<第2-8話>「田んぼと雷」

雷様

入道雲

 最近、雷が多いですね。ここ早川ではあまり雷を聞く事はないのですが東京の方ではいかがでしょうか? そこで今回は雷と田んぼの関係についてお話ししようかと思います(^-^)。 まず雷と言う字を見てみましょう。田んぼに雨と書きますよね。水が不足しがちになる夏、文字通り雷の雨は恵みの雨となります。 また雷の時に発生する稲妻、これも稲に妻ですから田んぼに関係が有りそうだと思いませんか?稲妻は高圧の電気と高い熱を発生させます。 その高電圧と高熱によって大気中の酸素と窒素がくっつき二酸化窒素が出来ます。この窒素が雨と共に田んぼに降り注ぎ、稲の生育にとっての大切な肥料となる訳です。 と言う事でピカッと光る閃光は稲にっとってのいい妻?な訳です。(稲には籾と言う子供が出来るので稲の方が妻という話も有るそうですが。) 雷は神鳴りの意味を持ちます。雷のあのゴロゴロは農家にとっては豊作をもたらしてくれる神の声なのです。(でも雷は怖いですよね(^_^;)) 今年の神鳴りは豊作をもたらしてくれるでしょうか?どうか人間の世界にやさしい神鳴りで有って欲しいものです。

<第2-7話>「稲の生長」

箱苗 田植え直後 稲の花 稲穂

 突然ですが皆さんご存じだったでしょうか?私は全く知らなかったのですが”生長”と”成長”の違い。 今回のテーマ予告を見た時、あっ字間違ってるって思って調べて見た所両方とも有るらしく元々”生長”は植物が大きくなっていくこと、”成長”は動物が大きくなっていく事を示すそうです。 今はどちらも”成長”を使う事が多いようです。(^-^)  話はガラッと変わり本題を始めたいと思います。 草塩分校に届いた苗(今回はJAの方で育てたものを購入しましたがいずれは分校での苗を使用したいです)は、生産者が1ヶ月位前に籾を撒いてきちんと温度管理をして大事に育てられたものです。 いわばここまではお母さんのおなかの中のようなもので、田んぼに植えられて初めて稲の新たな世界での一生が始まる訳です。 田んぼに植えられた稲の赤ちゃんは新たな世界で一生懸命生きようとまずは根を張ろうとがんばります。その為には温かな水が必要で水温が低いと根がなかなか張れず大きくなれません。 根が張れれば今度は土や空気そして光などから栄養を得てどんどん大きくなっていきます。ここでも土に養分が少なかったり、日の光が少なかったりだとこれもまた大きくなれません。 その為に元肥(もとごえ)として代かき(しろかき)前の田んぼに肥料を入れておきます。これが苗の赤ちゃんが根を伸ばしての最初の栄養となります。 そうして大きくなってゆき稲は成長期を迎えます。それが田植え後2~3週、その頃になると苗はどんどん茎数を増やし始めます(分けつと言います)。 その為の栄養が又必要になります。これを分けつ肥(ぶんけつごえ)と言います。この頃が稲も食べざかりと言う事です。 食べざかりの成長期を過ぎると稲もいよいよ青春期(田植え後2カ月前後より)です。この頃になると稲は葉を作ることから穂の元を作り始めます。 この頃にも子供をたくさん作る(籾の数を増やす)為の穂肥(ほごえ)としての栄養を与えます。そしていよいよ穂を出し開花の時を迎えます。その頃にも元気で丈夫な子にする為の実肥(じつごえ)を与えます。 こうして育った稲は次の世代に引き継ぐための実りの秋を迎え、その一生を終わります。その実りを私たち人間が食べさせてもらっている訳です(ごちそうさまですm(__)m)。 これまでの何回かの肥料や水加減は稲のようすを見ながらその量を増やしたり状況によってはその回数を減らしたりします。多すぎると倒れやすくなってしまったり、病気などにも掛かり易くなったりしてしまいます。又少ないと大きくなれずたくさんの籾を作る事が出来ません。 稲も過保護はいけないようです。(^-^)

<第2-6話>「田んぼの虫たち」

シオカラトンボ アメンボ&オタマ カワニナ ???

 田んぼに生きる生き物はたくさんいます。当たり前のようですがこれが意外とそうでもないのです。 ずっと田んぼが続けられていた場合には有る程度当てはまりますがいったんやめてしまった田んぼの場合にはその種類はずっと少ないものになってしまいます。 現に今年始めさせていただいたこの草塩分校の田んぼの生き物たちもその種類は一般の里山の田んぼと比べるとずっと少ない種類だと思います。 まず魚類はいませんし、鳥類などもほとんどいません。 なぜかと言うと生き物の世界では当たり前である食物連鎖の鎖が一度切られてしまっている為です。 田んぼをやっていた頃には生きていた生き物たちも田んぼが無くなると他の場所に行ってしまうか死んでしまいます。 ですのでやめてしまった田んぼを復活したからと言ってすぐに昔のようなたんぼに戻る訳ではなく徐々に食物連鎖の鎖がつながるのを待たなければなりません。 まず土の中から溶け出した養分を餌とする植物プランクトンが増えそれを餌とするミジンコなどが増え、それをオタマジャクシや魚などが食べそれをヘビや鳥が食べる。 こういった食物連鎖は田の周囲の環境とも相まって複雑に関係し合っています。 草塩分校の田んぼには今オタマジャクシがたくさん泳いでいます。でもそれを食べるような生き物はまだ見ていません。そのうちヘビやサギなんかも飛んでくるのでしょうか。 昔はここ草塩にはしじみがたくさんいたそうですが私はまだ見た事が有りません。ひょっとするともうここ草塩にはいないのでしょうか? タニシにドジョウ、それにザリガニは数は少ないですが見た事はあるのでひょっとすると「田んぼの学校」を続け広げて行けば復活するかもしれません。 残念ながら魚の復活まではちょっと難しいかもです(^_^;)。 ですがここ草塩の田んぼ周辺にはホタルの餌となる巻貝のカワニナがたくさんいますし、ホタルも数は少ないですがいますので環境を整えてあげればホタルの里も夢ではないと思います。 そんな日が早く来る事を目指してこれからも生徒さん達と供に生き物たちを見つめていけたらと思っています。ちなみに6/15の分校の田んぼにはオタマジャクシ・アマガエル・アメンボウ・シオカラトンボ・糸トンボ・カワニナ・なんだか名前の分からない巻貝などを確認しました。 目のいい子供たちが見ればまだまだ見つかると思います。機会が有れば是非「田んぼの学校」に参加されご自分の目で田んぼの生き物たちを見つけていただきたいと思います。 きっと生き物を見つける以外の物も見つかるのではないでしょうか?

<第2-5話>「田んぼの草たち」

ヒエ コナギ オモダカ イヌホタルイ

 田んぼの草はいろいろ種類が有りますが、大きく1年草と多年草に分けると まず、1年草の代表がヒエです。この名前を聞かれた事のある方は多いのではないでしょうか?田んぼの草の代表選手です。 この草、やっかいな事に私のような初心者にはほとんど見分けがつかない位稲と似ているのです。その上、稲の近くに生えて来るのでより一層見分けがつきにくいのです。 これがヒエの生き残り戦術(擬態)と言われたりします。 次に出てくるのはコナギでしょうか。これはハート型で光沢のある厚めの葉をもつ水草で花は綺麗でかわいらしいのですがこれも農薬を使わない農家にとってはやっかいな草です。 と言うのもこの草、繁殖力が強いと言うか発芽力が強いと言うか取っても取っても生えて来るやっかいものです。あっという間に田んぼ一面コナギだらけです。こうなるともうお手上げって感じです。(>_<) ですが農薬にはめっぽう弱いらしく一回農薬を使用すればその年は綺麗になるらしいのですがそれでも次の年には控えていた種が発芽してくるのです。 一方、多年草の代表はオモダカでしょうか?これはコナギに似て厚めの葉をもつ水草です。葉の形が人の顔の形に似ていることから付けられた名だそうですがこの草も増えると怖い草の一種です。 次の代表はイヌホタルイあたりでしょうか。この草はつんと尖った葉が伸びているもので種で増えますが蕪が残っていると多年生の草として生き残っていくそうです。 通常の田の草取りでは草自体を抜いてその場に埋め込んでいくため田の外にはあまり出したりしないので残ってしまうのです。 これらの草がたくさん生えて来ると稲が摂るべき養分を草が摂ってしまったり、風通しや日当たりが悪くなったりで稲の育ちが悪くなってしまいます。 そうなると収穫が減ってしまう訳でひどいときには収穫が半減してしまう事も有るそうです。 そんな訳で稲作(稲作に限りませんが)では草の除去がとても大事で一苦労なのです。ですから除草に苦労していた農家(特に大規模農家)にとっては農薬は一大発明と言えるでしょう。 今の農薬は色々と工夫がされているようで使いようで人や自然への負担が最小になるように出来ているようですが私の場合規模も小さいので農薬を使っていません。 その為にこれからの時期の田んぼの管理は水の管理に加え1に草取り2に草取りです。水の管理は草の発生を抑えるためにもこの時期大切な管理の一つです。 なんとか草たちの事を良く知り、うまく付き合って行ければと思うのですがなかなかそうはうまくいかないですかね?

<第2-4話>「田植え」

田植え

 今回は米作りにおける一大イベント「田植え」です。 田植えの作業を具体的に見てみると、以外と色々あって農法や環境などによってちょっとづつ違いが出てきます。 稲の苗は成長するに従い1本が10~20本近くに増えて行く為、最初に植える苗もそれを考慮して植えないと成長した時に混みすぎて日が当らなかったり風通しが悪くなり病気にかかり易くなったりしてしまいます。 そこで一般的な機械植えでの苗の本数は3本程度にしています。ここ草塩辺りでは水が冷たく茎の数があまり増えないので 4~5本で植えています。又、苗と苗の間隔についても15~30㎝とまちまちで農薬を使わない有機稲作では比較的 広くとり風通しや日当たりを良くして元気な株に育てる事を大事にしています。 というのも有機農法では農薬の使用をひかえている為に苗が病気になったり虫に食べられないようにするためにはどうしても苗を丈夫にするしかない為です。 一方、列については30㎝程度の間隔で植えられることが多いようです。 この30㎝の間隔が後に控えている草取りや肥料やりそして最後の稲刈りを行う上で必要となる適当な間隔なのです。 あまり狭いと作業がしにくくなるし広いと収穫が減ってしまう為このくらいが適当な訳です。 以上のような田植えを行っていく為に昔からいろいろな形の定規が考えられ使われてきたのです。 ちなみに私はひもに目印を付けたひも定規を使用しています。 苗の本数は4~5本、間隔は25㎝、列間隔は30㎝で田植えを行っています。もちろん農薬や化学肥料の使用はひかえています。 話を戻して米作りにおける一大イベントである「田植え」ですがなぜ一大イベントかと言うと米作りのうちで最初の節目となるもので最も大切で大変な仕事の一つだったからです。 現在は機械を使っての田植えが主流となり昔のように手を使っての田植えは殆どなくなったように見えます。 昔の田植えは近所や親戚の人達の協力を得ての共同作業として行われていました。 自分の田植えが終われば他の終わっていない家の田植えを協力し合いながら行う訳です。 そんな田植えによって地域や親族同士の交流が生まれ絆が育まれていったのです。 そして田植えが終わると人々はそれぞれの人の労をねぎらい田植えが無事に済んだ事を共に喜び合うのです。 それは宴会と言う形で行われ、「さなぶり」と呼ばれていました。 その様な風景は今は殆ど見かけなくなってしまいましたが村の生活の中にはそんな昔の文化が色んなところに散りばめられているような気がします。(^-^)
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