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Anecdotes
第6話:6メートル先の水中にボンヤリと見える黒い巨体
 

今回は、山ではなくて、海での出来事です。時は1989年頃だったと思います(私は24〜25歳でした)。

自然豊かなニュージーランドで育った私は、山以上に海を愛しました(それが修士課程で海洋生物学を先行した理由なのですが)。私はニュージーランドの中でも寒い、南の方にあるダニーディンという町で育ちました。海は常に荒れていて、生態系的にいっても南極に近く、アザラシ、ペンギンやクジラが当たり前の様に泳いでいるところです。

そこで、私はダイビング(素潜り)が大好きで、20代の夏は毎週1〜2回はダイビングをしては、アワビを取ったり魚を銛で突いて、学生の頃は半自給自足の生活を楽しんでいました。ちなみにニュージーランドは日本と違い、海では魚件を持たない素人でもサイズや数に関する法律を守ればアワビでも伊勢エビでも自由に取れるのです(その代わり、ルールは徹底的に守らないといけません。ルール違反を犯した者には大変な処罰が与えられるのです)。

しかし、夏でも海は氷水の様に冷たく、常に荒れていて、透明度は夏の穏やかな日でも6メートルもあれば良い方です。それに加えて、ダニーディンは当時(一時は)、南半球で最も人がホオジロザメに襲われた記録を持つ町でした。ホオジロザメといえば温かい海に生息するというイメージがあるかも知れませんが、夏は海流に乗って巨大なホオジロザメが産卵の為に南ニュージーランドまでやって来るのです。そこで、銛で突いた魚は必ずブイに括り付けて、ブイを長いロープで引っぱりながら泳ぐのが基本スタイルなのです。万が一サメが魚の血の臭いを嗅ぎ付けたとしても、まずは最初にブイが襲われ、その間に人間は逃げるというのがセオリーです。

でも、サメは恐いとはいえ、サメに襲われる確率は、街を歩いていて車に引かれる確率よりも断然に低いのです。ところがある日、私はいつものダイビング・バディーのビルと水深6〜7メートル程の浅瀬で泳いでいると、突然グーーーイと力強く後ろに引っ張られていったのです。「サメか!!!???」

手に持っていたロープの長さは15メートル。水中の透明度は約6メートル。後ろを振り向いてもロープは闇の中へと消えていくだけです。サメの巨大な背ビレでも見えるかと、海面から頭を出しますが、波の合間からそれらしきものは見えてきません。私は恐れ恐れ、ロープを伝ってブイに向かって泳いで行きました。すると、6メートル先に何か巨大な黒い生物の姿がボンヤリと、、、もう少し近付いてみると、そこにいたのは推定体重500キロ、体長3メートル程の、若い雄のゾウアザラシでした。サメでなかったので、まずは一安心、とはいえ雄のアザラシも春から初夏にかけての交尾の季節はけっこう獰猛なのです。私は遠慮気味に至近距離(1メートル)で手を激しく振って追い払おうとしますが、アザラシはびくともしません。下手に挑発しても噛み付かれる可能性があります。大学の知り合いは以前、雄のアザラシに足ひれを掴まれ、海面から一気に水深18メートルまで引きずり込まれたことがありました。幸いその時はボンベを背負っていたので大事には至らなかったそうなのですが...。

私はあっけなく目の前でブイに括り付けられていた50センチ程の魚5〜6匹を全て丸呑みされてしまい、直後には、ビルの魚も食べられてしまいました。

その後も30分程泳ぎ続けたのですが、ふと後ろを向けば巨大なアザラシがビターッと付いて来ています。その様な状況では、魚を捕まえてもすぐにアザラシに横取りされるだけだろうと思い、私たちは諦めて帰ったのです。

   
 
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別の日に撮影したものですが、スタイルは一緒です。防寒対策に分厚い7ミリのウェットスーツを着て、ウェットスーツの浮力に対応するために12キロの鉛を腰に巻きます。ボンベは背負わずに、シュノーケル1本で最大で水深15メートルまで潜ります。

銛で突いた魚はブイ(オレンジ色の浮き)にくくり付け、ブイはロープ(黄色)で15メートル後ろに引っ張りながら泳ぎます。

右手に持っている細い棒が銛です。

この写真ではカメラのレンズに水滴が付いていたようです。モザイクをかけた訳ではありません!(笑)

(1990年ころ撮影。25〜26歳です)

 
     

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