<第3-3話>「再生への一歩」

春の田   秋の田

 田舎で暮らしていて度々思う事が、今は耕作されていない多くの田畑が耕作されていたらさぞ綺麗だったろうなと言う事です。 春、水が張られた田んぼには稲の苗が植えられ周りの山々や青い空が写り込み、夜は月明かりに照らされた水面にカエルの声、 夏、青々と育った稲の上を吹き抜けて行く風の波やホタル、秋は一面の黄金色のじゅうたんに赤トンボ、冬は霜に覆われた真白な田畑どれもハッとさせられるような風景でしょう。 それらは決して特別なものではなく日本各地に普通に有った風景だったのではないでしょうか。 そんな田園の中、多くの生き物たちが生まれ育まれてきました。そしてそれらの生き物たちとともに人間達も生かされてきたのだと思います。 田園自然を再生すると言う事は本来あるべき農業(農業には食物供給と言ったもう一つの大切な面もあると考えています)の姿を取り戻し、自然と農業が多様な生き物で、そして人と人が地域や時を超えてつながり 豊かな食べ物と心安らぐ風景を作っていく事なのだと思います。 田園自然再生への一歩として今ある田園そしてそこに生きる多くの生き物たちやそれらが生きる環境を見つめ直そうと思います。 そうする事によって田園の現状を知り、なぜ昔いた生き物がいなくなったのか、又いなかった生き物がいるようになったのかなどを考えてみたいと思います。 それらが元々そこにあった田園自然の再生に向けた一歩になるのだと思います。 それぞれの田園の生き物は人の暮らしや農業によって守られて行き、 そうする事が私たち人間にとってもかけがえのないものになっていくのではないでしょうか。 決して特別ではない生き物たちでもその地域の人々の営みによって育まれてきた唯一無二の生き物たちなのだと思います。 そんな生き物たち、いや私たちの為にも小さくても確実な一歩を踏み出して行きたいものです。

<第3-2話>「田園の価値」

写真あえて前回と同じですが中身は変わっていますので時間が許せばお読みいただけたらと思います。

春の草塩   夏の草塩

 通常、価値と言った場合、その対象としているものや事柄がその人にとって有用であるかそうでないかによって大きく変わるものだと思います。 したがって、「田園の価値」と言った場合もそれを見る人がどのような立場かによっても違いが出るものだと思います。 例えば、同じ田畑を見ても都会に生まれ育って殆ど実際を知らない人と毎日関わっている人ではおのずとその人が見る田畑の価値は違ってくるでしょう。 違うのは当たり前ですよね(^-^)。でもその違いの先にある未来の日本や地球はどんな人にも同じようにやって来ます。(いきなりですね(^_^;)) その未来の為に今の自分たちが出来る事そしてやれることは何かを一緒に少し考えてみませんか? (もっとずっと前から考えなければいけない事だったかもしれませんが(^_^;)。思い立ったが吉日と言う事で) そこで「田園の価値」をもう一度考えて見た場合、まずは”田園の経済的価値”。 これは人々が営々と築いてきた田畑で生み出される作物や家畜が市場で販売や交換される事によって生じるもの。 次に”環境的価値”。これも長い年月をかけ人々が作り守ってきた里山と言われるような田畑や森そして小川などの環境そのもの。 そしてその環境は多くの生き物たちの命をつなぎ育んできた場でもあります。 最後に”文化的価値”。これもやはり営々と営まれてきた農を中心とした生活の中で生まれ育てられてきた多くの農耕儀礼や祭、そして郷土芸能などの存在です。 これら3つの価値は日本の高度経済成長と同時に急速にその価値を失ってきたように思います。 それではなぜその価値は失われてきたのか?「生活の豊かさはお金の豊かさに比例する」といったような考え方で戦後の日本は豊かさを求め、そして豊かさを手に入れてきたのではないでしょうか? その為に置いてきた多くのものが有るように思います。それが今豊かになったおかげ?で少しずつ見え始めてきたのかもしれません。 その結果、徐々にではありますがその価値を見直そうと言った機運が高まりつつあるように思います。 そんな中で田園が支えてきたそれらの本当の価値を一人でも多くの人に知って頂き本当の豊かさが何かをもう一度考える機会に「田んぼの学校」がなれたらと思います。 そう言っている私もどれだけ本当の価値がわかっているのか(^_^;)?。これからもみなさんと一緒に色々と勉強させて頂ければと思います。今日はなかなか硬かったですね。 そもそもこう言った価値で田園を見るのもどうかと思うのですが(自分で書いておいてゴメンなさいm(__)m)「ただ単に田舎っていいよね~」って思えるような田舎大切だとは思いませんか(^-^)。

<第3-1話>「田園自然の再生」

更新作業が遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。(まだ更新されていない所ありますが順次更新させて頂きます。)これに懲りずにこれからも「田んぼの学校 HP」たまには開いてみて下さいm(__)m。

春の草塩   夏の草塩

 「田園自然の再生」ちょっと硬めのテーマですが私にとって、いや今の日本にとっても大切なことではないかと思いテーマにしてみました。 そこでこれから10回位にわたりこのテーマに関する事について考えて見ようかと思います。 まず初回はそもそも「田園とは?」なんぞや辺りから考えて見ようかと思います。 辞書によれば「田や畑そしてそれらが広がる林や森も含めた地域または田舎」のように書いてあります。 大したことではありませんが「園」とは稲以外の作物などを育てる所又は生垣等で囲まれた所と言う意味のようです。(そうなんだ~って感じ)。 と言う事で「田園」には人の生活や営みが有り、それらが長い間引き継がれ形作られた所と言った感じでしょうか。 そう言った意味ではここ早川も立派な田園と言う事になります。 何となく私のイメージの中の「田園」というとヨーロッパ的な緑の丘に白いモコモコの羊がいて赤い屋根の家が建っているようなところって感じなんですが(^_^;)。 そんな風に考えるのは私だけ(^_^;)? それとは大分違う早川の田園。先ほどりっぱなと書きましたが田園の本来の意味からするとちょっと違うのかもしれません。 それと言うのも昔は確かに日本的な立派な田園だったと思いますが今の早川(早川に限った事ではないと思いますが)の田畑は 日本の高度成長の中で次第に放棄され忘られていきました。そして同時に過疎化と高齢化の進展に伴ってそのスピードは加速され現在の姿になってしまいました。 私がここ早川に来て近所の人たちから昔の村のようすを聞くたびに想像の翼を広げて見ると(^_^;)その風景は確かに立派な田園そのものだったのだろうと思われます。 その「日本の田園」には前回のテーマでも書いたように多くの機能が有り価値が有りました。 それが今農業離れによってそれらの機能や価値は低下し失われようとしています。 それらを復活し再生させるためには今までの価値観だけではなく新たな視点に立った新しい価値観を必要としているのではないかと考えています。 そしてその先にはきっと「新しい日本の田園」が広がっているのだと思います(翼広げすぎ(^_^;)?)。 なかなか個人の力は小さく翼折れそうですがゆっくりとそして少しづつでも想いが広がればと思います。今回はプロローグって感じで 次回は「田園の価値」について考えて見たいと思います。てな訳で今回も、ご清聴ありがとうございましたm(__)m。

<第2-10話>「田んぼのはたらき」

田んぼの働き

 ”田んぼのはたらき”又は”田んぼの役割”を改めて考えた事有るでしょうか? まず頭に浮かぶのは「米を作るところ」ではないでしょうか?田んぼでなければあの栄養バランスが良くおいしいご飯は食べれません。 もちろんそれだけが田んぼのはたらきではありません。田んぼには他にも色々なはたらきが有ります。 上の図を参考にそのいくつかを見て行こうと思います。 まずは「土砂崩れと土の流出そして洪水防止」からですが日本のような急峻な山が多い国土では大雨が降ったりすると川はとたんに滝のような流れとなり 土砂崩れや洪水の危険が有りますがそれらを森や田畑が土地を支え水を受け止め流れを緩やかにして、災害を防ぎ下流の町を守ります。 次は「地下水をつくる」ですが空から降った雨は森や田畑がなければあっという間に山を流れ下り海に行ってしまいます。 しかし森や田畑が有るおかげで雨はゆっくり地下にしみ込み、やがて地下水や川になって人々に安定した水を提供してくれるのです。 「景観の保全と生き物のすみかになる」も田んぼの大切なはたらきの一つです。手入れの行き届いた田畑の風景は訪れる人の心を癒し、和ませてくれるものです。 また田畑は多くの生き物たちのすみかとなって命を育みます。田んぼに水が入るとさまざまな生き物たちが周辺から集まり、そこで又命が生まれ育っていくのです。 そして最後に「文化の継承」も田畑と深い関わりを持っています。日本人は稲作などを通して多くの祭や芸能と言った文化を育んできました。 それらを次の世代につなぐ為にも田畑のはたらきを知ることは大切な事の一つだと思っています。今一度「田んぼの事や田舎の事」考えてみませんか? そして「田んぼの学校」がその一助になれればと思います。

<第2-9話>「初夏の田んぼ」

稲についた露 露払い

 7月7日では初夏と言うより夏ですね(^_^;)。夏の朝、田んぼに出てみると稲の葉先に露がたくさんついている時が有ります。 その露は夜露だけではないようです。稲の葉には水孔という小さな穴が有るそうで根などから吸い上げ、余った水分をその水孔を通して外に出すのだそうです。 まだ舐めてみた事はありませんが葉の上の露をなめて見ると甘く感じるそうです。 まさに甘露ですネ。今朝、味見しようと田んぼに出てみましたが残念ながらこの梅雨時にはなかなか露がつく事はなさそうで味見をする事は出来ませんでした。 今度葉についた露を見つけたら一度味見をしてみようと思います。 又この時期、昔はこの稲の葉についた露を竹竿を使って露を落とす「露払い」という作業を行っていたそうです。 俗に言う「露払い」ってここからきているのかは不明(^.^)。 その「露払い」をする事によって稲に刺激を与え、稲の伸び過ぎを防ぎ稲の分けつ(正式には分げつ)を促進させるのだそうです。効果が有るかどうか分かりませんがちょっとやってみようかなと思います(^-^)。 それにしても昔の人は何でこうする事が稲に良いって知っていたんでしょうかね不思議ですね。きっと現代よりもずっとずっと稲を良く見ていたんだろうと思いますがそれにしてもなぜこんなことしたのでしょうか?竹竿を振るなんて?! 農薬や化学肥料を使わずに稲や野菜を栽培するには、もっと昔の知恵や自然を知らなければと改めて考えさせられる今回のテーマでした。頑張んべ~(^_^;)。
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