あわ〜ストーンU
家族や友人、気の合う仲間たちと楽しんだり、学校の授業やクラブ活動、大学の学術研究などの一助になれば幸いです。
採集できる石の画像は別コンテの「
徳島の標本
」に公開してるので、それ見て参考にしてください。
これらに関する質問は僕ではわからないので、次のメアドで受け付けてます。ただし、本名・住所・TELと正当な理由なき場合返事しないそうです。
fe26-co27-ni28-cu29-zn30@ymail.plala.or.jp
「
気ままに訪問記
」などもご覧ください。また、画像の公開理由については「
いしにっき
」の「コンテを書くにあたって」を読んで下さい。
このページは他のメンバーに又貸ししてます。だから、僕の方にメールされてもわかりません。ご質問等は上記のメールアドレスまで。
特集A.金紅石(四国産のルチル)
金紅石(ルチル)は二酸化チタンTiO2の結晶で、ブラジル産のルチル入り水晶などで知られている。チタンの鉱石であり、海外では10cmを超える単晶が見られる。
一方で、金色の太陽ルチルのように結晶が交差してV字双晶などの形をとることもある。遷移元素としては鉄に次いで地殻中に多く、意外とありふれた鉱物である。
しかし、国内では大きな結晶の産する地域が少なく、センチ単位を産出するのはほとんどが四国産である。三波川帯に沿って分布する結晶片岩中に多く見られる。
ここに掲載した標本たちは、自然界で見られるルチルと様々な共産鉱物の一例である。見た目がかなり異なるので、鉱物採集するときの参考になれば幸いである。
1.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成22年の冬に採集されたもの。
(画像サイズは横15cm、母岩もほぼ同じ)
ひび割れの多い石英に緑レン石などを主とする鉱脈が走っているが、それに合わせるようにルチルの結晶が並んでいる。画像左の最も大きい結晶は長さ3cm、幅1cmで、大小15個くらいの結晶が見られる。結晶は擦れていたり割れていたりするが、C軸方向の条線が観察できる。結晶面の色は変質したためか黒っぽいが、割れ目から見える新鮮な面は小豆(アズキ)の色に似ていて金属光沢がある。
同じタイプのものは、徳島県立博物館・阿南市科学センター・愛媛県立博物館・徳島大学の他、県内の中学・高校にも寄贈されている。特に徳島県立博物館においては、二階の岩石コーナーで常設展示されている。是非ご覧になっていただきたい。
同等の石を県内外の団体や個人多数に寄贈済み
2.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成28年の夏に採集されたもの。
(画像サイズは横15cm、母岩は25×20cm)
母岩は藍閃石片岩で、その間にはさみ込むように緑レン石と石英の鉱脈が走っている。その鉱脈にさらにはさまれる形で、ルチルの結晶を含む鉱脈が見られる。個々の結晶は長さ1〜2cmで、幅は0.2〜0.5cmくらい。何十個もの細長い結晶が12×8cmの範囲内にびっしりと付着し、緑レン石と混在している。なお、画像上部の藍閃石の鉱脈を取り去ればもっと多くのルチルが現れると思う。
藍閃石片岩は青色片岩の一種で、平成28年5月10日に日本地質学会が選んだ徳島県の石である。なお、鉱物として選ばれたのは徳島市眉山の紅レン石、化石として選ばれたのは上勝町正木のトリゴニア(三角貝)である。
科学の祭典2022展示品
3.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成23年の春に採集されたもの。
(画像サイズは横12cm、母岩は25×25cm)
母岩は全体的に緑がかった灰色で、部分的に濃い緑色の鉱物が見られる。また、1〜3mmくらいの赤褐色のざくろ石が多数含まれている。徳島大学の先生によれば、おそらく風化したエクロジャイトではないかとのことだった。ルチルの結晶は数個しかないが、エクロジャイトに含まれるものは余り見つかっていない。なお、緑色の鉱物はオンファス輝石と思われる。
エクロジャイトは、地下50kmより深いマントル上部の物質が短時間のうちに上昇して地上に流出してできた岩石である。ゆっくりと上昇する場合は地温が低くなり圧力も弱まるため途中で組成や性質が変化してしまうが、急激に上昇すればその変化が起こる前に地上に出てくる。そのため、エクロジャイトはマントルの様子を僕たちに教えてくれる貴重な岩石なのである。国内では、愛媛県新居浜市の東赤石山を中心とする地域と新潟県糸魚川市青海で産出が確認されている。
某個人に寄贈済み
4.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成24年の冬に採集されたもの。
(画像サイズは横12cm、母岩は20×15cm)
全体的に石英が多く、それに様々な鉱物が含まれている。画像左上の赤紫色の結晶がルチルで、最大で長さ2cmくらいの結晶が数個含まれている。他に、赤色で透明感のあるざくろ石、薄くてペラペラした白雲母、薄い緑色の曹長石(アルバイト)などが見られる。
曹長石はよく見られる鉱物であるが、白色の菱形状の結晶が多く、母岩上に点紋状に散らばっている。濃い色合いの藍閃石に含まれるものは見た目がきれいで、床の間の置き物にしている人もいる。角閃石や緑泥石などと共存している。それらに対して、画像はもっと大きかった石を割ったもので、新鮮な結晶が露出している。大きなものは徳島県立博物館に寄贈され、小さいものは僕たち個人数名が所有している。
その後、産地を訪れる毎にこの産状タイプを探しているが、平成が終わりかけても未だに次が見つかっていない。ワインレッドのルチルとモスグリーンのアルバイトの組み合わせを、再び明るい川原で見てみたいものである。
某個人に寄贈済み
5.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成27年の夏に採集されたもの。
(画像サイズは横12cm、母岩もほぼ同じ)
母岩は石英と青色片岩の二層からなり、ルチルの結晶は石英の表面に走っている。画像では、石英表面を覆うように曲がりくねった結晶が走っている。中央やや右の結晶および左中央の結晶は長さ3cm、幅1cmである。結晶をよく見れば、さらに細い糸のような結晶の集合体のように見える。色は暗いところでは茶色に見え、明るいところではややピンクがかったメタリックな結晶である。
高越山のルチルは、結晶の大きさが長さ1〜3cm、幅0.5〜1cmくらいの短めでやや寸胴なタイプが多い。それ一個が単体で含まれている場合もあるが、細い結晶が群集しているような場合も多い。なお、V字双晶はほとんど見られない。
6.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成28年の秋に採集されたもの。
(画像サイズは横15cm、母岩は20×15cm)
ルチルは、緑レン石の鉱脈が混じる藍閃石片岩と、それに包含された石英に含まれる。結晶サイズは長さ2cm以下で、幅も0.1〜0.5cmくらいと比較的小さい。画像のように片面だけでも結晶がびっしりと付着していて、裏面にも同様の結晶が見られる。鉱染状のように広がる褐色の部分がそれで、おそらく母岩の表面積の六割以上がルチルである。なお、厳密には鉱染状ではなくきわめて細い結晶の集合体である。
採集者の話では、最初に見つけたときは淡いピンク色をしていて、色の薄い紅レン石の結晶だと思ったらしい。色合いは、全体的にやや赤みが強くて金属光沢がある。また、細い筋のような鉱脈というより結晶が面全体に広がって含まれている。
ミネラルズ2019展示品
7.金紅石(愛媛県西条市加茂川)
平成26年の秋に採集されたもの。
(画像サイズは横12cm、母岩は30×10cm)
加茂川水系の支流の1つ、市ノ川谷(丸野川)で採集された。母岩は青色片岩で、川底にどっしりと横たわっていた。巨岩だったので割るのをためらったが、諦めきれずに他の予定を全てキャンセルして慎重に割っていった。タガネを用いて数ミリずつくさびを入れ、深さ2cm、長さ30cmの溝を掘るのに1時間以上かけた。最後は思い切って強めにたたくと、ルチルの部分だけが見事にはずれた。
最大の単結晶は長さ6cm、幅1cmとかなり大きく、母岩の端には群晶も見られる。暗めの小豆色でメタリックな柱状結晶である。現在この割り跡はその後の護岸工事により埋没している。なお、一応は市ノ川鉱山の鉱区内なので市ノ川鉱山産と称しても問題は・・・あるだろうか?この谷川で見つけた3番目の結晶である。
8.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成24年の春に採集されたもの。
(画像サイズは横15cm、母岩は25×15cm)
ふいご温泉近くの沢で見つかったもの。泥に埋もれていた母岩をひっくり返して水洗いすると、このような結晶が見つかったという。ルチルを含んでいるらしい石を見つけたら、面倒くさがらずに拾い上げて丹念に見ていくことが大事である。また、必ずピントを合わせてきちんと石の表面を見ることも大事。
黄白色のチタン石を大量に伴う。母岩は緑レン石の鉱脈が混じる藍閃石片岩で、母岩とチタン石に含まれるようにルチルの結晶が走っている。同様のタイプはいくつか見つかっており、メンバーが所有するなかでは三番目に大きな標本である。また、その上にチタン鉄鉱まで含んでいる標本も見つかっている。ありふれた鉱物であっても、共産する鉱物種や結晶の色や形状などが異なるとまったく別種の標本になり得る。
科学の祭典2022展示品
9.金紅石(愛媛県別子山村瀬場谷)
平成25年の春に採集されたもの。
(画像サイズは横8cm、母岩は7×5cm)
銅山川の上流にあり、東赤石山を源流とする谷川で見つかった。ここはエクロジャイトの産地として有名だが、その他にも様々な種類の柘榴石や鉱物を産出する。まさに関川に匹敵する産地である。
この標本は県道直下の橋の下で拾われ、同時にチタン鉄鉱も見つかっている。やや赤みを帯びた柱状結晶で、長さは1.5cmくらいである。また、周辺にはエクロジャイトの巨岩がいくつか見られた。足下のバランスが悪いのでハンマーを振り下ろすのは難しい。池ぽちゃならぬ川ポチャにならないよう注意されたし。
10.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成29年の春に採集されたもの。
(画像サイズは横6cm、母岩は15×9cm)
友人たちと石採りを楽しんでいるときに見つけた。この日の前半はさっぱりで、紅簾石の繊維状結晶を拾ったくらいでほぼボウズであった。疲れたので岩に腰掛けてコーヒーブレイクしていたとき、足下の緑色の石を何気なくひっくり返してみると、3cmくらいの柱状結晶が目に付いた。母岩に埋没して一部割れているが、太さは1cmほどありC軸方向の条線が見られる。金属光沢を伴う小豆色の結晶は、この産地で典型的によく見られる。
母岩は石英と緑色の鉱物からなり、両者にまたがるように結晶が含まれている。この事実は先にルチルの結晶が生成し、後から母岩の鉱物が冷え固まってきたことを意味する。青緑色をしているので緑簾石ではなく、見た目では透緑閃石と思われる。あまり見たことがない組み合わせであった。共産鉱物が異なると見た目からガラッと違って見えることがよくある。
某高校に寄贈済み
11.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成29年の冬に採集されたもの。
(画像サイズは横12cm、母岩は16×10cm)
ある場所でルチルを見つけたと教えてもらったので、空き時間を利用して谷川に降りて探したときに見つけた。林の中の土中からわずかに出ていた母岩表面に、金紅石の結晶が含まれているのが確認できた。風化して褐色になっている白雲母中に数本の柱状結晶が走っている。葡萄色をした不透明な結晶で長さ5cmくらい。結晶の太さは8〜12ミリで、この産地では太い方である。
白雲母に含まれる結晶は多くないが、群晶のようにまとまって産出することがある。その場合、よく見かけるメタリックな小豆色でなくブドウのような濃い紫色が多い。この標本は土中に長い間埋まっていたらしく、全体的に黒〜褐色で余りきれいではない。しかし、結晶が大きくて色合いはかなり濃いものである。供給源がどこか調べてみたが結局わからなかった。
12.金紅石(徳島県徳島市眉山)
平成になってから採集されたもの。
(画像サイズは横5cm、母岩は16×11cm)
ルチルと言えば「眉山(びざん)」と返ってくるくらいの超有名産地で採集されたもの。桜井・和田・高などの有名な鉱物標本には必ずこの産地のルチルがあり、ある意味でそれらコレクションのステイタスシンボルとも言える古典的銘柄標本。発見当時からすぐに広く知れ渡るようになり、海外の博物館にも引き取られた。国内の主要な博物館などに収蔵されており、標本は大小100個以上が現存していると思われる。しかしながら、それらを産出した場所はコンクリートやアスファルトで塗り固められ、昭和40年頃から完全に絶産状態になっている。
現存する標本における結晶のほとんどは柱状または塊状で、ごく一部にV字型の双晶が見られる。また、採集されてから数十年も経つので黒くなっているものが多く、赤みを残す結晶でもくすんだ色合いである。それに対して画像の結晶は割った石から取り出したもので、まだかなり赤みが残っている。長さは1cmで太さは最大5ミリくらい。同じ母岩に3個確認できる。
眉山は徳島市の中心部にある独立峰だが、標高290m、周囲10kmの大きな変成岩の山である。この中からピンポイントでルチルを探すのはきわめて難しく、勘と経験、それと運に左右される。また、禁止区域があるため注意を要する。某病院の敷地に入るときは必ず許可をもらうこと。しかし、ハンマーを持ってうろついて警備員に誰何された東京の大手業者と部外の医者がいたので、おそらく今はもらえないだろう。ロープを張っていなくても眉山周辺は私有地ばかりである。勝手に侵入した不審者が通報されたこともある。
なお、採集に関して某病院の方々には大変お世話になった。感謝申し上げます。
透明感は少ないがかなり赤い結晶
紅簾石の露頭を破壊した無法者や所属団体にはこれを見る資格はない。詳しくは
「
12.産地の破壊について
」の「
眉山緊急速報!
」
を見られたし。
13.金紅石(徳島県山川町高越山)
平成30年春に採集されたもの。
(画像サイズは横10cm、母岩は30×20cm)
大きなクラックが走る母岩表面にルチルの擦れた結晶が集まっている。長さは1〜2cmで、幅は5〜8ミリくらい。メタリックな小豆色の柱状結晶には縦方向に筋が走り、まるで繊維のようにも見える。母岩全体で大小20個くらいが確認できた。また、横の層にも結晶が見え隠れしており、もっとたくさんの結晶を包含していると思われる。
見栄えは余り良くないが、母岩が細かい透緑閃石(アクチノライト)からなりこの産地ではかなり珍しい。しかも緑色の濃いタイプで、関川や銅山川ではよく見かけるがここではほとんど見つからない。発見者の話では知ってる限りで3例目だそうだ。
高越山系では透緑閃石(アクチノライト)の産出は確認されているが、その量はきわめて少なく珍しい部類に入る。愛媛の別子山や五良津、同じく加茂川、高知の白滝鉱山産とは見た目が異なる。
谷川に降りた後で川原を幅広く探索していたとき、一度通った場所でこれを見つけた。同行者も見落としていたようで、このような大きな石を見逃がしていたとは気付かなかった。やはり石をしっかりフォーカスして見ていかなければならないと思う。なお、クラックから割ればきれいに2つに分かれると思われるが、勿体ないのでしていないとのこと。本音を言えば・・、半分くれないかなぁ?でも、大きい標本はそれ自体でも価値があるからやっぱり割らない方が良いだろう。
某博物館に寄贈済み
14.金紅石(愛媛県別子山村東赤石山)
平成30年秋に採集されたもの。
(画像サイズは横10cm、母岩は25×15cm)
主として石英からなる母岩にやや擦れたルチルの結晶が集まっている。長さは1〜2cmで、幅は1cmくらいと太短い。やや赤みを帯びた黒っぽい結晶で、金属光沢がある。埋没している結晶もいくつか見られ、これを割ればもっと結晶が出てくるであろう。
メンバーが登山家の友人からもらったそうである。瀬場谷から東赤石山に続くルートがあり、シーズンには早朝から山頂を目指すため路肩の駐車場は満杯になる。高低差が800mにもなり、登りだけで3〜4時間はかかる。途中の八間滝では山頂から転がってきたエクロジャイトが見られる。山頂部にはエクロジャイトの露頭があり、赤いザクロ石と濃い緑のオンファス輝石からなる。ただ表面は風化しているため、くすんだ褐色をしていることが多い。
北斜面には赤石クロム鉱山跡があり、赤石山荘からもよく見える。かんらん石がごろごろしており、緑色のクロム鉄鉱や紫色の菫泥石(きんでいせき)、灰クロムザクロ石などが見られる。特に菫泥石は透明感があり、麓の関川に流れ着いた石より良品である。八巻山周辺にはそれらが足下に散らばっているという。また、床鍋や権現山へのルートでもエクロジャイトが見られる。なお、このルチルは登山中に発見され下山のとき回収されたものである。このような重い石をよくぞ下界に持ち帰ったと、その労力と熱意が忍ばれる。
15.金紅石(徳島県山川町高越山)
令和元年冬に採集されたもの。
(画像サイズは横15cm、母岩は10×9cm)
高越山の谷川に多くのマニアが出入りしているようで、藍閃石片岩やキースラーガーの割り跡などよく見かけるようになった。また、徳島県内だけでなく香川や愛媛、京都や大阪ナンバーがときどき来ている。先日2人でやって来た岡山の石の会の人は、せっかく来たからと大きな標本を2つも車に積み込んでいた。そんな彼らの活動の傍らで見つけたのがこれである。
多数の赤紫色結晶を含み、かなり摩耗してるが一部は裏まで貫通してるのもある。母岩は緑色片岩で、それに含まれる共産鉱物の種類や結晶の様子などにより標本的価値が上がることもよくある。例えば、濃い藍色の藍閃石や別種の黒い角閃石結晶、チタン石の黄白色結晶やドロマイトの黄土色結晶、ザクロ石や緑簾石、緑泥石や緑閃石など緑色系の鉱物も散見できる。黄鉄鉱や黄銅鉱、チタン鉄鉱など金属系鉱物を含んでいることもある。このようにルチルと共に産する鉱物のバリエーションが豊富なのも高越山の特徴であろう。
16.金紅石(高知県本山町汗見川)
平成31年春に採集されたもの。
(画像サイズは横10cm、母岩は11×7cm)
早明浦ダムのすぐ下手から吉野川本流に流れ込む支流の1つで、佐々連尾山がその源流となる。ちなみに、山の向こうに佐々連鉱山があり、さらにその向こうが銅山川である。北から南へ流れ下っている間に、時代の異なる地層を連続して観察できる場所として有名。この川でも様々な鉱物が見られ、柘榴石や透緑閃石(アクチノライト)、そして金紅石(ルチル)を産出すること知られてる。
主として石英中の結晶として見つかる。C軸方向の条線が発達した結晶で、赤色でメタリックで長さは2〜4cm、幅5ミリくらいの物がいくつか見られる。風化しておらずかなりシャープな感じである。また、しばしばV字双晶を伴う。母岩の石英は細かい結晶が凝縮したザラメ雪のようだ。この地方で見られる独特のタイプだと思う。
オーソドックスに硬質な石英中に含まれてたり、アクチノライトと共産してる物もある。他のサイトに掲載されてるのはそんなタイプだ。大川村の白滝鉱山では変成岩中に見られる。
高知のH様よりの寄贈品
17.金紅石(徳島県山川町高越山)
令和2年夏に採集されたもの。
(画像サイズは横14cm、母岩は15×10cm)
高越山直下の川原を散策しているときに見つけた。3密を防ぐため人気のない場所で野外活動しているが、今でも小さなルチルなら目にすることができる。しかし、持ち帰ろうとするほどの良品は少なくなっている。これは久しぶりにその気になった標本である。
藍閃石を主とする結晶片岩にはゆうレン石や白雲母が見られ、その表面にルチルの太短い結晶が10個以上含まれている。やや赤っぽくてメタリックなものはこの産地の特徴である。現在工事中であり、埋もれていた石がひっくり返されて出土するかと期待したが、特筆するような標本は見当たらなかった。そうしたときにたまたまフォーカスできたのがこれである。石採りするときは必ずその石に焦点を当てて、隅々まで観察するのがコツである。
某高校に寄贈済み
18.金紅石(徳島県徳島市眉山)
時期は不明だが、比較的最近に採集されたもの。
(画像サイズは横5cm、母岩は10×8cm)
風化してヌケガラみたいになった結晶片岩に胚胎され、白雲母や角閃石などを伴う。ルチル自体もある程度風化しており、軽く洗ったとき一部がはがれてしまった。そのとき庭先で大きな悲鳴が上がった・・とは近所の人の談である。見た目は余りきれいではないが、腐っても銘柄標本である(ルチルは腐らない。)。ワイルドな趣きに見つけたときの感激はひとしおだった(と採集者は語った。)。
結晶はやや青みを帯びた黒色で細い条線が走っている。ただし、結晶の長径ではなく短径に対して平行であるため、もしこれが完全品ならば太さ1cm以上で長さ数cmに達しただろうと推定される。ちなみに、このメンバーは最長16cmに達するルチル鉱脈を所有している。私も棍棒のようなルチルは無理でもエボナイト棒みたいな色合いの結晶を見つけたい。
何度も山を越え谷を越え尾根を疾走して、人跡未踏の斜面を駆け上りあるいは駆け下りルチルを探した。独立峰とはいえ意外に眉山は大きい。足かけ10年を経てようやくここまでたどり着いたそうである。なお、画像には写っていないが他にも結晶を含んでいる。また、別の鉱物により結晶が覆われていることもあるが、何となく見分け方のコツがわかってきた。
19.金紅石(高知県本山町汗見川)
令和4年夏に採集されたもの。
(画像サイズは横10cm、母岩は15×10cm)
汗見川産は、ざらめ雪のような石英に含まれていること多い。実際に、この回の巡検でも同様の石をいくつか拾ってる。しかし、これはそれらと異なる母岩に含まれてる。点紋曹長石角閃石片岩は愛媛県の関川でよく見られるタイプである。黒い角閃石を主とする母岩に白い斑点の曹長石が含まれる。様々な鉱物を含んでること多いが、なぜか金紅石や柘榴石は珍しい。
結晶は数本含まれて最大でも2cm超くらい。不透明でやや褐色がかった赤紫色柱状結晶である。川流れ品ゆえにスレてるため条線は見当たらない。他の産地を含めてこの組み合わせは少ないと思う。少量のチタン石を含んでる。
遷移元素として鉄に次いで多いチタンは様々な石に含まれる。そのバリエーションが豊富なところも収集家としては魅力的なところである。僕たちの手元にあるルチルはどれだけか、実は覚えてない。整理の真っ最中だが、また産地に赴いて探してくるからまた増える。大きい物、キレイな物、共産する鉱物が面白い物が探す基準である。
更新日時:
2023/5/5
Last updated: 2023/5/5
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