天使の階級

celestial hierarchy

古代から中世の頃まで神学者たちによって、天使に階層をつくりランク付けをすることが何度も行われていた。
つまり天使の階級なんてのはぶっちゃけると、人間が好き勝手にでっち上げたものなのである。
なので学者によって全然違ったりする。

かつては大天使が天使の最高階級であると考えられていた。
なのでミカエルやウリエルなどのいわゆる4大天使もたいていは大天使とされる。

ところがキリスト教の教会が新しい天使の階級論に腐心する様になると、大天使は天使九階級の下から二番目という所に据えられてしまった。

神学者ゲデス・マグレガーはこれを伍長クラスの人間に合衆国陸軍の全権を任せる様なものと譬えている。

またミカエル等は元は大天使だが最高位に出世したという説もある。
でっち上げたものが矛盾したから辻褄を合わせようとしたわけだ・・・
他にも複数の階級を掛け持ちしているというのもあるようだ。

現在は中世のスコラ哲学の大家トマス・アクィナスが、謎の神学者、ディオニシオス・アレオパギタが著したとされる天上階序論の論述を広めたものが(特にカトリックで)一般的になっている。
創作作品においても天使の階級はこれを基にするものが多い。

この階級は人によっていやここはこうだ、いやいやこうですよと細部に違いを見せるが、纏めてディオニシオスの階級などと呼ばれる。ラテン語ではコリ・アングリ(Chori Angeli)と呼ぶようだ。

この階級は全部で九つ。
人によって、5と6、5と7などが入れ替わったりする。

1

熾天使 Seraph

2

智天使 Cherub

3

座天使 Throne

4

主天使 Dominion

5

力天使 Virtue

6

能天使 Power

7

権天使 Principality

8

大天使 Archangel

9

天使 Angel

そしてこれを大きく三つに分けている。

上級三隊

父の位階とも呼ばれる。
神の最も近くにいる天使で常に賛美歌を贈っている。

中級三隊

子の位階とも呼ばれる。
対立する物の調和を司り、絶対神の世界と人間の世界を分け、秩序を護る役割を担っている。

ちなみに上級三隊はヘブライなどの伝承に添った読みだが、ここから下は何故か英語読みで呼ばれる。

下級三隊

聖霊の位階とも呼ばれる。
人間にとってもっとも近い位置の天使。人間に触れる機会が多く身体は実体があるという。

 

この他にもグリゴリ(人間と関わって堕天した天使の一団)がどこにも属さない10番目の階級だったとする説もある。

ちなみに翻訳の際にギリシア語・ラテン語・ヘブライ語なんかでの天使名が混ざったり、解釈の違いがあったり、別の階級説が混じったりでかなり無茶苦茶になっているようだ。
別名が多かったりするのもそういうのが原因・・・