメージレベルが高いのにチオ系?」って思われるかもしれませんが、「チオ=痛む」というのは以前のはなしで、最近の高還元、低アルカリ、低PHのモデルをチョイスすればチオは仕上がりが読みやすく、アイロンの熱を適切にコントロールすれば仕上がりの髪に硬さも出ないだけでなく、下手にコスメ系で長時間放置するよりも逆に痛まないと思います。
またビビリはしっかり還元しないと直りません。


【仕上がり】


今回の施術時間はアイロン前のフルウェットからのツインブローまで行って約3時間。

ミドルエイジの方への矯正は白髪がビビリやすいので還元度合いとアイアニング時の水分量に注意しました。他サロン様でのカット・カラーで中間から毛先にかけてのセニングシザーによる過剰なソギが入っていて毛先が暴れやすく、きれいな面が出にくい状態でしたので根元以外はGアイロンを使用。

カットが削ぎ過ぎだったのでクセを伸ばすと、スタイルに厚みがないのがより顕著化します。 これは「S字」状の毛がストレートになることによって本来の収まる位置に毛先が落ちるために毛先にずれが生じるためです。

今はアウトラインがレイヤーエンドになっていて削ぎも過剰に入っているためにアウトラインに落ち着きがなくなっていますが、伸ばしながらアウトラインに重さを残すようにカットしていけば、もっと柔らかい丸みを帯びた女性らしいアウトラインが表現できると思います。

ビビリも大部分修正できてサラサラ〜♪ トップがつぶれないようにしたので気に入ってもらえたようです♪。
次回はカラーできっちりグレイヘアーをカバーしましょう。お帰り時に施術直後のケアのための無料のシャンプー&トリートメントセット(数日分)をお渡しして終了です♪ (重症なビビリは修正しきれないどころか施しようがないのでその旨ご了承下さい。)

縮毛矯正は3時間30分〜4時間ほどのお時間が必要です。オーダーをお受けするにはそれだけの連続した空き時間がないとお受けできない場合があるので、ご予約されるのをお勧めします。
また、予約をされてコチラの縮毛矯正カウンセリングシートに該当事項をご記入の上、ご来店されるとオールヘッドコースの初回に限り正規料金から300円 割引させていただきます。

シャンプー、トリートメントは毎日使うものなので影響は少なくありません。現在、ご使用になられているシャンプーを今回使用した製品に変えていただけることになったので今後は少し改善されていくと思います。
カラーリングに関しても間充物質も同時に補いながら染めないとダメージが深刻化して縮毛矯正が掛けられない状態になりそうなのでホームカラーはしないことと次回のカラーリング、矯正のご予約も頂きコンディションの様子を見させていただくことになりました。
次回の矯正は4ヶ月後の予約になりました。

縮毛矯正施術後のお手入れ方法




◆ 施術例 1 (11月) ◆  【 続編 】 ダメージしやすい、広がるクセの細毛(白髪割合15〜20%)  

前回の続編。
またまた三島のSさんに撮影のお願いをしたら快くお受けしてくださいました。ご協力ありがとうございます。

4ヶ月経過し、コンディションはチョッと良くなっていました♪
ビビリは改善された状態が保たれていて、それ以外のセクションも改善が顕著に♪ ダメージレベルは前回と比較して1〜1.5は確実に軽減しているように思います♪。
前回の施術部はクセ戻りもなく良い状態がキープされているようですが新生部にうねりが出ています。
こうなるとスタイルの表面が浮いてブカブカした感じになってきています。 そろそろ縮毛矯正のタイミングだと思います。

今日はJ型物質「P」を使って更にダメージ補修と「つるん」としたしなやかさを与えたいと思います。
僕は8月からこの「P」の使い方をいろいろ実験してから10月下旬にサロンワークに導入して結構良い効果が出ています。
カラーと一緒に使うと希釈濃度によってはチョッと困った結果が出たりするなどチョッとクセがある成分なのでいろいろ試さないとサロンワークには使えませんでしたが思ったより早く導入できました。
実験にご協力してくれたモデルさん方、ありがとうございました。

今回は還元後に、このP(=0.5%)を塗布し、毛髪内の間充物質を補うことにしました。もちろんポリイオンコンプレックス+ヒートブリスターM処理も行います。
実はこの「P」、以前から使用していたセラミドなどの毛髪内部補充物質と比較して効果が比べ物にならないくらい高いだけでなく浸透スピードも早ッ!
塗布後1分で完全浸透&内部拡散がほぼ完了します。
「たった0.5%!? ケチッ!」って思われるかもしれませんが、この「P」、一般販売されているかなりお高いヘアケア商品にも入っていますが、だいたいが0.02%位らしいです。
ということは…僕が使う濃度はその25倍! ケチってませんよ〜♪ チョッと贅沢に使ってます♪

もっとも、「P」は5%なんて高濃度を使うとキシミます…「P」を使ったことがあるスタイリストの方はご存知だと思いますが、そんな高濃度使うとギシギシになってクシも通りません。でもこのキシみ…良い意味のキシミです。誤解しないでくださいね。キシミにはダメージによるものとそうでないものがあります。
例えばダメージのまったくない赤ちゃんの髪は濡れると非常にきしみますが、乾くとメチャメチャサラサラですよね。そんな具合だと思ってください。

僕はこのPやM、Rなどの成分は化粧品原料をそのまま仕入れています。ですのでちょっとだけ贅沢に使ってます。

【施術計画】
医薬部外品チオ系を主体薬剤パワー 8-0(12分)⇒P処理+ポリイオンコンプレックス+M耐熱処理⇒ツインブロー+Gアイロン(180℃)
*今回はパワー:8で還元するのは新生部のみ。既スト部(中間〜毛先)はまったく還元しません。パワー0(還元剤ゼロ)の熱反応プロテイン入りの保護剤だけ塗布して完全保護です。
前回、しっかり伸ばしているので既ストレート処理部はノー還元(=完全保護)の方が望ましいと考えますのでリタッチ矯正を選択。
でも次回は毛先まで還元したほうがダメージを低減できると思います。
縮毛矯正を掛けた方がダメージしないなんて、「?」って思うでしょ? ケミカルって不思議ですよね(笑)。

【仕上がり】

やはり「P」の効果が明確に感じられる読みどおりの仕上がりです。
4ヶ月前の施術よりもしなやかさが数段アップしています。髪がしんなりしてヘッドラインや肩のラインに自然に沿って収まっている様子からよくお分かりになると思います。
ね、毛髪のコンディションによってはやり方次第で縮毛矯正、掛けた方がコンディション良くなる事があります。

毛髪の中間〜毛先までは前回の矯正結果がコンディションよく、しっかりキープされているので、今回は毛先完全保護で正解だったと思います。
前回同様、白髪が15〜20%というチョッとだけ難易度の高い仕事でしたが仕上がりはツヤも出て手触りもツルツル♪ 伸びもまずまずだと思います。

今回は更にコンディションが良くなっていると思います。
前回も好評でしたが、今回の仕上がりはそれよりも数ランク上がったことをお客様自身も実感していらっしゃいました♪

普段のお手入れ方法を更に詳しくご説明させていただき、いつものシャンプー&トリートメントセット(2〜3日分)をプレゼントして終了です。
縮毛矯正施術後のお手入れ方法

いつも画像がイマイチですいません。 お金がたまったらもう少しましなカメラを買おうかな…。



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