能登谷先生はじっとしていない。「下手も上手もない」「素直に書くのが絵手紙」「その人が出ているのが絵手紙」「心がこもっていれば受け取る人はうれしい」「楽しむのが絵手紙」などと声を掛けながら歩く。先生の"絵手紙が大好き"が伝わって、みんなをのせ、みんなの手を促す。
最高齢参加者は94歳、最年少参加者は4歳。老いも若きも一生懸命。来年の干支・ニワトリの人形や獅子舞の人形、羽子板、紙風船などで年賀状用の絵手紙を書いたり、それぞれ書きたいものを絵手紙にした。
「いい色出てますね」「言葉がまたすてきですね」「気持ちが伝わってきます」「すごく感じが出ています」…。能登谷先生はいろんなところで講師をしているが、いつも出来上がった作品を見ては感動、感心するという。締めくくりの講評がまた"絵手紙が大好き"が伝わって盛り上がる。
頑張ると、おなかがすく。後片付けが終わった後の能登谷先生を囲んでのおやつにも、老いも若きも一生懸命だった。
一部を紹介。どれも個性、自由、楽しさにあふれる。はみ出した色、にじんだ線、曲がった形がまたいい。描いた人が見えてくる。描いた人が伝わってくる。みんな、誰に出すのだろうか。誰が受け取っても、うれしいはず。それが絵手紙。
能登谷千恵子先生プロフィール
1948年生まれ。留萌郡小平町出身。文学に親しみ、85年児童文学「赤い靴」同人となるが、絵手紙も始め、95年日本絵手紙協会会員に。以後、活躍はめざましい。98年初個展を開催、99年フランスでワークショップと個展を開催、2000年第2回個展を開き「おきらく絵手紙集」を出版し、そして日本絵手紙協会公認講師に。このころから絵手紙ツアー、絵手紙教室が評判を呼んで続く。02年には個人間通信への貢献によって総理大臣表彰受ける。雑誌の表紙、新聞の挿絵なども描き、ポストカードも。2冊目の本「ちえこの日々 旅の絵手紙」には今春のシチリア・南イタリア絵手紙ツアーや昨年暮れのアメリカ旅行などでの作品が載る。