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Anecdotes
第1話:人間も空を飛べる
 

ニュージーランドは、よくオーストラリアと間違えられるのですが、地理も気候もオーストラリアとは全く異なり、年中涼しくて雨や雪もよく降ります。特に南の方は、地形的にカナダと似ていて、アルプス、氷河、フィヨルドなどがたくさんあるのです。

私が中学3年生の14歳の頃(1979年)の話ですが、家族で親しくしていた大学生の知人がトレッキング(ニュージーランドでは tramping と言います)に誘ってくれました。他のメンバーは高校生2人と大学生2人。私たちはマウントクック(最近ではマウント・アオラキと呼ばれることが多い)というニュージーランドで最も高い山がある南アルプスへ行きました。天気予報は雨でしたが、山では天気がコロコロ変るので、あまりあてになりません。良い方向へと天気が変わることに望みをかけて山小屋を目指したのです。アラレが降る中なんとか小屋に無事につけたのですが、その後天気が最悪の方向へと急転換したのです。夜になると小屋の中では大声で怒鳴りながら喋っても隣の人の声が聞こえない程の轟音で、時速120キロの暴風が吹き始め、砂利の様なアラレが小屋の壁に叩き付けられ、雷が数秒おきに落ち始めたのです!

「ゴーーーー!!!」
「バリバリバリバリ!!!」
「ドッカーン!!!バッシャーン!!!」

雷だけでも10時間は続き、小屋が直撃されなかったのは今でも奇跡としか思えません。例え落雷が平均して6秒に1回だったとしても、1分で10回、1時間で600回、10時間で6000発もの雷が辺り一面に落ちたということになります。私はいつ死ぬのかと、一睡もまともに出来ない不安な夜を過ごしました。

そして明け方になると、雷は収まったものの、暴風とアラレは一向に収まる気配がありません。小屋の無線をつけてみると、ひとつ先の尾根に建っていた小屋は跡形も無く吹き飛ばされてしまったとのお知らせが入って来ました。このまま小屋に避難していても、いつ小屋ごと吹き飛ばされるか分らないとのことで、私たちは脱出を決心したのです…。

その時の私の服装はカッパに半ズボン。ニュージーランドにはヘビもムカデもヒルもいない為、登山やトレッキングをする時は、涼しくて身動きがとり易い、川を渡る時も水の抵抗を受けない半ズボンが基本スタイルでした。小屋を脱出し、下山を始めて数分で、寒さのあまりに足の皮膚の感覚が無くなりました(爪くらいで引っ掻いても全く感じません)。
 それでも足に叩き付けられるアラレだけは「バリバリバリバリ....」と、まるで機関銃で脚に砂利を打ち付けられているかの様に痛いのです。裸の岩山ですから、「時速120キロの暴風」とは「瞬間風速」ではなくて、一定の風速です。風を遮る木など一本も立っていません。そもそも立っていたとしても全てなぎ倒されていたでしょうけど。

想像してみて下さい。それは、時速120キロで一直線に高速道路を走る車の屋根の上に、手綱なしで立っているのと同じことです。45度位の角度で風に寄りかからないと、立っていることすら出来ないのです。歩いていて、へたに手や腕などを広げたら、途端にバランスを崩して吹き飛ばされてしまいます。

山を半分程下ったところで、大きな岩を乗り越えないと進めないところに来ました。岩をよじ登り、上で立ち上がった瞬間私はバランスを崩して空を舞いました。でも、岩の下2メートルに叩き付けられたのではなく、フワ〜ッと四つん這いの状態で着地したのです。意識がもうろうとする中、一瞬鳥になった感覚を味わえました。

その後なんとか無事に下山し、車が駐車してあった砂利道に戻ると、そこは百メートルに渡って水深20〜30cmの川になっていました。水がゴーゴー流れる中を車は何とか無事に通り抜けたのですが、マウントクックへの道は、60キロほど続くたったの1本道です。皆で車に飛び乗り、必死に車をとばして脱出したのです。

夕方、300キロ離れた自宅に戻ってテレビをつけてみると、早速マウントクックのニュースが、、、

マウントクックへの一本道に掛けられていた橋、20〜30本が、私たちが脱出した直後に全て流されてしまっていたのです!それは天気が荒々しい南アルプスでさえ百何十年ぶりの大嵐だったそうです。私の人生で、最も死に近かかった経験です。

 
   
ABC Inc 翻訳 日英 ネイティブ  

これはマウント・クック国立公園の標高2000メートル程の尾根に建つミューラー・ハット。別の時にマウント・クックに行った際に撮った写真で、この時はとても穏やかな日でした。

谷を挟んで向こう側の山肌に見える青白い雪のようなものは全て氷河です。

   

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